短編集。またの名を駄文廃棄場。   作:ゆらぎみつめ

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衛宮士郎のダイジェスト上(※下はありません)

 

 

 

 

 

 俺の名前は衛宮士郎。

 

 転生者である。

 

 気が付いたら神様を名乗る老人に適当な能力を与えられて転生させられた哀れな男である。

 

 前世の記憶はなし。原作知識と現代知識以外はなく、後は前世の嗜好があるだけ。

 

 未練がないのはいいがなんだかなあ。

 

 与えられた能力は超速学習能力。

 

 一を知り十を知る。一の鍛練で百の成長をする。

 

 神様が与えた力故か倍率千倍の超学習能力で、一日何かを頑張れば二年以上頑張った成果が出るチートな能力。

 

 これがあれば人生強くてニューゲームな楽勝人生が約束されているが、しかし転生するのはfateである。

 

 あの慢心王やら愉悦麻婆やらヤンデレ後輩、果てはエミヤ絶対殺す幼女や士郎スレイヤーな紅茶とかがいる世界だ。

 

 衛宮士郎は固有結界持ちであり体内に全て遠き理想郷なる現存する宝具。更には魔術師殺しの衛宮切嗣の義理とはいえ息子である。

 

 死亡フラグしかない。もはや世界に殺意が満ちている。

 

 どうしたらいい。

 

 というか目が覚めたら切嗣がお亡くなりになられていた。

 

 まさかのここからスタートですか。そうですか。

 

 こんな中途半端な知識で生き残れと。神様絶対許すまじ。慈悲はない。

 

 これから第五次聖杯戦争まで原作通りの行動を取ればルナティック難易度の原作そのままで足掻かなければならない。

 

 ふざけるな。

 

 そんなの出来るか。

 

 俺は『衛宮士郎』ではない。

 

 そんな地獄を歩めるか。

 

 ならばどうすればいいのか。

 

 魔術を誰かに教えてもらう。

 

 周りにまともな魔術師がいない。遠坂凛がいるが、対価が何もない。

 

 原作でも魔術的な何かを切嗣は遺さなかったのだ。この衛宮士郎にも同じだろう。

 

 冬木から逃げる。

 

 固有結界持ちにして全て遠き理想郷持ちの衛宮切嗣の息子だぜ?行き着く先は地獄だ。まだこのまま聖杯戦争に挑んだほうが遥かにマシだ。

 

 死ぬ気で鍛えて聖杯戦争に挑み、因縁を断ち切る。

 

 一番堅実で現実を見据えた案だが、俺に主人公補正なぞないし、正義の味方を目指していない。原作知識はあれど、それは『衛宮士郎』だからこその物語だ。俺には無理だ。

 

 ならばどうする?

 

 外道と呼ばれてもかまわない。何をしてでも運命を切り開く。

 

 それしかない。チートはともかく、中身は普通の俺だ。手段など選べない。ならば容赦は要らず、躊躇も要らない。

 

 俺は、絶対にこの世界を生き残ってやる。

 

 ……そうと決まったら、早速始めるとしようか。生き残る為の一手を。

 

 俺の年齢は今現在十二才。中学一年生。第五次聖杯戦争まで残り五年。

 

 余裕はない。だが死ぬ気で頑張ればなんとかなるかもしれない。そんな短い時間。しかしやると決めたのだ。歩みを進めるのだ。

 

 死した衛宮切嗣の横で俺は胡座をかき、精神を統一する。

 

 魔術回路を、造り上げる。

 

 針の穴を通すような繊細な作業だが、幸いにも以前の『衛宮士郎』の記憶がある。なんとかなる。

 

 魔術回路を造り上げた。回路の数は十数本。

 

 やはり『衛宮士郎』は完全に回路を開ききれていないようだ。

 

 再び、魔術回路を造り直す。

 

 今度は二十七本。『衛宮士郎』の本来の数だ。

 

 チートのお陰か、一度やれば次からは恐ろしいほどに上手く出来る。素晴らしい。神様ありがとう。

 

 魔術回路は出来たので、次の作業に移る。

 

 横にある衛宮切嗣の亡骸に近付き、魔術を行使する。

 

 ――解析。

 

 解析する。

 

