だれかの心臓になれたなら   作:sakana1234

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第3話

~大輝視点~

次の日の朝、俺はいつも通り一人で学校に通い、いつも通り、誰からも避けられていた。

 

俺の方を見て笑いながら話している人がほとんどだ。

 

と、そのとき……

 

「大輝くーん!!」

 

廊下から声がした。

呼んでいたのは、俺だった……

 

そして、声の主は……

 

隣のクラスの雛だ。

 

「雛……」

俺は、急いで廊下へと向かい、雛を廊下の端へと連れて行った。

 

「何で、俺なんかに話しかけるの……」

 

俺はまず一言、そういった。

 

「なんでって……ダメなの?」

「そ、そうじゃないけど……」

そういう雛が可愛くて、ついそう答えてしまった……

 

もう、話しかけないでもらいたいのに………

 

「俺に、話しかけないで……」

俺は、自分の気持ちを伝えた。

ものすごく胸が痛かった。

本当は、雛とずっと一緒にいたい、話していたい……

 

だけど、俺と話してると、きっと雛もいじめられる……

 

それは嫌だ……!!

 

「ごめんね、私なんかが話しかけて……迷惑だったよね…じゃあ……」

そういって雛は、元気がなさそうに帰って行った。

 

「でも、これだけは言わせて」

雛は突然止まると……

 

「絶対に、死なないで…」

雛は、俺が自殺すると思っているのだろう……

俺には、生きる希望もないと思っているのだろう……

 

全部、その通りだよ……

 

雛が俺を救おうとしてくれてるのは分かってる…

 

だけどっ…

 

「死なないよ……だから、雛も、俺に話しかけないでくれ……これが、俺の願いだ」

 

俺は、きっぱり伝えた。

 

だけど、こんなの本心じゃない…

 

雛と一緒にいたいんだ…!

 

分かってる、わかってるさ……だけどね…

 

「雛が嫌な思いしたら、俺も悲しい……だからっ」

 

「わかったよ……大輝くんが願うなら……もう、話しかけない。だけど、嫌いにならないでね…」

雛は、俺の言葉を遮って、そういった……

 

嫌いにならないで…?

そんなの、当然だろ……

 

 

~雛視点~

大輝くんともっと話したい……

 

生きる希望を持ってもらいたい…

 

そう思って話しかけたけど……

やっぱり、大輝くんには足りないか……

わたしなんか…

 

でも、大輝くんがわたしの心配をしてくれているということは、分かった気がする。

 

その気持ちだけでも、ものすごくうれしかった…

 

だけど、話しかけないなんて…できる気がしない…

 

「でも、大輝くん。たまになら、相手してよ」

わたしは笑顔でそういって、クラスに戻っていった。

 

やっぱりだ……

 

クラスに戻ると、みんなの視線がわたしにあった…

 

「もしかして、大輝のこと…?w」

そんなささやき声が聞こえてきた…

 

ああ…せっかく大輝くんが心配してくれたのに、手遅れだ……

 

ごめんね。

 

 

~大輝視点~

クラスに戻ると、一部の男子が俺の周りによってたかって来た。

 

「さっきのやつ、隣のクラスの雛だよな?」

「お前あいつとなに話してたんだよ?」

「まさか、好きだとか??www」

「お前に恋なんか似合わねーよw」

こう言われることは分かっていたが……

 

雛のことでこう言われると、いつもの何倍も腹が立つ。

 

「何が悪いんだよ……恋して何が悪いんだよ!!!!!」

 

俺はそういうと、席に戻って一人読書を始めた。

 

そのうち授業が始まり、俺はいつも通り端で教師の話を聞いていた。

 

俺は、雛のことが好きなんだな……

 

雛は俺の事、どう思ってるんだろう…

 

少しでも好意を持ってくれてるのかな……

 

そんなことを考えているうちに授業はすぐに終わった。

 

 

~雛視点~

はぁ……どうしようかなぁ…

大輝くん、話しかけようかな…

 

誰もいない所なら、いいかな…

 

わたしは、手紙を書いて大輝くんの靴箱に入れ、体育館裏で待っていた。

 

来るかな……

 

すると……

 

わたしの前に、大輝くんがやってきた……

 

 

~大輝視点~

「どうしたの?呼び出して……」

俺は疑問に思っていたことを聞いた。

 

「あのさっ。わたし、大輝くんの心臓になりたいの!」

雛からは、予想外の答えが帰って来た。

 

「心臓……?」

俺は、一瞬何のことか分からなかった。

 

「今、大輝くん、なんで生きてるの?」

そう、俺には生きる理由なんてないのだ。

 

「生きる理由ってこと…? ないけど…」

「だから、その生きる理由になりたいんだよ……わたしが大輝くんの心臓になって…」

ようやく意味が分かった…

 

雛は、俺を本気で救おうとしてくれてるみたいだ……

 

「心臓か……ありがとう。ぜひ、俺の心臓になってよ」

俺はそういった。

 

これは、本音だった。

 

雛が俺の生きる理由なんだ……

こんな世界でも、雛がいれば生きていける…逆に雛がいなきゃ…生きていけない……心臓ってそういうことか。

 

雛は笑顔で帰って行った。

 

俺も、少し間をあけてから一人で帰り始めた。

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