短編集。またの名を駄文廃棄場。   作:ゆらぎみつめ

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 タイトル通り今ある小説をリメイクしようとして、失敗した奴です。

 ・没にした理由

 元の文章をもとに編集を繰り返したため、全体の流れがぎこちないし不自然。元の文章と新しい文章が不協和音を奏でているため。
 

 


転生するらしいのでチートを頼んだら リメイク版没1

 

 

 

 

 我輩は転生者である。前世の記憶は原作知識しかない。

 

 どうやら事故で死んだらしい俺を、なんか真っ白な世界で出会った神様が暇潰しに転生させてくれるとおっしゃった。なので、チートを頼んだら自力で手に入れろと問答無用で鋼の錬金術師の世界に叩きこんでくれやがった。

 

 そして心折にも、もとい親切にも、力を手に入れるまで強制的に無限にやり直すーーつまりループするようにした。おまけにアイテムボックスという、ループしても初期化されない無限に収納、永久に保存出来るfateの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)的なものを持たされて。

 

 ループを終わらすにはチートを手に入れる事が必要で、神様が告げたチートとは即ち、始まりのホムンクルス曰く神と呼ばれるもの。それを神様は手に入れろと言っている。

 

 ーーなんて無理ゲー。しかし手に入れなければ無限にループを繰り返すなんて言われればやるしかない。

 

 不幸中の幸いと言うべきか、原作知識という心強い代物のお陰で神の力を手に入れる為に必要な道筋は分かっている。

 

 ……問題はその道筋がルナティック通り越してヘルモードな点だが。

 

 はあ。どうなることやら。

 

 

 

 

 最初のループ。

 

 アメストリスのなんの変哲もない一般家庭に生まれる。

 

 本当に普通の一般人の家であり、原作に介入する以前に介入する糸口すらないほど。

 

 なのでとりあえずは錬金術を学び、今回のループは諦めて次のループに期待する事にした。

 

 

 

 次のループ。

 

 前回のループにて、前世の知識と生涯をかけて錬金術を研鑽し続けた結果、一流と言えなくもないレベルに至った。更に寿命で死に至る前に人体錬成を行い、錬成陣なしでの錬成を可能にした。

 

 真理の扉に全身対価にされたが無事ループして本当に安心した。正直二度と味わいたくはない。

 

 さて、二ループめであり三度目の人生なわけだが、前回と変わらず一般の家庭に生まれた。流石に同じ家ではないが、一般家庭という意味ではそうは変わらない。

 

 今回のループも研究にあてるつもりだが、今回はシンに向かい、錬丹術を学ぶことにした。

 

 出来れば気を読む技術も学びたいが、それはついででいいだろう。欲しければまたループを繰り返せばいい。

 

 ……まあその前に、砂漠を越えなければな。

 

 

 

 三ループ目。

 

 無事砂漠を越えてシン国に辿り着いた俺は、早速錬丹術を学び、その合間に気を読む技術についても学びとこれまでのループと変わらない生を過ごした。

 

 その結果、錬丹術と気を読む技術をマスターする。

 

 錬丹術をベースにした錬成陣の構築に時間を費やしたりと、とても有意義なループだった。

 

 そして三ループ目の今回。とりあえず錬金術も錬丹術もある程度学んだが、この後どうすればいいのか分からなくなった。

 

 一旦整理するとしようか。

 

 最終目標は神を手に入れること。

 

 手に入れるためには国土錬成陣を使い、星の真理の扉を開かなければならない。

 

 維持には数千万単位の大量の賢者の石が必要。

 

 賢者の石の材料は人間の魂である。

 

 お父様含むホムンクルス達を欺き、上を行かなければならない。

 

 ……ふむ。

 

 ホムンクルス達を出し抜くのもそうだが、賢者の石を作り上げるのも難易度が高い。それに賢者の石の材料は人間の魂だ。人を殺してまでチートを手に入れたくはないが、錬金術の基本である等価交換を踏まえれば当たり前の対価と理解出来てしまう。

 

 どうすればいい。

 

 人を殺したくはない。

 

 しかし無限ループも嫌だ。

 

 ならどうすればいい。

 

 考えろ。

 

 考えなければならない。

 

 そうしなければこれまでの努力は。技術の研鑽は無意味になる。

 

 考えろ。

 

 原作主人公エドワード・エルリックは考えて答えを見つけただろう。

 

 あらゆる困難を乗り越えただろう。

 

 そう、己を魂一個分の賢者の石として使うような事をしてまで……!