 何もない。大した事は分からない。

 

 ――解析。

 

 解析する。

 

 何もない。大した事は分からない。

 

 ――解析。

 

 解析する。

 

 何もない。大した事は分からない。

 

 ――解析。解析。解析。解析。何度も続ける。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

 

 何度目か。すっかり衛宮切嗣が冷えきってしまった頃にようやく、待ち望んでいた答えが現れた。

 

 衛宮切嗣の起源。「切断」と「結合」。その情報を手に入れた。そして起源弾の情報を得る。更に衛宮の魔術刻印の情報も得た。得たのだ。解析という無意味に等しい魔術で、衛宮切嗣の力を。

 

 流石チートだ。あり得ない事をこんなにも簡単に出来るとは。下手したら封印指定レベルの事をやらかしてしまった事は努めて無視しつつ、俺はついでに解析した衛宮切嗣の記憶からそれを投影する。

 

 起源弾。トンプソン・コンテンダーもセットで投影する。

 

 最初はハリボテだったが、二度三度と繰り返すうちにオリジナルの領域へと近付いていく。

 

 五度目には本物と寸分違わない出来になったと満足出来た。次に衛宮の魔術刻印の投影も挑戦する。

 

 剣ではないので魔力の負担が大きいが、今は無理をしてでもこの作業を完遂せねばならない。今を逃せばこれを手にいれる機会など永久に来ないのだから。

 

 そして、これも満足のいく出来になったら作業を終えた。

 

 これでようやく魔術師として地に足がつく目処がたった。

 

 後は交渉が上手くいけばいいのだが……。

 

 

 

 

 

 結論から言えば、交渉は成功した。

 

 交渉相手は遠坂凛。

 

 交渉材料は衛宮切嗣の起源弾。プラス衛宮の魔術刻印。

 

 交渉目的は遠坂凛に魔術について師事を仰ぐこと。

 

 快く引き受けてくれた。わけではないが、今持っている魔術師としての全財産と、俺が今行っている魔術の訓練。知識の欠落等々彼女のお人好しの部分をこれでもかと刺激する内容に思わず引き受けてしまった。という感じであった。

 

 魔術回路を毎日造り直す作業を何回かやった俺だが、実際にやってみた感覚からすると本当に自殺行為で、チートがなければ絶対にやらなかっただろう行為である。

 

 まあ、それはもういいか。

 

 魔術の師事を仰げたのだ。良しとしよう。

 

 ちなみに言峰綺礼についてだが、今は海外に出張しているらしく、会う事は出来ないそうだ。そもそも会いたくないのでかまわないと伝えたらやや遠坂凛の好感度が上がったようで、夕食をご馳走してもらった。美味であった。

 

 それからというもの、俺は週に二日ぐらいの感覚で遠坂凛から魔術を教えてもらった。お陰で原作士郎よりも暗示に掛かりにくくなったり器用になったが、やはり『衛宮士郎』らしく、その他の才能がほとんどなかった。チートのお陰でなんとか並み程度には出来るが、それでもやはり投影魔術には遠く及ばない。後解析の魔術も。やはりあの夜やらかしてしまったらしく、俺の解析の魔術は最早無意味な魔術ではなく、魔術師に使えばその起源から魔術特性、属性、得意魔術から肉体の状態など様々な情報を盗みとれる代物になってしまっていた。これ以上いけば封印指定待ったなしの魔術である。遠坂凛に試しに使ってみたところ、彼女の表面的なステータスのみしか情報は得られなかった。魔術の情報を守るような魔術でもあるのだろう。しかし問題は、遠坂凛の表面的なステータスだった。彼女の現時点での肉体的なステータスが俺の脳内に展開されたのだ。そうして出来るのは遠坂凛の隅々まで再現された映像。眼福である。遠坂凛にばれて偉い目に遭わされたが焼きついた情報はそう簡単には消せないのだ。ふはははは。

 

