短編集。またの名を駄文廃棄場。   作:ゆらぎみつめ

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転生するらしいのでチートを頼んだら リメイク版没3

 

 

 

 

 今回のループはNARUTO世界。

 

 ループの終了条件はNARUTO世界最強のチート、大筒木カグヤの力を手に入れる事。

 

 原作知識という心強い代物のお陰で大筒木カグヤの力を手に入れる為に必要な道筋が分かっているのだが、さて、どうしたものやら。

 

 

 

 

 最初のループでは十代の若さであっさりと逝った。

 

 うん。あっさりと。

 

 転生した時代はなんと、うちはと千手が殺し合う戦乱の時代。未だ一国一里のシステムすら存在しない原作開始百年ほど前。無理ゲーである。

 

 人を殺す経験も、戦争に参加した経験もあるのだが、流石にループ初期の子供スペックでは限界がある。

 

 これまでのループで鍛えた戦闘能力も万全には程遠く、子供でありながら出された初陣にて見事その幼い命を散らした。

 

 なんて事だ。最初のループでこうもあっさり死ぬとは。ちくしょうめ。

 

 だが問題ない。まだ一度死んだだけ。まだ絶望するには早い。

 

 何度もループし、何度も死に、何度も繰り返す。

 

 ループ転生先は毎回バラバラで、ある時はとある小さな一族、あるいは商人の、あるいは普通の村人として転生し、死ぬ。当事者でなくても、巻き込まれて死に、理不尽に死ぬ。そんなことはとうの昔に経験済みだ。

 

 ならば恐れることはない。

 

 どうせ条件を満たさない限りループは続くのだ。

 

 キリキリ次のループに行こうか。

 

 

 

 

 次のループは普通の村人として転生した。

 

 これなら初陣で死ぬなんてこともない。忍びだったら目も当てられないが。

 

 とりあえずの目標を寿命で死ぬことと定め、俺はこのループを生きる事にした。

 

 千里の道も一歩から。まずは死なないことが最優先である。

 

 その為に死ぬ気で忍者の修行をした。

 

 NARUTO原作で行われた修行方法。

 

 木登り。水面歩き。影分身を用いた高効率修行などなど。

 

 他にも様々な修行を行った。

 

 忍びの基本的な技術は最初のループで学んでいるので修行のレパートリーには事欠かない。

 

 そんな感じで寿命で死ぬその瞬間まで修行を続け、このループは終わった。

 

 

 

 

 三ループめ。

 

 再び忍び一族に生まれたが、前回のループで人生丸々修行にあてて鍛えまくったお陰でスペックはかなり向上している。

 

 これならば子供の身であっても十分生き残れるだろう。

 

 チャクラも大の大人ほどあり、膨大なチャクラが前提条件の多重影分身の術を用いた修行も出来るようになっている。とはいえ、ナルトみたく千人とか馬鹿みたいな数は出せず、辛うじて二十人ほど出せる程度だが。それでもかなり効率は良くなった。

 

 それと今更な話だが、神様の粋な計らいか、数えきれないほどのループを経て未だに記憶が薄れない。ループはfate/stay night世界を除けば毎回赤ん坊からであり、生きた年数で言えば数千年以上は余裕に過ぎているにも関わらずだ。まあ、それで助かってるから文句を言うつもりは全くないが。ただ生前の俺はにわかだったのか、原作知識にしては微妙にあやふやな部分があるのが難点だが。

 

 

 

 

 とんで百ループめ。

 

 数十のループを越えて、俺はかなりの実力を有する忍びになった。チャクラも尾のない尾獣と呼ばれるほど膨大で、人柱力とタイマンを張れるほど。

 

 だが数十のループを経て、様々な忍び一族に転生しているのに一度も血継限界のある一族に転生していない事が気がかりだ。血継限界は珍しいため偶然なだけかも知れないが、もしも偶然でなければ俺は最終的に外法に手を出さなくてはいけなくなる。偶然だといいのだが。

 

 

 

 