 

 ーーそうか。その手があったか。

 

 そうだ。俺は賢者の石を持っているじゃないか。正しくはその原材料だが、確かに持っている。

 

 ならば、迷うことはない。

 

 俺は俺自身を対価に神を手に入れよう。

 

 それこそが俺が辿り着いた真理だ。

 

 

 

 

 数百ループが過ぎた。

 

 神を手に入れるために己自身の魂を賢者の石に精製する研究を続けて数百ループが過ぎた。独学での賢者の石の研究は困難を極めたが、幾度もの失敗と死を繰り返してようやく完成した。

 

 俺自身を賢者の石にするので一歩間違えれば死ぬため、必要な分だけを抽出して精製するのは至難であった。

 

 だが代わりに、新しい発見もあった。

 

 俺はこれまで何度もループをしてきたわけだが、ループするたびに前回のループで得たものも引き継いでループしていたのだ。

 

 つまり体を鍛えれば、鍛えた分だけ次のループに引き継がれ、強化された状態でループが始まったりなど。

 

 更にこのループの引き継ぎは加算限定らしく、例え前のループで四肢を失っても次のループでは何事もなく五体満足で生まれる事が出来た。

 

 そしてそれは魂も例外ではなかった。

 

 ようやく完成した錬成陣で魂を半分賢者の石に精製しても、次のループにはすっかり元通りになっていたのだ。

 

 それを知って俺はある事を閃いた。

 

 閃いたなら善は急げ。

 

 俺はすぐさま精製した全ての賢者の石を取り込んだ。

 

 元が自身の魂であるためか、特に拒絶反応は起きなかった。

 

 そして今度は取り込んだ賢者の石を再び賢者の石として抽出し、魂も再び半分を残して賢者の石として精製して抽出した賢者の石と合わせてアイテムボックスに仕舞う。本当にアイテムボックスは便利である。ループを越えて生物以外ならなんでも持ち越せるのだから。それに盗まれる心配もない。本当に便利だ。

 

 次のループ。俺の魂は一人分より僅にだが、確かに大きくなっていた。

 

 やはりか。

 

 一度でも加算されたもの、鍛えたり手に入れたものなら、例え失ったとしても次のループにはその分を加算した状態でループされるらしい。

 

 これはいい事を知った。

 

 それに活路を見出だした俺はループのたびに、前のループで精製した賢者の石を一度全て取り込み、すぐに精製出来るだけの賢者の石を精製し、アイテムボックスに保管するのを繰り返した。何度も何度も。毎回感覚で一人分の魂を残して精製するのは神経がすり減るような作業だったが、それだけの価値はあった。

 

 なんせ、増大する魂の総量を賢者の石に換算して簡単に計算したら恐ろしい数値を叩き出したのだから。

 

 最初の俺の魂を1とし、その半分である0・5を賢者の石にし、アイテムボックスに入れて次のループで取り込む。すると次のループでは魂の総量が1・5人分となる。更に半分の魂0・75を石にして次のループで取り込み、2・25人分の魂となる。そしてここから安全をとって一人分の魂を残して1・25を精製し、次のループに取り込んだ。その作業をループにして百ループは繰り返した。

 

 その結果、

 

 198070406285661000000000000000人分の賢者の石を手に入れる事が出来た。

 

 漢字にすると十九(ジョウ)八千七十(ジョ)四千六十二(ガイ)八千五百六十六京千兆人分。

 

 五千万人の賢者の石ではしゃいでいたお父様が可愛く見える数字である。

 

 正直やり過ぎたかもしれない。

 

 だがまあ、これで賢者の石は十分な数を手に入れた。過剰かもしれないが、うん。いいとしておこう。

 

 次は戦闘技術を鍛えよう。ホムンクルス達を相手するのにある程度の強さは必要である。

 

 賢者の石でごり押ししても勝てそうだが、念には念を入れよう。

 

 幸い、戦闘技術を磨く機会には恵まれているからな。

 

 

 

 

 更に数百ループ後。

 

 今更な話だが、ループ先はランダムである。ある時は大富豪の、またある時はスラムの孤児に生まれ。更に時期もかなりばらつきがあり、原作から大体百年ほど前までの間をランダムにループしている。

 

 なので正直原作に関わる時間よりも、それ以外の時間が圧倒的に多い。下手したらループ中一度も原作どころか原作キャラに会うことなく終わる事が何度もあった。

 

