エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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#23 その女、危険につき I

マリーは現れた女を見るなり即座にソファーに身を隠す。

 

「誰…!?」

 

「それは確かに。俺もまだ聞いてない。」

 

俺とマリーの視線が集まる。胸に。

彼女も俺たちの視線に気付いたようで、

ゴミを見るかのような冷ややかな視線を向けてくる。

 

「死にたいのか、お前たち。」

 

射抜くような視線に俺たち2人は同時にスッと目をそらす。

 

「それよりレイヴン隊のところへ案内しろ。」

 

「え…?」

 

マリーは思わずマヌケな声を漏らす。

それはこんな怖いオネーサンが自分たちに

用があると言ってくる場合の正しい反応だ。

だが、向こうはまだ俺たちが

レイヴン隊と気づいていないらしい。

どうせテルキスが寄越した監視役だろう。

ここはひとつ、からかうのも手かもしれない。

 

「どうやらまだ居ないみたいだ。そんなに急用なのか?」

 

「無論だ。」

 

「そうか。ならコレを。」

 

俺はマリーのフライドポテトを取り上げて彼女に手渡した。

彼女は眉間に皺を寄せる。

 

「なんの真似だ。ふざけているのか?」

 

「大真面目さ。コレをハンガーの入り口に置いて

どっかに隠れて待ってろよ。

見つけ次第すぐに飛んでくるぜ。」

 

「……わかった。やってみよう。」

 

怪訝そうな目で俺を見ながらフライドポテトを受け取った彼女は

ポップコーン用のバケツを取るとフライドポテトを

大量に詰め込んで小脇に抱えて出て行った。

なかなか滑稽な絵面ではある。

 

「どうすんの。」

 

「退屈しのぎだ。来るか?」

 

「行く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

娯楽室から出て行った彼女の後を追い掛けると、

彼女は俺の指示通りハンガーの入り口に

フライドポテトのバケツを置くと、

ハンガーの外壁の影に身を潜めた。

その姿を俺たちはハンガーの屋根から見下ろしている。

まさかこんなにもアッサリ引っかかるとは思わず、

この後どうするか思いつかない俺は

取り敢えず律儀にフライドポテトを見張り続ける彼女の姿を

スクリーンショットに収める。

ついでにメッセージに添付して

トードとテルキスに送りつけておいた。

 

「…飽きた。」

 

一方のマリーは変化が無さすぎてさっきから欠伸をしている。

確かに、彼女はさっきから彫刻のようにピクリとも動かず

ハンガーの方を睨み続けている。

 

「そうだな。帰るか。」

 

「ん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再びシアタールームに戻った俺たちが映画の続きを観ていると、

ガンッという衝撃とともに俺は椅子から転がり落ちた。

 

「痛ってぇ…」

 

振り返ると椅子がポリゴンのカケラとなって砕け散った。

マリーは隣の椅子に座ったまま口をぽかーんと開けている。

 

「説明してもらおうか、レイヴン1。」

 

「あー…えっと…」

 

青筋を浮かべて俺を見下ろすさっきの彼女は

かなりお怒りの様子だ。

一歩、また一歩と俺に歩み寄ってくる彼女は誰を

痛ぶるつもりなのか、指をバキバキ鳴らしている。

 

 

 

ーードンっ

 

彼女の足が俺の股の間に突き立てられる。

危うくムスコが1人死ぬ所だった。

 

「わ…ちょっ…、待て…!話せば分かる!」

 

ようやく彼女の意図を理解できた俺はしどろもどろに

弁明しようとするが、彼女はそれすらする機会を与えずに

 

「問答無用。」

 

ーーボフッ

 

俺の腹に蹴りをかます。

 

「ぐげっ…!」

 

ペインアブソーバーで軽減されているとはいえ、

あまりの痛みに悶えながら逃げ場を求めて

立ち上がろうとする俺に

 

ーーバキッ

 

今度は打撃を喰らわせる。

 

「ぐはっ…」

 

壁に叩きつけられた俺が次の瞬間目にしたのは

俺の頭部に飛びかかる彼女の姿だった。

彼女の全体重と遠心力で振り回された俺は最終的に

シアタールームの床に叩きつけられ、

柔道の十時固めを決められた。

 

ーービキビキ…

 

「あーっ!タンマタンマ!やめ…」

 

少しずつ力が加えられていくのがわかった俺は

参った参ったと床をバンバン叩くが、

 

ーーカキョッ

 

彼女はやめるどころか一気に力を加えた。

 

「あ“あ”あ“あ”あ“あ”あああああああああぁぁぁぁぁ!!!」




マリー
「男として情け無い。」
ショウ
「…ならお前がやってみろ。」
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