学校が終わりペルちゃんとの待ち合わせの時間まであと一時間。俺は先に噴水広場に来てベンチに座ってボーっとしていた。
(久しぶりにこうやって何もせずに座ったな。こっちに来てからは何かと忙しくて出来なかったからな。それに少し眠くなって...き..た)
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ペルシアside
(うう、緊張するー少し早く来すぎたかな)
白猫の寮から出て少し歩き私は噴水広場に来ていた。
(あれ?あそこに座ってるのってエル君?)
向こうのベンチに座っている人影に近づく。
(やっぱりエル君だ)
「エルく...寝てる」
近づいて声をかけようとしたがベンチに深く腰を掛けて寝息を立てていた。
(こっちに来てからあまり寝てないのかしら...?それなら...)
周りを見渡して人がいないかを確認して隣に座る。
そして彼の頭に軽く触れて起こさないように優しく自分の膝の上に置く。
(は、はずかしぃ...寝てるからってさすがに膝枕するのはレベルが高かったかも...でもこうやって見ると少し可愛いかも)
今度は優しく頭を撫でる。
(やっと会えたと思ったら思わず私から逃げ出しちゃうし、しかも昨日は犬塚に告白されてるところを見られちゃった。誤解されてなければいいのだけれど...けど今日は絶対に言うんだ!あなたが好きだって!そしてこの人の隣で一緒に夢を叶えたい。だから...)
「好きよエル君」
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エルside
(やばい!少し眠くなって寝て起きたらペルちゃんに膝枕されてる!しかもめっちゃやわらけぇ!どうしようこのまま寝たふりして堪能しようかな...)
俺がそんなことを考えているとペルちゃんの口が開く。
「好きよエル君」
(......俺はこの人の事が好きだ。三回別の世界で生きてきたがここまで好きになって愛おしいと思った人は誰一人いなかった。今日ロミオにはああ言ってしまったがやっぱり俺はこの人を誰にも取られたくない俺だけを見ていてほしい。そう考えると俺って結構性格が悪いな...でもそれでもいい俺はこの人の事が...)
そのまま右腕を上にあげて彼女の頬に軽く触れながら言う。
「俺も好きだよペルちゃん」
「え......?」
「うん?」
俺が言うとペルちゃんは惚けた返事をする。あれ?もしかして俺言うタイミング間違えた?
「~~~~~~~~~ッ!」
ペルちゃんの顔を見るとトマトみたいに真っ赤になってた。
「お、起きてるなら言いなさいよ!」
「いた!」
膝の上から地面に落とされる。
「ご、ごめんなさい!つい...」
「気にしないで。起きてるって言わない俺も悪かったし」
立ち上がりベンチに座り直しす。
「いつから起きてたの?」
「えっと膝枕の時からです...」
「なんでそのタイミングで起きるのよ!」
「控えめに言って最高でした」
「この...バカ!」
「うわぁ!」
今度は身体を横に押されまたベンチから落とされる。
「もう知らない!」
「悪かったって」
そっぽ向いたペルちゃんの頭を撫でる。
「こ、今回だけは許してあげる!だから...その...もっと頭を...」
「うんペルちゃんにならいくらでも撫でてあげるよ」
ペルちゃんはうれしそうな顔をする。
そして俺は一度撫でるのやめて今日呼ばれた本題に入る。
「それで今日はなんで呼び出したの?」
「この流れでそれを聞くかしら普通?」
「まぁ一応ね」
「相変わらずねエル君は」
「人はそうそう変わるものじゃないよ。それになんかこの空気の方が俺らっぽくていいじゃん?」
「ふふ、確かにそうね」
「でしょ?」
そう言って俺はペルちゃんの手を握りペルちゃんの方に向き直る。
「ペルちゃん。いや、ジュリエット・ペルシアさん。俺は幼い頃からあなたの事が好きです。俺と付き合ってください」
手は握ったまま頭を下げる。
「はい!」
手を強く握りかえしてくれるペルちゃん。
「じゃあこれでようやく...」
「ええ、恋人になったわね」
「やった!やっとだ!ここまで長かった...」
「本当よどれだけ私があなたの事を待ったと思ってるの?」