 更にとんで三百ループめ。

 

 偶然ではなかった。

 

 ループ数が三百回を超えても血継限界の忍び一族には一度も生まれず、いずれも凡庸な一族生まれだった。

 

 これはいよいよもって外法に手を出さなくてはならないのか。

 

 そもそも原作の輪廻眼やら、人柱力やらが外法の筆頭格だった。

 

 最初から外法に手を出すのは確定していた。

 

 あまりに甘い考えだった。

 

 人の身に余るチートである。生半可な覚悟で手に入れようなどと虫が良すぎたのである。

 

 そんな事は今まで当たり前の事だったというのに、それを失念していた。

 

 それからのループは、純粋な忍としての技をひたすら磨くことに腐心した。

 

 血継限界を奪うには相応の実力が必要だからだ。

 

 ループを終わらす為には大筒木カグヤの力を手に入れる必要があるが、その為には十尾と輪廻眼がいる。

 

 十尾はまず輪廻眼に目覚め、一尾から九尾までの尾獣を集めなくてはならず、輪廻眼は永遠の万華鏡写輪眼と、千手柱間の細胞、インドラとアシュラのチャクラを手に入れなければならない。

 

 この中で一番最初に取るべきは写輪眼だが、しかしうちは一族はあのマダラが率いる一族である。適当なうちはの誰かから写輪眼を奪うにも難易度は高い。幻術対策もそうだが、下手につついて万華鏡を開眼する奴が現れても大変だ。幸いにも、アイテムボックスがあるので、ゲットして即自害からの次のループ。というコンボが出来るので、安全な場所で移植するなりなんなり出来る。というかそれが一番確実な手だろう。しかし問題はそれがあっても難易度が高いということだが。

 

 なので、まず先に柱間細胞を手に入れる事にした。

 

 その理由は、恐らく千手柱間は若い時に死亡していると判断したからだ。

 

 何故なら、基本穢土転生で喚ばれる時の姿は死んだ時の姿である。その事から、千手柱間は木の葉設立後から何年かで死亡している事になる。NARUTO世界でのループは何故か必ず柱間やマダラと同時期に生まれるので、長生きすれば死亡した柱間の遺体を墓から奪うことが出来るというわけだ。難易度も比較的達成しやすいのもポイントだ。

 

 その為には木の葉所属になり、火影の墓に近付ける地位につき、遺体を奪える実力を得る。それらの条件を揃えた上で柱間細胞を手に入れる。

 

 そうして柱間細胞を手に入れたら次はうちはの写輪眼だ。

 

 写輪眼の開眼条件は感情に左右されるから早めに手に入れたい。ループを繰り返し過ぎたからか、感情の起伏が小さくなっていてかなり厳しい。特に死に対する恐怖はかなり薄い。木遁があればその分入手出来る確率も高くなるだろうから頑張らなければ。

 

 

 

 

 ふははははは!やったぞ!手に入れたぞ!柱間細胞を!

 

 ループ四百回半ば。木の葉隠れの里に所属し、千手柱間の遺体を納める墓の警備係になる事が出来た。そして二代目火影、千手扉間が他里の影との会談に向かった隙をついて千手柱間の遺体を奪う事に見事成功した。

 

 この時のために本来の実力を隠し、中忍程度の実力と周囲を欺いたのが功を成した。

 

 既に四百ループ、最低でも数千年近く忍びをしているのだ。弱い筈がない。血継限界はないが五属性の忍術は全て性質変化も形態変化もマスターし、高難度の高等忍術も修得。陰陽遁もそこらの有象無象には負けはしないし、体術も八門全て、八門遁甲の陣まで開け、既に三度開いた事もある。医療忍術も綱手の再生忍術・創造再生を一応再現できる程度には腕を磨いた。幻術と仙術に関してはまだまだ心許ないが、まあ並みの忍び相手なら十分すぎる。まあ、仙術は人獣形態としかいえない有り様だが、戦えないことはないから問題はない。うん。蛙人間て誰得なんだろう。

 

