エアフォース・オンライン:フェアリーズ 作:Bishop1911
初めてルビ打てた。
数日後。
新しく購入した…もとい、購入させられたE/A-18Gに
慣れるためにフリーフライトやミッションをこなした俺は、
数日ぶりにマリーと同じ時間帯にログインした。
…と言っても、お互いにスクランブル待機で
ログインしただけで特にすることもなかったため、
娯楽室でポップコーン片手に戦争映画を見ていた。
無論、戦闘機が出てくるやつだ。
「これ、今度やってみよう。」
マリーは主人公がミサイルの爆炎を目くらましに
エイリアンの戦闘機を峡谷の壁に激突させるシーンで
そう呟く。
「やめとけよ。」
確かにマリーならできるかもしれないが、
それを習得するために練習に付き合わされるのは御免だ。
「っていうか、今の機体はショウと一緒。」
「違う。あれはF/A-18のA型かC型で単座型。
俺のはF/A-18Fで複座型だ。」
「…1人じゃん。」
「やめとけ。それ以上は言うな。」
AFOだけでなくエースコンバットの禁忌に
なんのためらいもなく触れるマリーを黙らせる。
マリーの視線はスクリーンに戻る。
「あ、脱出した。ショウと同じ機体。」
「縁起でも無いこと言うな。」
ビーッ ビーッ ビーッ
スクランブルを要請するブザーが鳴り響く。
「良いところだったのに…」
先に娯楽室を出た俺はなかなか出てこないマリーを見る。
あからさまに落ち込むマリーは名残惜しそうにポップコーンを
見つめた後、誰も見ていないことを確認して鷲掴みにすると、
そのまま口に頬張って娯楽室を出てきた。
「……。」
返す言葉もない。
俺は娯楽室の入り口にあるゴミ箱を掴むと、
マリーの前に突き出す。
「ほら、出せ。」
マリーはふるふると首を横に振る。
「みっともないぞ。」
食い意地を張るマリーはこの間に少しでも食べてしまおうと
口を動かしている。
「こちらショウ。ニヨッテタワー、離陸許可を求む。」
『こちらニヨッテタワー、確認。
ショウ、後続の機体は誰だ?』
「…マリーだ。諸事情であと数分は喋れない。」
『…?りょ…了解、離陸を許可する。』
呆れた視線をマリーに向けてみるが、
マリーは未だに口をもぐもぐと動かしながら
真顔で親指を立ててみせる。何が”グッジョブ“だ。
離陸するとすぐにAWACSからの通信が入る。
『こちらAWACSスカイアイ。作戦指示を行う。
現在我々マジ卍は所属不明機からの領空侵犯を受けている。
すでに先行した
通信環境が不安定だ。
先日破壊したジャミング施設の影響と思われる。
ショウは搭載したESMにて当該空域中の友軍を支援し、
マリーはそれを護衛し、
前線を突破した所属不明機を発見した場合は
各個撃破せよ。』
つまり、間接的ながらも自分の尻拭いというわけか…。
なかなか思うところはあるが、
だからこそしっかり戦果を上げなければならない。
アルファ1のコールサインを与えられた俺は、
アルファ2のコールサインを与えられたマリーとともに
数日前にジャミング施設を破壊したあの峡谷に向かう。
数分もしないうちにレーダーが敵機と友軍機を捉えた。
友軍機は2機で、対する敵は5…いや、もっといるが、
劣勢というよりは相手を弄んでいるように見える。
「こちらマジ卍所属のアルファ隊だ。
同士討ちを避けるために友軍の接近を告げる一報を入れると、
通信する余裕すら無さそうな機動で飛んでいるにも関わらず
涼しげな声が聞こえてきた。
≪こちらエンジェルスなの!≫
≪手出しむようなの!≫
幼女の声が。
『アルファ1、今の…』
「あ…、お前も聞こえたか?」
やはり俺の無意識の性癖が姿を現わす兆候では無かったらしい。
「幼女だったな。」『双子だった。』
訂正、まさかここで食い違うとは思わなかった。
確かに声が似ているような気もしたが、
それよりも驚くべきはAFOに幼女が興味を持ったことだろう。
これで日本の空は安泰だ。
『ロリコン。』
「やめろ、人聞きの悪い。」