そしてまたクラスがざわつき始めた。普段はあまり動じない俺だが、今は少し動じている。
なぜなら今入ってきた人物は本来このクラスにはいてはならない人物だからである。
みんながざわざわしている中、クラス代表である坂本は落ち着いて話しかけた。
「おお、ちょうどよかった。今、皆自己紹介している最中でな。姫路お前もしてくれ」
「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。皆さんよろしくお願いします」
小柄な身体をさらに縮こませるようにして声をあげた姫路。
彼女もまたとても可憐な見た目をしていて、男子人気の高い女子。どこか小動物みたいなそんな可愛さがある彼女はこのFクラスに似合わない見た目ではあるがそれで皆驚いたわけではない。
「すいません姫路さん!質問があります!」
一人の男子生徒が元気よく手をあげた。
「は、はい!なんでしょうか?」
突然の質問に驚く姫路。
「なんで姫路さんがここにいるのでしょうか?」
とても失礼な質問にも聞こえるが正直俺もその質問をしたかった。まあ陰キャラボッチにいきなりそんなことはできないけどな。
彼女は一年のころから頭がいいことで有名であのAクラスの雪ノ下や霧島に肩を並べるほどの頭の持ち主。そんな彼女がこのまさに勉強ができないやつらの集まりであるFクラスになぜいるのか?
それはおそらく皆が思っていることだろう。
「そ、そのえっと、実は」
姫路が小さな声でしゃべり始めた。
「振り分け試験の日に、高熱を出してしまってそれで....」
それを聞いて皆が納得した。
なるほどつまり姫路はこの俺の隣にいる小太りの男と同じ理由でこのクラスにいるということか、可哀想に。
しかしこれでこのFクラスの学力もわからなくなってきた。姫路はもちろんそうだし隣の材木座も少なくともEクラス以上の学力はある。そしてなんといってもこの俺だって現代文学年3位の実力の持ち主だ。もしかしてこの先にあるこの学校最大の売りである戦争に勝てるかもしれないしな。
「姫路、俺はこのクラスの代表の坂本だよろしくな。席は自由だがあと2つしか空いてなくてな、比企谷の隣に座るか吉井の隣に座るのか」
うっ、これは姫路も選びずらいだろう。なんせどっちも....
「あの、吉井君の隣でお願いします....」
即決めだった。え、え、なんで?まさか俺嫌われてるのかな?八幡とってもかなしぃ。
「いいのか、あんな不細工の隣で?あいつはとてもバカで不細工だぞ」
「雄二!それはひどいぞ!確かにバカかもしれないけど顔はそこそこいい顔しているもん!」
「すまない姫路。あいつはこの世界に鏡と言うものがあるのを知らないみたいだ」
「い、いえ。そのそれでも吉井君の隣で大丈夫です」
坂本が吉井の隣に座るのを止めようとしていたがそれでも姫路は吉井の隣に座ることを選んだ。
「八幡、ドンマイ」
「うるせぇよ」
材木座に半分哀れみ、半分からかっているような目で見てきた。くそ、殴りてぇ。
しかし俺ってそんなに嫌われているのか?確かに一年生のころ色々と起こしてしまったが、その、なんだ、顔はそこそこ整っているぞ。目以外はだけど。
俺がこの数分でできた深い傷を自分で慰めていると坂本が話を進めた。
「よし、これでだいたい揃ったな。一人風邪でいない人はいるがこれから話を進めていくぞ」
「ごめん雄二。そのいない人って誰なの?」
吉井が質問をする。確かに少し気になってはいるがどうせ俺の知らない人物だ。さて俺はそろそろ寝ようかな。
「えっと、名前は由比ヶ浜結衣って名前でな」
「クッ!?」
「どうした比企谷?」
「い、いえ何でもないです」
不意に出てきた俺の知っている名前に思わず変な反応を示してしまった。由比ヶ浜結衣あいつの存在をすっかり忘れていた。確かに由比ヶ浜の頭ならこのクラスでも不思議ではないしそもそもバカは風邪をひかないっていうのにあいつが風邪で休んじゃったらこの説は嘘ってことになるな。由比ヶ浜とは俺の元クラスメイトでカースト上位にいた人物。見た目はギャルっぽくビッチぽいがそうでもない。とにかく俺の知っている人物だ。
「よし、じゃあ話を進めていくぞ」
俺が由比ヶ浜の特徴を脳内で思いだしている時に坂本が話を再開した。
「今から話すのは皆知っていると思うがこの学校の最大のシステム。そう、試召戦争についてだ」
