エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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カンワキューダイ?とやらです。
特に言うこともない…


#28 Blurry

積乱雲が城のようにそびえ立つどこまでも蒼い空。

先生の不在で4校時目が自習になったのをいいことに、

俺は校舎の屋上で一足先に弁当を広げていた。

 

南に登って真上から照り付ける太陽に手をかざしながら、

遥か上空を西へ飛ぶ飛行機雲を眺める。

航空自衛隊のF-15Jだ。

今の航空自衛隊の主力はすでにF-35シリーズだが、

1日3回以上のペースで飛来する領空侵犯機を

毎度毎度、国家機密の塊に相手させるのは

さすがにまずいのだろう。

この壱津島を通過する自衛隊の戦闘機は大方F-15だ。

 

昼休みの開始を告げるチャイムが鳴り、

それから数分としないうちに

屋上に通じるドアが開いて新たに人影が現れる。

目の上に手をかざして日陰を作った俺は

それが誰なのか、確認するまでもないが確認した。

 

「おーっす。今日は早いね。」

 

気だるそうに、しかし表情だけは一丁前に笑顔で

手を振る幼馴染の長瀬真莉は

軽快なステップで彼女の特等席である屋根の上に登り、

パックジュースにストローを突き刺す。

 

「あぁ、先生が出張で自習だった。」

 

「ふーん…。」

 

ズゴゴーっとジュースを啜った長瀬は俺の真上に来ると、

イヤホンをつけてスマホの音楽を流し始めた。

 

「全てのものがとてもぼんやりとしている」

 

聞き覚えのある曲だ。

俺はこの曲を知っている…。

 

「そして、誰もがとても偽者じみている」

 

この曲は姉ちゃんが鼻歌交じりによく口ずさんでいた曲だ。

懐かしい歌詩に目を閉じる。

姉ちゃんが制服に身を包む後ろ姿が脳裏に浮かぶ。

 

「お前は全てを取り去れるか!

お前は全てを取り去れるのか!

ああ、お前が俺の顔に押し付けたんだ

お前が俺に与えたこの苦しみ

お前は全てを取り去れるか!

お前は全てを取り去れるのか!

ああ、お前が俺の顔に押し付けたんだ」

 

曲名までは知らないが、

長瀬が熱唱するサビの部分を聞いていると

何かを心の底から訴えかけられているような気分になる。

それが何なのかまでは理解できない。

 

曲の終盤に差し掛かると長瀬は屋根から飛び降りて

俺の前に立つ。

 

「ーーお前は全てを奪い去った

もう一度説明しろ!もう一度説明しろ!

もう一度説明しろ!」

 

何もかもを無視して何かを訴えかけるように

最後のフレーズを歌いきった。

歌に力が入るあまり、硬く閉じられた瞼の縁からは

涙が漏れ出ている。

 

「ナガセ、どうしたんだ突然?」

 

「なんでもない。どうしようもない唐変木野郎と

自分に嫌気がさしただけ。」

 

いつもと変わりない日常を過ごしていたつもりなだけに

自分のことと素直に受け取れないが、

長瀬の言い草や態度からして

“どうしようもない唐変木野郎”とは俺のことだ。

10年近い付き合いになるのに今更勘違いするわけない。

 

「それってどういう意味だよ…?」

 

「そのままの意味。」

 

曖昧な答えではぐらかした長瀬は

そのまま階段を下りて行く。

 

「俺、何かしたか!?」

 

「なんでもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…私たち、どこで行き違ったんだろうね。」

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