「うっ...言い返す言葉もございません」
「本当に昔からエル君は女心を分かってないんだから」
「すみません...」
「また今度じっくり教えてあげる!」
そう言って俺に微笑む彼女の顔はオレンジ色の外灯で灯されより一層魅力的に見えた。
「それじゃあ今日はもう時間も遅いし戻ろうか」
「待って」
ベンチから立ち上がろうとするとペルちゃんに服の袖を掴まれる。
「もう少しだけ...だめ...?」
上目づかいで聞いてくる。可愛いなチクショウ。
「いいよ」
俺はまたベンチに座る。すると不意に右手を握られる。
「ペルシアさん?何をなさってるのでしょうか?」
「だってあの日から全然繋いでないから...いやだった?」
(そんな嫌なんてありえないです!むしろこっちからお願いしたいぐらいです)
「いやじゃないよ!ただ久しぶりだから少し驚いただけだよ」
「それにしても手でかくなったね」
「そりゃあ9年も経てば手ぐらい大きくなるよ。そう言うペルちゃんは...相変わらず柔らかいね」
「そこは男の子と女の子の違いよ。それにゴツゴツした手の女の子なんて嫌よ」
「まぁ確かに...」
「それとエル君はまだあの夢を叶えようとしてるの?」
「うんこれだけは絶対に成し遂げたいことだからね」
「そっか。...実は私ね最初の頃家の為に強くなってそしてこの世界を変えようと考えていたの...けど昔ある男の子と出会ったの。そしてその子の夢を聞かされたわ、最初は冗談だと思ったけどその子の目は口先ではない覚悟があった。そして一緒にいるうちに気づいたら家の為よりその子の隣で一緒にその夢を叶えるところを見たいって思うようになったの」
「ペルちゃん...」
「だからこれからはあなたの隣にいさせて?」
「俺の方こそ君の隣にいさせてください」
「あ、それと犬塚から伝言よ」
「お、おういきなりだね...」
「『俺もエルの夢を手伝うぜ!』らしいわよ」
「そっか...」
「これから三人で頑張りましょう」
「うん」
それから俺らは昔みたいに手を繋ぎ話すこともなくただ座っていた。
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次の日また今日も黒犬と白猫は対峙していた。そしてまた俺も呼ばれた。
「本当に飽きないなお前ら!」
「ど、どうしたエルいきなり大声なんて上げて」
「いやだってさ疲れない君たち?毎日毎日黒犬が!白猫が!なんて言って争うの」
「しょうがねぇだろ東和国とウェスト公国は敵対関係にあるんだから」
「ロミオ......敵対関係って言葉知ってたんだな」
「知ってるわ!」
「そんなくだらない事してないで早くしてもらえる?授業まで時間がないわ」
「だってよ?まぁ俺は戦うの嫌いだし、そもそも二つの国が敵対関係だったとしても興味ないから俺は戦闘に参加しないぞ」
俺が言うとロミオが蓮季を呼んで耳元で何か話している。
「わかったゾ!」
ロミオとの話が終わると俺の前まで来て少し屈んで上目遣いで俺に言ってくる。
「蓮季は神崎に戦ってほしいんだゾ...ダメ?」
屈んでいるせいかいつも開けているワイシャツの第二ボタンから見える能満なお山が目に入ってしまう。そしてもう一声と言わんばかりに追い打ちをかけてくる。
「おねがい......」
今度は少し目を潤して言う。
「しょ、しょうがないなぁ、今回だけだか...ヒィッ!」
さすがにそこまでされたら断るのも悪いから「今回だけだからな」と言おうとしたときに目の前の白猫から殺気がこもった視線が俺に突き刺さる。
その殺気のこもった視線を飛ばしている人を見るとペルちゃんだった。
(これはやばい...蓮季には悪いけど断らせてもらう。だって俺まだ死にたくないし)
「わ、悪いな蓮季俺は戦闘には参加しない」
「そ、そうか...」
俺が断ると蓮季はあからさまに落ち込んだ顔をしてもといた場所に戻る。
(なんという罪悪感!でもここで断らなかったら俺がやばい...!)
「どうやら茶番も終わったようね!それじゃあ調教してあげる!黒犬!」
そう言って白猫全員が向かってくる。
(さっきの茶番を終わらせたの半分くらいあなたですよペルシアさん?)
