短編集。またの名を駄文廃棄場。   作:ゆらぎみつめ

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転生するらしいのでチートを頼んだら リメイク版没7

 

 

 

 

 

 ーー二十一の青い光を放つ石を身に纏った金色の魔女が世界を焼き尽くす。

 

 

 

 ーーこの世界にあり得ざる力を喰らい尽くし、神をも喰らわんと猛る怪物の姿。

 

 

 

 ーーこの身を貫く十字槍を握る女。

 

 

 

 

「……夢か」

 

 原作開始まで残り五年を切った。

 

 転生者達が次々にこの世界へと転生してきているわけだが、俺に届きうるレベルの存在は未だ現れず。

 

 どころか中途半端に強い力を持っているせいで問題を起こしまくっていて守護者達が大変忙しい。並の守護者では対処出来ないような力を持っている者が多いから本当に厄介な存在である。

 

 俺も転生者だが、流石に四才児は口説かないしな。

 

 このままでは俺に届きうる存在どころか、悪戯にこの星を掻き回す存在になりかねない。今でも守護者が対処出来る限界を大幅に越えてしまってしている。これ以上は流石に遠慮願いたい。試しに未来視でこの星の未来を見てみれば、ろくな未来は見えない。俺に届きうる可能性はあるが、そこに希望はない。ハッピーエンドもない。滅びのみしかない世界だ。そんなものを俺は認められない。こんな筈じゃなかった未来など、この星にはいらない。

 

 ーーだから、それに至る要因は消さなければ。

 

 転生者。

 

 神から与えられた力を我が物顔で振り回し、世界を壊す愚か者共。

 

 だが、しかし、かといって俺以外の転生者を根絶やしにしてもどうしてか世界は滅ぶ。恐らく神が関係しているのだろう。詳しい事は分からないが、酷い話だ。

 

 だから転生者を間引く。絶滅させるのではなく、管理しやすいよう間引く。特典を奪うのも世界の滅びに直結するから下手に奪えない。だから管理しやすい数になるよう間引けばいい。

 

 現時点でこの世界にいる転生者はざっと一万人以上。その内原作とか関係なく平和に過ごしているのが一割。原作介入を狙う転生者が九割。その内、他の転生者を排除するために過激な行動を取るのが七割。そして原作とか関係なく暴れる転生者が少なくない数存在する。

 

 この中に俺に届きうる存在が生まれるかもしれないが、あの未来を許せる理由にはならない。

 

 この世界に転生してからずっと、人類の始まりから見守ってきた。

 

 力を与え、自らの身を守る術を与えた。

 

 知恵を与え、進化を促した。

 

 それだけの長い年月を、この星で生きてきた。

 

 この世界は、転生者如きのくだらないいざこざで滅ぼすにはあまりに愛着が抱いてしまった。

 

 故に、我が全身全霊を持って転生者を律するとしよう。

 

 まず手始めに、BLEACHの世界で破面のロカ・パラミアから奪った反膜の糸を使い、この星に存在する全ての転生者と繋がり、あらゆる情報を得る。そして得た情報を元に戦術を構築。準備を終えたら、同世界のユーハバッハから奪った力によって海鳴市の影の中に世界を創造する。そしてそこに全ての転生者達を影を通して引き摺りこんだ。

 

 俺はユーハバッハの姿を借り、創造されたばかりで何もない世界に飛ばされて動揺している転生者達の前に姿を現した。

 

 さあ、始めようか。

 

 楽しい楽しい蹂躙を。

 

 

 

 

 それは突然だった。

 

 気が付いたら、地平線まで白い空と地面が広がる世界に連れてこられていた。

 

 前世で神様のミスとやらで死に、お詫びとして魔法少女リリカルなのはの世界に転生させてもらって四年弱。そこまで強力な特典を選ばなかった私は原作には極力関わり合いたくない気持ちで大人しく生きてきた。

 

 なのになんだこれは。

 

 いきなりだ。

 

 家で原作のストーリーを思い出し、ノートに書き記していた時に、いきなり私はこの場所に連れてこられた。

 

 少し落ち着いてくると、ここには私以外にも連れてこられた者がいるに気がついた。

 

 あちこちから怒号や悲鳴が飛び交い、聞くに耐えない雑音が溢れている。

 

 連れてこられた者達を見てみると、ある共通点があった。

 

 銀髪オッドアイ。金髪赤眼。アルビノカラー。またはアニメや漫画にいたような顔。総じて不自然なほどに顔が整っていたりで、喋る内容も似たり寄ったり。

 

 転生者だ。

 

 ここにいるのは全員転生者なんだ。

 

 そうと気付いた瞬間、私は一気に血の気が引き、心臓が一際大きく鼓動を打った。

 

 不味い。

 

 予感が背筋を走る。

 

 集められた転生者。

 

 神様は転生させた者達には不干渉だと言っていた。それは他の神々との協議の結果定められたルールであり、絶対だと。もし破れば、他の神々によって消滅させられるのだと。

 

 ならばこの状況は転生者によるものだ。

 

 それもとてつもなく強大な特典を持った転生者だ。でなければこんなにも大勢の転生者を一度に、一方的に拉致する事は出来ない。

 

 集めた理由は?

