真・恋姫†無双 北郷一刀・商人ルート 天下も金の回りもの   作:MATSUKASA

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28話 併呑 毒を食らわば皿まで

 

 

 

 

 衛北商会の首脳陣が一堂に会しての話し合いから暫くが経った頃、陳留の商会暫定の本拠地に一刀はいた。本来であれば、商会の命運をかけた大戦である貨幣対策には当然に当主である衛弘が指揮を執るのが道理である。

 

 しかし、実際に今回の貨幣戦争において商会の総指揮権を握ることになったのは彼女ではなく一刀であった。これには訳があった。

 

 前回の会合において、衛弘は今商会が直面している危機は自分自身の慢心に一因があると語った。

 

 勿論、本当に今回の事が全て彼女のせいであると本気で考えるような者は商会の中にはいない。それでも、衛弘は商会の当主の身でありながら、自身の不始末で商会を危機に晒すこととした己を強く嫌悪した。

 

 そして彼女は今回の貨幣戦争を商会一丸となって戦い抜くにあたって、その原因を齎した自分がその指揮を執るべきではないと主張したのである。

 

 当然、衛弘とてこの戦では商会の為に全力をささげる所存であるが、自分はあくまで1つの駒としてこの身をささげたい、これが彼女の言い分であった。

 

 最初にこの話が出た時、会議に参加した者達は衛弘が言う責任と彼女に商会当主としての資格がないということを口々に否定した。

 

 しかし、それでも衛弘は頑として主張を変えようとはしなかった。

 

 そうして話が平行線を辿る中、1人。衛弘の主張を受け入れる者が現れた。

 それが他ならぬ一刀であった。

 

 一刀は「燕がそういうのであれば……」と誰よりも早く衛弘の主張を受け入れるとこを表明した。

 

 これには反対していた他の面々も大きく驚いた。まさか、自分たちの中でも最も衛弘の事を理解している一刀が衛弘の提起した問責を受け入れるとは思わなかったからである。

 

 しかし、一刀が賛同を示したことで商会のトップ2人の意見が揃ったことになる。

 

 こうなった以上は、それに従うほかないということになり、他の面々も疑念を抱きつつも渋々、衛弘がこの戦の総指揮の立場から外れることに同意をした。

 

 

 そして、衛弘は全員から同意を得られたところで、改めて今回の商会の命運を左右する戦いにおける商会の統率者として一刀を指名した。この指名を一刀が承諾し、今後は一刀が総裁代行の地位につき、商会全体を統帥する運びとなった。

 

 念の為に記すが、一刀とて本心から今回の一件の責任が衛弘にあると考えて、彼女の主張を受け入れたわけではない。

 

 一刀がこのトップの交代劇を受任したのには別に大きな理由があるのだが、それはここでは割愛させていただく。

 ともかくして、こうして一刀は今や名実ともに衛北商会の頂点としてその手腕を振るうことになり、今は貨幣対策の具体的な方針を策定するために新たに設置された”貨幣対策本部”の会合に臨んでいるのであった。

 ちなみに、参加しているメンバーは満寵、于禁、李典、そこに今回協力者となる曹操から派遣されてきた者が1人、一刀を含めて5名という顔ぶれである。

 

 徐庶と魯粛の2人は前回の会議が終わってすぐに、自分が管理する地域で指揮を執るために戻り、衛弘はその広い人脈や顔を生かして今後の為に必要な裏工作をするために各地を奔走している。また、楽進は曹操側から派遣されてきた人員と入れ替わるように、曹操の下に出向という形で赴き、商会との連絡役兼この先の為に曹操が軍備を整える手伝いをしている。

 

 

「さて、ここにいる皆は既に理解していると思うが、改めて。今回、朝廷側が発行してきた新銭の対応の総指揮を任された北郷一刀だ。それと、ここで改めて今回の新銭が決して看過できないものであるということを説明する必要はないと思う」

 

バンッと両手を机に叩きつけるように置きながら、一刀は口上を述べる。

 

「それと諸君らも十分に承知の通り、俺達に悠長に構えている暇はない。それでも1つだけ、今後の対抗策を具体的に決めていく前に、皆に俺から言わせてもらいたいことがある」

 

 精一杯の覇気を込めた声色で一刀は力強くそう宣言する。

 

「これから商会は朝廷側と貨幣を舞台にした戦争に突入していくこととなる。この戦は負ければ即ち死を意味するものになると思う。今ここにいる俺を含めた皆は、その戦いを主導していく立ち位置にある。大げさでも何でもなく、俺達の双肩には商会に関わる全ての者達、そしてこの大陸の未来が乗かっている。俺達には敗北は許されない。どうかそのことをしっかりと理解した上で、この話し合いに臨んでほしい…………何としてでもこの負けられない戦いに勝とう!!!」

 

