*皆も察してると思うけれど、残念だけどこれで本当に終わってしまうんだ。
*でも逆に言えば皆の応援があったからこうして挫けずに終わりを迎えられるんだ。
*だからありがとう!そして最後まで楽しんで行ってね?
いままでだったらきっと帰って来れなかっただろうね。
だけど僕はもう以前とは違う。
ママやパパ、アズ達と一緒に生きて行きたい。
何よりFriskが呼んでる……僕は彼と一緒に生きていくと決めたんだ。
だから今の僕には……未練しかない!!
扉を潜り抜けた僕は飛び出すようにFriskのもとまで駆け出し離さないように彼を確りと抱きしめた。
けれどその勢いを直ぐに殺すなんて出来る訳ないので僕は当然Frisk諸共宵闇の空へと放たれる。
「オ……オイィィィィッ!?テメェも何してんだぁコラァ!!」
はは、サンズはボケよりツッコミの方が向いてるんじゃないかな?
とは言えこのままじゃ本当に不味いので僕は彼に目を合わせて叫んだ。
「ヘルプミーサァァァァァァンズ!!」
「バカかテメェはぁぁっ!?」
サンズは僕に罵声を浴びせながらも重力操作で無事僕達を地面へ引き戻してくれた。
「はは、助かったよサンズ!」
「ぜぇ……っぜぇ……『助かったよサンズ!』じゃねぇよ馬鹿!届かなかったらどうするつもりだったんだ!」
「大丈夫さ。もしそれが届かなくても君なら幾らでも助ける方法はあったでしょ?」
ま、届かない事があるなんて初めて知ったけどね?
僕はFriskを地面に降ろしホッと一息吐いていると色んな方角から刺すような視線が飛んできた。
…………まぁ、そうなるよねぇ。
僕は覚悟を決めて一番視線が痛いFriskの方へ向き直る。
「…………Frisk?その……」
「……バカフリスク」
彼のストレートな罵倒が心に突き刺さる。
「どうしてあんな無茶したのっ!」
「あれは……助けるのに必死で……」
「そっちじゃないっ!」
Friskは今までとは比べ物にならない位怒っていた。
だがそれも当然だろう。
僕はまだ何処かで自分の価値を軽く見ていた。
だけど彼はそんな僕の事を何よりも必要としてくれていた。
それを考えれば僕の行動がどれだけ無思慮で浅はかだったかが分かる。
「……ごめん、Frisk」
僕は余計な弁明は全て言い訳にしかならない事を悟り、頭を下げてただ一言だけ謝った。
「君は……本当に馬鹿だ……大馬鹿だっ……」
「…………」
Friskは罵りながら僕に飛びつくと苦しいくらいに締め上げて泣きじゃくった。
僕はそんな彼を何も言わずに抱きしめ返すと、彼が泣き止むまでその背中をさすってあげた。
しばらくしてFriskも落ち着きを取り戻し、僕から離れた。
しかし、僕はまた叱られる事になるのだろう。
僕は続いてママ達の方へ振り向き、一歩ずつ近付いて行く。
「…………」
「……ママ、パパ」
僕は眉を吊り上げる二人に伏し目がちに見上げる。
あの様子だとアズリエルから僕の計画の事を全て聞いたのだろう。
「フリスク、私達があなたとアズリエルを失ってどれだけ悲しんだか解っているのかしら?」
あの時の僕は結局の所自分の事しか考えられていなかった。
だけど、僕とアズの二人を一度に失った後のママ達を見て僕は後悔していたんだ。
だから僕は初めてFriskと結界を壊して皆が外に出れた時、やっと二人の願いを叶えてあげられたと思っていたんだ。
でも……ママもパパも、アズもFriskも……だれもそれを良しとしなかった。
……結局僕一人が独りよがりで満足しようとしてただけなんだって、今なら認める事が出来る。
「本当に……ごめんなさい、ママ……パパ。僕のせいでアズまで……っ」