 まあともあれ、千手柱間の遺体を奪った俺はそのまま里抜けし、前もって用意していたアジトに向かった。

 

 そこで柱間細胞を抽出し、遺体をアイテムボックスに入れてからすぐに移植した。細胞の鮮度は医療忍術でなんとか取り戻し、安全装置として全身に呪印を刻み、この時のために調合した秘薬を服用して。

 

 既に追っ手は放たれた事だろう。千手扉間も急いで引き返し、俺を探し始めている頃だろうし、あまり猶予はない。

 

 柱間細胞を移植して激痛の走る体を引きずるように、アジトを後にする。

 

 流石は柱間細胞。恐ろしい生命力だ。呪印によって柱間細胞の力を抑えているにも関わらず体がバラバラになりそうになる。

 

 細胞が馴染むのにどれほどの時間がかかるだろうか。それとも死んで次のループに向かったほうがいいのか。

 

「そこまでだ」

 

 

 

 

 次のループ。

 

 まさか千手扉間があんなに早く俺を見つけるとは思わなんだ。

 

 なんとか逃げようとしたがどうにもならなかったので、次のループに期待して呪印を解除。柱間細胞を暴走させた。千手扉間は飛雷神の術で逃げたので無事である。俺は柱間細胞の暴走により大木と成り果ててご臨終だったが。ぎゃあー。

 

 ……よくよく思い出してみれば、千手扉間がクーデターに巻き込まれて命を落とすタイミングで実行すれば良かった。うっかりしていた。遠坂家のうっかりが移ってしまったのだろうか。恐ろしい。

 

 そして次のループ。柱間細胞が馴染みきっており、千手柱間には劣るが木遁が自在に扱えるようになっていた。やったぜ。

 

 更になんと、なんとループ転生先が千手一族である。ひゃっほー!まさかの千手。柱間細胞のお陰だろうが、初の血継限界の一族ーー正確には柱間だけが木遁に目覚めただけで血継限界の一族とはいえないが。ーーだ。

 

 これで目標へとぐっと近付く事が出来る。何故なら千手一族はうちは一族と並ぶ忍び一族。戦ではうちはを雇われたら千手を雇え。といわれるほどで、そのせいで幾度も鎬を削っている間柄だ。つまり、写輪眼を手に入れる絶好のチャンスということだ。この機を逃す手はない。絶対に写輪眼を手に入れなければ。

 

 

 

 ヤバイわー。マジヤバイわー。

 

 うちはマダラと千手柱間ヤバイわー。

 

 何あれ。何なんあいつら。化け物過ぎるわ。

 

 尾獣同士の戦いの方がまだマシってどういうことなの。

 

 目的の写輪眼があっさり手に入り、予備の写輪眼も大量に入手出来たので、調子に乗って千手柱間とうちはマダラの戦いを観戦しに行ったのだが、そんな感想しか言えなかった。

 

 それは最早戦いではなかった。

 

 例えるならば、災害。山が崩れ、地が割れ、天が轟く、世にも恐ろしき災い。

 

 チャクラ量でいうなら俺もあれぐらいの事は出来るが、あの二人のようには出来ない。

 

 それほどの戦いだった。

 

 正直土影が絶望するのも納得の光景だ。原作を知っている俺ですらそうなんだから、この世界の人々にとってはまさに神話に語られるような強さだろう。

 

 千手柱間とうちはマダラ。両雄の戦いが終わりを告げ、戦場から姿を消した後、俺はこそこそと戦場跡に向かい、ある血のついたクナイを手に入れた。

 

 その後、手に入れたクナイに付着していた血とほんの少しの肉片を移植し、ついでに写輪眼も移植した。

 

 これで俺は千手柱間とうちはマダラ両方の血肉を手に入れたのだった。

 

 それから紆余曲折あり、そのループ中に万華鏡写輪眼を開眼した。ミラクルである。

 

 更に晩年、千手柱間の遺体を全て取り込み、命を落とした。

 

 

 

 

 次のループ。

 

