無限の龍神と永遠のメモリ 作:サイクロンアクセル
翌日、オーフィスは約束通りオカルト研究部へとやって来ていた。と言っても何か特別なことがあるわけでもなく、強いて言えばアーシアが悪魔に転生していた事くらいか。使った悪魔の駒は『僧侶』、すなわちビショップのものらしい。それ以外は昨日の事を話し、その日は解散。オーフィスはその足でメモリ探しの旅に出た。
事が起きたのは、その旅からオーフィスがオカルト研究部に帰ってきた時だった。いや、既に起こっていたと言うべきか。
「おいおいリアス。誰だこいつは?ただの人間がここに出入りしてるのか?」
「神器を持ってるから保護してるのよライザー」
扉を開けたオーフィスを見たライザーと呼ばれた男が、不思議そうにリアスに尋ねる。そんな彼を気にも止めず、オーフィスは小猫の座る席の隣に腰を下ろした。力を隠すのはうまくいっているようである。良く見れば、見覚えのあるような無いようなメイド服の女性もいる。やたらこちらをチラチラと見ているようだが、オーフィスは特に気にした様子もなく未だ見つけていないガイアメモリが如何なるものか想像する。
「いい加減にしてちょうだい!私はあなたとは結婚しないって何度も言ってるじゃない!!」
しかし、まだ見ぬメモリに思いを馳せていたオーフィスもリアスの怒号にはついそっちを見てしまう。怒鳴られてると言うのに、ライザーの表情は余裕そうだ。まるで、そう来るのが分かっていたかのように。
「おいおいリアス。君は自分の家のお家事情や今の冥界の事情を分かってないのか?」
「分かっているつもりよ。でも、私は私が選んだ人と結婚したいの!だから、あなたとは結婚しない!!私はあなたを選ばない!」
「……リアス、俺もなフェニックスの看板を背負ってんだ。だから名前に泥を塗るわけにはいかない。そこの人間含めて、キミの下僕を全員燃やしてキミだけを連れて行っても良かったんだ。それをわざわざ来たくもない人間界に足を運んでやったんぞ?。この炎と風を司るフェニックス家の俺が、汚れた炎や空気漂う人間界にだ」
自分で言って苛立ったのか、ライザーは魔力を炎の様に漏らしながら威圧とも取れる行動を取った。オカルト研究部全員が戦闘体制に入る中、メイド服の女性がゆっくりと前に出て、ライザーのそれを超える威圧を持ってして口を開いた。
「ライザー様、今回は話し合いに来た筈です。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにはいかなくなりますが?」
「……最強の女王のあなたにそう言われたら仕方ない」
苛立はしている様だが、魔力を抑えソファに座り直すライザー。メモリを試したいオーフィスとしてはそのまま荒事になってくれた方が嬉しかったが、止められてしまってはしょうがない。平行線を辿る2人の話し合いに、メイド服の女性は提案する様に口を開いた。
「こうなる事は予想されていました、話し合いで解決出来ないなら、最終手段であるレーティング・ゲームで決着をつけるしかありません。ご存じの通り、本来であればお嬢様はまだ公式のレーティング・ゲームには参加できません。ですが、非公式であればお嬢様であっても参加できます」
「非公式のレーティング・ゲーム。身内のいがみ合いで良く使われる手段ね。……そこまで私の人生を弄くり回したいのかしらお父様は」
さて、レーティング・ゲームとは何だったかと思い出せないオーフィスは自然な流れで何も書かれていない本を取り出し、
「レーティング・ゲーム」
その言葉と共に白い空間の中に浮かぶ本棚が縦横無尽に動き回り、最後には一冊の本を残して彼方へと消えていく。残った本を手に取り、中身を読めばレーティング・ゲームの全てがそこには書かれている。
「なるほど」
「赤龍帝もこの程度、これじゃあ余りにも可哀想だな。……十日、猶予をやろう。無駄だとは思うがな。ああそれと、そこの人間も神器持ちなんだろ?非公式なんだから、ソイツも参加させれば少しは穴を埋められるかもな?」
「グレイフィア、非公式だからって人間を参加させることなんて出来るのかしら?」
「え、ええまあ非公式ですから出来ないわけではないです」
ライザーの発言に少しばかり動揺を見せた様なメイド服の女性、グレイフィアがリアスの質問に若干詰まりながら返答する。流石に、彼女程の実力者となるとオーフィスから何かを感じ取っているのかもしれない。
「限無ちゃん、どうかしら?もちろん嫌なら断ってくれても良いわ」
グレイフィアの返答を聞いたリアスがオーフィスへと問う。オーフィスとしては別に断る理由もなく、むしろメモリを使える機会が来たと言う認識なので、それを了承した。
「そう。ありがとう限無ちゃん。それと、ごめんなさいね。内輪揉めに巻き込んでしまって」
「問題ない」
「どうやら話は纏まった様だな?そこの人間含め、十日後にレーティング・ゲームを行う。俺が勝てばリアスは俺と結婚し、負ければ俺は潔く身をひこう。それで良いな?」
「ええ、それで良いわ」
リアスの返答を聞いたライザーと女性や少女たちは魔法陣で何処かへと転移していった。基本どんな傷でも治せるフェニックスが相手となればとオーフィスはZの記されたメモリを手に取り、ほんの少しだけ口角を上げた。