前話も編集したので見てみてください。流れは変わらないけど細かいところを変更して読み易く、わかりやすくしたつもりです。
気づいたらドチャクソ長くなって時間取られまくってしまっていた。次ページにでもしたかったけど文才が無くていい区切り方が分かりませんでした。
まるで病院のような通路を私は歩く。病院のように清潔に保たれてはするものの、ここは研究所だ。それも人目から遠ざけなければいけない様な物を研究、実験する場所だ。
広さは基地と言っても差し支えのないほど広い空間だ。
機密が多いから隔壁が多いのも、通路が長めなのも分かるが、研究者にこの広い空間を歩かせるのはいかがなものかと思う。
のんびりとした歩みではなく少しばかり気が急いているせいか、通路に反響する靴の音は間延びしたものではなく、どこかリズミカルですらある。
時間は有限であり、特にここ一ヶ月の間は1分1秒を金で買えるなら買いたい程に貴重なものだった。
タイムイズマネー。彼の話す日本語で言うなら時は金なりとは意味合いは違うがよく言ったものだと思う。
長い通路を歩きながら私は彼に関わることをふと振り返る。
私にとって苦いどころではない思い出だが、それだけに私がしでかしたことを理解しなければならない。
彼が生まれてから、私は自分のしたことをこれほど後悔したことはない。私は彼も、ましてや自分ですら怖かった。
私は他人からみたら天才と言われるやつだった。どんな難しい論文や理論も理解して自分の提案したものの様に扱う様はたしかに見れば確かに天才と言われるのも仕方がないことかと思う。
しかし私には天才と言われる発想、着想というのがまるでなかった。
それこそ凡人以下だ。そこいらにいる普通の人にだって天才的とは言われないまでも、こうすれば上手くいく、ああすれば効率的だなんてものは思ったことがあるだろう。
私にはそれがない。
いくつもの論文や理論。難しい問題を解けたとしても、それは正しい形がすでに決められたことであり、それらを新しい形に組み替えたり、効率的な運用なんてものがまるで出来なかった。新しく自分が考えつくことなどまるでなかった。
これではまるで人の皮を被った人形かコンピューターの様だと思いつつも、周りがもてはやす天才という言葉に私は酔っていたのかもしれない。事実、生き方というのを変えもしなかった。
私が自分を変えるという発想というのを得られなかっただけかもしれないが。
しかし私に呼ばれていた天才という称号はある日を境に呼ばれなくなる。
白騎士事件。
世界を変えたという事件だ。また、ISなるものが生まれた日でもある。
この事件を境に、既存の兵器はほぼ無用の長物と化し、女にしか乗れないと言う特性から女尊男卑なんて言葉が生まれたりしたが、そんなことは私にとっては些事でしかない。
私もそのISを構築する理論を見てみる機会があったので見てみると。
全てが私に理解できない理論、構造。まるで1世紀は離れた未来から来た技術者と言われても信じるほどに隔絶した発想。いや、何世紀かかってもここまで人類が到達するのは無理かもしれない。それほどに革新的であり芸術的な代物だった。
しかもそれを作ったのは十代の少女というではないか。
私に向けられていた天才というものは自分でも薄っぺらいものだと自覚していたが、ここまで本物の天才というものを見せつけられて生まれて初めて感情に体を支配された。
本物の天才に出会った感動であり、持たざるゆえの嫉妬、こうなりたいと崇拝するようで、なり得ないという諦めのような感情で、色々なものが混ざりすぎて言葉に表すのは難しいかもしれない。
ISを見てからの私は変わった。
今までの模倣するような事を自分の長所を捨て、新しい何かを生み出そうと新たな理論を考えようと必死に考える毎日だった。
その様はまるで狂気的だったのだろう。気づけば同じ研究室の人たちは仲の良かった同期含めてまるで腫れ物を扱うかのようになってしまったが、その時はどうでも良かった。
自分でも歴史に残るような何かを残したいと、そのためなら全てを捨てても構わないとその時は本気で思っていた。
しかし結果は振るわず、発想というものがない私はまるで食い荒らすかのように様々な分野に手をだして吸収していった。
