ダンガンロンパ Redemption   作:ナーガ工場長

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お ま た せ


(非)日常編4

「悪い、遅れた!」

「遅かったな。何かあったのか?」

「いや、別に問題はない。大丈夫だ。」

「そうか、無事ならそれでいい。だが出来るだけ時間を厳守するようにしてくれ。」

「わ、悪かった…。」

皇の言うことも尤もだ。急いで空いている席に着いた。

 

「まぁまぁ、大和も少し厳しすぎるよ。俺達は別に軍隊でもないんだし。」

「ふむ…。それもそうか。」

葛城が横からフォローをしてくれた。『大和』って…馴染むの早いな。

 

「おや、葛城クン…。皇クンとは随分仲良くなったようだね。」

「うん。調査中にすっかり仲良くなってね。でも、大和はまだ俺を名前で呼んでくれないんだよね。」

「お前のそのコミュ力なんなんだよ葛城…。」

「他人を下の名で呼ぶのは…どうも慣れん。」

お、なんか意外な所もあるんだな。

 

「へぇ〜。大和くん、意外と可愛いところあるんだねぇ。」

「クス。きっと、長らく提督という立場にいたから癖が抜けないんでしょうね。」

「フッ。実に人間らしい悩みだな。」

いや、お前も人間だろ氷室…。

 

すると、小鳥遊がさっきの事を思い出して、

「あ、そうだ。飛田さんと夜桜さんが少し遅れて来るから。」

「そうか。どれくらいかかる?」

「着替えるだけだから五分もかからないと思うけど。」

「了解した。ではもう少し待つとしよう。」

 

 

「話は変わるが…このテーブルの紅茶はなんだい?」

「あ、それは僕と宵月様の2人で淹れさせていただきました。」

カップを指差した東雲の質問に剣崎が答えた。

 

「…見たところ誰も口を付けてないようだな。」

「やはりこの状況ですから、毒を盛られていると考えて皆様警戒しているようです…。」

「ふむ…。」

そう呟くや否や何の躊躇いもなく東雲はカップを口に運び始めた。

 

「ちょっと東雲君!?何をする気ですか!?」

「何って、紅茶を飲むだけだが?」

「そうじゃなくて、もし毒でも入ってたらどうするのですか!」

「ほう、君はオレを心配してくれてるのか。こんな美しい女性に心配してもらえるとは嬉しい限りだね。」

「う、美しい…?じゃなくて、なんでそんなに落ち着いてられるんですか!?」

焦る八咫をよそに冷静な東雲。確かにこの状況で出されたものに口を付けようとする東雲のメンタルも凄いけど。

 

「大体、折角用意してくれたものに手を付けない方が失礼じゃないか?そっちの方がオレはマナー違反だと思うが。」

「そ、それは…」

「…大丈夫。オレは医者だ。毒の対処法くらい理解しているさ。」

そう言って紅茶を飲み始めた東雲。俺たちはその様子を見守っていた。

 

 

 

…だが。

「……ウッ!!」

呻き声をあげて、東雲はテーブルに突っ伏した。

「お、おい東雲!」

「し、東雲君!?」

 

 

「剣崎テメェ!!やっぱり毒を盛ってやがったな!!」

白暮は剣崎に掴みかかった。

「や、やめてください白暮様!僕は本当に知りません!!」

「じゃあ宵月!お前か!?」

「私も知らないわよ!馬鹿なこと言わないで頂戴!」

「とぼけんな!どう考えても紅茶を淹れたお前らが怪しいだろうが‼︎」

 

そこからはもうパニック状態だった。

「岳くん、幽華ちゃんどうしよう!蒼真くんが…蒼真くんがぁ‼︎」

「……ムゥ……とりあえず心肺蘇生を……!」

「待て、一旦落ち着け。もう手遅れかもしれんからここはまず、金と死体を持って教会に…。」

「……いや、お前が一番落ち着け…。」

 

