だれかの心臓になれたなら   作:sakana1234

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#1の雛視点です。


#2

~雛視点~

 

今日は土曜日。

図書館に読書でもしに行こうかな……

 

わたしは、思いついたことはすぐにやるタイプだ。

つまり、そろそろ雨が降る、という時間に図書館に行ったのだ。

 

もしかしたら、運命の人に会えるかも……

傘2本持ってこうかな~~

わたしは、そんな呑気なことを考えながら歩いていた。

 

鼻歌でも歌いながら歩いていると、10分程度で市立図書館についた。

 

意外とあっという間だったなぁ、運命の人いなかったか……

 

なんで一人なのに傘を2つも持っているんだろう……

周りはそう思っているだろう。

はぁ……持ってこなきゃよかったなぁ……

 

そのまま、気になっていた本を1時間程度読み、帰宅しようと席を立った。

 

図書館を出て1分程度たつと、ぽつぽつと、雨が降り始めた。

 

「あ、もう降ってきちゃった……」

わたしは、片方の傘をさすと、ゆっくりと歩き始めた。

もと来た道をゆっくりと、なるべく時間をかけて……

 

大きな通路に出ると、歩いている人は誰もいなかったが、道路の真ん中で雨に溺れている同年代くらいの男子を見つけた。

 

あれは………誰だろう…なんであんなところに……

 

不思議に思い、少し近づいたその時、パッと思い出した。

 

大輝くんだ…!

 

大輝くんは、隣のクラスで、中1のころからあこがれていた……

あの時は、すごくかっこよかったな……スポーツもできるし、勉強もできるし……彼の事を好きになる子は少なかったが、陰でずっと彼の事を想ってた。

だけど、大輝くんには1年生のころから彼女がいるとうわさされていた。

それがほんとかは分からないが、話したこともないし、フラれると怖いから告白する勇気など0に等しかった。

 

そして、彼の人生を大きく変化させたであろう出来事、両親が死んでしまったのだ。

それからは、クラスメイトからもいじめられ、彼女にもフラれ、今までの輝きはなくなってしまった……

 

「こんな世界なんて……」

きっと、そう思っているだろう…

 

彼にとって、もう生きる希望も何もないのだろう。

誰からも愛されることなどなくなり、誰かを愛することもなくなっただろう。

彼にとっての生きる理由……

わたしが、彼の生きる理由になれるかな………

 

わたしは、思い切って話しかけた。

 

「大輝くん」

ものすごくドキドキした。

だけど、彼を救ってあげないと。

もしかしたら、彼は誰でもいいから味方になってほしいのかもしれない。

わたしが、それになろう。

 

わたしは彼にもう1つの傘を渡した。

 

わたしが彼の生きる理由になるためには、まず仲良くならないと……

 

彼に死んでほしくない………

 

わたしは、彼に少しでも好意を持ってほしかった……

彼に、愛してもらいたかった。

 

愛を失った彼に、愛を取り戻してもらいたかった………

 

わたしは、そっと彼の手を握って、隣を歩いた。

 

ほんとは、わたしが彼を愛する理由がほしかっただけなのかもしれない。

だけど、彼に生きてほしいという思いは本当だった。

 

大輝くんは、わたしが手を握っていることなど気付いていなかった。

 

ふと、わたしが彼の立場だったら……と考えてみた。

 

親は亡くなり、学校ではいじめられ、愛する人には捨てられ………

こんな現実だったら、間違いなく自殺しているだろう…

 

希望を持って…大輝くん……

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