「おっ、おおーー……」

 

 一刀は高らかに口にしてから、拳を握りそれを掲げた。

 

 しかし、一刀の決意を込めた演説も虚しく、一刀が掲げた拳に合わせて、戸惑いながら控えめに拳を上げつつ間の抜けたような声で返事をしてくれたのは、今回、曹操から応援として派遣されてきた者――徐晃だけであった。

 

 一方で他の者達はと言うと……

 

「なんか、店長が急に燕様みたいになってるのー」

 

「なんや無理してる感じがして違和感が半端やないなぁ」

 

「2人とも、そんなことを言っては一刀さんが可哀想ですよ。燕様に大役を任されて彼なりにいろいろ考えて、立派に当主代行らしくしようと、燕様を真似しようとしているのですから。ここは気付いても言わないであげるのが得策かと思います」

 

 顔を見合わせながらひそひそと口々に好き放題に言っていた。ちなみに上からそれぞれ、于禁、李典、満寵の言である。

 

「律……そうと分かるなら、聞こえるような声で指摘しないでくれ。俺自身、柄じゃないことくらいは理解しているからさ」

 

「一刀さん、燕様があなたに当主代行を任せたのは何も自分と同じように振舞うことを期待しての事ではないと思います。一刀さんは背伸びせず一刀さんのやり方でやっていけばいいかと愚考します」

 

 真正面から強がりを見抜かれて、慰められるのは存外気恥ずかしいものである。

 重大な戦の初っ端で、出鼻を挫かれたような格好になった一刀は密かに肩を落とした。

 しかし、こうして大役を任されたことで少し気負いすぎたところもあった、この大事な時にむしろ浮き足立っていたのは自分かもしれないと気を取り直す。

 

 そうして考えれば、この局面でもいつもと変わらない様子の3人の態度はむしろ心強いものであるようにも思えた。

 

「ふう……出だしがこれじゃあ示しがつかないが、むしろこれくらいのほうが俺らしいかもな。律の言う通り、ここからは俺のやりやすい形で進めさせてもらうよ」

 

 肩の力が抜けた一刀は1つ息を吐いてから、小さく笑ってそう口にした。

 

 一刀から過ぎた緊張が取れ、いつもの調子に戻ったことで、3人も満足そうに頷く。

 

「とまぁ締まらない始まりにはなったけど、俺たちに時間がないのは本当だ。早速、本題に入ってきたいのだけど……その前に。今回、この貨幣対策本部には3人の他に、今回の協力者である曹孟徳殿から手伝いの為に来てくれた人を紹介しとこうと思う、徐公明殿だ」

 

 コホンと咳払いを一つ。

 

 気を取り直していつものような形で再び口を開いた一刀は、本題に入る前にと、この場にいる商会以外の人物の紹介をした。

 

「徐公明です……、華琳様の命で商会のお手伝いのために来ました。シャン、商売のことは正直よくわからないけど、力になれるように頑張るのでよろしく……お願いします。あっ……あとシャンのことはシャンって呼んでください」

 

 一刀の紹介を受けて、手短に自己紹介をした徐晃。

 ペコリと可愛らしく頭を下げてから、彼女は自分の真名を口にした。

 

「こちらよろしくな。ええっと、本当に真名で呼んでもいいのか?」

 

「うん……じゃなくて、はい。華琳様から色々と話は聞いて……いますから。皆さんなら大丈夫です…」

 

 徐晃の自己紹介で、唐突に真名を許された一刀は戸惑いながら、本当にいいのか確認するように尋ねた。

 

 しかし一刀の懸念をよそに、徐晃は特に気負った様子もなく自身の真名を許すと繰り返した。

 一刀の認識では、真名とは本当に親しい相手に対して信頼の証として許すものだと思っていた。それにこれまでの経験でもその認識が間違っているということはないだろうとも理解している。

 

 当然であるが、一刀と徐晃が出会ったのは今日が初めてである。

 初対面の相手にこうも簡単に真名を許す人物がいることに一刀は少なくない驚きを覚えたのであった。

 もし、この大陸に自分が来て、初めて出会うのがこの徐晃のような人物であれば、間違えて気軽に真名を呼ぶという失態をしていたかもしれない。

 そんな栓もない想像が、何故か一刀の頭に浮かんできた。

 

「そうか、なら俺のことも一刀でもなんでも好きに読んでくれて構わない。あと、俺とシャンは上下関係があるわけでもないから、無理して敬語で話さなくてもいいよ」

 

 頭に浮かんだよくわからない、それでも何故かあり得たよういも思えることを振り払いながら一刀は柔和な笑みを浮かべ、徐晃の真名を口にした。

 

 それと、先程から徐晃が話しづらそうにしていたことを気にかけ、無理に敬語は不要だと付け加えた。

 その後、残る3人も一刀に続いてそれぞれ真名を許し、徐晃の自己紹介は恙なく終わった。

 

