無限の龍神と永遠のメモリ   作:サイクロンアクセル

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一年経って

オーフィスがメモリ探しの旅を始めてから一年。この旅はオーフィスを精神的に成長させたといっても過言でもないだろう。当然ながら、全てのメモリがエターナルメモリの様に遺跡にあるわけではなく、既にだれかの手に渡っているものもあった。それを譲って貰う際、人と関わるのは確実であり、それがオーフィスに感情というものを多少ながら理解させた。まあ、そのせいで今まで自身が孤独であったと理解し、寂しさを知ったのだが。

 

「着いた」

 

そんなオーフィスは今、駒王町へとやってきていた。理由としては、ドライグの気配を察知し、久しぶりに会おうかなと思ったからなのだが、持ち主が未だ神器を目覚めさせていないのかこの町の何処かにいる程度にしかわからないほど、気配が弱い。

 

「困った」

 

来たはいいが、そこからどうするか考えてなかったオーフィスは悩み始めた。探すにしても、この町は広い。なので、適当に歩き回ることにした。偶然会えればいいかな程度に考えながら、公園付近を歩いていると、先を歩いていたシスター服の少女が倒れた。それに気づき、公園から少年が心配そうに近づいてくる。その少年を見た瞬間、少年から漏れるオーラでオーフィスは理解した。その少年こそ、自身が探していたドライグを宿す『赤龍帝』であると。しかし、そのオーラはあまりにも弱く、神器が完全に目覚めておらず、ドライグが起きていないことがわかる。

 

「仕方ない」

 

オーフィスはそう呟くと、ゆっくりと少年少女から離れる。極限まで自身の力を抑えているとはいえ、それでドライグが目覚めてしまっても、少年のためにならないだろう。完全に目覚めていないと言うことは、それなりの理由があるだろうから。次、目覚めた時に、会いに来ればいいだろう。

 

「此処、悪魔多い」

 

この町全体から漂う無数の悪魔の気配。それと堕天使の気配が少し。大体の悪魔は、学校辺りに集結している様だが、ポツポツと人気のなさそうな場所に悪魔の気配がある。大凡、はぐれだろう。何故、此処の領主が放って置いているのかは謎だが、メモリの力を試すために一体くらい自分が倒してもいいいだろう。そう考えたオーフィスは一番近くのはぐれの気配がある場所へ向かった。

 

 

「よし」

 

気配のする場所である廃墟にたどり着いたオーフィスはロストドライバーを腰に装着し、エターナルメモリを差し込みエターナルへと変身する。

 

「変身」

 

『エターナル』

 

あの時と同じ、黒い腕のエターナルに変身したオーフィスはドアを開け、奥へと進む。すると、物陰から上半身が女、下半身が化け物の悪魔が出てくる。

 

「何だ貴様」

 

「我?我、オーf」

 

そこまでいって、オーフィスは口を閉じた。以前、普通にオーフィスと名乗った際に、大変な目にあったので、ここは偽名を名乗った方がいいだろう。そう結論付け、オーフィスは偽名を名乗った。

 

「……限無」

 

といっても、あまり難しく考えられなかったオーフィスは、結局自身の無限を逆から読んだだけのものとなった。力は抑え込んでいるため、バレることはないだろう。まあ、これから倒すはぐれ悪魔にだったら本名を教えてもいいかもしれないが。

 

「その姿、どうやら神器持ちのようだがあっさりと殺してやる!」

 

「どれ使おう?」

 

荒々しく攻撃を開始するはぐれ悪魔。オーフィスはそれを全て避けながら、どのメモリを使おうか考える。そこで思い出したのが、感情エネルギーで上限を超えるらしい『切り札』の記憶が内包されたジョーカーメモリ。感情を理解しきれていないオーフィスが使ってどの程度なのか疑問に思ったので、とりあえずそれを使ってみる事にした。

 

「どうしたぁ!?避けるだけかぁ!」

 

「違う」

 

そう言って、ジョーカーメモリをロストドライバーについているマキシマムスロットに挿し込み、マキシマムドライブを発動させる。

 

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

その音とともに、オーフィスの腕が紫電を纏う。それに焦ったはぐれ悪魔の大振りの攻撃を避け、オーフィスは渾身の一撃を叩き込む。

 

「ライダーパンチ」

 

見事腹を捉えたオーフィスの一撃によって決着はついた。それを食らったはぐれ悪魔は爆発を起こし、この世から消え去った。オーフィスはマキシマムスロットからメモリを抜き取り、それを見つめる。想像よりも威力が高かったからだ。

 

「凄い」

 

エターナルになって始めてエターナルメモリ以外のマキシマムドライブをしたが、なんて事はなかった。地球()の本棚によると、エターナルの真の力は26本の同時マキシマムドライブらしい。1本でこの威力であるのなら、26本ではどんな威力になるのか想像もつかない。知らず口角が少し釣り上がるオーフィス。

 

「我、楽しみ」

 

知らずそう口にするオーフィス。しかし、別の悪魔の気配が5つほど近づいてくることに気づいたオーフィスは、表情を変えて果たして会うべきかどうか悩み始めた。といっても、オーフィスはここ一年の旅で、今まで無意識のうちに漏れ出していた力も含めて制御出来るようになっている。だから、余程、洞察力に優れていない人物でない限り、自身が『無限の龍神』である事を見抜ける人はいないだろう。そう考えると、出会ってもいいんじゃないだろうかと思えてくる。そうこうしているうちに、その悪魔達はここへやってきた。その悪魔の中に、先ほどのドライグを宿した少年も居り、少しバレるんじゃないかと不安になったが。

 

「貴方、何者?」

 

その中の赤い髪の少女はオーフィスにそう質問を投げかけた。まあ、外見がどう考えても悪魔じゃないので当然の質問だろう。ここでもオーフィスは偽名を名乗る事を忘れない。

 

「我、限無」

 

ロストドライバーからエターナルメモリを抜き、変身を解きながらオーフィスはそう答えた。

 

 




さて、1年の旅を得て精神面で成長し感情を会得し始めたオーフィス。みんなの無能王ことリアス・グレモリーと会いました。無能にしようかどうかは現在考え中ですが。それと、ジョーカーメモリ云々は風都探偵の設定です。

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