エルとジュリエットの寄宿学校   作:ヨーグリー

9 / 9
可愛いなチクショウ!

 ダリア学園は全寮制ゆえに遊ぶ目的の外出は禁じられている。だが3か月に一度だけ買い出しの名目で外出が許可されている。それが今日だ。

 

「神崎くーん」

 

「一人?私たち今からダリアパークに遊びに行くんだけど神崎君も一緒に行かない?」

 

「あ、いや今日一緒に遊ぶ人がいるから」

 

「えー!いいじゃん!」

 

「そういうわけには...」

 

 自分は今とても困ってます。丸流と土佐そして古羊の三人が絡んできて返り討ちにしたあの日からこんな感じにクラスの女子が話しかけられることが増えた。

 

「お待たせ」

 

「お、やっとき...た...」

 

 待ち合わせしてた人の声が聞こえたからそっちの方に顔を向けると超絶美少年がいた。

 

「な、なにあの美少年...」

 

「そういうわけだから俺行くね」

 

 そう言って待ち合わせしてたジュリ男、もとい男装したペルちゃんと並び町まで歩く。

 

 ちなみになんでペルちゃんが男装してるかというと...

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 外出日前日の夜噴水広場

 

「明日の外出日一緒に回らない?」

 

「いや、無理じゃない?」

 

「ふっふっふ、甘いねペルちゃん、実は」

 

 今日持ってきた紙袋からあるものを取り出してペルちゃんの前に出す。

 

「何これ...?」

 

「なんとこれは演劇部から借りた東和民変装セット!」

 

「......」

 

「これなら明日一緒に回れるよ!」

 

「......」

 

 東和民変装セットを見せるとペルちゃんは何も言わずなんて説明したらいいかわからないような顔になる。

 

「......」

 

「いや何か言って!?」

 

「あなたはバカですか?」

 

「いきなり罵倒!?しかも敬語やめて!」

 

「無謀にもほどがあるでしょう!?」

 

「そうかな?」

 

「バレたらどうするのよ!」

 

「確かにそうだけどこのままじゃあどこも遊びに行けないし...」

 

「はぁ、考えておくわ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 とまぁこんな感じのやり取りが昨日の夜にありましてまさか本当に変装してくれるなんて。

 

「本当に隠しと通せるのかな?」

 

「大丈夫ただの美少年にしか見えないから」

 

「それはそれでなんかいやなんだけど...」

 

「ペルシア様!」

 

 二人で並んで歩いていると後ろからスコットが息を切らしながら変装しているペルちゃんに近づく。

 

 (もうバレた!?)

 

「おかしいな確かにペルシア様の匂いがしたんだが...いるのはバカ面の黒犬二人」

 

「バカ面って...」

 

 (こいつ変装してるとはいえペルちゃんの事バカにしたぞ)

 

 そしてスコットは変装したペルちゃんに気付かづまたどこかに探しに行った。

 

「私...匂う?」

 

「いや、匂わないから大丈夫だよ」

 

「そう?それより早く行こう?」

 

「うん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ダリア学園から出てペルちゃんの案内でダリア街に来ていた。どうやら右側に東和国の店左側にウェスト公国の店が向こうまでたくさん並んでいた

 

「へぇ、二つの国のお店が並んでるんだね」

 

「この街もダリア学園も元々東和とウェストの友好のために作られたんだよ。」

 

「元々、ね」

 

「今はいがみ合ってるけどいつか二つの国もきっと仲良くなると思うの」

 

 (この風景を見てれば二つの国の友好のために作られたのはわかるけどそれは何十年前の話だ、ダリア学園の両生徒を見てたら今の二つの国の仲が悪いかがわかるしな。けどペルちゃんの言ういつかが来るように俺がダリア学園から変えてみせる)

 

「...ル君、エル君?」

 

「あ、ああ、どうしたの?」

 

「エル君の方こそどうしたの?なんか怖い顔してたけど」

 

「ちょっと考え事をね。それよりお腹すいてない?」

 

「まぁ今日は朝ご飯をあまり食べてないから」

 

「じゃあ何か食べたい物とかある?」

 

 俺が言うと顎に指を当てて東和側のお店を見る。

 

「じゃああそこがいい」

 

 ペルちゃんが指さしたお店を見ると拉麺と文字が書かれているお店だった。

 

「お、ラーメンか」

 

「らーめん?」

 

「うん、まぁ入っていればわかるよ」

 

 お店に入って開いている席に座りメニューを見る。

 

「なんか色々あるね」

 

「ペルちゃんはどれにする?」

 

