エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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#15 Surprised I

密林エリアでの防空戦から数日。

学生である俺は平日の午後から

スクランブル待機のシフトに入って出撃を繰り返すうちに、

これまで敬遠してきた近距離でのドッグファイトも

カナード翼機相手に連戦しているうちに人並みには

上達したと思う。

 

そして迎えた週末。

金曜日の深夜にメールで呼び出された俺は

ログアウトしたらそのまま寝られるように寝支度を整えて

ログインした。

格納庫にスポーンすると、すぐさまブリーフィング画面に

視界が切り替えられてブリーフィングビデオがスタートした。

 

『諸君、夜分遅くにすまない。

知っての通り、我々マジ卍はケモノフスタンなどという

変質者ども相手に防戦を強いられてきたが、

この週末を使って攻勢に転じる。』

 

画面は密林エリアのホログラフィックマップに切り替わり、

どこかの基地が映し出された。

 

『その第1段階として、まず敵の航空基地を叩き潰す。

攻撃目標は我々と同じ密林エリアに位置するワレラ基地。

とあるバカのクランマスター撃墜騒ぎが原因で

シグレニ同盟との戦闘で核を使ったため、

今回は我々のダイレクトアタックが必要となる。』

 

マップの隅に青色の味方を表す光点が浮かび、

部隊名も共に表示される。

 

『無論、敵は対空兵器を多数配備していると思われるため、

妨害用に電子戦機も必要だが、

カールターナーは現在撃墜ペナルティで出撃不能だ。』

 

画面が再びワレラ基地に戻り、

基地の滑走路周辺に対空兵器を表す光点が

無数に表示された。

 

『そこで、今回も貴様ら傭兵に白羽の矢が立った。

ショウ、貴様は今回ブラヴォー1のコールサインを使って

E/A-18Gで出撃し、ECM(電子攻撃ポッド)

敵の対空攻撃を妨害しろ。』

 

俺を表す光点がワレラ基地の上空を旋回しながら

妨害電波を発し続けるイメージが映し出される。

 

『貴様の今回の作戦への参加は

カールターナーの推薦あってのことだ。

そこを勘違いするな。疫病神。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ…。何が疫病神だ。」

 

舌打ちして文句を言いながらもE/A-18Gで

出撃準備を整えた俺は格納庫の外でマリーと落ち合った。

 

「おっかない名前つけられたな。」

 

「欲しいならくれてやるぞ。」

 

「ダサいからいい。」

 

挨拶がわりに軽口を叩き合いながら管制塔に離陸許可を

申請した俺たちは、滑走路へ向かう攻撃隊の列に加わって

離陸の順番を待つ。

 

「やーっほ!」

 

後ろから突然飛びかかられた俺は

思わずよろめくがなんとか踏ん張る。

こンなに元気のいいやつは1人しか居ない。

 

「久しぶり!ショウ!久しぶり!マリー!」

 

「ったく…。脅かすなよ。」

 

「久しぶり。カトラス。」

 

背中のカトラスを滑走路に降ろしながらその機体セットを見ると、

翼にパイロンが追加されて4AGM(4目標マルチロックオン空対地ミサイル)

ぶら下げられていた。

普通、ミサイルは全て機体内部に格納するのだが、

今回の攻撃はステルス性無視で行くようだ。

 

マリーとカトラスが乙女話に華を咲かせている間に

今回の飛行ルートを確認していると、

ようやく俺たちの番が回ってきた。

 

『こちらニヨッテタワー。ブラヴォー隊、離陸を許可する。』

 

合図とともに俺とマリーが離陸を始める。

体がふわりと浮いて高度を上げた時だ。

基地に向かって超低空で飛行する機影が俺の目にとまる。

 

「こちらブラヴォー1、ニヨッテタワー。

基地へ向けて超低空飛行する機影を2機確認した。

あれは友軍機か?」

 

『こちらタワー、レーダーでは機影を確認できない。』

 

管制塔は半信半疑な声色だが、それは一瞬で変わった。

低空飛行する2機から4本の白い航跡が伸びて行き、

基地の上空を通過した直後に基地で大量の爆竹に

火をつけたかのような爆発が起きた。

 

『敵機だ!』

 

基地は大混乱に陥る。

何せ今から奇襲を仕掛けるはずの自分たちが

奇襲を受けたのだ。無理も無い。

 

<どこから来たんだ!?>

<対空レーザーがやられたぞ!>

 

基地から発せられる被害報告を背に基地の上空を

通過した敵機は旋回して再び攻撃態勢に入る。

 

「ちょっと行ってくる。」

 

「あっ、待て!」

 

あまりの混乱っぷりに見兼ねたマリーは

敵機に向かって急降下して行く。

続く俺も敵機に機首を向け、特殊兵装のECMを起動した。

敵機の機動が一瞬戸惑う。

どうやら特殊兵装のロックオンが出来なかったことに

驚いたのだろう。

その隙を突くようにマリーは特殊兵装の

HVAA(超高速空対空ミサイル)を発射し、

先行していた1機を墜とした。

フレアを使って回避したもう1機がマリーの機銃の弾幕を

搔い潜って俺に向かってくる。ヘッドオンの状態だ。

 

俺は向こうにロックオンされると

同時にもう一度ECMを起動した。

俺の視界を赤く照らすロックオンアラートは鳴りを潜め、

敵機が慌てて機銃を構える姿が見える。

 

俺は構わず通常ミサイルでロックオンし、2発発射した。

回避しようと機首を上げる敵プレイヤーの横っ腹で

ミサイルは爆発し、敵プレイヤーの体を文字通り引き裂いた。

被弾エフェクトのポリゴンが血飛沫のように

あたりに飛び散って消える。

 

「こちらブラヴォー隊、敵機2機を撃墜。

そちらの被害は?」

 

旋回しながらあちこちで黒煙が上がる基地を見下ろす。

管制塔からの返事は無い。

 

「管制塔、聞こえるか?」

 

『ショウ、無駄。』

 

マリーの声で通信を辞めた俺は、マリーが指差す方向を見た。

ついさっきまで管制塔だった鉄筋コンクリート製のタワーは

根元からへし折れ、ガレキの山と化している。

 

「……。」

 

言葉を失ったまま滑走路へ視線を移すと、

まだ離陸出来ずに駐機していた友軍機があちこちで

被弾エフェクトを煌めかせていた。

一部はもう離陸出来ないほどの損傷を受けているように見える。

 

『…える?上空のマジ卍機、聞こえる?』

 

「こちらブラヴォー1、そちらは?」

 

『カールターナーよ。そっちは傭兵くんね?』

 

マリーからジト目を向けられる。

いかにも「あの女は誰?」と聞きたそうな表情だ。

 

『管制塔が破壊され、テルキス死亡。

ただ今を持って私が指揮を引き継ぎます。

各機、機体状況をチェックしたのち、報告を。』

 

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