「ししょうせんそう?」
「なんだそれ、食えるのか?」
「バカ、食える訳ないだろ。あれ毒があるんだぜ」
さすがFクラス。この学校の特徴である試召戦争について全くわかっていなかった。この反応に対してさすがの坂本も驚いた。
「お、おい皆知らないのか!?まったくしょうがない、クラス代表である俺が詳しく教えてやる。皆しっかり聞いてくれ」
そう坂本が言ったがすでに半分くらいは寝ていた。
「いいか、試召戦争っていうのはこの振り分けられた設備を奪い合う戦争のことでな、勝ったクラスは負けたクラスの設備を奪うことができる。戦争の方法だがこの学校には科学とオカルトと偶然により完成された『試験召喚システム』って言うのがあってな、これは直近のテストの点数に応じた強さを持つ召喚獣を呼び出して戦うことのできるシステムで教師の立ち会いの下で行使が可能になるんだ。ここまでわかったか?」
いや残念だが坂本皆全然わかってないぞ。
正直俺もいまいち詳しいことはわかっていないがなんとなくぼんやりとは想像ついてはいた。
「まあ、まだ皆よくわからないと思うが詳しいことは校則に書いてあるからよく勉強しといてくれ。それと....」
「坂本君。皆さんの自己紹介は終わりましたか?終わったなら自分の場所に戻ってください。授業を始めますよ。このFクラスの授業は私福原がすべて教えます」
なるほど、このクラスは担任である福原先生がすべて教えるのか。聞いたことあるだろうか、高校で担任がすべて教える学校など。
「わかりました。この話の続きは帰りにするから少し皆残ってくれ」
そう言い残すと坂本は自分の場所へと戻っていった。
そしてこのクラスになって初めての授業がスタートする。この学校は新学期そうそう授業がある。まあなんとも勤勉な学校なことで。
こうして授業が始まったのだが初日なこともあって授業には全く集中できなかった。クラスの設備がひどいだけあってクラスの空気は勉強するにはとても悪い空気だった。授業中あちらこちらからする咳の音、特にまだ病み上がりなのであろう姫路の咳の音が目立っていてとてもじゃないが辛そうだった。俺ですら結構きつい環境だ。
そんな環境にも耐えながら授業を受けていて、ちょうど三時間の途中だった、材木座から話かけられた。
「なあ、八幡よ」
「なんだ?」
「試召戦争、とても興味深い話だ。八幡もやりたくなったのでは?」
「まあ、多少はな」
「我はとてもやりたくて右腕がウズウズしているぞ!早く自分の召喚獣を見てみたいなぁ!」
材木座はこの試召戦争にとても興味があるのだろう。おそらく自分の中二心に突き刺さる何かがあるにちがいない。この会話をしたっきり俺は深い眠りについて気づけばもう六時間目の終わりになっていた。
「それでは今日はここまで。授業終わったら流れ解散でいいぞ」
なんて緩いのだろう。普通は帰りのHRとかあるはずなのだが。でも実際帰りのHRって意味ないよね? ね?
そして先生が教室を出た瞬間、坂本が先生のいたポジションにいきこう話した。
「それで、朝の続きなんだがな、どうだ皆今日1日過ごしてみて。このクラスの設備に不満はないか?」
『おおありじゃあ!!』
クラスの皆が大きな声でそう叫んだ。俺も叫びたかったがそういうのは柄じゃないとすぐに悟りやめた。でも不満はある。そこは皆と同じだ。普段、皆って誰だよとか思っていたがこのときは皆という存在がわかったような気がした。
「だろう?俺だってこの環境は不満以外なにものでもない」
『そうだそうだ!』
『いくら勉強しないからってこの設備はあんまりだ!』
ここは国会かな?
そう思ってしまうほどの大きな賛同の声。
「みんなの意見はもっもだ。そこで俺からの提案なんだがな、このFクラスはAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う」
Fクラスの代表、坂本の提案に俺は一瞬言葉を失った。そしてすぐに状況を理解した。このクラス、つまりFクラスは超エリート揃いの集団にテストの点数が強さに直結する試召戦争で勝負しようと言うのだ。
この瞬間Fクラスの戦争の引き金は坂本によって引かれた。
読んでいただきありがとうございます。
この話で出てくる試召戦争のルールは原作と全く同じなので原作を読んでチェックしていただければと思いますが話の途中途中で説明していきます。