「うーん、私はこれにする」

 

 ペルちゃんが選んだのは辛いラーメンだった。

 

「じゃあ俺は無難に醤油ラーメンにするかな」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 ラーメンが来るまでの間俺らは今までのことを話していた。

 

「まぁ初等部の頃の話はこんな感じかな」

 

「初等部の終わり頃には中等部の勉強が終わってるってどれだけ勉強してたのよ...」

 

「いやー初等部の内容が簡単すぎて先にやっておこうかなって勉強してたらいつの間にか終わってた」

 

「何よそれ...」

 

「お待たせしました!」

 

 話してると頼んだラーメンが来た。

 

「じゃあ食べよっか。いただきます」

 

「いただきます」

 

 まずはスープからいただく。

 

「うまいなこれ」

 

 隣を見るとかりゃいと言って涙目になっているペルちゃん。可愛いなチクショウ。ていうか割り箸を割らずに両手で一つずつ持って器用に食べている。

 

「もしかしてペルちゃん割り箸使ったことない?」

 

「割り箸?これのこと?」

 

 そう言って両手に持っている割り箸を見せてくる。

 

「うん、それなら俺が使い方を教えてあげるよ」

 

「お願いしようかな」

 

「オッケ。じゃあまずは真ん中に線があるでしょ?それで左右を軽くつまんで横に引っ張ると...」

 

 パキ

 

「ほらこうやって箸になるんだよ」

 

「えっと、こうやって左右を軽くつまんで横に...」

 

 パキ

 

「出来た!」

 

 割れたことが嬉しいのか割れた割り箸を持って俺に見せてくる。可愛いなチクショウ。

 

「それで使い方はここに人差し指を置いてその下に中指を置いて、そしてこっちの箸を親指でこう」

 

「えっと...人差し指でこうやって中指ではこうそして親指で...あっ」

 

 やはり最初は上手くいかないらしく割り箸を落としてしまう。

 

「中々難しいのね」

 

「まぁ初めてだからね」

 

 俺は席を立ちジュリ男の後ろに立つ。そして右手を軽くつかむ。

 

「ちょ、なにを...」

 

「俺がこうやって教えるよ。んじゃまず人差し指はここに置いて中指はここでそして親指はここ」

 

 順番に教えて箸の動かし方も教える。

 

「とまぁこんな感じかな」

 

「あ、ありがとう」

 

「冷めちゃうとあれだし食べちゃおっか」

 

「うん」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 お互いラーメンを食べ終えるとロミオと蓮季が入店してきた。

 

「あ、エルじゃねーか」

 

「おっすロミオそれに蓮季も」

 

「一人できたのか?」

 

「いや二人だよ」

 

 二人は俺の隣に座るジュリ男を見る。

 

「犬塚この子すっごい美少年だゾ!」

 

「あ、ああ確かに美少年だな。けどなんかどっかで見たことあるんだよな」

 

 ジュリ男に近づきジッと顔を見るロミオ。

 

「な、なんですか」

 

「いやなんかお前すげー見たことある顔なんだよな」

 

「でもわた...僕はあなたの事見たことないんですけど」

 

「そうなんだよな」

 

 するとジュリ男が近づき耳元で喋る。

 

「どうするバレそうだけど」

 

「うーん俺はロミオになら教えてもいいと思うんだよね。俺らの関係を唯一知ってるし」

 

「エル君がそう言うなら私はいいけど」

 

「わかった」

 

 ジュリ男が離れ俺はロミオの方に向き直る。

 

「ロミオ少し話があるんだけど一回外行かない?」

 

「話?まぁいいけど。そしたら蓮季先に座っててくれないか」

 

「わかったゾ」

 

 俺はロミオを連れて外に出る。

 

「そんで話ってなんだ?」

 

「俺の隣に座ってた子いるじゃん?実は男装したペルちゃんなんだ」

 

「は?」

 

「悪いんだけどこれは秘密にしてほしんだ」

 

「ちょちょちょっと待て、あの美少年が男装したペルシア?お前友達が多くないからってそんなこと言わなくてもいいだろ」

 

「本当だよ!それに友達がいないのは余計なお世話だよ!」

 

「ていうか男装したペルシアってまじ?」

 

「まじ」

 

「つまりデートってことか?」

 

「うん」

 

「ちくしょう!羨ましすぎる!」

 

 (いや、地面に手をついてそんなに悔しがらないで?周りの人の目を気にしてほしいんですけど...)

