エアフォース・オンライン:フェアリーズ 作:Bishop1911
「なんでこうなるかなぁー…。」
ため息とともに地平線の彼方まで続く熱帯雨林を
眺める俺は、格納庫の屋根で寝そべってつい数時間前のことを思い返す。
「さぁ、返事を聞かせて。」
脳内でカールターナーの声が何度もリピートで再生される。
それも俺がYESのボタンをタップする主観視点の映像付きで。
NOと言える大人になりたいものだ。
「やっぱり疫病神。」
そう言ったのは隣で無防備に寝そべるマリーだ。
女じゃなければ屋根から蹴落としていた。
「そりゃ俺のセリフだ。」
「自業自得疫病神。」
「誰が好き好んで自分に災をふっかけるかっつーの。」
ここまで来るとそろそろ“疫病神”の二つ名が付きそうだ。
しかし、縁起が悪いというのはどうにかしたい。
下手すると「ショウと飛ぶと死ぬ」みたいな噂が流れかねない。
「そういえば…、部隊名は?」
言われてみれば確かに。
俺とマリーの再契約はしたが、部隊を編成したところで部隊名が無い。
「どうせなら“疫病神”で。」
「やめろ。本当に縁起が悪いから。」
味方に嫌われるのは考えものだが、敵に恐れられるならそれは嬉しい。
そう考えれば”疫病神“だって候補に入るが、リズムが悪い。
何か良い名前は無いかと考えること数分。
「レイヴン…なんてどうだ?」
「…れいゔん?」
「ワタリガラスのことだ。日本にも飛んでくるぞ。
あと、道具を使うらしい。」
「ふーん…、いいと思う。」
「よし、決まりだ。」
俺は早速メニュー画面から部隊編成画面へ行き、
部隊名の欄に表記された名前を読む。
「混成特殊戦術飛行隊…。カールターナーが言ってたやつか。」
俺は部隊名をタップしてその後ろに
”レイヴン“と付け加えた。
「機体カラー変えてくる。」
マリーはそう言いながらメニュー画面を操作して
機体カラーを選ぶ。
「オッケー」
メニュー画面を操作して機体セットを装備したマリーの姿は
全身が真っ黒だった。
「黒いな…」
「カラスだし。」
「いや、そうだけど。」
「ほら、そっちも。」
マリーに言われるがまま、F/A-18FとE/A-18Gのカラーを
真っ黒にした俺は、F/A-18Fの機体セットを装備する。
「おぉー…!」
珍しくマリーが歓声を上げた。
「悪者感すごい。」
「悪者って…。それを言うならお前こそ。」
マリーは自分の背中に生えるMIGの翼を見ながら
嬉しそうに一周回ってみせる。
「どう…?似合う?」
「ああ。悪者っぽい。」
「なんなら覆面着ける?」
「仮装パーティーじゃあるまいし…。」
普段は服装などにこだわりのないマリーも、
ちょっとしたファッションショーのような感じで
盛り上がってきた。ファッションセンスについては皆無だが。
楽しそうに背中の翼を揺らしているマリーを観ている俺は、
誰かからメッセージが届いたことに気づいた。
どうやら仕事のようだ。
マリーにも同じものが届いたらしく、
俺と同じようにメニュー画面を操作している。
メッセージを開くとそれはブリーフィングビデオだった。
『作戦内容を伝える。』
テルキスだ。不愉快そうな顔からしてきっと楽な仕事だろう。
アイツが笑ってればその仕事からは逃げるべきだ。