エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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#24 その女、危険につき II

「そこまでだ、セーナ。」

 

肩の激痛で幻聴が聞こえたのかと思ったが、

肩に加えられている力が弱まっていることからして現実のようだ。

あの声はテルキスだが、今はこの女を止められるなら誰でも良い。

やっとのことで解放された俺は肩が外れた左腕を

だらーんとぶら下げながら立ち上がると、

文字通り頭を抱えたテルキスがため息をつく。

 

「セーナ、お前の任務は?」

 

「レイヴン隊に合流することだ。」

 

「じゃあ何でレイヴン隊の隊長の肩が外れてるんだ。」

 

「それは…」

 

セーナと呼ばれた少女は不服そうに俯く。

一方、俺がいろんな意味で締められる様子を

まざまざと見せつけられたマリーは

セーナに完全にビビっている。

ペインアブソーバーで大幅に軽減されているとはいえ

ジーンとした痛みが残っている俺は

どうにかならないかと無事な右腕で色々動かしてみるが、

痺れが酷くなるだけでどうしようもない。

 

もう一度ため息をついたテルキスがメニュー画面を操作して

この場の3人にメッセージを送る。

 

「出撃だ。準備しろ。お前はまず肩の治療だ。」

 

仮想世界の怪我は数分で治るため特に治療する必要はないが、

その数分も待てない任務らしい。

 

「飛行禁止処分。」

 

マリーの呟きにテルキスは3度目のため息をつく。

 

「頭数が足りない。今回は特例だ。」

 

俺の左腕を持ちながら答えたテルキスは

 

「それじゃあ3で行くぞ。」

 

と言うと腕の力を抜く。俺も肩の力を抜いて目を瞑る。

 

「いち、にぃ、さん…」

 

反射的にビクッと力を込めた俺は、

何も感じなかったため戸惑いを隠せずにテルキスを見るが、

 

ーーカキョッ

 

「うっ…ぃってぇ…、バカ野郎…!」

 

まさかのタイミングで全身を走った感覚にポロっと暴言が溢れる。

 

「これに懲りたらセーナを怒らせないことだ。」

 

言われなくても体で理解したが、

レイヴン隊と合流するということはセーナと

一緒に飛ぶと言うことだろうか?真っ平御免なのだが…。

 

 

 

 

 

数十秒後、

痺れが残る左肩をさすりながら格納庫で機体セットを

身につける俺は、ブリーフィングビデオを再生した。

 

『数時間前の傭兵部隊の裏切りで、

ほとんどの傭兵部隊を解雇した我々は現在、

補助戦力が不足している状況だ。

早期警戒管制機の修復は完了したが、

護衛戦力に正規メンバーを付けると遊撃戦力が不足する。

そこで、暫定的に…仕方なく貴様らを起用することとなった。

だが、俺やトードはそう簡単に

貴様らを信用するほどバカじゃない。

本隊の戦力から貴様らのために強力な監視役をつけた。

実力は…言うまでも無いな。』

 

相変わらずの口調にイラ立ちを隠せない俺は

舌打ちをする。

 

『前置きはさておき、作戦内容を説明する。

前述の通り、貴様らの今回の任務は遊撃だ。

意味はわかるな?本隊がソレガ基地を奇襲する間、

敵の増援部隊を徹底的に潰せ。

本隊から貴重な戦力を抜いた分それ相応の働きをしろ。

それと、マジ卍は砂漠エリアにカラ基地を持つが、

本作戦では本隊の補給基地となるため

貴様らのための滑走路は無い。間違っても近づくな。』

 

 

 

滑走路に出ると、マリーの奥から

滑走路に出てくるセーナが目に入った。

背中の翼は可変翼で、ウェポンベイには通常ミサイルの他に

GPB(誘導貫通爆弾)が吊るされている。

機体はおそらくTornadoだが、

あの機体はAFOでは攻撃機扱いだったはず。

現にセーナの特殊兵装は対地攻撃にしか使えない。

 

「セーナ、対地兵装は必要無いぞ。」

 

『余計なお世話だ。』

 

「…そうか。」

 

俺はそれ以上なにも言い返せず、離陸した。

密林エリアを東に飛び続けると青がかった障壁が行く手を遮る。

密林エリアはここまでという目印であると同時に

この先は砂漠エリアに転送される境界線でもある。

そしてこの先の砂漠エリアはケモノフスタン共和国の勢力下だ。

マジ卍も砂漠エリアにはカラ基地を持っているが、

だからといって油断して良い理由にはならない。

飛び込むと同時に狙い撃ちにされる可能性だってある。

 

「レイヴン隊各機、システムチェック。」

 

『レイヴン2、了解。』

『セーナ、了解。』

 

プレイヤーネームで無線に応答したセーナを

注意するべきか俺は一瞬悩んだが、

AFOではたまに面倒な輩が現れる。

覚悟を決めるのに少し間を置いて俺は無線を繋いだ。

 

「セーナ、無線でプレイヤーネームを使うのはまずい。

コールサインはレイヴン3で良いか?」

 

『コールサインならある。』

 

「そうか。じゃあそっちを使ってくれ。」

 

『こちらレイヴンマスター、了解。』

 

セーナのコールサインを聞いて基地での会話が頭をよぎった。

“監視役”テルキスはそう言っていた。だが本当にそうだろうか?

裏切りを警戒するくらいなら俺とマリーを

別々に組ませておいたほうがいい。

なんなら他の傭兵と同じように解雇してしまえば楽だ。

 

「もっと別の理由…」

 

『レイヴン1、何か?』

 

「いや、何でもない。」




トード
「ショウ、写真ありがとな。」
ショウ
「…?そんなに良かったか?」
トード
「ああ、最高だ。」
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