遺伝子工学、機械工学、医学、etc etc…。
きっかけは確か、根を詰めすぎて寝不足の体を動かすためにコーヒーを取りに行った時だったか。
別の研究室の子がSNSに投稿されている一枚の絵を見て高い声を発していたのを覚えている。
私は絵というものに理解がなかったため、今までろくに目を通していなかったが、気分転換にでも見てみようと思った。
今調べているものもあらかた終わったし、感触もいつも通り悪かったから別方面から攻めてみるのもいいかもしれない。
ゴッホやミケランジェロも天才と呼ばれていたのだ、そういう形で世に残るのも悪くは無いのかもしれない。
まずは実物を見てみようと私はコーヒーを飲みながら端末でSNSに登録をして、件の絵を見てみるが特筆する点は無かった。
それを気にするでもなく様々な絵を眺めていると一枚の絵に目が止まった。
それは別段技術が優れている訳でもない、線は不安定で書き始めたばかりなのかも知れないがお世辞でも上手いとは言えない絵だったが。私が引かれたのは絵のタイトルだ。
『生命の創造』
このタイトルを見た時にあのISを見た時とは違った感覚が私の脳内を襲った。
電流が走った、新しい理論や着想がまるで神からの贈り物の様に脳内に降り注いだ。
これなら、これほどの偉業なら私は世界に名を残すだろう。
飲みかけのコーヒーを置いたまま研究室に向かった。
作者に賛辞の言葉を述べたら、ファン一号ありがとうございますと逆に感謝の言葉を言われて戸惑ったが、それからSNS内ではあるがその作者とはそこから交流が生まれた。
そこからの私は水を得た魚の様に没頭した。頭では倫理に触れる事だと分かっていても、それが神の啓示の様に使命感すら持っていた私に倫理なんてものは邪魔なものでしかなかった。
私はその邪魔な倫理を振り払い、目的を達する為にに亡国機業という組織に加入することにした。
亡国機業はその目的、実行内容の全容というのは分からないが、私の目的のために必要な設備、金を用意してくれた。
おおかた兵士としてでの運用を考えいるんだろうが、私は作り出せれば後は興味が無かった。多少の注文は許容範囲だ。
協力なバックアップのおかげで私はトントン拍子に事が進んでいき、対象の容体は安定。実験は完全に成功した。
脳をいじり思考の高速処理とともに伝達神経を増やし、筋肉と骨はカーボン製というデタラメさだった。上の注文で強靭な肉体というので一体目だったのもあり悪ふざけした感は否めない。
しかし淡白質の筋肉でもなくカルシウム製の骨でもないのに作った後に被検体は成長したのは理解出来なかった。生命の神秘と言うべきか。
そして成長するのならと、経過を見ると言うことで実験は経過観察。上に言われるまで被検体は目覚めることはない。
私は手応えを感じた事もあり、あとは肉体がどれほどまで成長するのか楽しみにしたが。やることが無くて有り体に言うなれば暇だった
あとは上に言われるまで実験は観察。私は目的を達してしまっていたから他に手をつける気にもならなかった。
その時ふと絵を描いていた彼の事を思い出した。
あれから交流も続け、もちろんこの実験の事を伏していたが、彼はそんな私のことを受け入れてくれる様な寛容な優しさが気付けば好きになっていた。
その絵師は今は物書きとして大成こそしてないが日本で生活をしているらしい。
時間は呼び出されるまで暇なのだ。どうせなら映像付きの電話ではなく、生であってやろう。
私はすぐさま日本に行った。
アポイントも取らず押しかける様に会いに来た私に彼はびっくりした様子なものの、そのまま私を受け入れてくれた。
呼び出される事もないまま私は彼との生活を楽しんだ。
充実した毎日だった。
人に愛されることはこんなにも素晴らしいことなんだと科学では証明出来ない幸福感というのを得ていた。
そして彼との間に子供を授かる事が出来た。
彼は喜んでくれたし、結婚しようと言ってくれた。
もちろんそれは嬉しかったのだが、その時の私には遠い言葉の様に聴こえてしまっていた。
理解したのだ。
頭で倫理というものを分かっていたはずの事を命を、生命を授かるということで倫理というものを頭ではなく心で理解した。