 普通の村人に転生した。

 

 何ループか振りに忍び一族以外に転生したのでのびのびと過ごす。

 

 前回のループで万華鏡写輪眼に目覚めたので更にテンションが上がる。

 

 右目は大国主(オオクニヌシ)。左目は八上比売(ヤカミヒメ)といい、形は赤地に黒い六枚の花弁の形をしている。そして右目が融合。左目が分離の力を宿す。要は物質融合能力であり、他者の肉体や無機物と融合したり、一つの物を二つ以上の物に分離する事も出来る。頑張れば須佐能乎にも使えたり出来る。主な使い道は物質と一時的に融合する事で障害物や攻撃をすり抜ける神威モドキに、血継限界の一族の肉体と融合し、命を奪わずに血継限界だけを奪い切り離す事も可能である。言ってしまえば音の四人衆、右近と左近の力の上位互換のようなものだ。これにより、血継限界を相手を殺さずに奪う事が出来るようになった。

 

 ちなみに前回のループでの死因はこの万華鏡写輪眼の力を使って千手柱間の遺体と完全に融合したためである。オリジナル並みの力を手に入れた為に肉体がついていかず、ぽっくり逝ってしまった。まあ、予想できていたから晩年に行ったわけだが。

 

 しかしそのお陰で仙術を完璧に使いこなす事が出来るようになった。柱間細胞を完全に取り込んだ為か柱間と同じ隈取りが現れたし、一瞬で自然エネルギーを溜めることも可能になった。流石柱間細胞。俺が何ループもかけて修行して蛙人間だったのに一発で完全になるとか。……天才てずるいね。うん。

 

 そして万華鏡写輪眼と柱間細胞の二つを手に入れた俺は、……調子に乗った。

 

 テンションのままに尾獣を捕らえに行き、九尾をゲットして人柱力になった。

 

 九尾は強かった。流石は主人公のパートナーにして最強の尾獣である。人柱力になったはいいが、万華鏡写輪眼と柱間細胞が無ければあっという間に食い殺されていただろう。

 

 正直調子に乗り過ぎた。反省している。後悔もそれなりにしている。

 

 だがやらかしは、これだけではなかった。

 

 九尾で味をしめた俺は、更に他の尾獣にも手を出していった。

 

 これまでのループの経験から尾獣の居場所は大体把握していたので探す必要はない。ただ確実に尾獣を捕らえられる力があれば良かった。

 

 そうして、気が付けば全ての尾獣を手に入れた後だった。

 

 後悔先に立たず。

 

 やらかしの報いはすぐに訪れた。

 

 一尾から九尾まで全ての尾獣を集め、膨大なチャクラを手に入れた俺だが、あまりに膨大な力に制御が利かず、仕方なく呪印で大半の力を封印するはめになった。

 

 これで後は輪廻眼さえあれば六道仙人化出来るが、制御出来ない力に更に強大な力を手に入れるなんて自殺行為を、頭を冷やした俺に出来る筈もなく、誰も来ないような僻地に隠れ潜み、今生を力のコントロールにあてる事にした。

 

 

 

 次のループも村人だった。

 

 前回は老衰でぽっくり逝くまでずっと力の制御にあてたお陰か、晩年にはなんとか制御をものにする事が出来た。

 

 が、しかし、今回のループになってとんでもない事態が起きていた。

 

 なんと、全ての尾獣のチャクラが丸々引き継がれていたのだ。

 

 コントロールに俺の前ループを食い潰した尾獣達のチャクラが、丸ごと。

 

 しかもチャクラを制御支配していた尾獣達の人格はなく、ただ力だけが体内に存在している。気を抜けば一国を消し飛ばしかねない莫大なチャクラが丸々。これは不味い。これでは何時周囲を焦土に変えてもおかしくはない。

 

 失念していた。

 

 こうなる事は分かっていただろうに。

 

 仕方なく再び力の制御にループを費やすことになった。

 

 必死に力を制御し、なんとかまともに運用できるようになったのは老衰一歩手前。

 