 ちなみに、徐晃が来ると事前に曹操からの書状で知っていた一刀は、自身が知る知識からその見た目を筋骨隆々の大男を想像していたが、ことこの分野において彼の知識が役立ったことはなかった。

 

彼女の見た目はどう見ても少女としか呼びようがないものであった。

 

 しかし、一刀はこれまでに諸葛亮や龐統を筆頭に似たような経験を何度もしてきた。なので、「はいはい、このパターンね、知ってましたよ。どうせこの見た目でも戦場ではとんでもない大斧なんかを振り回すんでしょ」と華麗にスルーを決めた。

 

 そういう点では随分と彼もこの外史に溶け込んできたと言えるだろう。

 

 また、自己紹介の中で一刀がフランクに話していいと徐晃に伝えた際、徐晃は肩の荷が下りたように大きく安堵して見せ、何故か一刀のことを「お兄ちゃん」と呼ぶようになったが、本題には関係ないことであった。

 

 随分と濃いキャラが来たものだと、内心では思いつつも一刀は話を今日の本筋へと引き戻していった。

 

 

 

「では、自己紹介も終わったところで、議題を戻させてもらう。最初にも話したように今回発行された新銭を商会としては認めないというのが基本的な方針であるが、具体的にどんな対策をとっていくのかをここでは決めたいと思う」

 

 キュッと顔を引き締めた一刀は、開口一番に本題をあげた。

一刀に言う通り、先日の会議で商会としては断固として新銭と対抗していくことは決議したものの、その具体的な戦絵図を考えるのがこの会議の議題であった。

 

「この対策本部に参加している皆は全員が当事者だ。忌憚のない意見を聞かせてほしい」

 

「というてもなー、正直、うちはこれといった案は思い浮かばへんわ」

 

「むー、沙和もなのー」

 

 皆を見渡しながら、意見を伺った一刀に対して、李典と于禁は妙案が浮かばないといった様子で頭を抱えた。

 

「確かに、これは非常に難しい問題だよな……」

 

 そんな2人の様子を眺めながら一刀は頻りに頷くような素振りをしつつ、頭を悩ませるような振りをする。

 

 こうしている間にも市場には粗悪な新銭が流れているかもしれない、一刀達は一刻も早く対抗策を示さなくてはいけないというのにも関わらず、一刀の態度は不自然なくらいに焦るような様子もなく、むしろ悩む二人を見ながら余裕すら感じさせるものである。

 

「……一刀さん。時間が惜しいと最初に言ったのはあなたでしょう。どうせ燕様と既に話して腹案を用意しているのでしょうに。勿体ぶって優越感に浸るような真似はやめてください」

 

「……すみません」

 

 一刀の様子に違和感を覚えた満寵は、そこから全てを察したように呆れながらも鋭い口調で、「さっさと案があるなら先にださんかい!」と一刀を追求した。

 

 彼女の言う通り、実は一刀には今後執りうる対応策について、既に粗方の考えを持っていたのである。

 先日の会議を招集してから、実際に各地にいた者達が陳留に来るまでの間、一刀と衛弘はただぼーっと待ちぼうけていたわけではない。

 商会として対抗すると決めた後、その先に取り得る策をしっかりと2人で検討し、考えを纏めていたのである。

 

 にも拘わらず、ここで最初に皆へ意見を求めたのは、自分と衛弘で考えた策以外のものが出てくることを期待する気持ちが7割、そして残りは、皆が頭を悩ませる中で満を持して自分達の組み上げた策を披露しようという邪な気持ちがあったりもした。

 それをズバリ満寵に指摘されてしまったという恰好である。

 

「うわー、考えがあるのに勿体ぶるとか……」

 

「店長、サイテーなのー」

 

「うるさいぞ……、少しは当主代行として俺も”できる”ってところを見せたかったんだよ」

 

 冷たい目線で自分達がそのダシに使われようとされていたことを非難する李典と于禁。その目線を受けながら、一刀も逆切も甚だしいが、恨めしそうな視線で返した。

 

 図らずも、一刀の小さな目論見は全く逆の結果を齎していた。当主の威厳を見せるどころか、むしろ器が小さいところを露にしてしまった。 

 一刀が誰もが憧れる商会当主になるまでの道は果てしなく遠く、険しい。

 

「まぁ、一刀さんのしょうもない見栄はどうでもいいですから。早く、その腹案とやらをご披露願えませんか?あと、繰り返しになりますが、燕様は一刀さんに当主としての威厳を求めてはいないと思います。一刀さんは無理せず、あなたなりのやり方で当主の務めを果たして頂ければいいです。……それにこれは燕様だけではなく、あなたの当主代行への就任を認めた私も同じ思いですよ」

 

