Monter HunterXX 黒龍伝説の巻 終焉の章 作:マスクまる
前作を読んでない方は先に読んでくだされ。
このままだと多分内容理解不能になると思われます。
ハル達四人は、その後もミラボレアスについての古文書の調査を続けていた。
少しずつ解読を進めていた。
そして、終焉の書に紅龍の存在を発見したのだった。
「『紅龍』だと。」
「黒龍のはずだろ。」
「どうした、ハル。」
「ユウキさん。これ…」
古文書の一片を見せた。
「これは…」
『その怒りは大地を震わし、天をも焦がす』
その名は"運命を解き放つ者"を意味し、数ある伝承の中ですら幻の存在として扱われる、
伝説の黒龍をはるかに上回る「災厄の化身」。
その名が残っている逸話や文献自体が皆無に等しく,現在判明しているのは、断片的にのみ記されているその姿と、「紅龍」と呼ばれるという事実、そしてこの龍が世に降り立つときに起こるという、計り知れない厄災の存在のみである。
「紅龍」と称される通り、全身は闇夜に流れるマグマの如き禍々しい朱色の甲殻に覆われ、
頭部には紅く光り続ける歪な角を戴き、背には大地が胎動するが如く脈打つ
紅蓮の翼を誇る。
「災厄の化身…」
「確か,どこかの伝承では…そうだ,焔の禍と言われていたか。」
紅く発光する鱗は、紅龍の激昂に際して更なる輝きを放ち、周囲を朱に染め上げる。「焔の禍」とも称され、天を衝く怒りによって終焉を呼ぶとされており、血染めの鱗に身を包む紅龍が獄炎の大地にその姿を見せるとき、世の空は緋色に染まり「終末の時」が訪れるという。
また,とある文献の中で、紅龍は「怒れる邪龍」と呼称されている。
そして数少ない資料によれば、紅龍は何者かが極限の怒りにより紅く染まった姿であるという。
この世界に於いて、邪龍と称される存在、そして世界を滅ぼすと伝説に謳われる存在は一つしかない。
黒龍ミラボレアスである。
「要するに、災厄の化身は…」
「極限の怒りに紅く染まったミラボレアス。」
「それじゃあ…」
「いや、それはないだろう。」
リンの言葉を遮るようにユウキが言った。
「現状、ハンターズギルドでは紅龍をあくまで黒龍とは異なる個体であると定義している。」
上で述べた事実が示されてからというもの、その存在を知る極一部のギルドの重鎮たちの間では、本種は黒龍が激昂し赤く染まった姿である、あるいは火山で力を蓄えた姿であるなどとまことしやかに囁かれているらしい。
「だが、ありえないわけではない。」
ユウキは知っていた。ギルド内でも様々な憶測が飛び交ってはいるが、黒龍と紅龍の関連を示す何れの伝承も、この紅龍が災厄と称される黒龍をも超越した存在であることを肯定している。究極の憤怒により覚醒を遂げ,全身は燃え盛る炎よりも鮮やかな紅色に輝き、その鱗や外殻は尽きぬ激憤を体現するが如き灼熱と獄炎を纏うといわれる紅龍の存在を。
「これが事実とするなら…いや事実だろう。どちらにしても、危険なのは間違いない。」
これらが紅龍が黒龍以上に危険な存在であると言う事実を証することに疑いの余地は無かった。
だが,これ以上の情報・伝承は殆ど存在せず、その存在や生態に関しては黒龍以上に不明瞭であり
近年、ハンターズギルドによって解析に成功したとある古文書に書き記されていた謎の龍。
曰く、紅蓮に燃える劫火の化身にして”運命の戦争”そのもの。
「運命の…戦争。」
「ミラボレアスの存在が確認された以上,否定はできないからな。」
戴く天衝の角は極限の怒りに染まっており、それは古より定められし宿命の証のして,破壊と再生を繰返す不滅の証として畏怖される。逆襲の念に煮えたぎる凶悪な眼光は対峙する者の精神を蝕み、鮮やかな紅焔の翼は大気をも焼き尽くさんばかりの熱風を巻き起こすという。