 

 私達転生者を一方的に集めた理由は?

 

 転生者狩り。

 

 転生者の中には同じ転生者を狩る者がいると知り合いの転生者から聞いた覚えがある。

 

 その目的はハーレム建設のための障害を排除するために、転生者の持つ特典を奪うために、または好き勝手自由に生きるのに邪魔だから。様々だ。

 

 ではこれを起こした転生者は何が目的か。

 

 分からない。怖い。私はただ平穏に暮らせればいいのに。それだけなのに。なんで。どうして。

 

 私はーー。

 

「初めまして。転生者諸君。私の名はユーハバッハ。君達転生者を管理する者だ」

 

 現れたのはある程度歳を経た男。

 

 その姿を私は知っている。

 

 BLEACHに出てくる最後の敵にして、滅却師の父。

 

 ユーハバッハ。

 

 その男の姿をした転生者がそこにはいた。

 

 突然現れた元凶らしき男に、一部の転生者達が怒号を上げ、神様から授かったのだろう力を振るう。

 

 が、しかし、それらは一瞬で蹴散らされた。

 

 男が軽く手をはらっただけで、大量の武器も、光の柱も、その意味を失った。

 

「今日この瞬間、この場所に君達転生者を拉致したのは私だ」

 

 男は何もなかったかのように言葉を紡ぐ。

 

 その足元には数十人の転生者が倒れているが、気にも止めていない。いや、そもそも認識しているかどうかすら怪しい。それだけの力の差が存在していた。

 

「何故こんな事をしたのか。理由を今から説明しよう」

 

 倒れていた転生者の一人が、男が背を向けたのをチャンスと見たのか武器を手に襲いかかった。

 

「未来を見たのだ。この世界がこれから辿る滅びの結末を」

 

 転生者は見えない何かに弾かれたかのように空に打ち上げられ、鈍い音をたてて地面に墜落した。

 

「転生者達によるいざこざにより、この世界は遠くない未来、滅ぶ」

 

 未来を見た。

 

 それはつまり、あの男は原作のユーハバッハと同じように未来視の力を有するという事。

 

 未来視という事は、その先の未来改変能力もあるかもしれない。そんな相手をどう倒す。不可能だ。原作の一護は、多くの仲間のお陰で倒すことが出来た。

 

 しかし今この場にいる転生者で、協力してあの男を倒せるのか。

 

 不可能だ。

 

 ここにいるのは、皆この男の術中に嵌まった者ばかり。それはつまり、この場にいる転生者の力では男に勝てないという事だ。一ヶ所に転生者を集め、その目の前に姿を現したのは自信の現れに他ならない。

 

 そして私は戦闘系の特典ではない。そもそも戦えず、あの男が首を刎ねるのを待つのみ。

 

「故に私は、転生者を管理する。世界を滅ぼさないために、無意味な争いを起こさないために」

 

 男はそういい、邪悪に微笑んだ。

 

「さあ、平和の為の礎となれ」

 

 そこから先は語るのも憚れる。

 

 それでも尚、ただ一つ。語るとするなら、あの男に逆らう事の愚かさを、私達はその魂に刻まれたのだ。

 

 

 

 

 いやあ、激戦だったぜ。

 

 一万人を超える転生者達との戦いをダイジェストで終わらせ、後処理の時間である。

 

 先ず原作介入組の内、危険思想を持つ七割から原作知識と転生特典、前世の記憶を奪い、元いた場所に返却する。その際、周囲の記憶改竄と被害の対処を忘れずに行う。その他原作介入関係なく暴れる転生者も同様の処理を行う。

 

 転生者の特典を奪う方法だが、意外に簡単だった。

 

 神様の特典というから奪えるか分からなかったが、なんの事はない。魂に雑に貼りつけてあるだけで、魂に干渉する技術があれば簡単に剥がせるし奪えた。神様よ。もう少しちゃんとしようぜ。転生者が可哀想だ。それに奪ったからといって世界が滅ぶこともなかった。やはり全ての転生者を滅ぼす事が駄目なのだろう。本当に面倒な話だ。

 

 残りの転生者で戦う力を持たない者は保護か、自衛の為に訓練を、戦う力を持つ者は徒に周囲に危害を加えないように釘を刺し、そして全ての転生者達に最低限の決まりを作って守らせた。