 グダグダになりそうな雰囲気を切り裂くように、満寵が一刀に先を促した。

 

 彼女は冒頭のくだりを再度繰り返しつつ、それに付け加えるようにして彼女自身の思いも口にしたのだ。

 

 ”一刀がどんな態度で当主代行に臨もうが、自分はあなたを当主として認めている”

 それは紛れもない彼女の本心であった。

 少し回りくどいような言い回しであったが、彼女の言わんとすることは十分に一刀にも伝わり、彼も先程までの自分の小さな見栄を張ろうとした行為を恥じた。

 

 満寵が言ったことは何も彼女に限ったことではないだろう。今こうして一刀が当主代行としてこの場に立っているのは、商会の皆が一刀を”当主と戴くに足る”と認めてくれたからである。

 

 改まった彼女のフォローでそんな簡単なことに思い至った一刀。

 

 自身に求められるものをはっきりと認識した一刀は、自分の中にあった小さな見栄やそれを生み出した不安を追い出すように両手で自らの頬を一度、大きく叩いた。

 

 バシンという音が部屋に響き渡る。

 

 「すまない! ここまでの俺の情けない姿は全て忘れてくれ。そして、これから当主代行として今回の新銭に対して、商会として実行していく対策案をみんなに話したいと思う。よくわからない点や気になったことがあればその都度指摘してくれ、至らぬところはこの場のみんなで詰めていきたい」

 

 両頬を少し赤くしながら、一刀は決意したような顔でそう口にした。

 

 重圧によるよくない憑き物が取れたような一刀の様子に、居並ぶ面々は満足そうに頷き、徐晃も含めて全員は一刀の語る”対策案”に集中した。

 

「よし、早速話を始めさせてもらう! まずはこれを見てほしい」

 

 全員の熱いまなざしを一身に集めながら一刀は案を口にする前に、皆が腰かける机の上に大きな一枚の地図を広げた。自然のその地図に視線が集まる。

 

「前回の話し合いが終わった時点で、荊州と豫洲を管轄する篝里(徐庶の真名)と包(魯粛の真名)には自分の店に戻ってもらった。彼女達にはそれぞれの店で、二州において今回の新銭が領内に侵入・流通することがないように動いてもらっている」

 

 一刀は口で説明しながら、手に持った筆で机上の地図の上に大きな丸を2つ描いた。

 

 荊州と豫洲に描かれたこの丸は一刀の話の通り、徐庶と魯粛が統制する地域、言い換えるならば防衛範囲を示したものである。

 

「2人には謂わば”盾”となって、朝廷がある洛陽含む司隷から新銭が入ってこないように防いでもらう。幸い、前回の会議で聞いた限りでは、2人はこの新銭を”見たことがない”と言っていた。つまりはまだ両州には新銭が流入していない、あるいは流入していても極僅かだということだと思う。2人には水際でこのまま、領内への流入を防いでもらうというわけだ」

 

 続いて一刀は、地図上の洛陽がある位置に粗悪な董卓銭を置き、説明を続けた。

 

「篝里と包が”盾”となって新銭の広がりを抑えてくれる一方、俺達は別の形でこの新銭と対抗していく。それが……」

 

「”矛”というわけですね」

 

 他地域について一通りの説明を終えたところで、一刀は今自分たちがいる兗州を指差しつつ、自分たちが担う役目を口にしようとした。

 それと同じタイミングで言葉を被せて、皆と同じように地図に視線を落としたまま満寵は一刀がこれから言おうとすることを先回りで口にした。

 

「ご明察の通り……。俺達は、新銭が大陸へと広がるのを防ぐ一方で、同時にこの新銭を貨幣として完膚なきまでに叩き潰す必要がある。それ故に、篝里達が”盾”となって、新銭の拡大を防ぐかたわら、俺達は”矛”となって積極的に仕掛けて、新銭を潰しにかかる!」

 

 言いながら一刀は、自分が指差していた兗州から洛陽に向かって太い矢印を地図に記した。

 拡大を防ぎつつ、新銭の貨幣としての価値を潰す。この2つを同時に成し遂げるため、地域で役割を分担する。

 

 それが一刀と衛弘が構想したこの戦に臨むに当たっての大きな枠組みであった。

 

「盾によって新銭を止め、その間に俺達が矛となって新銭を無力化する。これが俺と燕が考えたこの大戦の大まかな全体像だ。……ここまでは大丈夫か?」

 

 一区切り、大まかな対応の構想を伝えたところで一旦、一刀は話を区切った。そして全員に確認をするようにここまでの理解が大丈夫なのかを問いかけた。

 

 幸い、ここまでは皆理解をしてくれたようで、それを示すように一様に一刀を見ながら頷き返していた。

 意外なことにも今回から初めて参加した徐晃も大きく頷いており、彼女も一刀の考えをしっかりと理解してくれている様子であった。

 