倫理とは、禁忌とは何故禁忌と呼ばれるのかこの時になって初めて実感したのだ。
後悔と懺悔の気持ちで泣き崩れる私を彼は優しく受け止めてくれた。
勘違いだろう。私は彼にこの事は言ってないのだ。
私は全てを話すことにした。
これで彼が離れていくのなら、それは私の罰だ。しかない事だと思いながら全てを語った。
しかし彼は寛容だった。
私の懺悔の言葉を聞き、その上でその程度の事で君を離したりなんかしないとまで言ってくれた。
それで私は決心した。
彼は良いと言ってくれたけれども、私が納得できなかった。
彼の隣に立つ為にも、お腹の子の母であるためにも、私は立たねばならなかった。
私は彼に過去を清算してくる。と言って研究所に向かった。
彼は笑みを浮かべて無言で頷いてくれる。
この優しさに惚れたのだがまた惚れ直した私はきっとバカな女なのだろう。
だけども心に活力を与えてくれる。
きっと帰って来れるだろう。
研究所に戻る最中に私は計画を立ち上げる。
被検体である彼を適当な理由をつけて廃棄してしまえば私は直ぐにでも愛しい彼の元に戻る事はできる。
しかし途中で送られて来た被検体のバイタルデータは意識こそ無いものの生きている事を告げている。
これをそのまま廃棄してしまうのはまるで赤子を降ろす様だと思った私にはその様な事は絶対に出来ない。連れ出すなり逃すなりしないといけない。
おまけに上が被検体を起こせと日時付きで通達してきたら彼を助ける事は困難になるだろう。
無論、お腹の子が隠せないほど大きくなってしまったら助けるなんて不可能だ。
助けるには今をおいてない。時間は限られている。
どう助け出すかを考えている中、ふと頭に愛する彼の描いていた物語の一幕が思い浮かんだ。
脱出劇にはストーリーがいるだろう。自然で、お約束的な物語はお約束だからこそ現実味がある。
おまけにこれなら最期はハッピーエンドで終わらせられる。
私は家で待つ彼にまた惚れ直して感謝の言葉をつぶやく。
そう決めたなら後は準備はするだけだ。自分で考え、思いつくのは苦手だが、既にある物語を模倣するだけなら私の得意分野だ。
ハッピーエンドの為に物語のアレンジは必要だが、どうにも被検体の彼を作ってから頭の調子がいい。
閃くことが出来ない私に沸き立つ様にアイディアが湧いてくるのだ。
今の私なら不可能は無いと、母は強いとでも言うのだろうか、私にはこの計画の成功を確信して必要な物事を脳内にリストアップしながら研究所へ舞い戻った。
それから20日程過ぎ、準備は完璧で時を迎えた。
亡国機業の上役には多少改変したバイタルデータを送り経過観察を即時中止、被検体を目覚めさせることを報告した。
後は彼を目覚めさせる為の起動キーを入力するだけなのだが、緊張しないと言ったら嘘になる。
もし起動キーを押しても目覚めなければ彼は植物人間、十分にありえる可能性だ。
それならば足を綺麗サッパリ洗って愛する彼との平穏な生活に戻れる誘惑にも狩られるが、被検体である彼は意識がないこといいことに散々な目にあってしまうだろう。
自分の腹を痛めた訳ではないがこれが母性なのだろう。彼には目覚めて欲しかった。
指示を出し起動キーを押す。
彼の体が電気ショックによりわずかな痙攣のあと、目が開く。
実験は成功だと周りの人らが私を賞賛するが、私は彼から目が離せなかった。
笑ったのだ。
まるで私が母だと分かっているかの様に、そして心配させまいとする苦笑のように。
罪の重さを改めて感じた息苦しさを味わい、思わず手を胸に当て懺悔する。
私の立てた物語は既に始まっているのだ、止まる事は出来ない。
私は雑念を振り払うかのように手を振り彼を培養液から出すように指示をする。
出てからすぐ暴れる可能性もあるため近くには兵士がショック警棒を携えて待機しているが、私には笑いかけた彼が暴れる様には思えなかった。
ガラスケースを上から引き抜く様にして培養液が下から漏れ出す。
静かに静観していた彼だが、培養液が半分程抜けた辺りに彼はもがく様に暴れだし転がり落ちて来た。
なお暴れる彼に兵士が警棒で制圧しようとするのを私はすぐさま静止させ駆け寄る。
