「ペ、ペルちゃん...?」
後ろを振り向くと泣いている子は俺が幼いころから心から愛したペルちゃんだった。
泣いている彼女に近づこうと一歩前に出るとそのまま後ろを振り向き白猫の校舎に走って行ってしまった。
「ペ、ペルシア様!」
俺が落ちるときに下敷きにしてしまった人がいつの間にか復活しており逃げるように走っていったペルちゃんを追いかける。
「ペルちゃん......」
「コラー!校内での喧嘩は禁止と言ってるだろうが!」
突然校舎の方から教師が数名こちらに走ってくる。
(仕方ないここは俺がおさめるか)
「おはようございます先生方」
「ん?君は...」
「自分は今日からこのダリア学園に編入することになった神崎エルです!今さっき先生が喧嘩と言いましたがそんなことしてませんよ?」
「なに?」
「ただ自分がここに集まってる生徒全員の前に派手な登場をしてしまってそのまま自分の自己紹介をしていたんです」
「そうなのか」
俺の近くにいたロミオとサイドテールの女の子に確認をする。
その時に俺はロミオにアイコンタクトで話を合わせてくれって意味を込める。ロミオもそれに軽くうなずく。
「そうなんすよ!いきなりこいつが俺らの目の前に上から落ちてきてそのままこいつの自己紹介をすることになったんすよ!な?蓮季」
「そ、そうだゾ!」
「どうやら本当らしいな。よし!それなら早く自分たちの教室に戻れ!」
その言葉に黒犬、白猫の生徒みんなが戻って行く。
「あ、そうだ神崎はこの後職員室に来てくれ」
「分かりました」
「とりあえずエルは俺に着いてきてくれ教室まで案内するぞ」
「わかった」
ロミオに教室に案内される途中サイドテールの女の子、たしか蓮季?が俺に話しかけてきた。
「なぁ神崎はいつから犬塚と仲がよかったんだ?初等部と中等部では見たことないけど」
「ロミオとは初等部より前から家が近所ってことで一緒に遊んでたんだ。んでダリア学園の初等部に入学する前に親の都合でフランスに行くことになったんだ」
「じゃあフランス語話せるのか!?」
「もちろん話せるよ」
「すごいな!」
「ほらついたぞ」
どうやら蓮季と話してる間に教室に着いたらしい。
「今度フランス語聞かせてくれな!」
「いいよ。んじゃあ俺は職員室に行ってくる」
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ペルシアside
「ハァァァ!」
カァン!
「ま、参った!」
「ありがとうございました!」
私たち白猫は今剣術の特訓中だった。
「お疲れ様です!」
「サンキュ」
「男顔負けの強さですね!」
「いえまだまだよ」
「そんな!そんなに強いのに!」
「私の目指す強さっていうのは世界すら変えちゃうようなそういう強さなの...」
「世界?」
そう私は強くない。昔彼と離れてから一人でも彼の夢の手伝いをしようとしたことがあった...けど私一人では何もできなかった。結局は口だけ...そして今朝彼は突如私たちの前に現れた。昔とは違って身長も伸びていてたくましくもなっていた。けど雰囲気はあまり昔とは変わってはいなかった。そんな彼を見たときに私はすごく嬉しくなり今すぐにでも飛びつきたかったがさすがに黒犬と白猫全員が見てる前ではやる勇気はない。それと同時に怖かった...もし私の事を忘れていたら、今の私を見てどう思うのか、どうしても考えてしまう。そして私はそんな二つの感情のせいで泣いてしまい彼から逃げるように校舎に戻ってしまった。
「そういえば今朝の彼は何者だったのでしょうか?いきなり僕の上に...上?......そうだ!あいついきなり僕の上に落ちてきて僕を下敷きにして!今度会ったら許さないぞ!」
スコットが彼にされたことに勝手に怒っているが気になるのはそこじゃない。スコットが言った通り彼はいきなり上から落ちてきたのだ。普通はありえないことなのだが...
