だれかの心臓になれたなら   作:sakana1234

4 / 6
第4話

1週間後の朝…

 

俺は最悪な目覚め方をする。

 

電話がかかって来たのだ、それも、雛から。

 

「どうしたんだろう、こんな時間に」

つい昨日交換した携帯に雛から電話がかかってきたのだ。

 

「今日、休むから、ごめんね」

 

雛はそういって、電話を切ってしまった。

 

「休むのか……俺も学校休もうかな……」

雛がいない学校なんて行きたくもない。

 

しだいに、俺はそう思い始めていた。

 

結局、今日は休むことにした。

親は、俺の事など気にも留めず、もうすぐ中1の妹にかかりきりだった。

 

つまり、俺が休もうがどうしようが、気にすらしていないということだ。

 

「何で、休んだんだろう……」

俺は、不思議に思っていたが、まだ眠かったため、そのまま寝てしまった……

 

 

これから起きる最悪な事態に気付かずに……

 

 

~雛視点~

昨日の夕方

 

わたしは大輝くんと連絡先を交換して家に帰って来た。

 

「やっと連絡先もらえた~~」

その日はとても嬉しくて、ついはしゃいでいた。

 

すると……

 

「あ、いたっ……」

 

わたしは、思い切り転んで、頭を金属にぶつけてしまった。

そして、そのまま気絶してしまった……

 

家族がわたしのことに気付いたのは、わたしが気絶した約3時間後だ。

 

両親は出かけていて、帰って来たところ、わたしが倒れているのを見つけた。

 

「雛!!どうしたの!!?」

「とにかく、救急車呼べ!!」

 

それから3分後、すぐに救急車がやって来た。

 

救急隊員はわたしを連れて、救急病院へと直行した。

 

そして、翌日知らされたわたしの病名は……

 

「脳しんとうです。今すぐ入院が必要です。」

「入院……」

 

わたしが入院と聞いてまず思いついたことは……

 

大輝くんに、会えなくなる……

大輝くんに、どう伝えたらいいだろう……

 

とりあえず、このことは内緒にしよう………

 

 

~雛の両親視点~

わたしたちは、雛を病室に送った後、担当医の先生に呼ばれた。

 

何の話だろう……

 

「申し上げにくいのですが………雛さん、このままだと、助からないかもしれません……」

 

「えっ……」

 

わたしたちは、何も言えなかった……

先生に文句を言っても治るものではない……

 

でも、このことは……

 

雛には言わない方がいいだろう………

 

わたしたちはそう思い、そのことを胸に潜めていた……

 

 

~雛視点~

わたしの病気…治るのかな……

 

わたしは不安に思っていた……

 

もしわたしが死んでしまったら………

 

大輝くんはどう思うだろう…

 

死んじゃうかな……

 

いや、そんなのダメだ!!

死ぬとか考えちゃ……

 

わたしは生きる!!!

 

 

そして次の日から過酷な入院生活が始まった……

 

この病気を治して、大輝くんの前に出なきゃ……

 

でも、大輝くん、不思議に思っちゃうかな……

お母さん、入院してるっていっちゃったかな……

 

絶対に、絶対に……治して見せるからねっ!!

 

 

そして入院生活1週間後、わたしがベッドで寝ていると、隣のベッドから、2人の女性の話し声が聞こえてきた。

 

「隣にいる女の子、脳しんとうで死んじゃうかも、って噂よ……」

「やだ!!あんまり大声で言わないでちょうだい、聞こえたらどうするのよ!」

「知ってるわよ、きっと…可哀想に……」

 

死んじゃう……?

 

そんなこと、聞いてないよ……

 

なんでわたしが知らないのに隣の女の人たちが知ってるの……

 

なんで、教えてくれなかったの……

 

でも、良かった…

今知ることができて……

 

死んじゃうかもって知らないまま、大輝くんに気付かれない所で死ぬの嫌だから……

 

せめて、大輝くんに見守られながら死にたい……

 

これが、わたしのかすかな願いだった………

 

 

~大輝視点~

あれから1週間。

 

雛は一度も学校に来ていない。

 

理由は……

 

脳しんとう。

 

入院生活らしい。

 

そして………

 

死んじゃう可能性があるらしいということを、今日初めて知った……

 

急に朝電話があったのだ…

 

俺は大急ぎで電話に出ると、雛はこう言った。

 

「わたし、死んじゃうかもしれない……ごめんね…」

「ど、どういうことだよ!!病気か…?」

「確定ではないけど……死んじゃう可能性が高いみたい……だけど…わたしは最後まで大輝くんの心臓として生き続けるから、わたしが死んでも、新しい心臓を見つけて、生きていってね……」

「ちょ、雛!!」

 

雛はそれだけ言うと、電話を切ってしまった……

 

こんなの………

 

こんなの…………

 

あってたまるかよ…!!

 

とにかく今日は下校したらすぐに病院に向かおう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。