俺はとても憂鬱な気分で自分の新しいクラスへと向かった。くそ、なんてことだ、まさか俺がFクラスとは考えてもいなかった。Fクラスに向かう途中、ひときわ大きくて豪華なクラスが目に止まった。ああ、これがAクラスか。一人一台のパソコンに個人エアコン、その他いろいろな設備が揃っている。
「皆さん、これから一年間Aクラスでしっかりと学んで行きましょうね」
Aクラスの担任であろう先生が前でそう話した、そして続けてこう言った
「それではこのクラスの代表であります霧島さん、皆さんに一言お願いします」
「....はい」
名前を呼ばれ席を立ったのはこの学年でトップの成績を叩きだしたエリート霧島翔子だ。一年のころ陰キャだった俺でも知っている秀才で容姿も整っているまさにパーフェクトウーマン。その美貌から一年のころは告白される数がとんでもなかったみたいだがすべて断ったらしく同性愛説も浮上している人物。
「...これから一年間よろしくお願いします」
短い挨拶を終えると再び先生が前にきて
「はい、ありがとう。これからこのクラスは一年間代表の霧島さん、副代表の雪ノ下さんがこのクラスを引っ張っていくからみんなよろしくね」
今の先生の会話の中で聞き覚えのある名前が出てきた。
雪ノ下雪乃、彼女も容姿端麗で秀才で有名な人物。
しかし癖のある性格のせいであまり友達はいない。
でも俺はあいつとそれなりに会話はできる、その理由は....
「こんなところで何をしているんだ?」
その声のする方を見ると先ほど校門で会った西村先生が不思議そうな目で俺を見ていた。
「いや、何でもないです。すいません」
俺はすぐにその場から逃げるように立ち去った。
しかしAクラスの教室はよかった。ここまでAクラスの設備がいいならFクラスの設備もそれなりにいいのでは、という希望を持っていた。この時までは。
俺はFクラスの教室の前にきて不安になった。
クラスプレートは木でできていて今にも壊れそうな木。
この時点で俺のさっきまで持っていた希望が少し薄れた、そして教室の扉を開けたとたんにその希望はすべて消えた。椅子もなければ机もない。おまけに窓は少し割れている、世紀末みたいな教室。なるほどこれが格差社会か、うんよくわかったぞ。
「おい、そこでつっ立っている奴、早く座りな。座る場所は自由だ」
教壇にたっている男性からそれを言われた。
その男性は身長が高くだいたい180センチ位、細身の体ではあるがボクサーみたいな機能美な体。顔つきは野性的な顔。短い髪の毛がツンツンとたっている。俺はその男性を少し見ただけでこれだけの特徴を把握できる。趣味が人間観察の人にしか手にいれることのできないスキルだ。
「あ、はい。了解しました」
今俺は敬語を使ってしまったがその男は学校の制服をきていて決して教師などではなくおそらく俺のクラスメイトであろう人物。だが陰キャである俺は特有の敬語を使ってしまった。あるよね?こういうこと、とりあえず知らない陽キャそうな奴には敬語を使っちゃうこと。今俺の中の全俺が賛成した。
しかし、いきなり好きなところに座れるなんてこのクラス大丈夫か?
それも先生ではなく生徒が決めるなんて。
さて、どこに座ろうかなと考えてもいると
「おーい、八幡!我の隣に座ってくれー!」
そんな声が聞こえたがおそらく幻聴だろう。
だが仮にその声が本当に聞こえた声ならその声の主はおそらく小太りの眼鏡をかけて手袋をしている人物だろう。
「おい八幡!聞こえてないのか?早くきてくれ八幡!」
「そんなに俺の名前を呼ぶな、材木座」
俺の名前をそんなに言われたらさすがに無視はできなかった。
こいつの名前は材木座。めんどくさいのでしたの名前は割愛させてもらう。俺がこの学校で話せる少ない人物の一人でとにかくうざったい。さらにそのうざったさに中二病という厄介な属性までついている訳だからそれはもうとてつもないだるさ。
「お前の隣に座るとか、地獄かよ」
そういいながらも俺は他に空いてる席も少なく知らない人物の隣にいきなり座るよりはまだ材木座の隣の方がマシだという判断を下した。とても苦渋の決断ではあったが。
「なんだお前もFクラスなのか、そんなに頭悪かったっかお前?」
「いや、我はな、その振り分けテストの日にとあるウイルスと戦っていてな、それに手を焼いてしまって行けなかったんだ」
「なるほど、つまり風邪を引いていたということだな」
「ま、まあそんなところではあるがな実は....」
「ああよくわかった。もう喋らなくても十分だ」
材木座の話がこれから長くなりそうなので朝西村先生が使った必殺、会話切りを使った。
しかしまあ改めてこのクラスを見たがひどいクラスだ。
俺が今座っているのも綿がほぼない座布団だし机の代わりにボロボロのちゃぶ台。こんなので勉強なんてできるのだろうか? まあもともとFクラスのやつらなんて勉強できる環境なんて求めてはいないか。
ガラガラガラ、バキッ
扉を開けて今度はしっかりとした先生らしき人が入ってきた。今扉が壊れる音したけど本当にこの教室大丈夫だよね?震度1ぐらいで壊れたりしないよね?