 これからは絶対に調子に乗らない。

 

 そう決心し、次のループに向かった。

 

 

 

 次のループ。

 

 今回はなんとうちは一族に転生した。

 

 永遠の万華鏡写輪眼フラグである。

 

 そしてフラグ回収は早くに訪れた。

 

 今生の父親は万華鏡写輪眼を開眼していたらしく、戦死した際に万華鏡写輪眼だけが帰ってきた。戦ではこういうことがよくあるから嫌になる。早速眼を交換し、永遠の万華鏡写輪眼になったので一応の目的は達成した事になるのだが、複雑な気分だ。はあ。

 

 尾獣の力をほぼコントロール出来るようになった。前回のループを丸々費やしたお陰である程度は制御出来るようになったので、より精度を高めるために戦そっちのけで修行ばかりしていた。

 

 原作?そんなものもありましたね。

 

 

 

 

 百ループが過ぎた。

 

 力のコントロールを完璧といっていい精度まで磨き上げ、万華鏡写輪眼の錬度もかなり高まった。

 

 順調なのだが、しかし輪廻眼には未だ開眼していない。うちはマダラの血肉を移植したが、あれではまだ足りなかったのだろうか。しかしだからといってうちはマダラと戦い、その血肉を奪うというのは厳しい。万華鏡写輪眼の能力は完全に使いこなせているといっても過言ではないが、須佐能乎に関しては未だ骨組み状態で一部しか発現できていない。やはり完全に力を制御出来るようになってからしか輪廻眼にはなれないのかもしれない。となるとひたすら修行を行うしかないか。

 

 

 

 更に百ループ経過。

 

 万華鏡写輪眼を完璧に使いこなすことに成功した。

 

 完成体・須佐能乎を発現できるようになったし、他の血継限界でもめぼしいものは粗方手に入れる事が出来た。

 

 例えば日向一族の白眼。

 

 なんとか日向の宗家から奪う事が出来た逸品。両目は既に写輪眼だったので両手の平に移植したら、次のループでは写輪眼と融合していた。両方の力を持つ眼へと進化したが負担が大きすぎて同時には使えず、どちらかに切り替えてしか使えないがそれでも破格の瞳術になった。

 

 かぐや一族の血継限界。

 

 骨を自在に操る血継限界であり、白眼と同じく大筒木カグヤ由来の由緒正しい力。

 

 そして血継限界ではないが、うずまき一族の封印術と生命力である。これにより、尾獣の力もかなり安定したし、体力もかなり増した。原作主人公と同じ血かと思うと中々に感慨深い。

 

 他にも血龍眼、氷遁や嵐遁などの血継限界も手に入れたが、上三つだけでも十分だったかもしれない。塵遁もあったが、あれは威力がありすぎて逆に使いどころがないのである程度使えるようになったらお蔵入りになった。

 

 こうして色々な血継限界を手に入れたわけだが、やはり輪廻眼には目覚めなかった。

 

 これはいよいようちはマダラの肉体を手に入れなければならないようだ。

 

 ふと、よくよく思い出してみれば絶好のチャンスがあった事を思い出した。

 

 そう、うちはオビトがうちはマダラのいるアジトに迷い込むときである。

 

 その時、うちはマダラは死ぬ。その直後にその死体を食らう。これほどベストなタイミングはない。それには長生きしなければならないが、尾獣を全て身に宿したからか、それとも血継限界をいくつも宿したからか、俺の寿命は格段に伸びている。だからそれは簡単に達成出来る問題だ。後は気付かれずに侵入し、うちはマダラの遺体をいただく事。うちはオビトをストーキングするだけでうちはマダラの場所は分かるから問題ない。問題は黒ゼツの監視を抜ける事だが、まあよし、やってやるぜ。

 

 

 

 

 幾つかのループ後。

 

 ようやくうちはマダラの遺体を奪う事が出来た。

 

 黒ゼツの監視を振り切り奪うのは至難の技だった。

 