「ちゃんと歩け!」
突然外から誰かが叫ぶ声がする
「行ってみましょう」
「はい」
外に出てみると白猫の生徒が初等部の子を三人ほど連れてきた。
「どうしたの?」
「あぁ黒犬のガキどもがね白猫の寮に落書きしてたんでちょ~と痛い目に遭わせてやろうと思ってさ」
「どうしてそんなことをしたの?」
「白猫の奴に黒犬は弱いってバカにされたから!だからやり返した!文句あるか!」
私が聞くと黒犬の初等部の子が怒りながら言ってきた。
すると子供を連れてきた生徒が言ってた子を殴ろうと腕を振る。
「何してんだ」
だけどその拳は当たることはなく横から来た生徒によって腕を掴まれる。
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エルside
ロミオに教室を案内してもらってから職員室に行って担任の先生に色々説明してもらって今ようやく終わった。
(教室に戻るのもいいけど少し散歩していくか)
校舎を出て適当に歩いているとどこかから大きな声が聞こえた。
(ん?なんかあっちの方から声が聞こえるぞ)
声が聞こえた方まで行くと黒犬の初等部の子が白猫の生徒に連れていかれていた。
そして大きな建物の前まで連れていかれてドアの前に行くとツインテールに髪を結んでいるペルちゃんが出てきた。
(ぐはっ!...な、なんていう破壊力だ...あれだけで国一つを滅ぼせる可愛さじゃねーか。しゃ、写真撮っておこう)
俺はポケットから自分のスマホを取り出し無音カメラのアプリを起動してペルちゃんを写真に撮る。
(やった!まさか一日目からこんなペルちゃんの写真が撮れるなんて!......あれ?これ盗撮じゃないよね?...ま、いっか!)
いや良くない。読者の皆さんは決して盗撮なんてしないでくださいね!盗撮は犯罪ですので。byヨーグリー
フォルダーに保存したペルちゃんの写真に見とれていると突然初等部の子の声が聞こえた。
「白猫の奴に黒犬は弱いってバカにされたから!だからやり返した!文句あるか!」
初等部の子が言うと前にいた白猫の男子生徒が殴ろうとしていた。
(まずい...!)
俺は咄嗟に隠れていた場所から飛び出し『ダンまち』から引き継いだファルナの俊敏をフルで使い殴ろうとしている白猫の生徒の腕を掴む。
「何してんだ」
「テ、テメェ...今朝の黒犬!いきなりどこから出てきた!」
「そんなことはどうでもいい早く答えろ」
「ふん!誰がお前みたいな黒犬に答えるかよ!」
「そうか」
白猫の生徒が答えてくれなさそうだったから俺は掴んでいる腕を離してペルちゃんの方を向く。
「どうも今朝ぶりですね白猫のリーダーのジュリエット・ペルシアさん」
俺はペルちゃんと知り合いだとばれないように他人のふりをする。
「え、ええ」
「それでこれは何があったか説明してもらえませんか?」
「ペルシア様から離れろ!」
横から朝俺が下敷きにしてしまった人が殴りかかろうとする。
「よしなさい!」
今度はペルちゃんが大きい声を出して止める。ペルちゃんかっこいい...!
(いかんいかんあまりのかっこよさに見惚れちゃうところだった)
「いいわ話してあげる」
それからペルちゃんに何があったか説明してもらった。
どうやら黒犬の初等部の子が白猫の寮に落書きをしてたところを見つかりここまで連れていかれて今に至るらしい。
「わかりました。じゃあ少しまっててくれませんか?」
「え、ええ」
「さてと...」
俺はペルちゃんの返事を聞いて後ろにいる初等部の子供たち方を向いて同じ目線になるように座り込む。
「君たちは白猫の人に黒犬は弱いって言われて悔しいか?」
「あ、当たり前だろ!」
一番前にいる子が答える。
「じゃあさ白猫の寮に落書きして満足か?」
「......」
俺が聞くと下を向き黙り込む。
「そうだよな満足しないよな?...でもな?もしそれで満足してたら俺は君たちの事を怒っていたかもしれないぞ?」
「え?」
俺がなに言ってるのかわからず首を傾げる。
「俺はなここじゃない別の国で暮らしてたんだ。それでなその国は当たり前のようにお互いが陰で相手にばれないようにコソコソと悪口を言ってたり嫌がらせをしてたんだ。それでその人たちはやり切ったかのように満足げな顔をするんだ。けどなそういう奴らに限って一人では何も出来ない弱者なんだ。しかも何か問題が起きたら真っ先に他の人の所為にして自分が悪いことを認めないんだ。どうだすごく汚い人たちだろ?」
「うん...」
「けど君たちはまだそうじゃない。今からでも強くなれる」
「本当!」
「ああ」
「あ、でもどうやって強くなれるんだろう」
「強くなるって言っても三つあるんだ」
「三つ?」
「ああ、まず一つ目が心だ」
「心?」