「皆さん自分の座布団の上に座りましたか?不備があれば後で先生に申しでてください」
この21世紀に学校で座布団の上に座ってくださいというパワーワードを聞いたことがあるだろうか。
「それでは今からHR(ホームルーム)を始めます。私は担任の福原です。よろしくお願いします。それでは今から先生から二点ほどお話が....」
バキバキバキッ
「たった今教卓ガラガラ壊れたので工具をとってきます。
皆さんは自己紹介をしていてください」
今先生が教卓に触れてもいないのに教卓が足元から崩れ落ちた。これ本当にあった怖い話で採用されるな。
それはともあれ先生がいなくなり教室は動物園のようにうるさくなったが、また先ほどの男が崩れた教卓の前にたった。
「みんな聞いてくれ、今から自己紹介をする。こんなクラスでもどんな奴がいるか気になるからな。俺はこのクラスの代表の坂本雄二だ。これでもこのクラスで試験の結果が一番よかったからクラス代表になった。一年間よろしくな」
あの男はこのクラスの代表で坂本というのか。よし覚えたぞ。これでも記憶力には自信がある。
この坂本を皮切りにみんなが各々自己紹介をしてくがまあ、わりと普通だな。そんな中少し変わった人が自己紹介を始めた。
「.....土屋康太」
その男は小柄な体格をしていて自己紹介がとても少なかった。見た目はそんなに目立たないが彼の目からは何か暗殺者のようなそんな鋭い気迫を感じられた。おそらく何か隠れながら何かをやっているのだろう、そんな感じが俺の生きている経験から推測できた。
そして次の奴の自己紹介も変わっていた。
「わしは木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。よく間違われるが男じゃぞ」
そう話した奴は面白い冗談を交えながら話していた。
だってあんなに可愛い見た目をしていて男な訳がない。
確かに話方はジジイ口調だがあの見た目で男だったら俺今日から男もいけるぞ。後で本当に男なのか聞いてみよう。
この学校に来てから初めて自分から声をかけたいと思った奴が現れた。
そしてまた自己紹介は進んでいったがさっきから男ばっかだ。どうりで少し男臭い訳だ。そんなことを考えていると俺の番に回って来た。まあ俺の名前なんて有名でもないし適当に済ませるか。
「俺の名前は比企谷八幡、みんな一年間....」
俺が名前を言ったとたんにクラスがざわつき始めた
「比企谷ってあの比企谷か?」
「確か文化祭で女子を泣かしたとか」
「その他にも色々伝説があるぞ」
「あの雪ノ下さんと会話のできる数少ない男子って噂もあるらしいぜ」
おいおい、マジかよ皆俺のこと知ってるのかよ。俺のこと好きすぎか。
好きだとかそんな訳がないことぐらいは知っていたがまさかこれほど有名だとはな。
そう俺は一年生のころ色々と問題を起こしてしまった人物だ。そんな問題あんまり知っている人いないかと思っていたが、まさかこれほど情報が伝わるスピードが早いとはな、舐めていたぜ。
まだクラスがざわついているなか俺は静かに座った。この状態で話しても意味なんてないしな。そしてまもなくそのざわつきも収まりまた自己紹介が始まる。そして今度は自分から女だと言ったこのクラス初めてのれっきとした女子が現れた。
「私の名前は島田美波と言います。得意な科目は数学で、
苦手な科目は、えっと、私は育ちがドイツなので日本語の読み書きが苦手です」
そんなことを話した彼女は島田と言うらしい。そしてそいつは続けてこんなことをいっていた。
「趣味は吉井明久を殴ることです★よろしくお願いします」
なんて暴力的な奴なんだ。このクラスの女子にかわいさなんてあったもんじゃないな。それにしてもその吉井って奴は可哀想だな。ん?吉井って聞いたことがあるな。そして次の人が自己紹介を始めた。
「コホン、えー先ほど島田さんからひどい紹介がありました僕が吉井明久です、えー皆さん一年間よろしくお願い致します」
あー、こいつが吉井か。見た目は普通だがその頭の中に入っている脳みそがとてもその悪いようで有名な人物だ。まあFクラスにこいつはいるだろうと思っていたが案外普通そうな奴なので安心した。
そしてその後も淡々とただ名前を言うだけの自己紹介が続いていく。あ、途中材木座の自己紹介で教室に氷河期が到来したことは置いといて、まああいつには最悪のスタートだったが頑張ってもらいたい。そんな作業みたいな時間が退屈で寝そうになった時だった
ガラガラガラ
「あの、遅れて、すいま、せん」
『えっ?』
遅れて入ってきた人物にクラスの皆が驚いた声をあげた。
読んでいただきありがとうございます。進むペースは遅いですがこんな感じで更新していきたいと思います。
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