 

「とりあえずペルシアが男装してることを黙っておけばいいだな?」

 

「頼むわ」

 

「じゃあ今度何か奢れよ」

 

「もちろん」

 

 そして俺らが店の中に戻るとジュリ男と蓮季が仲良さそうに話していた。

 

ーーーーーーーーーーー

 

 俺ら二人はラーメンを食べ終わっていたため長居するのも他の客に迷惑になるからと言って店を出て今はダリアパークに来ていた。

 

「すげぇ!まるでどこぞのハイランドみたい!やっぱりダリアって名前がついてるだけあるわ」

 

「どこぞのハイランド?」

 

「あーペルちゃんは気にしなくてもいいよ」

 

「??まぁいいわそれより早く行きましょ!」

 

 そんなにダリアパークが楽しみだったのか走って先に行ってっしまった。

 

「たく...まさかこうやって二人で遊べる日が来るとわね。まぁペルちゃんは男装してるけど」

 

「エル君何してるの!はやく!」

 

「今行くよ!」

 

 (今だけはそういうの気にしないで俺も楽しむとしますか)

 

「何から乗ろうか」

 

「わた、僕あれ乗ってみたい!」

 

「え、あれはさすがにしょっぱなからレベル高くない」

 

 ジュリ男が指さしたのはジェットコースターだった。

 

「だめ...?」

 

「くっ...」

 

 (いくら男装とはいえ元が良いから上目遣いなんてされたら断れないじゃないですか)

 

「わかったよ」

 

「やった!」

 

 ガッツポーズをした後スキップでジェットコースターの列へと向かう。本当は絶叫系は苦手だけどあんな風に言われたら行くしかないですよ...

 

 そしてジェットコースターから戻った俺は気分が悪くなりベンチで座って休んでいた。

 

「ごめんねエル君、私が無理させたばかりに」

 

「気にしなくてもいいよ苦手でも乗るって決めたのは俺だから。あと五分くらい休めば治ると思うから少し待ってて」

 

「うん...」

 

 上を向いて休んでると突然右手を掴まれる。

 

「あのなにをしてるんでしょうか」

 

「治るまでの間だけでいいからだめ?」

 

「...いいよ」

 

 (上見といてよかったわ多分今の俺の顔赤くなってると思うし)

 

ーーーーーーーーーーー

 

 五分経ち気分も良くなってダリアパーク巡りを再開して色々なトラクションに乗ってとうとう帰りの時間に近づいていた。そして最後にお化け屋敷行こうとなって入ったらペルちゃんがお化けが大の苦手だったらしく一人で先に出口の方に走って行ってしまいはぐれてしまった。

 

 (ペルちゃんどこに行ったんだ)

 

「おーい!ジュリ男ー!」

 

 気づいたら俺はダリアパークの入り口方にまで来ていた。すると先の方に池の前に一人で立っているロミオがいた。そしてその後ろから外出とかまじだりー、とか言ってたくさんのお土産を持っている土佐と古羊そして丸流がいた。

 

 丸流がロミオを見つけると後ろまで近づき池に蹴り飛ばした。どうやらロミオは泳げないらしく溺れており丸流がロミオの頭を何度も踏んで顔が上がっては踏んで沈ませていた。

 

「あいつ!」

 

 俺がロミオを助けに行こうとしたら丸流の後ろからジュリ男が現れる。

 

「その足どけてくれないかな」

 

「ああ?」

 

「そんな馬鹿でも僕の大切な人の親友だから」

 

「あー?見たことのねぇガキだな」

 

 丸流は犬塚とじゃれていただけと嘘を言ってジュリ男に近づき不意打ちの目つぶしをする。ジュリ男はそれを避けて丸流の胸倉を掴み背負い投げをする。

 

「もう人を池に落としちゃだめだよ」

 

「はい...」

 

 (ペルちゃん強くね!?え、なにあの子あんなに強くなったの?ていうかロミオが!)

 

ーーーーーーーーーーー

 

 外出から帰って夜ご飯とお風呂も済ませて俺は寮から出て外を歩いていた。

 

 (そういえばラーメン屋さんから出て他の店を見回ってる時にアクセサリーショップをでロザリオを見つけて店員さんにお守りとして大切な人に贈る物だと聞いて勢いで買っちゃったけど渡すの忘れてたわ...)

 

 そんな事を考えながら歩いていると湖まで来てしまっていた。

 

「ここ結構風が気持ちよくて落ち着くな」

 

 (はぁ、ダンまちの時と歳が近いからなのか最近力を使わなくてもファルナが浮かび上がってくるんだよな。前までは力を使うときにしか出てこなかったのに...)

