12月25日クリスマス当日の朝。
いつもと違う匂いを感じて起きた曙さんのお話です。
pixivにも同じものを投稿しています。
あまり嗅ぎなれていない匂いと、右腕の記憶にある感触で目が覚めた。
今日は十二月二十五日、クリスマス当日だ。昨晩は駆逐艦だけでクリスマスパーティを開催したのだが、私はお酒を飲むわけでもないので、ある程度のところで切り上げて床についた。
さて、夜が明けて、あたしは布団の中にいるわけであるが、この香りはなんであったか。七駆では嗅いだ記憶のない香りだ。ビターオレンジのような、シトラス系の香水ではあるが、誰のものであったか?
最近になってこの香りを嗅ぐ機会が増えている気がするが。はて?
ふと、左を見ると、寝るときにはなかった物体が枕元に置いてあった。真っ赤で大きな靴下が四角く膨れ上がっている。無理やり箱状の何かを靴下に詰め込んだようだ。香りはここから漂っているのか?
靴下の中に香水でも入っているのだろうか。右腕が固定されているので、左手で靴下を手繰り寄せて匂いを嗅いでみた。これは中の物体の匂いではない。靴下から香りがする。
故意に靴下に香水をふりかけたのだろう。
……そうだ。この香水はあの娘の匂いだ。最近艦隊に加わったあの娘だ。なぜだかわからないが、やたらとあたしに懐いてきたあの娘。ずいぶんわざとらしいことをする。
これは何が目的なのだ? 夕雲型はなかなかに押しが強いのが集まっているから対処に困る。
困るといえば、現在のこの状況は正気困る。右腕をがっちり、そしてやわかく固定されてしまっている。やわらかい大きな二つの山をあたしの右腕に押し付けてしがみついている。これには困ったものだ……。長い付き合いであるから、この感触は馴染みがあるのだが、今日に限ってどうして……。
自由な左腕で掛け布団を持ち上げると、湿気と共に、ミルクのような甘い香りがふわりと広がった。布団の中には黒髪で丸く豊満な身体付きをした少女が潜り込んでいた。寒いのか、あたしの右腕にがっちり抱きついて、間抜けな面をして寝息をたてている。そりゃあ寒かろう。パンツしか身に着けていないのだから。ほぼ裸の潮が胸を私の腕に押し付けているのが今の状況だ。
昨晩は私が先に床についたので、その後のことはわからない。潮はそれなりにお酒を嗜むので、パーティで羽目を外したのだろうか? それにしたって裸で人の布団に潜り込むことはないだろう。
そんなことを推測するよりも、この間抜けを叩き起こさねば。起こしてから昨晩の事を問いただす方が早いのだから。
そう思い、動き出そうとしたところで、勢いよく廊下を走る足音が聞こえてきた。足音はこの部屋の前で止まり、やや乱暴に部屋の戸が叩かれたかと思うと、こちらが返事をする前にバタンと勢いよく戸が開かれた。
「ぼの先輩! おはようございます! “サンタさん”からのプレゼントは見てくれましたか!」
この娘は見た目から、もう少し大人しい娘かと思っていたが、想像以上に勢いのある性格であった。
それと、ノックしたのなら返事を待ってから開けてくれ。お母さんじゃあるまいし。
ビターオレンジの香りの後輩は、あたしと潮が同衾していると思ったのであろう。ひきつった顔で立ちすくんでいる。
実際に同じ布団に入ってるのだから同衾と言えば、同衾であるが、そうではないのだ。
これはまた面倒なことになった……。まずは、弁明をすべきか。それとも、プレゼントのお礼をすべきか。
あたしは一呼吸置いてから、言葉を発した。「おはよう。そして、メリークリスマス」と。
岸波のクリスマスグラフィックをみて思いたち、スマホのメモアプリに15分くらいで打ち込んだものに手を入れました。
シチュエーションのみ思いつき、内容については深く考えていなかったのでお許しください。
「うしぼの」もいいけど「きしぼの」もいいよね……。