エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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#14 Front line II

「双子ちゃんだったのか…。」

 

双子と言えば以心伝心するとかなんとか

都市伝説からガチまでいろんな話があるが、

実際はどうなのだろうか?

学校で先生を困惑させたりしてイタズラするのだろうか?

だったら無線は要らないけど、

アミュスフィアを介しても同じことが言えるのか?

 

なにやらオカルト的な方面へ思考が傾き始めた時、

目の前を人影が横切った。

 

「あっぶねぇっ!?」

 

『起きた?』

 

もちろん横切った犯人はマリーだ。

 

「起きてるっての!」

 

『顔が寝てた。』

 

確かに俺は考え事をするときに目を瞑るが寝てはいない。

 

「考え事だ。」

 

『エッチな?』

 

「ちげえよ。」

 

誰がガキ相手におっ立てるか。

血の一滴も回らねえ。

 

『ショウも年頃の男の子。』

 

それは否定できない。

 

「お前なぁ…俺のリアル知らねえだろ。」

 

この流れで普段の会話をしているとなるとマリーの事が

心配になってくるが、

 

『知ってる。妻子持ちのくせに浮気するオッサン。』

 

「するか!つーかまだ学s…違うっ!!」

 

心配すべきは自分の事だったようだ。

 

『ショウは学生か。』

 

「やめろ。今すぐ記憶から消せ。」

 

≪こちらエンジェルスなの!≫≪なの!≫

 

俺とマリーの雑談を遮るように前線の2人から無線が入る。

 

「こちらアルファ1、どうぞ。」

 

≪様子が変なの!≫

 

「変って何が…」

 

そこまで言いかけたところで俺の視界に峡谷の中を進む

魚の群れのように黒い影が目に留まる。

 

「マリー、あれは…」

 

俺が指差した方向を見るや否や、

その影は一気に峡谷の霧を突き破って姿を現した。

10機ほどのタイフーンだ。

 

『ブレイク!』

 

流石にまずいと思ったのか、俺より先にマリーが

指示を出して俺たちは編隊を解く。

 

<数日ぶりかしら?

言ったでしょう、まだ終わっていないって。>

 

アイツだ。数日前の…

 

「マリー、敵機が抜けてきたら?」

 

『墜とす。』

 

「そうだ。行っていいぞ。」

 

今回の俺の機体はE/A-18Gで特殊兵装にミサイルを積んでいない。

つまり、ただの足手まといだ。

そんな俺の援護を頼りに飛ばせるくらいなら

マリーは1人で飛んだ方が強い。

俺は1対1に強いマリーに敵機を寄せ付けまいと

手当たり次第に通常ミサイルを撃っては逃げる。

 

ESM、正式名称を電子支援ポッドという特殊兵装が

友軍機とのデータリンクの有効範囲を広げたり、

その効果を上げてくれたお陰で

何発かは命中してダメージを与えた。

 

あとは逃げるだけだ。

相変わらず空を覆う雨雲に突っ込むと、

バイザーには大量の水滴が降りかかる。

背後を見ると、6機ほどのタイフーンに後を追われている。

 

直後、数え切れないほどのアラートが鳴った。

6機全てにロックオンされている。

 

「そりゃオーバーキルだって!!」

 

悲鳴混じりで悪態をついた俺はそのまま急降下で

ミサイルから逃げた。

逃げる先は無論、峡谷だが、こんな霧の中に飛び込んで

無事で居られる訳がない。

俺は峡谷の霧の中に体を半分埋めるほどの高度に

下がるとありったけのフレアを撒いた。

 

俺のエンジンから出る空気は霧の水分と混ざって

冷却され、熱追尾式のミサイルの目からは

見えなくなるはずだからだ。

予想通りミサイル十数発を全て霧の中へと放り込んだ。

反撃に転じようとする俺の背後を

さっきの敵のうち4機が付いてくる。

なんとか振り払おうと右へ左へ急旋回を繰り返す。

しかし、マルチロール機が戦闘機相手に機動性で

勝てるはずも無く、振り切るどころかさらに2機が

加わっていた。

ロックオンアラートが鳴っては静まるのを

繰り返しているうちに背後の6機との距離が近づく。

さっきから機銃の弾が俺の機体を掠めている。

 

