Muv-Luv Alternative ~take back the sky~ 作:◯岳◯
ver.Total Eclipse ~Strike Back~ 予告
生き残ったその数が10億となった、混迷の時代。
人が、人成らぬモノに追われる時代の最中で、それでも人は生きていた。
――――ある女性は足掻いていた。痛い程に不足を感じて。
視野狭く、だけど賢明な彼女は志を胸に抱き誰よりも気高くあろうとした。
祖国の友人に背を、恩師の願いに応え、敬礼と共に彼女は往くことを決めた。
――――ある男は藻掻いていた。
寄る辺を失いたった独り。機械だけしか信じることのできない彼は、諦める事を知らなかった。
だけど突然に消えてしまって。覚束ない足を懸命に、前に出すことで平衡を保った。
言われるがまま、なすがままに。ただ歩かされる道の中で、言い訳を重ねながら。
――――ある女性は戦っていた。
失った約束を胸に、だけど忘れられず。守るべき存在のために、誰よりも強くあろうとした。
悲しみを背負い、下を見て安堵せず、見上げる程に高い壁を眺め、不敵に笑った。
――――何も持っていない少女は流れていた。
与えられたものを享受することこそが最善と。疑問も何もなく、己の道の正しさを信じた。
それが仕組まれたものと知らず。寄り道の楽しささえ教えられず。
自由になるものなど何もない地面で、隣り合う存在と、定められた足跡の通りに歩いていく。
厳しい戦乱の果てに傷ついて、空も見上げられない人が多く。
死ばかりが溢れる最前線より離れた、アラスカはユーコン基地。
世界各国の巨人が集まる、謀略の渦巻く都市があった。
大義という太陽と、陰謀という月と、それに寄り添う星々。
太陽は当然のように天に、だけど月は全てが一列に重なる時を待ち、星達はあるがままに瞬き続けている。
光らされている事も知らず、それぞれに志と意味を背負って、輝かんとしていた。
運命の繰り手を自負する月に、利用されることを知らないままに。
だが、それを良しとしないものが居た。
全てを知り、全てを知らない男が居た。
彼は言った。嫌なものは嫌なのだと。たどり着いた世界の果て、受け取った約束があった。
世界中の希望が集まる場所。
思惑が交差する町があった。
すれ違い、誘われ、生まれるは悲劇。
溶けてしまった雪娘。
偶像と呼ばれた少女。
それぞれの祖国のために動く者たち。
大気が蠢き、何かが喰われようとしている動乱の中心で。
彼の者が動く時、空はまた動き始める。
Muv-Luv Alternative ~take back the sky~
3.5章
ver.Total Eclipse ~Strike Back~
あっちのブロクに投稿したものです。