 徐晃といえばだれもが知る猛将であるが、彼女は見かけによらず頭の回転も非常に速いようであった。

 

「それで? 矛っていうても、具体的にはどんなことをするんや? ホントに洛陽に対して矢いかけるわけやあらへんやろ?」

 

「ああ、今からそれを話そうと思う。だけど、真桜の言ってることもあながち間違いではないぞ。勿論、比喩的な表現だが俺達は、洛陽に対する攻勢として”矢”を放っていく。その数は3本、燕命名の”3本の矢作戦”だ」

 

 全員の思ったことを代表いて次の疑問を口にした李典に、一刀は待っていましたと言わんばかりの様子で秘めたる策を口にした。

 

「俺達は、3本の矢になぞらえて、3つの方法で新銭を叩くための策を実行していく」

 

 右手の指で3を示すようにしながら、一刀は矛として自分達がこれから行っていく策を披露していく。

 

「まず1つ目は……まぁ、これは今でも行っていることだけど、洛陽に入っていく物資の封鎖をさらに強めていくことだ。向こうが発行した貨幣も結局は、取引の場で使われなければ貨幣とはなりえない。貨幣があってもそれを使うための物がなければ、貨幣がいくらあっても意味はない。だから、俺達は洛陽含めた司隷への物資封鎖をさらに強め、新銭が使われる取引の舞台をそもそもから減らすようにしていく」

 

 1本目の指を折りながら、最初の策を提示した一刀。

 

 この方法には特に誰も驚くことなく理解を示した。封鎖自体既に商会が仕掛けていることであり、それの延長とも呼べるものであるから、むしろこの策はして当然であると感じられたからである。

 

 まずはすんなりと自分の考えが受け入れられたことに一息つきながら、一刀は次なる策について口にする。

 

「そして2つ目は……さっきの手法は既に俺達がしていることの延長に過ぎないが、ここからは全く新しい形の方法になる。2つ目の方法は、新銭の回収、いやもっと踏み込んでいうならば買い取りだ!」

 

 2本目の指を手折りつつ、一刀は全く新しい方針を口にした。

 

 そして、先程の策には大きく反応しなかった面々も今度の一刀の言葉には大きく目を見開いて驚きで返した。

 

 それもそのはずである、一刀は今、”新銭を買い取る”と口にしたのである。これは正直なところ、理解しがたいというのが皆の本音であった。

 

 ここにいる者は全員が、新銭の危険性を理解している。そして自分達はその新銭を大陸から取り除く為の話をしているという認識である。それなのに、一刀の言葉によればこれから自分達は進んでその新銭を手元に集めようとするということになる。

 

 何がどうなればそんな話がでてくるのか? 疑問に思わない者はいなかった。

 

「一刀さん、聞き間違えでなければ、今”新銭を買い取る”と言いましたよね? その真意を聞かせてもらえますか?」

 

 しかし一刀が、ひいては衛弘が何も考えもなくこんなことを口にするはずがない。そう考えた満寵は、皆と同じ疑念を抱きながらも、その裏にある真意を聞くという形で一刀に問いかけた。

 

「律、驚くのもわかる。最初、俺が燕にこの提案をした時も”お前、何言ってんの?”みたいな目を向けられたからな。でも、俺だって伊達や酔狂でこんなことを言っているのではないよ。1から俺がこれを考えるに至った理由を説明する」

 

 問い詰めるような満寵の視線を受けて、最初にこの案を衛弘に話した際のことを思い出して苦笑いを浮かべながら、一刀は自分がこう考える至った理由とこの策の有効性について話し始めた。

 

「まずはだ、前提の話として、シャン! この世界にある貨幣の量ってどれくらいか皆は知ってるか?」

 

「え?! 急に聞かれても……具体的な数字までは知らないけど、この大陸に住んでる全ての人……お兄ちゃんみたいに一杯持っていそうな人のもすべて足し合わせた分……かなぁ」

 

 一刀は前提となるこの大陸の経済の仕組みを話すため、唐突に徐晃に質問した。まさか自分が当てられると思っていなかった彼女は少しだけ考える素振りをしてから、自分なりに正しいと思う答えを口にした。

 

「おお、かなりいい線いってる答えだな。いや、ある種では確かにその答えは正解だ。物体としての貨幣の存在量であれば確かに、シャンの言う通りにこの世界の人の持っている全ての貨幣を合計すればいい。でも、取引される貨幣とみればその答えは少しだけ不十分だ……」

 

 急な問いかけであったにも関わらず、かなり正解に近い答えが出てきたことに手ごたえを覚えつつ、一刀は彼女の答えが不十分であると表現した。

 

「貨幣ってのは一度使われたら終わりというわけではないんだ。ある人から別の人の手に渡った貨幣はまた誰かの手に渡るようにして、1枚の貨幣は何度も繰り返して使用される。だから、実際にこの世界に100万銭の貨幣が存在していても、流通している貨幣の量は100万銭にはならない」

