1週間後の朝…
俺は最悪な目覚め方をする。
電話がかかって来たのだ、それも、雛から。
「どうしたんだろう、こんな時間に」
つい昨日交換した携帯に雛から電話がかかってきたのだ。
「今日、休むから、ごめんね」
雛はそういって、電話を切ってしまった。
「休むのか……俺も学校休もうかな……」
雛がいない学校なんて行きたくもない。
しだいに、俺はそう思い始めていた。
結局、今日は休むことにした。
親は、俺の事など気にも留めず、もうすぐ中1の妹にかかりきりだった。
つまり、俺が休もうがどうしようが、気にすらしていないということだ。
「何で、休んだんだろう……」
俺は、不思議に思っていたが、まだ眠かったため、そのまま寝てしまった……
これから起きる最悪な事態に気付かずに……
~雛視点~
昨日の夕方
わたしは大輝くんと連絡先を交換して家に帰って来た。
「やっと連絡先もらえた~~」
その日はとても嬉しくて、ついはしゃいでいた。
すると……
「あ、いたっ……」
わたしは、思い切り転んで、頭を金属にぶつけてしまった。
そして、そのまま気絶してしまった……
家族がわたしのことに気付いたのは、わたしが気絶した約3時間後だ。
両親は出かけていて、帰って来たところ、わたしが倒れているのを見つけた。
「雛!!どうしたの!!?」
「とにかく、救急車呼べ!!」
それから3分後、すぐに救急車がやって来た。
救急隊員はわたしを連れて、救急病院へと直行した。
そして、翌日知らされたわたしの病名は……
「脳しんとうです。今すぐ入院が必要です。」
「入院……」
わたしが入院と聞いてまず思いついたことは……
大輝くんに、会えなくなる……
大輝くんに、どう伝えたらいいだろう……
とりあえず、このことは内緒にしよう………
~雛の両親視点~
わたしたちは、雛を病室に送った後、担当医の先生に呼ばれた。
何の話だろう……
「申し上げにくいのですが………雛さん、このままだと、助からないかもしれません……」
「えっ……」
わたしたちは、何も言えなかった……
先生に文句を言っても治るものではない……
でも、このことは……
雛には言わない方がいいだろう………
わたしたちはそう思い、そのことを胸に潜めていた……
~雛視点~
わたしの病気…治るのかな……
わたしは不安に思っていた……
もしわたしが死んでしまったら………
大輝くんはどう思うだろう…
死んじゃうかな……
いや、そんなのダメだ!!
死ぬとか考えちゃ……
わたしは生きる!!!
そして次の日から過酷な入院生活が始まった……
この病気を治して、大輝くんの前に出なきゃ……
でも、大輝くん、不思議に思っちゃうかな……
お母さん、入院してるっていっちゃったかな……
絶対に、絶対に……治して見せるからねっ!!
そして入院生活1週間後、わたしがベッドで寝ていると、隣のベッドから、2人の女性の話し声が聞こえてきた。
「隣にいる女の子、脳しんとうで死んじゃうかも、って噂よ……」
「やだ!!あんまり大声で言わないでちょうだい、聞こえたらどうするのよ!」
「知ってるわよ、きっと…可哀想に……」
死んじゃう……?
そんなこと、聞いてないよ……
なんでわたしが知らないのに隣の女の人たちが知ってるの……
なんで、教えてくれなかったの……
でも、良かった…
今知ることができて……
死んじゃうかもって知らないまま、大輝くんに気付かれない所で死ぬの嫌だから……
せめて、大輝くんに見守られながら死にたい……
これが、わたしのかすかな願いだった………
~大輝視点~
あれから1週間。
雛は一度も学校に来ていない。
理由は……
脳しんとう。
入院生活らしい。
そして………
死んじゃう可能性があるらしいということを、今日初めて知った……
急に朝電話があったのだ…
俺は大急ぎで電話に出ると、雛はこう言った。
「わたし、死んじゃうかもしれない……ごめんね…」
「ど、どういうことだよ!!病気か…?」
「確定ではないけど……死んじゃう可能性が高いみたい……だけど…わたしは最後まで大輝くんの心臓として生き続けるから、わたしが死んでも、新しい心臓を見つけて、生きていってね……」
「ちょ、雛!!」
雛はそれだけ言うと、電話を切ってしまった……
こんなの………
こんなの…………
あってたまるかよ…!!
とにかく今日は下校したらすぐに病院に向かおう。