 

 俺は一度深呼吸をして左手を下に向けてこの世界に来て数年ぶりにある言葉を口にする。

 

「『煉獄』」

 

 すると下に向けた左手に光の粒が集まり姿を現す。

 

「本当にこの世界は平和だな」

 

 『煉獄』を鞘から抜いて平晴眼の構えをする。そして目を瞑り頭の中で『ダンまち』の世界で俺が一番一緒にいた人物を作り上げる。

 

 頭の中で作り上げた人物が構えを取って戦闘態勢になる。そして作り上げた人物、ベルがステータスの俊敏で自分に襲い掛かる。

 

 俺はそれを避けて武器を上から切りつける。それをベルはヘスティアナイフで受け止めて右足で俺の腹めがけて攻撃してくる。武器を腹に持ってきて受け止めても間に合ないから地面を思い切り蹴って後ろに飛ぶ。

 

 一度距離が開いてお互いに武器を構えてにらみ合う。

 

「エル君?」

 

 すると突然後ろから声を掛けられる。

 

「ペルちゃん?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

ペルシアside

 

 私は今一人で寮の外に出ていた。

 

 (今日はエル君の事色々知れたわね。まさか絶叫系が苦手だったなんてね。いつもは何かと平然としてるからなんか以外だったわ。それにあのラーメン?辛すぎよ!よく東和民は平気で食べられるわね!確かわりばし?だったかしらそれの使い方を教えてもらうときに後ろから優しく教えてもらえたしラーメンには感謝しないとね!)

 

 しばらく歩いていると少し遠くから何か物音が聞こえた。

 

 (何かしら?)

 

 音のする方に近づき草むらに隠れて見てみるとエル君がすごく長い剣?を持って一人でなにかすごい動きをしていた。

 

 少し様子見をしてると一度後ろに下がって動かなくなったから私はここぞとばかりに声を掛ける。

 

「エル君?」

 

「ペルちゃん?」

 

 手に持っている武器を鞘にしまって私の方を見る。

 

「あ、えっと何してたの?」

 

「ああ少し修行してたんだ」

 

「修行?こんな時間に?」

 

「うん。ここすごく静かで湖がなんかすごく綺麗で落ち着くんだよね」

 

「言われてみれば綺麗ね」

 

「でしょ?それでペルちゃんはどうしたの」

 

「私はただ少し歩いてただけよ」

 

 そっか、と言ってエル君は草むらの上に座る。

 

「ペルちゃんもおいで」

 

 自分の隣をポンポンと軽く叩いて座るように促してくる。

 

 私は促されるままにエル君の隣に座る。もちろん肩が触れ合うギリギリの距離で。

 

「今日は楽しかった?」

 

「楽しかったわよ」

 

「そっか...」

 

「エル君は、どうだった」

 

「もちろん楽しかったよ。でもやっぱり男装したペルちゃんじゃなくてそのままのペルちゃんとデートしたかったなって思うかな」

 

 (そ、そんな普通にデートって言うなんてずるいわよ...)

 

「そ、そうねいつか普通に東和国やウェスト公国関係なくデ、デートしたいわね。それにそうできるようにエル君が今のこの世界を変えるんでしょ?」

 

「俺だけじゃないよペルちゃんも一緒に変えるんでしょ?」

 

「そうだったわね」

 

「あ、あとロミオもだ」

 

「あ、忘れてた」

 

「まぁ地道に頑張ろうか」

 

 そう言って私の手を握ってくれる。

 

 (こういう事をいつも急にしてくるから本当にずるいわこの人)

 

「そういえばそのヘアピンってずっと着けてるの?」

 

「うんこれは私にとってすごく大切なものだから」

 

「そっか...ありがとね」

 

 エル君がさっきよりも強く手を握ってくれる。私もそれにこたえるように力を入れる。

 

「実は私この花の花言葉まだ知らないのよね」

 

「え、まじ?」

 

「ええ」

 

「調べなかったの?」

 

「うんお母様に聞いてもわからないって言ってたし、調べるのもなんか嫌だったからまたエル君と会った時に聞こうかなって」

 

「よく我慢できたね俺だったら絶対に調べる自信があるんだけど」

 

「私には我慢できる理由があったからかしら」

 

「我慢できる理由?」

 

「それは言えないわよ...まぁそれは置いておいてこれの花言葉って結局何なの?」

 

「言わないとだめですか?」

 

「だめです」

 

「えっと...あなたを......ける」

 

「え?よく聞こえなかったのだけれど」

 

