エアフォース・オンライン:フェアリーズ 作:Bishop1911
翌朝。
やらかした件について身に覚えのない俺は
支持された通りにニヨッテ基地の司令室へ向かった。
後ろを付いてくるマリーは次に雇ってもらうクランの候補を
リストアップしている。
司令室の前に辿り着いた俺は入室する前に深呼吸する。
「入試の時みたい。」
俺の高校入試を知っているかのように茶化すマリーだったが、
マリー自身も少し緊張している様子だった。
「失礼します。」
プシュッという未来的な音とともにドアがスライドし、
司令室の中が見える。室内にはカールターナーだけだ。
「どうぞ入って。」
促されるまま入室した俺たちは並べられたイスに腰を下ろす。
「今回集まってもらったのは、事前に伝えた通り契約内容の見直しについて。
あ、クビとかじゃなくて。」
ふぅっと安堵のため息。
マリーに「ほれみろ」とアイコンタクトするが、向こうは「あっそう」と冷たい。
「昨日の奇襲作戦の戦果もそうだけど、それ以前のことも含めて再検討した結果、
…君らを特殊戦術飛行隊として再編成して
ケモノフスタンとの戦闘に備えるっていう方針が上で決まったの。」
特殊戦術飛行隊…聞こえはいいが、要は何でも屋ってわけだ。
「知ってるとは思うが、俺たちは傭兵だ。
正規部隊にはならない。首輪をつけたいなら金を詰め。」
「それも承知の上。もし契約しなおしてくれたら、
今後はクランへの会費は無し。格納庫ももっと広いやつを与える。
一度の出撃で無条件に1000クレジットを支払う。」
舐められないよう威勢を張ったつもりだったが、あまりの好条件に覚悟が揺らぐ。
「乗った。」
マリーの方はすでに決定したようだ。
さっきまで作っていた再就職先のリストも削除している。
「待て待て。早まるな。」
「何が不満なの?」
カールターナーは譲歩の余地はあると言ってさらに金を積もうとする。
それは一向に構わないが、そこまでされると逆に怪しい。
「なぁ、カールターナー。俺はもうどうするか決めた。」
「なら聞かせて。」
「その前に腹を割って話し合おう。
たった2人の傭兵にどうしてそこまで大金を積む?」
カールターナーはため息を吐く。
「そっか。ちょっとあからさま過ぎたかな…。」
ようやく裏があることに気づいたマリーは
カールターナーから一歩離れて警戒している。
「トードを撃墜できた数少ないプレイヤー。
そんな箔がついたプレイヤーが傭兵で、
しかもソロだって話。そりゃ誰でも飛びつくでしょう?
だから、他のクランに舐められないように真っ先に唾つけとこうって魂胆よ。
あなたはシグレニ同盟をクビにされた建前だけど、
実際はシグレニ同盟の再建費用と引き換えに売られただけ。」
「やば…」
マリーも事の大きさがわかってきたようで、表情が険しい。
「あなたは今やAFOでトードの次に恐れられる存在なの。」
つまり、AFO最強クランのトードを倒した、という話だけが
一人歩きして俺の実力が過剰評価されているのだ。
爆撃機を墜としただけなのに…。
昔のエースコンバットで言えばチュートリアルと難易度は変わらないのに。
とんだ厄介ごとに首を突っ込んでしまった。
できることならあの日あの時の自分の頭からアミュスフィアを引っこ抜いてやりたい。
「でもあれはトードが爆撃機だっただけで…!」
「私もそう思ってた。だからわざと前線に投入して試した。
テルキスにめちゃくちゃ反対されたけどね。」
だからあんなにあたりが厳しかったのか…。
「でもそれでハッキリした。あなたは強い。いや…、強くなる。」
司令室を沈黙が包み込む。穴があれば逃げ込みたい。
そんな気分だったが、俺のメニュー画面に
契約承諾画面が表示され、カールターナーは一歩近寄る。
「さぁ、返事を聞かせて。」
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契約内容を承諾しますか?
YES・NO
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