 まあ、賢者の石の精製にしても、戦闘技術を磨くにしても、原作に関わらない方が捗るから好都合なんだが、うん。折角だから原作キャラに会いたいなんていうファン心理なんてものがないわけでもない。生前の記憶はないのにそんなのは残ってるとか、前世の俺は一体どんな人間だったんだろうな。

 

 閑話休題。

 

 数百ループを戦闘技術を磨くために消費した結果、素の身体能力がバグった。戦車を片手で持ち上げて百メートル以上投げたり、銃弾を見切ったり、自動車より速く走ったり、砲弾が直撃しても軽症で済んだりと最早どちらがホムンクルスか分からない意味不明さ。

 

 更にシンを含めた様々な国の武術を学習していった結果、最早タイマンで俺に勝ちうる存在はこの世界には存在しなくなった。あ、お父様とプライドは別である。

 

 そんなわけで、戦闘技術も十分磨いた俺は、いよいよ神を目指す事に決めたのだった。

 

 ちなみに、賢者の石を増やす作業は今も惰性で続けている。単位が無量大数を越えてからは数えるのをやめたが。それでも未だに作業は継続中である。

 

 さて、神である。

 

 神を手に入れるには国土錬成陣が必要で、その為にはホムンクルス達が邪魔。

 

 戦闘技術と賢者の石を手に入れた俺に負けはない。

 

 ……と、言いたいが油断は出来ない。

 

 なので原作知識を頼りにホムンクルス達が単独になった時を狙い闇討ち。各個撃破する事にした。

 

 グリード、ラスト、グラトニー、エンヴィー、スロウス、ラース、プライドと原作のタイミングで次々に撃破していく。能力欲しさに七体全て取り込んでみたが、荒ぶる魂が気持ち悪くてすぐに吐き出した。魂の格が違いすぎて内在闘争に負ける気は全くしないが、狂乱する魂と同居するなんぞあまりいい気分ではない。原作のリン・ヤオとヴァン・ホーエンハイムを尊敬するよ。マジで。

 

 最後に残ったお父様だが、国土錬成陣を使う前に賢者の石のごり押しでボコボコにしてから取り込み、賢者の石をその場で解放して消滅させ、フラスコの中の小人の状態にまで弱体化したのを外に解放して始末した。

 

 これでホムンクルス達の力を全て手に入れる事が出来たが、神を手に入れるためには国土錬成陣を使わなければならない。

 

 あまりしたくないし、神を手に入れたお父様から奪うのもこうも簡単にはいかないだろう。

 

 どうしたものか。

 

 

 

 次のループ。

 

 七体のホムンクルスの力を手に入れた。今までも賢者の石を使えば似たような事が出来たが、それよりもちゃんとした形の能力として手に入れたような感覚がする。

 

 ついでにお父様の力も手に入れたため、国土錬成陣を逆に利用する事も可能になったかもしれない。

 

 そして、膨大な数の記憶も手に入れてしまった。

 

 恐らく取り込んだクセルクセス人達の記憶だろう。

 

 これはいらなかった。正直ループを繰返していなかったら精神崩壊していたかもしれない。危ないなホント。好奇心で賢者の石なんか取り込むんじゃなかったよ。お父様の知識はありがたいけどな。

 

 さて、神を手に入れる方法だが、とりあえず原作でグリードがしようとした横取りを俺もする事にした。

 

 やり方は簡単。人柱やお父様達が集まる地下の空間に気配を消して侵入。お父様が国土錬成陣を発動し、中心に立つ瞬間を狙う。具体的にはグリードが失敗した直後、お父様が勝利を確信した瞬間、背後から最速のホムンクルスの力でぶっ飛ばして中心を奪う。

 

 するとなんという事でしょう。

 

 国土錬成陣が発動し、神を手に入れる事が出来ました。

 

 当然アメストリス人の賢者の石は即座に解放し、神だけを内側に残す。

 

 お父様とプライドをさくっと倒し、唖然とする原作キャラ達を前に、俺は堂々と宣言する。

 

「神はこのダンテがいただいたわ!」

 

 尚、最後のループは女性として生まれたことをここに記す。

 

 

 

 これにて無限ループは終わりを告げた。

 

 永い永い時を生きた。

 

 正直転生も憑依もお腹一杯だ。

 

 だがこれで未だ特典を手に入れただけという。

 

 うん。ふざけんな。

 

 本当に神様の考えることは分からない。

 

 だけどまあ、次で最後だ。

 

 精々最後の生を楽しむとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーえ?おかわり?

 

 

 

 


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