エアフォース・オンライン:フェアリーズ   作:Bishop1911

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#7 Kill Zone I

『こちらはAWACSスカイアイ。

これより作戦指示を行う。』

 

AWACSの管制が始まったということはミッションスタートだ。

しかし、後続の機体が上がってくる気配がない。

 

「ニヨッテタワー、作戦に参加する部隊を教えてくれ。」

 

『新入り2人だ。危ない仕事は得意だろ?』

 

「嵌められた。」

 

「そうだな。」

 

マリーがボソッと呟くがまさにその通りだと俺も思う。

しかしクランに危ない仕事を押し付けられるのは慣れている。

なんならマリーと組み始める前からやっていた。

タイミングが良すぎる気はするが、

やれと言われたら契約したのだからやるしかない。

今回、アルファ1とアルファ2をコールサインに貰った

俺とマリーは、AWACSとコールサインの確認をして

指示通りのルートに進路を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニヨッテ基地から輸送機の飛行ルートを辿って数十分も飛ぶと、

真っ平らな密林地帯は形を変え、霧が立ち込める峡谷が姿を現した。

天気はあっという間に変わり、大雨が降り出す。

輸送機がこんなところを飛べばそれはもう奇襲し放題だと思うが、

それでもこのルートを使うからには何か意味があるのだろう。

俺とマリーはAWACSの指示通り峡谷の中に飛び込む。

 

『視界が悪い。』

 

マリーの言う通り、峡谷を数kmも飛ぶと

立ち込める霧と峡谷の淵から滝になって

流れ落ちる水の飛沫でまともに前が見えない。

それに加えてレーダーがさっきから乱れている。

 

「レーダーがおかしい…。アルファ2、そっちはどうだ?」

 

『さっきから画面が乱れてる。』

 

AFOに故障なんて概念は無いし、

2人のレーダーが同時におかしくなったとすると

バグでもない限り何か他に原因がありそうだ。

それはともかく、AFOのレーダーは地形も表示しているため、

視界が悪い上にレーダー兼マップもアテにならないとなれば

いつ岸壁に激突して墜落してもおかしくない。

プレイ歴2年以上のプレイヤー2人が揃いも揃って

墜落事故だなんて笑い話にしかならない。

 

「高度を上げよう。」

 

『了解。』

 

輸送機と同じルートで峡谷の間を飛行していた俺は、

指定された輸送機のルートとは若干違うが、

事故を避けるためにマリーより先行して機首を上げた。

しかし、俺が峡谷の淵から頭を出すと同時に

HMDが通常の緑色から真っ赤に変わった。

 

『ミッションエリアに侵入。

ショウ、ロックオンされている。』

 

AWACSの棒読み管制が俺のHMDが真っ赤な理由を教えてくれるが、

そんなことは言われなくてもわかってる。

 

「クソ、ブレイク!」

 

峡谷の外は霧が薄いお陰で視界は良い方だが、

それでも雨のせいで視界は悪いままなので

俺をロックオンしている相手の位置が掴めない。

旋回して回避機動を取りながら索敵するが、

一向に相手は見つからない。

 

『ショウ!峡谷に戻って!』

 

「どこだ!わからない!」

 

峡谷を出てかなり回避機動を繰り返した俺は

自分がもといた峡谷を見失っていた。

加えて峡谷の外に出た時からレーダーも

完全に使えなくなっている。

 

「ジャミングだ!峡谷から出るな!」

 

『ミサイル接近。』

 

AWACSがミサイルの接近を伝えるとすぐに正面から

向かってくるミサイルが目に入った。

すぐさまフレアを焚いた俺は高度を下げる。

1発目のミサイルは外れたが

ロックオンされたままの状況は変わらない。

 

『こちらテルキス。

ミッションエリアに侵入したようだな?』

 

「ミッションエリアは範囲設定じゃない!高度設定だ!

高度600m以上で峡谷を飛ぶな!」

 

『了解した。貴重な情報をありがとう。』

 

「それだけかよ!」

 

テルキスとの交信に気を取られて

回避機動を疎かにした一瞬のうちにミサイルの警報が

再びなり始めた。周囲を見回すと今度は右から来ている。

 

「覚えてろよこのクソ野郎っ!」

 

俺はミサイルが飛んできた右へハイGターンして躱す。

 

『こちらAWACSスカイアイ。

敵のジャミング施設は峡谷のどこかにある。それを破壊せよ。』

 

きっとテルキスが新たな任務としてAWACSに

ジャミング施設の破壊司令を送ったのだろう。だが、

 

「できるかっつーの!」

 

こっちは回避で手一杯。マリーの方も霧の中で

手探り状態の飛行をしている。

前にも後ろにも進めないどん詰まりだ。

 

「こちらアルファ1!敵の対空ミサイル攻撃が激しい!

撤退の許可を求める!」

 

『こちらテルキス。ミッション中断は認められない。

戦闘を継続し、ジャミング施設を破壊しろ。』

 

理不尽で無慈悲なテルキスの命令に続いて

AWACSからも無線が入る。

 

『こちらAWACSスカイアイ。

当空域へ接近する所属不明機を確認。』

 

バッドニュースのダブルパンチに俺のメンタルは

ノックアウト寸前だが、あのムカつく金髪野郎が

基地で俺たちの状況を観てニヤけているかと思うと

そう簡単に堕ちてやる気はしない。

さらに接近するミサイルを躱した俺は

マリーの位置を知る方法を閃いた。

 

「アルファ2!機銃は使えるか?」

 

『使える。』

 

「上に向けて撃て!」

 

返事は返ってこなかったが、代わりに俺の前方に延びる峡谷から

一本の光の筋が空に昇った。

光っているのは弾道確認用の蛍光弾だ。

 

『どう?何かわかった?』

 

「ああ、わかった!俺はそっちの後ろを飛んでる!

そのまま飛び続けろ!」

 

『わかった。』

 

機首を下げて急降下した俺は霧の中に再び飛び込んだ。

相変わらずマップもレーダーも使えない状況だが、

ミサイルに狙われっぱなしというのは精神的にかなり辛い。

狭い峡谷の中で飛ぶのも十分にキツイが、

こっちは進行方向にだけ注意すれば良い分、少しマシだ。

 

『アルファ1、生きてる?』

 

「あぁ、奇跡的に。」

 

『5kmくらい戻ったところで変な洞窟を見た。』

 

「…本当か?」

 

“洞窟”という単語に俺の思考は引っかかった。

というのも、AFOの開発者の中には、

ナーヴギアやアミュスフィアがゲーム機の

代名詞となる以前のTVゲームで人気だった

エースコンバットシリーズのファンが居るのは

よく聞く話だからだ。

そしてそのエースコンバットシリーズでお約束と言っても良いほど

毎回のように盛り込まれるシチュエーションが、

洞窟や地下施設、場合によっては砲身への突入だ。

人工衛星の中というのも聞いたことがある。

 

「よし、引き返そう。案内できるか?」

 

『やってみる。』

 

そう、やってみる価値は十分にある。

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