人々は、なぜ生きているのだろう……
生きる理由があるのだろうか……
俺は、生きている価値すらないのかもしれない…………
俺は、小学生の時までは、みんなと同じで楽しく暮らしていた。
そう、ごく普通の小学生として、生きがいを持って生きていた。
友達と遊ぶのが楽しかった。一緒に話すことが楽しかった……
だけど、今は違う。
俺は、独りぼっちだ。
こんな、孤独な世界に、俺はいたくない………
生きる理由も見つからない………
『死んでしまおう』
小学生の頃の俺は、どこにでもいる普通の少年だった。
友達も10人程度いて、勉強はできるが、図工等は苦手。
とにかく、誰にもいじめられることなんてなかった、普通の少年だった。
しかし、俺の人生が狂ったのは中学生からだった。
中学1年生、俺はとある女子に恋をした。
中学生に入ってから初めてで来た女子の友達だ。
毎日のように一緒に話したり、遊んだりしていた。
しだいに、その子のことが気になり出し、気づけばいつでもその子と一緒にいた。
そんな奇跡的な出会いがあった反面、最悪な出来事が起こった。
遠出していた両親が事故を起こしてしまったのだ。
2人とも緊急搬送され、1週間に及ぶ入院生活の後、両親はほぼ同時に死んでしまった。
「あああああっぁぁぁ!!!!!!」
俺は、それから丸1日、泣き止むことはなかった。
俺は精神的な病にかかり、学校に通うことも難しくなっていた。
そして、恐れていたことがついに起こってしまった。
「おい、独りぼっち、彼女にも捨てられちったなぁwwwww」
「ざまぁみろwwwww」
そう、クラス、学年のみんなからいじめられ、さらには俺の彼女と言われて傷ついたのか、しだいにいつも仲の良かった大好きな女子からも嫌われてしまい、俺は不登校になりかけていた。
死にたい。
死にたい。
死にたい。
死にたい……
死にたいっ………
一体、俺は、どうして生まれたのだろう。
生きる理由なんて何もない。
俺は、雨の降る中、外をぼんやりと歩いていた。
いっそ、このまま死んでしまおうか……
俺が死んだところで悲しむ人は誰もいない。
逆に喜ぶんじゃないか…?
俺に、生きる希望をくれ………
誰か……
誰かっ………!!
俺は、道路の真ん中で雨に溺れていた。
「大輝くん。そんなところにいたら、風邪ひいちゃうよ?」
ふと、隣から声がした。
「はい、傘貸してあげる」
それは、隣のクラスの女子、天野雛さんだった。
「えっ…?」
「傘、ないんでしょ?返してくれればいいからさ!」
「何で、話しかけるの…?」
「なんでって、心配だから」
「話したこともないのに…?」
「話したことなかったらダメ?」
「いや………俺に話しかけてくれた人、久しぶりだったからさ」
彼女は、俺に光をくれた。
「こうやって、女子と歩いたのも、いつぶりだろう……」
俺は小さな声でつぶやいた。
「ん?なんか言った?」
「いや、何でもないよ……」
俺は、こんな寒い中なのに、どこかぬくもりを感じた。
この感覚、久しぶりだな…
でも、実際は……
その子が、そっと俺の手を握っていたのだ……
俺は、そのことに気付かないまま、ずっと歩いていた……