エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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#32 Falling Angel II

「心配するな。貴様らは墜落地点を制圧して

その周りをクルクル飛び続ければいい。」

 

テルキスは簡単に言ってくれるが、

作戦空域の全方向から来るであろう

他クランの部隊は流石に俺たちだけの手に負えない。

マリーも同じ事に気付いたようで、

テルキスにその事を質問すると

腕を組んでおとがいに手を当てた。

 

セーナと違ってこちらはすっぽり隠r…収まり、

見る者にクールな印象を与える。

このサイズ感や立ち振る舞いにはどこかで見覚えがあるが、

記憶を探る俺の思考をテルキスが遮る。

 

「その心配は無い。

作戦空域外周部に双子(メティとサンディ)とカトラスを待機させる。

他に質問は?無いならさっさと飛べ。」

 

 

 

 

 

 

 

半ば蹴り出されるように追い立てられた俺たちは

数分後には滑走路に並んだ。

 

≪こちらカラ・タワー。

レイヴン隊、離陸を許可する。≫

 

「了解。レイヴン隊、離陸する。」

 

前に並んだマリーとセーナがエンジンの出力を上げて走り出し、

俺もその後に続く。カルシアの改修のおかげか、

いつもより短い滑走距離で体がフワリと浮き上がった。

あまりの動作の軽さに機体を時計回りに1回転させてみる。

 

『レイヴン1、遊ぶな。』

 

俺の一挙一動を監視している(らしい)セーナに注意されるが、

そんな言葉は頭に届かないほど俺は興奮していた。

今ならF-22Aのような戦闘機相手でも戦えそうだ。

編隊から離れない程度で機体の動きを確かめていると、

 

『レイヴン1、浮かれてる。』

 

もう1年以上の付き合いになるマリーにまで注意された。

わかったわかったと編隊に戻った俺は、

マリーの横顔が少し嬉しそうにニヤけている事に気付いた。

確かマリーの機体もカルシアに改修されたはずだ。

 

「2人とも。久し振りの任務だから機体チェックを。」

 

『…了解。』

 

マリーは俺の意図を汲み取ってくれたようで、

返事と同時に一気に機首を上げて急上昇した。

雲を突き抜け、さらに高度を上げる。

肉眼では見えないところまで行ってしまったマリーと対照的に、

セーナは軽く機体を上下左右に振っただけで

チェックを終えている。

 

「良いのか?」

 

『日頃からこまめに機体を見ていれば

あんなマニューバをやってまでチェックする必要はない。』

 

「そうか…。」

 

 

 

 

数分で戻ってきたマリーと改めて編隊を組み直した俺たちは

10分と経たないうちに作戦空域に入った。

こういう情報収集ミッションは複数のプレイヤーが

同時にスタートできるよう独立したマップが作成されており、

開始時刻より早く作戦空域に入ったプレイヤーは

同じ風景の場所を開始時刻まで延々と飛び続けることになる。

怪奇現象染みた状況になるのはもちろん、

その間は1mmも進んでいないという物理法則ガン無視の

ゲームだからこそできるシステムだ。

まぁ、何もできないわけではなく、

その間に消費した弾薬はカウントされないため、

普通は仲間内で模擬空戦をやって時間を潰すのだとか。

 

俺たちはミッション開始の数分前に到着したため、

すぐにミッション開始のメッセージが視界に広がった。

 

≪こちらAWACSエッジレス。

レイヴン隊、天使隊、よろしくね。≫

 

回線を軽い挨拶が飛び交ったところで

エッジレスことカールターナーが指示を出す。

 

≪作戦内容はもう知ってると思うから省くね。

支持を出すときはレイヴン隊と天使隊で

別々の回線を使うのでご心配なく。≫

 

ブツ…ブツ…と無線が切れる音がしたかと思うと、

 

≪よし…あー、あー、聞こえる?≫

 

「こちらレイヴン1、聞こえます。」

 

≪じゃあ指示を出すね。作戦空域内の敵集団は2グループ。

一方は天使隊が対処中で、

もう一方はそちらから見て10時方向から接近中。

長射程のミサイルがあったとしても射程に入る頃には

そっちが先に墜落地点にいるから安心して方位そのまま。≫

 

指示内容の確認のためにマップを見ると、

確かに敵はまだ遠くにいる。

向こうも最高速度でかっ飛ばしているようだが、

カルシアに改修してもらった俺たちの比じゃない。

 

「よし、墜落地点周辺に敵機はいない。

地上の制圧はセーナに任せる。マリーは俺の直掩を頼めるか?」

 

『了解。』

『オッケー』

 

セーナはスロットル全開で敵に突っ込んで行き、

マリーは少し減速して俺の背後に着いた。

マリーの方を横目で見ると

彼女の翼にはいつも通り対空兵装が吊るされている。

いつもとちがうのは今回マリーが4AAMを

積んでいることだろう。

いつもなら俺が4AAMで相手のフォーメーションを

乱す役目を果たしているが、

今回の俺の兵装は無線中継用のポッドで、

戦闘能力は無いとまでは言わなくともそれに等しい。

 

前方の墜落地点周辺で火柱が上がり始めてすぐに

カールターナーから悪い知らせが届いた。

 

≪方位1-9-0からボギーが急速接近中。

機数は3、確実に敵機だから警戒してね。≫

 

「こちらレイヴン1、迎撃は間に合うか?」

 

カールターナーのデータリンクのおかげで

作戦空域全体を見渡せるレーダーには南側から

俺たちの方へ飛んでくる3機の機影が映っている。

 

≪正直言うとムリね。自力で頑張って。≫

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