「……はぁ、もういいわフリスク。後でたっぷりお説教しますからね。」
「あ……とで……?」
「そうさ、私も一緒に怒られてあげるよ。だから帰ろう……いや、行こう。私達の新しい家へ」
パパはそう言って優しく微笑んだ。
それって……つまり……でも……本当に、いいの……かな。
アズもいるし、それにFriskだって……。
僕がFriskの方を振り返ると彼は笑顔で頷いた。
それでも僕が迷っていると不意にママが僕を抱き上げて囁いた。
「何も悩む事なんて無いでしょう?私達はずっと前から家族なのだから。それとFrisk?あなたさえ良ければこれからもこの子の為にも一緒に暮らしてくれないかしら?」
「うんっ!ママ、パパ!アズリエル、フリスク!これからも宜しくねっ!」
ママからのお願いにFriskは二つ返事で答えた。
「Frisk……僕は……」
「大丈夫、これからは皆一緒だよフリスク」
僕は……僕は皆といても良いんだ。
結界を壊して皆をこの地下世界から解放したい……それは長年僕が求め続けてきた願い。
だけどそれは僕が本当に求めていたものでは無かったんだ。
僕はずっと……ずっと皆とこの瞬間を過ごす為に頑張ってきたんだって、そう思ったらすっかり弱くなってしまった僕の涙腺からは枯れることのない雫が再び頬を流れ落ちていたんだ。
「ありがとう……みんな……うぅ……」
「ふふ、泣き虫だなぁフリスクは」
「うぅ……君だって泣き虫じゃないか……」
「あっ、あれは君が……っ!」
「ほらほら、喧嘩出来るくらい元気なら早く新しいお家を見つけに行くわよ?特にフリスク、あなたとは《たっぷり》》話す事があるんですからね?」
「ゔっ…………はい」
ママは僕を降ろしながらそう言って優しく笑うと僕とアズの手を取って歩き出す。
「Frisk。これからもよろしくねっ」
僕はそう言って空いている右手を彼に差し出すと彼は逡巡した後にニッコリと笑みを浮かべて僕の手を取るとこう言った。
「うんっ、ずっと一緒だよ!フリスク!」
みんなで手を繋いで歩き出す最中、家族五人で見上げた夜空は僕達の新たな始まりを祝福するかのように無数の流星が降り注いでいた。
流星は願いを叶える力を持っている。
僕はそんな何処で聞いたかも覚えていないお話を思い出し、流れる星にそっと呟いた。
「皆といる幸せな日々がずっと続きますように……」
*やぁ皆、最後まで読んでくれてありがとうね。
*ここだけの話作者は話の終わりってのがあんまり好きじゃないらしいんだ。
*考えつかないとかそういう技術的な話じゃなくて、作者自身が心に残る作品を読み終えた時の【終わってしまった】ってのを実感するのが辛いんだってさ。
*だけど、未完作品を見るのも寂しいから完結はさせたい。
*だから彼はなるべくあっさりとした終わり方を目指してるんだ。
*【あ、終わったの?へぇ~、良かったんじゃない?】くらいが良いんだってさ。
*でもそれってつまり人の記憶に残りにくい作品って事なんだよねぇ……それって物書きとしてどうなんだろうね?
*まあそんな彼の思想なんてものは正直どうでも良いんだ。
*それより僕達は本当に君達に感謝しているんだ。
*確かに初めは勢いだけで書き始めたこの作品だけれど、それを完結まで持ってこれたのは紛れもなく君達のおかげなんだ!
*この作品を読んでくれた人……評価をくれた人……感想をくれた人……お気に入りに入れてくれた人……それらが全て彼の力になり、そして僕達をここまで導いてくれたんだ。
*だから改めてお礼を言わせてもらうよ。
*最後まで見てくれて本当にありがとう!
*それじゃあまた何処かで会おうね!
何処かと誰かが繋がった。