「だから...あなたを想い続ける、っていう意味です...」

 

「そ、それってあの頃から...」

 

「はいそういう事です」

 

「そうだったの!?」

 

「いやー渡した日に意味を教えてもいいかなって思ったけどなんだか恥ずかしかったから誰かに教えてもらうか自分で調べてもらおうかなって思って渡したけどまさか今日までそれの花言葉を知らなかったなんてねー」

 

 いつもみたいにおちゃらけた感じで言う。

 

「恥ずかしいからって...」

 

「まぁ花言葉がわかったことだし結果オーライだね!」

 

「そいうことにしておいてあげる」

 

 私が言うとエル君は立ち上がり目の前に浮いてるボートの横まで行く。

 

「ねぇこれ乗って少し向こうまで行こっか」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エルside

 

 ボートを漕いで少し離れてから止めて今日買ったロザリオを出す。

 

「ペルちゃんにこれあげる」

 

「ロザリオ?」

 

「うん今日アクセサリーショップ行ったでしょ?そこの店員さんにお守りとして大切な人に贈るって聞いて買ったんだ」

 

「それなら私も持ってるわよ」

 

 そう言って首にかけてるロザリオを外す。

 

「まじか...それならこれは俺が使おうかな」

 

「待って!あのねウェストでは日々の祈りをロザリオに込めて大切な人に贈るのよ。だから恋人たちはロザリオを交換するの。それにこのロザリオはお母様に入学祝いにもらったもので今日までずっと祈りを込めてきたものなの、それにエル君にもらったこのヘアピンと同じくらい大切なものなの...だからエル君には私のロザリオを受け取ってほしいの...ダメかしら」

 

「俺の方こそそんな大切な物をもらっていいの?」

 

「うん大切なものだからこそエル君にもらってほしいの」

 

「わかった」

 

「じゃあもうちょっとこっちに来て」

 

 言われたとおりに少し近づく。するとペルちゃんは俺の首の後ろに腕を回してロザリアをかける。

 

「大切にしてね?」

 

「もちろん!」

 

 首に掛けられたロザリオをそっと撫でる。

 

「エル君は?」

 

「うん?」

 

「エル君のはかけてくれないの...?」

 

 (この子さっきから一回一回の仕草が可愛すぎなんですけど!今だって上目遣いで聞いてくるし本当に可愛いなチクショウ!)

 

 今度は俺がペルちゃんの首の後ろに腕を回して名前を呼ぶ。

 

「ペルちゃん」

 

「何?」

 

「Je t’aime de tout mon coeur. 」

 

 そう言って俺のロザリオをペルちゃんにかける。

 

「えっとどういう意味?」

 

「教えなーい」

 

「いいじゃない教えてくれても!」

 

「やーだ」

 

「もう!」

 

 ペルちゃんが勢いよく詰め寄ってくる。するとボートが揺れてしまいバランスを崩して俺にくっついてしまう形になる。

 

「ご、ごめんなさい!今離れるから!」

 

 ペルちゃんが離れようとしたため俺は両手で肩を掴みそのまま自分の体に引き寄せて抱きしめる

 

「な、なななななな何を!?」

 

「お願い少しだけでいいから...」

 

「う、うん...」

 

 俺が言うとペルちゃんもそっと俺の背中に腕を回して優しく抱きしめてくる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「も、もういいかしら...」

 

 お互い抱き合ってどれくらいたったのだろう。きっと五分くらいだろうけど俺からしたら十分いやそれ以上の時間にも感じた。

 

「ああ、ごめんつい」

 

「別にいいわよ...」

 

 お互い顔を赤くして気まずい状態になる。

 

「も、もう時間も遅いし今日は帰ろうか」

 

「え、ええそうね」

 

 船を最初乗った位置まで漕いでお互いにおやすみと言って自分たちの寮に戻ろうとする。

 

「エル君!」

 

 寮に戻ろうとしたときに後ろからペルちゃんに声を掛けられそして...

 

「なっ!?」

 

 頬にキスをされる。

 

「じゃあ...今度こそおやすみ」

 

 そう言って白猫の寮へと走って戻って行ってしまった。

 

 俺は何が起きたのか理解できず少しの間その場でただ立っていた。

 

 

 

 




はい、どうもヨーグリーです。

遅いですが皆様あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。

空いた時間を見つけて原作を読んでやっと8巻まで行きましたけどとにかくペルシアが可愛くてやばいです!もちろん他のキャラも可愛いですがやっぱり自分はペルシアですかね。

とまぁ今回はここまで。また次回!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。