「君たちはさ白猫の人たちに黒犬は弱いって言われて悔しかったんだろ?けどなそういうことは言わせておけばいいんだ。さっきも言ったがそういう奴らに限って何もできない弱者なんだ。けどだからって相手にバレずに嫌がらせで仕返ししても弱者だ」
「ならどうやって...」
「最初はつらいけど我慢するんだ」
「なんで?」
「君たちは黒犬の悪口を言われてどう思ったんだっけ?」
「悔しかった!」
「だろ?だからこそ我慢するんだ。今回の事で君たちはその悔しい気持ちを味わった。この世の中には何もせずに強くなれる人なんて一人もいないんだ。もしそれで強いって言うならその強さは偽物だ。本当の強さっていうのは君たちが味わった悔しい気持ちや辛い気持ち、こういう気持ちを知っている人が強いんだ」
「ぼ、僕はそんな悔しい気持ちや辛い気持ちを知っても強いとは思わない...」
「それは君がそういう経験をしてないからだ。俺はねそういう経験をたくさんしてきた。そしてそういう気持ちを持ってる人は相手の気持ちを思いやれる優しい人になれるんだ」
「お兄ちゃんもそうなの?」
「そうだぞ。俺は君たちよりずっとそういう経験をしてきた。だから俺は君たちの悔しいって気持ちがよくわかる。でも最初は我慢するのが大変でどうしてもやり返したくもなる...!けど我慢すればおのずと心は強くなり相手の気持ちを知ることも出来て思いやる心も出来て最終的にはとてもやさしい強い人になれる」
俺が言い終わると初等部の子たちは目をキラキラさせながら俺を見てくる。
「なりたい!まだ難しいことはわからないけどお兄ちゃんみたいになりたい!」
「僕も!」
「私も!」
一番前の子が言うと後ろにいた子も前に来て言う。
「そうかそうか今の話を聞いてそう思ったならきっとなれるさ!でも後の二つはまた今度な?」
「うん!」
「よし強くなるための一歩目だ!君たちのしたことは悪いことなのはわかるよね?」
「うん!」
「じゃあ悪いことしたらまずは何をするんだ?」
「あやまる!」
「うんそうだ。じゃあそこに金髪のお姉ちゃんがいるだろ?あの人は白猫のリーダーだ。だからその人にちゃんと謝ってきなさい」
「わかった!」
返事をするとそのままペルちゃんの所に行く。
「白猫の寮に落書きをしてごめんなさい!」
「「ごめんなさい!」」
「私からも謝るわごめんなさい。うちの生徒が」
「うん!」
お互いに謝ると子供たちは俺のところに戻ってくる。
「ちゃんとあやまれたよ!」
「よくできました!」
そう言って三人の頭を順番に撫でる。
「わーい!ほめられた!」
「それじゃあ後はお兄ちゃんに任せて君たちはもう行きな」
「うん!それじゃあお兄ちゃんまたねー!」
「おうまたな」
手を振られたため俺も振り返す。
「さてと」
立ち上がり後ろにいる白猫の生徒の方に向きを変える。
「俺からも謝るすまなかった」
頭を下げて謝る。
「も、もういいわよ謝らなくても」
「ありがとう。じゃあ仲直りの証として握手しない?」
ペルちゃんの前まで移動して右手を出す。
「もちろんよ」
ペルちゃんも少し前に出て右手を出して俺の手を握る。そして俺はもう少しペルちゃんに近づいて言う。
「ただいま」
「うんおかえり」
お互い挨拶をして離れて手を離す。するとペルちゃんは少し残念そうに「あ...」と言う。
「それじゃあ俺はこれで失礼します」
去ろうと後ろを向くと視界の端にロミオが入った。
「あれロミオ?」
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犬塚side
(すげぇ勢いで出ちまったけどエルのやつたくましくなったな。それにエルが話してる時にペルシアがエルを見てる時のあんな顔今まで見たことがねぇ。しかもすこし顔が赤かったし...)
「あれロミオ?」
(やべぇ!そういえば飛び出してそのままだった!)
「何しに来たの犬塚!」
「ま、待て別に喧嘩しに来たわけじゃねぇ!」
「じゃあなんの用なの!?」
「それはその...告...告...」
「こく...何よ?」
「告訴だ!告訴してやる!」
「はぁ!?」
(ちくしょ!やっぱ言えねぇ!)
そのまま俺は逃げるように戻って行ってしまう。
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エルside
(ロミオのやつ一体なにがしたかったんだ?まぁいっか)
そして俺は黒犬の教室に戻って行く。
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はい、どうもヨーグリーです。
今回でこの試作品シリーズは終わりですが、ここで重大発表があります。
来週から『エルとジュリエットの寄宿学校』の本格的に活動します!
理由はただ単純に書いてて楽しくてもっと書きたいからと思ったからです。
よかったらこれからもよろしくお願いします!
では今回はここまで!また次回!