 

「あっ!? もし、1枚の貨幣あたり2回、3回と使われれば、流通している貨幣の量は200万銭、300万銭になる……」

 

 一刀が補足するように付け加えた言葉で彼が言わんとしたことを察した、徐晃は自分が答えたものが確かに不十分なものであったと理解した。

 

 彼女の言う通り、もしこの世界に100万銭の貨幣が存在していたとしてもその貨幣が1枚当たりの平均で2回、3回と取引に使用されれば、その数は実質、2倍、3倍となっていく。

 

「そういうことだ。つまり、この世に存在している貨幣の量は、”実際に発行された貨幣の数”と”発行された貨幣が1枚あたりに使用された回数”を掛け合わせものになる」

 

 一刀が徐晃への問いかけで真に言いたかったことを纏めた。一刀が口にした計算式、より現代風に言うなれば「M(貨幣発行量) × V(流通速度)」がこの世界に流通している貨幣の総量を示すものである。

 

 勿論、一刀の話はここでは終わらない。

 

「さて、これでこの世界に流通する貨幣の総量は概念上ではあるが規定できた。それではもう一つの質問だ。この貨幣の総量はあるものと等しくなるが……」

 

「なるほど、それが”取引総額”ですね。いえ、一刀さんが言おうとしていることを考慮するなら、”物価”と”取引回数”を掛け合わせたものといったところでしょうか?」

 

 さて、と前置きをしたところで、この話を次に進めようとしたところで、今度は先程まで一刀と徐晃が話していた内容からその先を見透かしたかのように満寵が口を開いた。

 

 そして、彼女が口にしたのは、まさしくこれから一刀が言おうとしていることそのものであったのだ。

 

「まじかよ……これだけで全部理解できるのか。燕といい律といい、流石すぎて頼もしいよ。ああ、律の言う通り、この世の貨幣の総量は”取引の総額”、つまりは売り買いされるあらゆる物の値段”物価”とその”取引回数”を掛け合わせたものになる」

 

 以前、衛弘とこの会話をした時も、この時点で彼女は一刀が出そうとした”ある方程式”を自力で完成させてきたが、満寵もまた自分でそこへ辿り着いた様子であった。

 

 一刀が先に述べた式、「M × V」で示される貨幣総量は、あるものと等号で結ばれる。それが、満寵が口にした”物価”と”取引回数”を掛け合わせたものである。

 

 こちらも現代風に表現しなおすと「P(物価) × T(取引回数)」である。

 

 そして、この2つを結んで完成する式が、「M × V = P × T」である。言葉にして言い直すなら、「流通する貨幣の総量 = すべての取引で使われた貨幣の量」となる。

 

 既に、満寵はこの式の意味まで理解している様子であるが、一刀は他の皆にこの式の意味を説明するために例を用いて以下のように説明した。

 

 例えば、この世界に100万銭の貨幣が存在し、貨幣は平均で1枚が2回使われ、世界には貨幣を使って買う商品が値段100銭の”筆”だけだとする。

 

 そうすると、右辺の貨幣総量は200万銭となる。

 

 そして、一方の左辺はどうなるだろうか。P=物価は唯一の商品である筆の値段100銭であるとわかる。問題となるはもう一つの要素、Tの”取引回数”であるが、これは計算すれば自ずと求めることができる。

 

 そもそも、貨幣が流通するためには取引に使われなければいけないのである。つまりは、200万銭の貨幣が流通しているということは、「200万銭の貨幣が使われた」ということである。

 

 したがって、100銭の筆の取引で200万銭の貨幣を使うためには、2万回の取引が為されなければいけないということである。

 

 こうして、「100万銭 × 2回 = 100銭 × 2万回」となり、この式は成立することになる。

 

 こんなような例を挙げながら一刀が説明をすると、満寵以外の面々も一刀が言っている式の意味が理解できた様子であった。

 しかし、その上で新たな疑問が浮かんだようで、李典がそれを口にする。

 

「先生! 言うてることは理解したけど、それがどんな意味があるん? この世界は筆一本の取引で出来てるわけやないし、実際に存在している貨幣の数も、それが何回取引に使われているのかも確認できんと思うから、こんなん結局は机上の空論やとおもうけど?」

 

「そうなの! この世界には筆以外にも服だってお金で買えるの!」

 

 李典が口にした疑問に乗っかるように于禁も思ったことを率直に口にした。

 確かに、李典が言うことは尤もである。

 

 一刀は分かりやすく話すために、色々な点を所与の条件として、分かっているものと扱ったが、実際の市場においては、貨幣の発行量もそれが何回使われるのかもわからない。

 さらに、この世界には筆以外にもそれこそ数えきれない種類の商品が存在し、その物価の平均も求められるかは怪しいところであり、取引回数もまた同じである。

 つまりは、この式が成り立つと理解したところで、それをそのまま現実に適用することは不可能である。

 