 遠坂凛の修行の合間にやる自主訓練では投影魔術を主に行う。最初はそこら辺のがらくたから。次に刃物。更に次に魔力の籠った物。そして最後に全て遠き理想郷の投影である。セイバーを召喚する場合、十中八九返却する事になるので、今のうちに渡すための練習と、宝具投影の鍛練。全て遠き理想郷のレプリカの確保の為である。全て遠き理想郷の投影自体は簡単である。体内に埋め込まれているためか、手に取るように分かる。が、これをその要素をなしに理解をしてやれと言われたら匙を投げるような代物だ。宝具投影の鍛練の為に何度も投影するが、一線を越えた先は依然人知を越えたまま。理解の欠片も掴めない。こうなると原作同様、セイバーに返却した後は投影出来なくなるだろう。聖杯戦争までになんとかしなければいけない。更に、全て遠き理想郷に刻まれた所有者の記憶を投影・再現した結果。かなりの戦闘経験と、セイバーの記憶が記録として取得出来た。ナイスちっぱい。じゃない。そうじゃない。記憶の中にちらちら映った円卓の騎士の宝具の数々は参考になった。これでより戦闘力を上げられる。流石にサーヴァント相手にタイマン張れないが、少なくとも人間相手なら圧倒出来る力は欲しい。勿論、肉体の鍛練もかかさない。チートのお陰で技術だけではなく、肉体も超速で鍛えられる為かなり楽しいので思わずやり過ぎてしまう。身長が伸びなくなる可能性があるのであまり筋肉はつけられないのがネックだが。それに毒物等に対する耐性も身につけていっている。チートで耐性もバンバンつくので他の鍛練より断然楽である。後はサーヴァントのスキルを修得出来るかの鍛練も行っている。例えばエミヤの固有結界は魔力や練度的には十分だが、しかしほとんど何もないので展開して世界からの修正力に耐性をつけるだけの鍛練になりつつある。まだ人間の技っぽい李書文の圏境は八極拳を極めていけばいいらしいので毎朝余計な筋肉をつけないよう気を付けながら鍛練している。気を扱う技術は魔術とは違って健全な感じがして気分も大分違うので息抜きにもやっている。言峰綺礼の八極拳は人体破壊に特化したものらしいから俺は治療に特化したやつにしてみたい。ていうかしないと死にそうだ。『衛宮士郎』はボロボロになりやすいし。全て遠き理想郷あっても不安すぎる。後は魔法に到達している無茶すぎる佐々木小次郎の燕返しだが、これは毎日佐々木小次郎の得物である物干し竿を原作知識頼りに投影して記憶を再現しながら素振りしている。それと沖田総司の縮地からの無明三段突きも同じく。乞食清光とか菊一文字則宗なんか暇があれば実物を見に行きたい。

 

 そんなこんなで順調に過ごしていたら、間桐慎二と友人になり、間桐桜と対面した。

 

 やべえ。レイプ目とか死んだ魚の目とかそんな次元じゃねぇ。もっと恐ろしい何かの目をしていた。

 

 『衛宮士郎』はこんな状態の彼女をあの大和撫子系ヤンデレに変えたのか。すげえよ。ていうか俺には荷が重すぎるんだけど!?

 

 とりあえず優しく接し、料理を振る舞ったり教えたり、遊びに行ったりしていたらいつの間にか慕われてました。というか原作並みに恋心を覗かせていて鈍感のふりしてやり過ごさないと一気に距離を詰めてきそうで怖いみたいな状況に。間桐桜ってこんなにちょろかったのか?いやまあ、あんな家で過ごしていたら確かにこれだけの事で幸せを感じても仕方ないか。普通の幸せなんて、まずあり得ないからな。そう考えると彼女の好意をスルーするのはちょっと良心が耐えられない。正直生き残るだけで精一杯だが彼女を救う方法を考えてもバチは当たらないだろう。そうなるとより多くの鍛練をしなければならないな。他人も助けるのだ。今よりもっと実力を身につけなければ。とりあえず遠坂凛にもう少し多く時間を割いてもらいたい。まあ、なんとかなるだろう。彼女自身も未だ未熟で時間が多くとれないのだが最近はなんかこう半分バトラー染みた事もしていて精神的な防壁が下がってるというかフラグが立ってそうというか。まあ、なんとかなる。

 

