~大輝視点~
次の日の朝、俺はいつも通り一人で学校に通い、いつも通り、誰からも避けられていた。
俺の方を見て笑いながら話している人がほとんどだ。
と、そのとき……
「大輝くーん!!」
廊下から声がした。
呼んでいたのは、俺だった……
そして、声の主は……
隣のクラスの雛だ。
「雛……」
俺は、急いで廊下へと向かい、雛を廊下の端へと連れて行った。
「何で、俺なんかに話しかけるの……」
俺はまず一言、そういった。
「なんでって……ダメなの?」
「そ、そうじゃないけど……」
そういう雛が可愛くて、ついそう答えてしまった……
もう、話しかけないでもらいたいのに………
「俺に、話しかけないで……」
俺は、自分の気持ちを伝えた。
ものすごく胸が痛かった。
本当は、雛とずっと一緒にいたい、話していたい……
だけど、俺と話してると、きっと雛もいじめられる……
それは嫌だ……!!
「ごめんね、私なんかが話しかけて……迷惑だったよね…じゃあ……」
そういって雛は、元気がなさそうに帰って行った。
「でも、これだけは言わせて」
雛は突然止まると……
「絶対に、死なないで…」
雛は、俺が自殺すると思っているのだろう……
俺には、生きる希望もないと思っているのだろう……
全部、その通りだよ……
雛が俺を救おうとしてくれてるのは分かってる…
だけどっ…
「死なないよ……だから、雛も、俺に話しかけないでくれ……これが、俺の願いだ」
俺は、きっぱり伝えた。
だけど、こんなの本心じゃない…
雛と一緒にいたいんだ…!
分かってる、わかってるさ……だけどね…
「雛が嫌な思いしたら、俺も悲しい……だからっ」
「わかったよ……大輝くんが願うなら……もう、話しかけない。だけど、嫌いにならないでね…」
雛は、俺の言葉を遮って、そういった……
嫌いにならないで…?
そんなの、当然だろ……
~雛視点~
大輝くんともっと話したい……
生きる希望を持ってもらいたい…
そう思って話しかけたけど……
やっぱり、大輝くんには足りないか……
わたしなんか…
でも、大輝くんがわたしの心配をしてくれているということは、分かった気がする。
その気持ちだけでも、ものすごくうれしかった…
だけど、話しかけないなんて…できる気がしない…
「でも、大輝くん。たまになら、相手してよ」
わたしは笑顔でそういって、クラスに戻っていった。
やっぱりだ……
クラスに戻ると、みんなの視線がわたしにあった…
「もしかして、大輝のこと…?w」
そんなささやき声が聞こえてきた…
ああ…せっかく大輝くんが心配してくれたのに、手遅れだ……
ごめんね。
~大輝視点~
クラスに戻ると、一部の男子が俺の周りによってたかって来た。
「さっきのやつ、隣のクラスの雛だよな?」
「お前あいつとなに話してたんだよ?」
「まさか、好きだとか??www」
「お前に恋なんか似合わねーよw」
こう言われることは分かっていたが……
雛のことでこう言われると、いつもの何倍も腹が立つ。
「何が悪いんだよ……恋して何が悪いんだよ!!!!!」
俺はそういうと、席に戻って一人読書を始めた。
そのうち授業が始まり、俺はいつも通り端で教師の話を聞いていた。
俺は、雛のことが好きなんだな……
雛は俺の事、どう思ってるんだろう…
少しでも好意を持ってくれてるのかな……
そんなことを考えているうちに授業はすぐに終わった。
~雛視点~
はぁ……どうしようかなぁ…
大輝くん、話しかけようかな…
誰もいない所なら、いいかな…
わたしは、手紙を書いて大輝くんの靴箱に入れ、体育館裏で待っていた。
来るかな……
すると……
わたしの前に、大輝くんがやってきた……
~大輝視点~
「どうしたの?呼び出して……」
俺は疑問に思っていたことを聞いた。
「あのさっ。わたし、大輝くんの心臓になりたいの!」
雛からは、予想外の答えが帰って来た。
「心臓……?」
俺は、一瞬何のことか分からなかった。
「今、大輝くん、なんで生きてるの?」
そう、俺には生きる理由なんてないのだ。
「生きる理由ってこと…? ないけど…」
「だから、その生きる理由になりたいんだよ……わたしが大輝くんの心臓になって…」
ようやく意味が分かった…
雛は、俺を本気で救おうとしてくれてるみたいだ……
「心臓か……ありがとう。ぜひ、俺の心臓になってよ」
俺はそういった。
これは、本音だった。
雛が俺の生きる理由なんだ……
こんな世界でも、雛がいれば生きていける…逆に雛がいなきゃ…生きていけない……心臓ってそういうことか。
雛は笑顔で帰って行った。
俺も、少し間をあけてから一人で帰り始めた。