 結局は机上の空論に過ぎないものではないか、それが彼女達の意見であった。

 

 実のところ、この意見は正鵠を射ていた。

 この方程式が広く認められている現代においても、これを基にして経済の全てを補足しようとするのは困難を通り越して不可能であるのだ。

 

「真桜、いい質問ですねぇ」

 

 しかし、一刀はそのズバリという意見を受けてもなお、どこぞの先生よろしく想定内であるというように余裕を見せていた。

 

 そう、いくら現実にそのまま当て嵌めることが出来なくとも、この式が無意味ということにはならないのだ。

 

「それでも……お互いの関係は分かる……」

 

 一刀が気持ち悪い余裕を見せている中で、手元に一刀が伝えた式を書き記したものをじっと見つめながら、徐晃がポツリと呟くようにそう口にした。

 

「おお、また俺の言葉がとられてしまったけど、全くその通りだよ。確かに今の話を現実に置き換えるのは無理があるけども、この式の中である要素が変化した時、どんな影響を及ぼすのかは大まかに理解ができるんだ」

 

 予想外なところから自分が言おうとしたことと全く同じことが聞こえた一刀は驚いてから、改めて李典達を見つめながら、この式が現実に使えなくとも意味があるということを説明した。

 

M(貨幣発行量) × V(流通速度) = P(物価) × T(取引回数)

 

 この式は現実にそのまま当て嵌めるのはできない。

 しかし、ある要素の変化がどんな影響をもたらすのかは大まかに理解が出来る。

 

 例えば今回、董卓達がしてきたように貨幣の乱発によって貨幣の発行量Mが増えたケースを考えてみる。

 

 その場合はМ↑となって、自然と左辺が大きくなってしまう。その為、釣り合いをとるためには右辺が大きくならないといけない。

 この時、右辺の要素はそれぞれどうなるだろうか。

 

 まずT(取引回数)であるが、これは大きく変化しないだろう。

 なぜなら、貨幣が大量に発行されたからと言って、人々は取引回数を爆発的には伸ばさないからである。「貨幣の発行が増えた! これからは食事の量を2倍にしよう! 食事の回数は1日6回だ!」とするのは奇人である。

 普通の人はそもそも貨幣の発行量になんて関心を持たないし、それで普段の生活を大きく変えるようなことはしない。

 

 であれば、大きくなった左辺と釣り合いを取らせるために変化ができるのは、残されたP(物価)しかない。

 世にあふれる貨幣を同程度の取引回数で引き受けるには、物価を上昇させることによって帳尻を合わせていくという寸法である。

 

 以前の会議で、衛弘が危惧していた「貨幣の乱発による物価の暴騰」、その仕組みはまさしくこれであった。

 

「……というわけでだ。今回の貨幣の乱発でこのままいけば物価は暴騰し、ゆくゆくは貨幣による価格表示が何の意味もなさない水準までいってしまうことに成りかねない。それを俺達は防ぎたい。そして、ここで話は対応策に戻るのだが、俺達は乱発される新銭を買い取り、市場から回収してしまおうと思う」

 

 式から導きされた、今回の貨幣乱発に対抗するための策を再度一刀は口にした。

 

「ああ、もちろん新銭と旧銭を1対1で交換するようなことはしないぞ。例えば、新銭1000枚に対して旧銭1枚、みたいな基準でうちが交換を引き受けるんだ。そうすれば、向こうが1万枚の貨幣をばら撒いてもその効果を1000分の1にできる」

 

 一刀は、長々とした説明を踏まえてから、自分が語った”新銭を買い取る”という方針の効果を話した。

 

「その時に注意しないといけないのは、あくまで新銭はうちが決めた基準での旧銭との交換にしか応じないということだな」

 

「ほう? してその真意は?」

 

 その後、付け加える様に口にした一刀の言葉に満寵がくいついた。

 

「もし、うちで基準は違うとしても新銭と商品の買い物を許してしまうと、”新銭で商品の取引ができる”という認識を人々に与えてしまうからな。そうなると価格は違えど、俺達のあずかり知らぬところで新銭をつかった取引が普通に行われる懸念がある。あくまで、新銭は旧銭と商会が決めた基準での交換によってのみ取引に使えるという形にしたい」

 

 一刀が考えた、新銭回収作戦の本質は、先の方程式に当て嵌めるとすれば、貨幣発行によるMの上昇分を同じ右辺のV、すなわち貨幣の使用回数を減らすことによって軽減することにある。

 