「この古文書に書かれているのは,ほぼ100%事実だ。」
炎やマグマを自在に操り、歩みを進めるだけで大地を焦がすとの記述もあり、その怒りが頂点に達した時、近付くもの全ては灰燼に帰すとまで謳われる。また、予言では最果ての地に赤き凶星が降る時、天翔る厄災が訪れると語られており、かの龍は天地から凶災を呼び寄せ、世界に終焉をもたらすとされている。
「運命の戦争」という不吉な単語から、ミラボレアスとの関連性が示唆される。
「戦わなければならないだろう。」
「戦いましょう。」
「そうですよ。」
(そうだ,この戦いは来るべくして来たものなのだ。それを,受け入れなければな。)
また、出現を預言されている地の特性から、特に「紅龍」と深い関係がある可能性が高い。
しかし、件の古文書以外にその存在について触れた資料などは確認されていない。そもそもミラボレアスと密接な関係がありそうな存在、そしてその資料などは、少なくとも世間の表舞台にはまず存在していないのである。
それ故にこの古文書に語られる龍に関しても不明な点ばかりだが、
古文書の予言が真実であるとすれば、その脅威は計り知れない。
奇しくもごく最近、古文書に記された条件が満たされようとしていると一部から報告されており、ハンターズギルドでは秘密裏に事実確認と調査を行っているらしい。
(ギルドから派遣された調査隊からの報告は無い。すでに全滅したか。)
「戦うとしても、今の俺たちの装備じゃ討伐なんて出来ないんじゃないでしょうか?」
「確かに。今の装備のままじゃ勝てないわねぇ。」
「ミラボレアスとの戦いだって、偶然のようなものだったし。」
「確かに。」
リンもそれに同意する。
「そうだな。…確かに今の装備では火力も防御力も不足している。このままの状態で討伐に向かったら、確実に死ぬだろう。」
「だから、なるべく早く装備を整えて、討伐に向かう。」
「なんの装備がいいだろう。」
「古文書に書かれてることから察するに、火属性でしょうか」
「そうだな。攻撃属性は火で間違いないだろう。火属性の耐性の高い装備がいいだろう。だが耐性だけが高くても駄目だ。」
ユウキが言った。
「『防御力が高く、尚且つ火属性耐性が高いそうび』ですね。」
「そうすればこちらの勝率は格段に高くなるだろう。」
「だが…」
ユウキは顔を曇らせながら続ける。
「こちらは、相手の行動をよく知らない。装備を揃えても確実に勝てる保証はない。」
「つまり…」
「『クエストの中で、行動を見極めて戦わなければならない。』ということですね。」
「そういうことだ。」
ユウキがハルの問いかけに素早く答える。
この会話を聞いてリンが言った。
「でも、それならミラボレアスの時もそうじゃないでしたか?」
「それは、あっているようであっていないわねぇ。」
リンの質問にヒトミが答えた。
「確かに、ミラボレアスの時も初見だったわ。」
「だったら…」
「でも、古文書の情報から行動を予測できたの。確かに予想外のこともあったけどね。」
「だが、今回は違う。あの老人から受け取った古文書には、ほとんどといっていいほど、行動を予測できる情報はなかったんだ。」
「そうだったんですね。」
「だからほとんど順調だったってことですね。」
「そうだ。」
ユウキの言葉に全員が表情を曇らせる。
「だが手がないわけではない。」
ユウキが続けた。
「やるべきことは変わらないからな。即急に装備を整えて、討伐に向かう。」
「やりましょう。」
「私たちがやらなきゃいけないんだもんね。」
「そうね。」
「決まりだな。では、始めよう。」
終焉の章と次章は一部三章になってるので少し短いかもしれません。