 だがその苦労に見合う成果を手に入れる事が出来た。うちはマダラの遺体と融合した瞬間、輪廻眼に目覚めた。外道魔像はないからか輪廻写輪眼には目覚めなかったが、六道仙人化は出来た。完全体になるには外道魔像も取り込まないといけないが、大筒木カグヤに侵食されかねないので今はここで踏みとどまっておく。

 

 とりあえずあと一歩のところまで来れたが、せめて大筒木カグヤと正面から渡り合えるぐらいの力は欲しい。機会があるなら月に行き、転生眼も手に入れたい。俺はボス戦の前には出来るだけレベルを上げ、入念な準備をして挑むタイプだ。たまにテンションに任せて挑むときもあるがそれはそれである。仕方ないね。人間だもの。

 

 

 

 

 約三百ループ後。

 

 月に行き、転生眼強奪。大筒木ハムラの子孫の血肉も手に入れた。

 

 尾獣を再び集め直し、それぞれ十匹ずつになるように揃えた。

 

 戦闘経験を積む為に世界征服をした。

 

 ……うん。三行にまとめてみたが滅茶苦茶だな。

 

 まず、転生眼は便利なので大筒木ハムラの子孫には悪いが奪わせて貰った。お陰でチャクラ吸収能力と傀儡を操る力が強化され、戦闘能力が大幅に上がった。

 

 尾獣を再び集めたのはチャクラ量を増やすためである。大筒木カグヤは星そのものといっていい膨大なチャクラを有している。だからそれに打ち勝つために尾獣というチャクラのタンクを狙ったのである。普通に修行してチャクラを増やすより、尾獣を手に入れたほうが効率がいい。ちなみに何故九尾だけを狙わなかったかだが、九尾だけを集めるとチャクラが不安定になったので仕方なくそれぞれ十匹ずつ、合計九十体になるように集めた。これでチャクラは十分だろう。

 

 そして世界征服に乗り出したのは、戦闘経験を積む事を兼ねた世界平和への挑戦である。

 

 いずれ一国一里の形に落ち着き、仮初めの平和が訪れ、原作主人公の力で真の平和に辿り着くわけだが、予定を少し早めてもいいだろうと思ったからだ。まあ、原作に関わってみたいというミーハー根性もなくはない。うん。それにループする度に戦ばかりで鬱憤が溜まっていたというのもある。

 

 さて、世界を敵に回した世界征服の結果だが、挑戦したのは計三回。

 

 一度目はまさかのうちはと千手の一族が手を組み、更に様々な一族が一丸となって俺を倒すという原作の最終決戦を彷彿とさせる終わりを迎えた。

 

 六道仙人モードからの尾獣化。威装・須佐能乎の上に転生眼によるチャクラ無差別吸収、輪廻眼による無差別広範囲攻撃と何その無理ゲーな感じだったんだが、まさか倒されるとは思わなかった。

 

 ちなみに、俺の散り際に黒ゼツが介入しようとしたが当然その対策はしていた。このループで手に入れた万華鏡写輪眼に神威を仕込んでいたので、最期は月にエスケープしてご臨終した。

 

 二度目は後一歩のところまで追い詰めたが、やはりうちはマダラと千手柱間の二人に倒された。

 

 この世に存在する血継限界のほぼ全てを有し、膨大なチャクラと原作知識すら持つ俺を倒すとか、主人公補正強すぎてヤバい。

 

 三度目は流石に力ずくでは無理だと学習したので政治でどうにかしてみた。

 

 大名となり、今まで手に入れてきた力を平和的に振るって片っ端から様々な国を吸収合併し、世界統一を果たした。

 

 そしてそれに伴い、無数に存在する忍び里の統一化を促した。

 

 だがそんな事を面白く思わない黒ゼツが暗躍して不和を引き起こし、何度も妨害するので腹が立った俺はうちはマダラと千手柱間に黒ゼツの存在をほのめかし、始末するよう依頼した。

 

 するとなんということでしょう。

 