峡谷の外は平坦な地形で、隠れられる場所は無い。

下に目を向けた俺は霧のかかった峡谷を見て舌打ちする。

出撃前に見ていた映画を思い出したからだ。

 

「まさか俺が…、チクショウッ!」

 

どうせ逃げ惑って撃ち落とされるくらいなら

最大限相手をてこずらせてやろう。

そう覚悟を決めた俺は一度上昇する機動を見せて

フェイントをかけると一気に峡谷へ急降下した。

 

数瞬間の感覚を開けて敵も後に続く。

霧のせいで視界は最悪だが、それをギリギリのタイミングで

見極めながら飛び、最初の急カーブに差し掛かったところで

俺は通常ミサイルを無誘導で発射した。

ミサイルは峡谷の壁に命中して巨大な落石を発生させる。

 

「きゃあっ!?」

 

背後で数名の悲鳴が聞こえたかと思うと

爆発音が峡谷に木霊した。

反響して何度も爆発音が響くせいで正確に墜落した敵機の数は

わからないが、少なくとも1機は落ちた。

 

初めてにしてはなかなか上手くできたが、

今の攻撃は「撃てば自分たちも危ない」という

相手へのプレッシャーでもある。

 

それが少しは効いたようで、さっきから

何度も峡谷の狭くなっている場所を通り抜けたが

ロックオンされたとしてもミサイルが飛んでこないし、

俺と距離を取っているからか機銃も当たらない。

 

「どうすんだこれ…。」

 

思ったより相手が賢かったせいで

落石攻撃はたった1回で通用しなくなるし、

かと言って峡谷から出てもさっきと同じだ。

マンネリ化してしまった。ゲームをやっていて

最もつまらないパターンの1つだろう。

お互いの操縦ミスを狙って俺は落石攻撃、

敵はロックオンと機銃攻撃でのプレッシャー。

お互いに決め手に欠ける。

何か手は無いかと考えながらもう一度落石攻撃を

仕掛けようとした時だった。

 

≪新入りさんに加勢するの!≫≪なの!≫

 

双子の声が無線に割り込んできた。

俺のデータリンクの範囲内に双子が接近して

お互いのレーダー情報が共有され、

レーダー画面に背後の4機が映し出される。

その直後、

 

≪アハハハハハハっ!!≫

 

幼女の甲高い笑い声がオープンチャンネルで響いたかと思うと

敵機を表す反応が1つ、レーダーから消えた。

 

≪私も!≫

 

≪機銃が良い?ミサイルが良い?

どっちもやっちゃおうか!!≫

 

あっという間に2機がレーダーから消え、

残る1機は峡谷を飛び出してアフターバーナーを使いながら

俺の頭上を飛んで行った。

 

≪逃がさないよー!アハハハハっ!!≫

 

背筋も凍るような不気味な笑い声が8発の

ミサイルとともに逃走する敵機に喰らい付き、爆散した。

 

「なんだありゃ…」

 

『当該空域からの全敵勢力排除を確認。

天使隊(エンジェルス)、アルファ隊は帰投せよ。』

 

AWACSからの指示で空域の安全を確認できた俺は

峡谷を出ると、マリーと合流して編隊を組んだ。

前方には件の天使隊(エンジェルス)が飛んでいる。

俺は無線の回線をマリーとのプライベート回線に切り替えた。

 

『どうした?』

 

「いや、なんていうか…。」

 

『あの双子?』

 

「あぁ、まあな。なんていうか…怖い。」

 

『私も。同じ空は飛びたく無い。』

 

「…そうだな。本音を言えば俺もだ。」




<AFO通信>

クラン:マジ卍とクラン:ケモノフスタン共和国が
密林エリアの空域で激突!

ケモノフスタンリーダー:ハンス氏
「ミッションエリアはAFOプレイヤー全員のものであって
一部のクランが勝手に線引きできる境界線は無い。」

マジ卍リーダー:トード氏
「くたばれ、ケモ耳ハーレム野郎」

ケモノフスタン側に大きな被害が出ている模様だが
マジ卍側も苦戦を強いられているらしく、
戦闘は長期化する見込み。
一部のクランではこの機に乗じてケモノフスタン側を
支援するクランも。
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