無防備な彼を叩きのめすのは許さない。
これは単純に培養液からの酸素供給が止まって肺呼吸しようとしてもがいてるだけだと説明し、兵士を下がらせる。
少し経つと地に伏し、もがいていた彼の動きが緩慢になる。
どうやらあらかた吐き終えて呼吸しようとしているようだ。
私は彼に酸素マスクを当てがいながら彼に。
『生まれてくれてありがとう。私が母親よ』と言った。
生まれたばかりで言語は理解していないはずなのだが、そう言ったあと気を失う様に寝た彼の寝顔や安心した様な安らかな寝顔だった。
それから1.2日程たった彼は目覚ましい成長を見せた。
最初から力が入らないのかフラつきながらも二足歩行をし、日本語を話したのだ。
二足歩行はまだ分からなくも無かったが日本語をいきなり話始めたのはびっくりした。
どうやら兵士が彼の部屋に、この研究所に預けられていた少女の教科書をふざけて置いたのが理由らしい。
教科書は日本語で書かれているにしても異常な程だった。
すぐさま警戒レベルを引き上げられ、彼の部屋には電子部品が無くなったのは仕方ないとはいえ、計画に多少の変更は余儀なくされた。
しかしこれほど理解力があるのなら計画は口頭で伝えても良いだろう。
本当ならデータで渡したかったが、その程度なら計画の機密性が上がってむしろ良いのかもしれない。
それから5日ほど経ち、今に至る訳だが、彼の安全性は保証され今は警戒レベルがかなり引き下げられている。
彼は大人しく従順だった。
一度たりとも暴れることなく、指示された事に素直に従うのだ。
被検体01と呼ばれた時は少し嫌そうだったが今はそんな事はない。
この場だけでも名前つけてやればいいのにとも思う。
今は目立つ事は避けたかったので私もそう呼ぶ事にしたが、なかなか辛いものだった。
ここから出したら精一杯の愛情を込めて名前を呼んであげよう。
そう考えていたらもう少しで彼の部屋の場所まで着いたようだ。
警戒レベルが下がったおかげか扉の横に兵士は居ない。
扉の前までたどり着いた私は時刻を確認する。
私が彼と記録に残らない会話が出来るあと20分程だったが、これなら口頭で説明してもお釣りが来る時間だ。
そう思ってカードキーを読み込ませようとした瞬間に少し考えがよぎった。
彼が脱出を拒む可能性を考えていなかったのだ。
彼は従順で大人しく、そしてこの環境では素直だ。
無いとは思うがこの環境で満足して追われる立場を嫌がる可能性を思いつかなかった。
手が止まってしまったが時間は有限で、今はもう悩めるほど余って無いのだ。
もう止まれないと決心し、カードキーを差し込むとランプが緑色に光り、扉横にスライドして光る。
襲うなら今なのだが、今まで彼はそんな事をしたことが無いからこそここまで警戒レベルが下がったのだ。
警戒しなさすぎだと思いもするが、そう手配したのは私で、脱出計画がよりやり易くなるから彼の従順さは今は有難い。
扉から彼の様子を見ると教科書を開いて考えごとをして居たようだ。
書物がこれしか無いとはいえ、勉強熱心なようでなによりだ。内容は全て覚えているはずだから暇だっただけかもしれないが。
彼と目が合うとキョトンした顔だ。
カウンセリングと言う名の対談の予定は入って居ないし、何故?と言った顔をしている。
ここには時計がないなら分からないのも無理はないが、彼が筋力の測定に向かうのはあと1時間程先だ。
無いとは思うが、脱出を断られる可能性という不安を今は頭の隅に追いやり、私は計画を話すために日本語で声をかける。
『おはよう01リハビリはまだ後よ、それより話があって来たの。取り敢えず聞いてくれるかしら?』
なんでこんな糞重い話になるんですかね?早く日常編に行ってわちゃわちゃしたいです。
次のページ終わったら?多分日常編に行けると思います。
あと白騎士事件と一夏誘拐の時系列を捏造してます。いつ起きたのかよくわかってないのもありましたんで都合いいようにしました。
行替えの空白はいつか頑張って治します
感想くれると無茶苦茶喜びます。ここ変だぞみたいなのでも歓喜しますので頂けるとモチベが爆上がりします。
次こそソシャゲに専念するから遅れると思います