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それから時間が経ちようやく戦闘が終わった。
まずロミオとペルちゃんは俺の夢を手伝ってくれると言ってくれたから戦闘するふりをしていた。ちなみに俺はお互いの寮生が一人に集ってリンチなどやりすぎが無いか監視ししていた。けどほとんどがきちんと戦っていた。いや、きちんと戦っていたって何だし...そして今。
「おい神崎ぃさっきはよくも邪魔してくれたなぁ」
そう言って俺に言い寄ってくる。丸流、古羊、土佐。
「おい!エルはお前らがやりすぎないようにしてくれたんだぞ!」
「そうだゾ!」
「うるせぇな今俺らは神崎に話してるんだ。それに」
「てめぇに」
「俺らの邪魔をしたらどうなるか」
「教えてやるよ」
綺麗に三人順番に俺に言ってくる黒犬問題児三人。
「だから表出ろよ」
俺の机を片手でドン!と叩く丸流。
「えぇ...やだよめんどくさい。それに戦うの好きじゃないんだけど...」
「んな事知らねぇよとりあえずお前は俺らの言う通りにすりゃあいいんだよ」
「めんどくさいなぁそういうのはお昼休みにいくらでも聞いてあげるからとりあえず今は次の授業の準備しよう?」
俺が言うと今度は土佐が俺の胸倉を掴んでくる。
「ごちゃごちゃうっせーぞ!」
本当にめんどくさいからロミオに助けてと目線を送る。
「お前らいい加減にしろ!エルはお前らのためにやったんだ!」
ロミオが土佐の腕を掴みながら言う。
「うるせぇ!」
土佐が腕を掴んでいるロミオを突き飛ばし古羊が突き飛ばされたロミオを足で踏んで動けないようにする。
それを見て俺はキレてしまう。
「おい...」
「あぁ?」
「こっちが下手に出てればよぉ、俺に対しては何をしてもいいし何を言ってもいい...けどよ俺の大切な奴に手ぇ出すのは許さねぇぞ。いいだろう俺がテメェら三人いっぺんに相手してやる」
「お、おい待てエル!さすがのお前でも一人で三人を相手するのは無理だ!」
「そうだゾ!やめるなら今のうちだゾ!」
俺の胸倉を掴んでいる土佐の腕をほどいてロミオの前に行ってロミオの腹に乗っている古羊の足をどける。
「え!?オイラ結構足に力入れてたよ!」
ロミオの手を掴んで立たせる。
「エル...」
「悪いね。俺は基本自分の事に関してはどんな事でも我慢できるけど俺の大切な奴に関しては結構我慢できないんだわ」
「そう言ってられるのも今のうちだぜ?」
「ああそうかもな」
「こいつ今自分で言ったぜ!」
丸流の挑発に俺が言うと土佐がバカにしたように言う。それに対して俺は少しバカにした風に言い返す。
「今のは俺の事じゃねぇよ。てめぇら三人の事だ」
「このぉ!」
それを聞いてすぐ目の前にいた古羊が殴りかかってくる。
「エル!」
「神崎!」
ロミオと蓮季が俺の名前を大声で呼ぶ!
「遅いよ」
そう言って古羊のパンチを躱してそのまま足を掛けて転ばす。
「いってぇ!」
「てめぇ!」
今度は土佐が殴りかかってくる。
「大振りすぎ。どういう軌道でパンチが来るかすぐ読まれるよ」
土佐の大振りのパンチを左手で受け流して古羊と同じように足を引っかけて転ばす。
「ロミオ悪いんだけどこの二人頼むわ」
「お、おう」
ロミオに転ばした二人を連れ行ってもらって今度は丸流が俺の正面に立つ。
「結構やるじゃねぇかお前」
「どうも。てかもうよくね?あと少しで授業が始まるよ」
丸流に言うと「無理だな」と言って構える。
「どうしてもやるの?」
「当たり前だ」
(これはまじで最後までやるやつですわ...やりすぎないように止めただけでなんでこうなっちゃうんですかね...)
「はぁ...」
ついため息をついてしまう。
「じゃあ、あれだお互い先に一撃入れたら勝ちでいい?」
「ああ」
「それじゃ...」
丸流との距離を一気に縮める。
「はえ!?」
そして丸流の顔めがけて拳を振るう。
それを見て反射的に目を瞑る丸流の顔の前で拳を寸止めする。
「...?」
丸流が目を開けたと同時におでこにデコピンをする。
「いっ!」
「はい俺の勝ちね」
丸流の肩に手を置いてロミオと蓮季に所に戻る。
「「..........」」
二人のもとに戻っても黙ったままだった。
「おーいロミオ、蓮季?」
二人の目の前で両手を振る。
「い、今なにしたんだ?」
「何したってデコピンだけど」
「いや確かにそうだけど俺が聞きたいのはそうじゃねぇよ」
「もうデタラメだゾ...」
二人はやれやれと言った感じに肩を竦める。
「まぁいっか、俺少しトイレに行ってくる」
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教室より少し遠いトイレに入り上半身の服を脱ぎ鏡に背中を向ける。
「なんで出てくるんだろう...」
鏡に映っていたのは『ダンまち』の世界でヘスティア様に刻んでもらったファルナだった。
はい、どうもヨーグリーです。
いやー今年も残りわずかですね。それに年末年始は面白い番組が多くて何見るか迷うんですよね自分。
とまぁ今回はここまで、それではまた次回!
よいお年を!