 半年の内に黒ゼツは封印され、遥か地下深くに埋められる事になりました。

 

 これにより、最大の不安要素が消えた。

 

 忍び里も順調に統一され、これにて完全な世界征服が完了した。

 

 千年もの間続く大国となったが、君臨すれども統治せずで、最低限の政は行い、後は全て部下に任せた。俺自身は力を磨く事に専念した。

 

 大筒木モモシキと大筒木キンシキとかいう奴らが来たりしたが、融合して食らいつくし、輪廻眼を頂戴した。お陰で忍術を吸収し倍にして放つという能力を得た。

 

 その後、千年も経てば流石に寿命が来たので、最期は外道魔像を取り込み、ついでに封印された黒ゼツも連れて太陽に突っ込んで消滅した。因みに輪廻写輪眼が額に開眼したが、無限月読なんぞする気はないのでラッキー程度に思って次のループに向かった。

 

 

 

 そして次のループ。

 

 前回のループにて、最期に外道魔像を取り込んだ事によって俺はこの世で大筒木カグヤにもっとも近い存在になった。後は無限月読を使えば大筒木カグヤが復活するぐらいには。だが俺の中には大筒木カグヤの意思はない。尾獣と同じで力だけ残して精神は消滅しているようだ。

 

 大筒木カグヤの力。正しくは神樹の力を制御するのでそのループは終わった。まさか不老不死とは思わず、気が付いたら千年以上修行していたのは驚愕ものだった。原作なんてとうの昔に終わっているので前回と同じように次のループに向かった。

 

 

 

 次のループ。このループでは原作を見守りながら、まだ手にしていない欲しかった物を隙を見て手に入れていった。

 

 原作終盤には、六道仙人化して輪廻写輪眼に目覚めたうちはマダラをそれ欲しさに丸ごと融合し食らい尽くした。幾ら最強の忍びとはいえ、六道仙人の年季はこちらが上である。呆気なく食い尽くせた。あの時の原作の登場人物の顔は見物だった。黒ゼツも面白いくらいに驚いていたので行き掛けの駄賃代わりに食らい、更にうちはサスケの輪廻写輪眼と万華鏡写輪眼、六道仙人から託された陰遁の力を奪い、うずまきナルトからは六道仙人としての力と託された陽遁の力を奪って無限月読を発動。大筒木カグヤを介さず、同じ神樹の力を持つ俺自身に世界中のチャクラをかき集め、完全に覚醒を果たした。

 

 完全覚醒したら今度は大筒木カグヤをも食らい、何もかもを食らい尽くした。

 

 その後、流石に空気が読めていなかったと反省し、このループで食らったものを一部除いて全て解放した。

 

 十尾を体から切り離して九つにばらし、同じくこのループの外道魔像も切り離して月に返還。更に外道・輪廻天生の術によりこの大戦で命を落とした者達を全員生き返らせ、うちはサスケとうずまきナルトの傷も癒し、陰陽遁の力を切り離して返した。後はうずまきナルトとうちはサスケを起こし、原作通りになるかは分からないが似たような展開になるようにし、前回、前々回と同じように次のループに向かった。

 

 

 

 

 そして次のループ。

 

 それが最後のループになった。

 

 前回のループで完全に覚醒した事により、俺は大筒木カグヤと同じになった。一度得た力は消費しても欠損しても次のループで元通りになる。前回は切り離したり消費したりしたが、一度俺の力になった物は必ず元通りになるため、今の俺は大筒木カグヤと同じ存在となった。むしろそれ以上か。尾獣がそれぞれ十匹分余分だし。

 

 つまり、いよいよこのループも終わる時が来たというわけだ。

 

 おそらく最後の仕上げに、この力を大筒木カグヤレベルに扱うことが出来るようになれば、俺はこのループから解放される。

 

 長かった。

 

 永かった。

 

 本当に。

 

 気のトオクナルヨウナ時間を過ごした。

 

 ーーまあ、後二つ残ってるんだけどね!

 

 はあ……。

 

 

 

 

 


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