 

 そして影の中に造り上げた世界を見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)とし、転生者達の交流場所兼監視塔としてそこに城を築いた。

 

 よし。これでこの星に訪れる滅びの要因は大体取り除けた。後は周辺の次元世界も確認しておこう。

 

 ふう。やり過ぎないようにやらないといけないのは本当に面倒だ。

 

 

 

 

 ーーいい人でした。

 

 ユーハバッハの外見に騙されたけど、無秩序で混沌とした転生者達に最低限の決まりを作り、それを守らせることで規律を敷き、それによって戦えない転生者は守られ、戦える転生者は自重し、転生者同士の衝突も目に見えて少なくなった。

 

 やってる事が転生者専用の警察みたいで、とても助かっている。

 

 一万人近くいた転生者も今は二千人に満たない数しか残ってないけど、殺したわけじゃない。中には殺されてもいいぐらいの事をやらかしている奴でもちゃんと生かしている。……前世の記憶と特典は没収されてるけど。それは仕方ない。

 

 最低限の決まりにしてもあってないようなもので、

 

 一つ、転生者同士の殺し合い禁止。

 

 一つ、精神干渉系能力の悪用禁止。

 

 一つ、原作介入は自己責任。

 

 一つ、転生者関連の事物の取り扱いは慎重に。

 

 一つ、その他モラルに反しない事を心がけること。

 

 以上、五つの決まりを守れば自由にしていいらしく、普通に過ごす分には何の問題もない。原作介入を禁止しているわけでもないから、原作介入組の転生者達も不満はないようだ。

 

 今のところユーハバッハと名乗る転生者、姿から陛下と呼ばれている彼が行っている転生者の監視と保護は十全どころか過保護なくらいである。

 

 彼が影の中に造った世界、見えざる帝国は転生者ならば何時でも影から出入りする事が出来、そこに築かれた巨大な城にある施設の利用や転生者同士の交流が出来るようになっている。

 

 例えば、城の中には転生者が寝泊まりするための部屋が用意されており、朝昼晩の食事におやつも合わせて全て無料で提供されている。家がない転生者やそれ以外の人にも重宝されている。

 

 戦えない転生者の為の修練場などの施設もある。指導役の先生が常に常駐していて、その面子に私が一番驚いた施設でもある。なんせ、指導する先生はNARUTO、ドラゴンボール、BLEACH、fate/stay night、鋼の錬金術師から選ばれており、うちはマダラと千手柱間がいたり、孫悟空とベジータ、ブロリーがいたり、ヨン様がいたり、エミヤやアルトリアがいたり、お父様がいたりと色々凄い事になっていた。うん。かおす。しかも転生者というより、まるで本人みたいで生きた心地がしなかった。特にブロリーとヨン様。エミヤは食堂と掛け持ちらしく、あまりいないけれど。いる時はかなり人気である。無限の剣製の熟練度が本物クラスというか本編以上なので学ぶことは多いようだ。

 

 転生者由来のアイテムを保管する宝物庫もあって、そこには黄金の玉座があり、英雄王ギルガメッシュがいる。性格は原作よりマイルドだがAUOなので会話には注意が必要である。現に調子に乗った転生者が血祭りに上げられた。ヤムチャしやがって。

 

 転生者由来の生物を飼育する自然公園もある。ポケモンだったりアラガミだったりが住まうカオスその二である。ここの担当はエルキドゥで、たまにギルガメッシュのところにいて不在だったりする。私の特典である霊視で下級大虚が見えたので極力近付かないようにしている。

 

 転生者に教える学校のような場所もある。そこで教えるのは学校で習う事から、魔術や魔法まで幅広い。担当は衛宮士郎とそのハーレムである。衛宮士郎、遠坂凛、間桐桜、イリヤ、バゼット、カレン、ルヴィアのメンバーは、主に前世と現世合わせても低年齢の転生者に勉強を教えている。人気ヒロインなのでそれ目当てに来る転生者もいるけど、どう見ても衛宮士郎のお手つきだから希望はない。強引な手段を取ろうとする転生者はハーレム直々に袋叩きにされるので素直に諦めるのが吉。

 

 他にも転生者達の知識を集めた図書館、担当はライダー・メデューサ。エミヤや衛宮士郎がいる食堂。涅マユリ率いる技術開発局などがある。

 

 正直これらを用意出来る時点で陛下は転生者の中でも別格である。原作みたく敵の首領でなくて本当に良かったと思うよ。マジで。

 

 まあ、それでも転生者の中には不満を持つ奴もいるみたいだけど、表立って反発する転生者がいないのは良いことなのか悪いことなのか。

 

 

 

 

 


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