 ちなみに、間桐慎二に解析擬きの魔術を使い、魔術の知識を拝借した。間桐の魔術は結構為になる。令呪関係の知識に通じるし、遠坂凛の教える魔術とは違い、かなり深い部分まで間桐の魔術を知る事が出来た。間桐臓硯は何をしているのか。魔術回路をもたない人間に知識を与え、そのまま放任とか、よほどどうでもいいのか。それとも罠なのか。とりあえず罠はなかった。間桐慎二に魔術の痕跡は全くなかった。俺の解析擬きの魔術は進化して痕跡を全く残さない。間桐臓硯ほどの魔術師を誤魔化せるかどうかは分からないが、まあ大丈夫だろう。間桐臓硯は衛宮切嗣の息子である俺を警戒して桜を送り込んだのだ。多少の魔術の痕跡は俺が何らかの警戒をしたのだと判断するだろう。御三家である間桐の者達だ。衛宮切嗣の息子である俺が警戒するのは当然の理屈だ。間桐桜にも解析擬きの魔術は使ったが、特にあちら側からのアクションはない。間桐桜は何の反応も示さなかったし、彼女の心臓に巣食う間桐臓硯も気づいた様子はなかった。お陰で聖杯の欠片を解析出来たし、間桐臓硯を殺す事も可能になった。彼女の記憶も覗いたが、あまりに凄惨な記憶に最低限の情報を得たら他は忘却した。

 

 原作の『衛宮士郎』はバイトをしていたが、俺は死亡フラグを折るために忙しいのでしていない。臨時でお金が必要になったら衛宮切嗣の遺したお金か、不法投棄された家電製品を修理してリサイクルショップに売り払って金にしている。後はパソコンで試しに株をしたりして金策している。黄金律が欲しいが無いものは仕方ない。パソコンもチートのお陰か一日で大体の事を把握して、一月も経てば投影まで使って無駄に性能のいい自作のパソコンを作るまでになった。が、間桐桜に秘蔵の画像や動画を見られたのは不味かった。その日からスキンシップが増えたしラッキースケベ的な展開が多発した。よく考えなくとも間桐桜の仕業である。洋モノなのが悪かったのか。セイバー似の女優ばかり集めたからか。貧乳が多めだからかおっぱいを重点的に強調してきやがる。三重のプロテクトをかけてたのになあ。恐るべし大和撫子系ヤンデレ。そろそろ刺されそうだ。

 

 かなり危ない事もしている。魔術回路を造り、自分に移植するという、『衛宮士郎』よりも頭のおかしい危険な行為だ。

 

 そもそも魔術回路は代を重ねていき、少しずつ増やしていくような代物だ。それにしたってかなり外法な手段を使わなければならないのに、それを一代で増やすというのだ。どれだけの事をしなければならないのか知れたもんじゃあない。が、俺には投影という素晴らしい魔術がある。これで俺自身の魔術回路を投影し、移植する。正に俺にしかできない手段だ。だが魔術回路を増やすということは内蔵を増やすのと同じと言われている。そのまま移植すれば流石に俺でも死ぬだろう。なので、ワンクッション工程に加える。間桐の魔術で投影した俺の魔術回路を核に使い魔を作成。それを体に取り込み、即席の魔術回路として使う。また徐々に肉体に馴染ませ、魔術回路を時間をかけて移植していく。元は自分の魔術回路だ。拒絶反応は起きにくい筈だ。一匹につき二十本の魔術回路を有した使い魔を五匹取り込む。これで上手くいけば魔術回路が百二十七本になり、魔力量は五倍以上になるだろう。もしも上手くいかなければすぐさま使い魔を体外に出さなければならないが、その時はその時だ。また別の手段を考えよう。

 

 

 

 

 あっという間に数年が過ぎた。

 

 聖杯戦争まで残り二年。中学三年。

 

 魔術の腕はかなり上がった。投影以外の魔術に関してはエミヤを凌駕するだろう。

 

 魔術回路を増やすのもなんとか上手くいった。事後報告で遠坂凛に報告したらボコられたが、俺の身を案じての為に甘んじて受けた。全治三ヶ月の骨折である。魔術回路の数はあれからも増やし続け、今では千本はある。ちなみに遠坂凛に化け物を見るような目で見られた。確かカレーシスターが三百ぐらいだからその三倍以上か。確かに化け物だ。でもまだまだ増やすつもりである。

 

 無駄に有り余った魔力を宝石魔術に使う宝石に貯める作業を何度かすると、衛宮の魔術刻印を返してもらった。有り難く受け取り、すぐさま刻印を移植した。チートのお陰ですぐに体に馴染み、薬の世話にもならなかった。遠坂凛が羨ましげに睨んできたが何故だろうなあ?