 もし、一刀達の手の届かないところで新銭が取引に使われるようになれば、結局貨幣の使用回数、もっと言えば新銭の使用回数を増やす事態になってしまうのだ。

 一刀は極端な話、新たに発行される通貨が取引に使用される回数を限りなく0に近付けたかった。そうすれば、相手がどれだけの量の貨幣を発行して来ようとも、0を掛け合わせて貨幣総量を全く増やすことなくできる。

 

「勿論、それで新銭による全ての取引を抑制はできない。それで、差し込む形で悪いが最後の矢が出てくる。商会は新銭と旧銭の交換を引き受けつつ、”新銭による商品の売買”は一切しないことを宣言し、それを市中へ積極的に喧伝していく。そうして、人々の間に”新銭は商会で交換してもらわないと商品を買うのには使えない”という意識を根付かせていく」

 

 一刀は、ちょうどいいタイミングであると思い、残していた最後の策をここで披露した。

 

 それは言わば、思考操作ともいえるものである。

 

 元々、商会はこれまでの活動の結果、商人に対してはもとより、市井の者達に対しても大きな影響力がある。今回はその伝手もフルに活用して、とことん市場の取引で新銭が使われる取引を排していくというのである。

 

 一刀が全ての構想を語りつくしたところで、全員は一様に考え込むようにした。

 

「なるほど。一刀さんと燕様の考えた策は概ね理解できました。”新銭を貨幣としては認めつつ、その価値は徹底的に叩き潰す”、まさか金で金を買うという方法でそれを実現しようとするとは、正直……感服いたしました。……常人なら到底、思いつかないような手段ですね」

 

 そして、いち早く考えをまとめた様子の満寵が顔を上げると、素直に策を称賛した。

 彼女は今回出てきた新銭を貨幣として潰すということを考えた時、本音ではそれが非常に困難なものであると感じていたのだ。

 この大陸において一般的な人々の貨幣に対する認識は、「皇帝が貨幣として認めたもの」というものである。そう考えると、今市場にある五銖銭も今回発行された新銭も本質は同じものである。

 

 どちらも”皇帝の権威”によってその価値が担保されているといえる。

 もし商会が今回の新銭を真正面から貨幣として否定するのであれば、その貨幣を支える皇帝の権威とぶつかることになる。

 そうなればいくら商会の知名度や信用度が民衆に広まっているとはいっても分が悪い戦いになるだろう、満寵はそう考えていた。

 

 しかし、一刀が今話したやり方であれば、わざわざ皇帝の権威と正面から戦う必要がないことになる。貨幣としての存在は容認し、その一方でその価値だけを否定していくということになる。

 

 何が違うのか一見すればわからないが、この両者には明確な違いがある。

 

 民衆の立場から考えてみよう。

 

 まずは前者、皇帝が貨幣と主張するものを商会が「これは貨幣ではない」と主張した場合である。

この時、今の商会の影響力を考えれば自惚れではなく、多くの人々をこの主張に従わせて新銭の貨幣としての存在をある程度は否定ができるだろう。

 

 しかし、おそらくそれは完全に、とはいかないだろう。

 

 商会が否定しても、どうしても民衆の間には「それでも皇帝が言うんだからこれも貨幣なのではないか?」という思いが残るだろう。

 腐っても数百年この大陸を支配してきた王朝である。その権威を民衆の心の奥底、根底から拭い去るのは至難の業であるだろう。

 

 しかし一方で後者、その価値だけを否定するのであればもう少し話は簡単になるだろう。

 「貨幣であっても、見た目が悪いし価値は低いんだろう」、こんな認識のほうが、はるかに民衆からすれば受け入れやすいだろう。

 

 権威という朝廷の得意な舞台での正面衝突を避けつつも、こちらの目的を達成する。

 

 一刀の方策は上手くいけばそんなおいしいところ取りができる。

 

 勿論、いくつかこの策の中にも懸念できる点はいくつかあるが、大筋としてはよくできている。それが満寵の感じた素直な感想であった。

 

「せやな、難しい話は分からへんけど、聞いた限りでは理屈は通っとるんとちゃう?」

 

「同じくなのー」

 

「シャンも……お兄ちゃんの言う策でいいと思う。お金でお金を買うなんて、初めて聞いたけど……うん、いいと思う。多分」

 

  満寵に続く形で、残る参加者である李典、于禁、そして徐晃も同じく一刀と衛弘が考えたという今回の対抗策に賛同の意を示した。

 

 とりあえずではあるが、全員の賛成を得ることができたことを確認した一刀は一旦安堵するとともに、自分の策をとることを前提に話を進めていく。

 

 負けられない戦を前にした一刀達の会議はもう暫く続くのであった。

 

 

 




長くなってしまいましたが、次話の最初の部分に少しだけ続きます。

その後は、方向性も決まったという形で商会の描写は簡潔にしながら、あとは他の諸侯の描写を入れて連合に入っていく予定です。
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