 

 サーヴァントの技術の再現についてだが、エミヤの固有結界は主に古刀等、日本に存在する武具が大半を占めるがそれなりに貯まってきた。世界旅行は学生にはちょいキツいです。李書文の圏境は不完全ながら出来るようになった。八極拳も治療特化のものになったし、順調である。佐々木小次郎の燕返しはまだまだかかりそうで、沖田総司の無明三段突きも同じく。縮地はそれなりに身についてきた。このままいけば二年後の聖杯戦争までにはそれなりの形には仕上がるだろう。

 

 後、パソコンの秘蔵の画像や動画に大和撫子系巨乳の類いを追加したら間桐桜の攻勢が落ち着いた。いやはや、あれからプロテクトを更に追加した筈なんだがな。まあ、落ち着いたのならそれでいいよ。うん。正直遠坂凛似の物もあったがあれはあえてプロテクトもかけずに学業関連のフォルダに紛れ込ませているからバレる心配はないな。……フラグじゃないよな?

 

 

 

 

 二年経ち、いよいよ聖杯戦争開始まで後二ヶ月ほどとなった。

 

 俺はややフライングになるだろうが英霊召喚を行うことにした。

 

 理由としてはセイバーとの信頼関係の構築と、とあるサーヴァントの確保が目的である。

 

 既に一人前の魔術師程度の実力を持っている俺は特に問題なくセイバー。アルトリア・ペンドラゴンの召喚を成功させた。アホ毛が素晴らしい。

 

 とりあえず友好的に話しかけ、信頼関係の構築の為に食事に誘う。この世界に転生してから料理はただの一日も欠かさず行ってきたのでチートも相まって凄まじい事になっている。なのでこれをセイバーに食わせたらどんな反応をするのか楽しみだ。

 

 号泣だった。

 

 まさかの号泣だった。

 

 一口口に入れた瞬間、セイバーはまさしく雷を受けたかのように硬直し、次の瞬間には涙を滝のように流した。

 

 なんというかセイバーが可哀想になったのでどんどんおかわりを勧めた。うん。当時の食事が雑だったのは分かったから。うん。

 

 その後、俺の分まで根こそぎ食いつくしたセイバーに謝られるも気にしてないと返して聖杯戦争についての話し合いを始めた。

 

 

 

 

 それから、とある館で片腕を失った瀕死の封印指定執行者であるバゼット・フラガ・マクレミッツを確保し、手厚く治療して仲間に加え、またある場所でマスターを殺し、消えかけていたキャスター・メディアを確保し契約する。

 

 更にアサシンを召喚しようとした魔術師を発見するが、わざとサーヴァントを召喚させた後奪い取るために見逃す。

 

 そして、召喚されたサーヴァントは静謐のハサン。マスターはハサンの毒により死に至ったので契約するためにすかさず姿を現し、毒を無効化し無事契約した。令呪も三画丸ごと入手し、更に死んだ魔術師の魔術刻印その他礼装なども有り難く頂戴する。

 

 ちなみに、静謐のハサンの毒をどうやって無効化したかというと、答えは簡単。安心安定のチートである。毒に対する耐性をチートで身に付けたのだ。

 

 流石に宝具級の毒であるため、右手に気を集めて毒に対する耐性を引き上げ、更に魔術で右手より先に毒が回らないようにして握手をした。

 

 最初の数秒間はこの世のものとは思えない激痛を味わったが、少しずつ痛みが引いていき、やがてなんともなくなると気を拡散してどんどん毒に慣らしていき、それも問題なくなると魔術を解除してようやく耐性が完全になったと判断したら左手でも手を握ってみた。柔らかい手である。しばらくそうしているとハサンはおもむろに俺の唇を奪い、ディープキスを行った。ファーストキスでした。ポッ。セイバーがキレるが何処吹く風である。じっくりと味わうようにディープキスを堪能したハサンは忠誠を誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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