「お待たせ〜。遅くなっ……って何事?」

「あ、あぁ飛田と夜桜か…。実は…。」

「………えぇ⁉︎し、東雲さんが…?」

「ま、マジ⁉︎てことはこのまま学級裁判始まっちゃうの⁉︎アタシ全然状況が飲み込めてないよ!」

「いや、気にするとこそこか?」

 

 

 

 

 

ーーその頃、東雲の身体を見ていた皇、シルヴィア、葛城は…

「……どう思う?」

「うん…間違いないね。」

「えぇ…これは…」

「大和、悪いけど皆を静かにしてもらえる?」

「分かった。」

 

 

 

「ーーお前ら……一旦鎮まれ。」

皇の一言で静かになる俺達。

 

「皆お取り込み中の悪いけど、東雲君なら大丈夫だよ。」

「大丈夫って、何がだよ?」

「全く……タチの悪い悪戯をするんだから……。起きなさい、東雲クン。」

 

 

 

 

「ーーふぅ。やれやれ、予想以上の反応をするから起きにくかったよ。」

そう言いながら何も無かったかのように東雲は起き上がった。

「ゾ、ゾンビか!?せ、聖水を…!」

「………だから落ち着け氷室…。」

 

「落ち着きなさい。彼は死んだフリをしてただけよ。」

「し、死んだフリ?」

「緊張した雰囲気を和ませるためにと思ってやったんだが…。皆本気にするとは思ってなかったから逆に焦ったよ。」

「お、お前なぁ!この状況でんな事されたらそうなるっての!」

「ハハハ、すまないすまない。」

悪びれる様子もなく、東雲は笑った。

 

すると、八咫と夜桜が東雲の前へ行きーー

「東雲君…一発だけ許してください。」「八咫さん…わたくしも同感です。」

「おや、随分殺気立ってるね。その手を降ろして一杯お茶でも……………いやいやちょっと待ってホントオレが悪かったからやりすぎたからマジで許し」

 

 

「問答無用!!」「天誅!!」

「グハァ!!」

2人の渾身の一撃と東雲の断末魔が食堂に響き渡った。

うわー…。あれ痛いやつだわ…。

 

 

 

「ーーさて、無駄に時間を食ったが全員集まったようだし報告会を始めるが、その前に…。」

そう言って皇が歩いていった先ではーー

 

 

「………Zzz…」

ーー本代が寝ていた。

「おい。本代、起きろ。」

「………んっ…?まだ報告会始めてないのか…?」

「今から始めるところだ。お前いつから寝ていた?」

「………東雲が紅茶を飲んだ辺りか……。」

まだ覚醒し切ってないのか、ぼんやりした様子で答える本代。

 

あの騒ぎの中で寝てたのか…マイペースすぎるだろ。

そう思ったのは皇もらしく、呆れ気味に

「全く……。お前は大物なのか天然なのかよく分からん奴だな。」

「…褒め言葉として受け取っておくよ。」

 

 

「まぁいい。ともかく、第一回ミーティングを行う。」

第一回か…。第一回で済めばいいんだけど。

 

 

だが、俺達が調べた事以外に脱出の手掛かりになりそうな情報はなかった。

「とりあえず、今回の調査結果をまとめると…。」

 

・現在調査可能エリアは校舎の一階と中庭、体育館。

・外周を壁に囲まれているため、脱出不可能。

・食糧が無くなる事による餓死の心配はない。

・各人毎に併せた『超高校級の研究資料室』が存在(現在あるのは、白暮・夜桜)。

・寄宿舎のセキュリティは比較的万全。但し、監視カメラ有り。

・その他の施設はプレイルーム、食堂、倉庫。

 

「………と言った所か。………娯楽施設の設置や無尽蔵にある食糧等、基本的な生活をする分には支障がないのが腹立たしいが。」

 

倉庫から持ってきたであろうホワイトボードに内容を書き留めて苛立ち気にボードを軽く殴りながら、皇は言った。

 

「結局、脱出の手掛かりはなしか…。チクショウ。」

「実はマンホールの下に隠された脱出ルートがあるなんて事もないよねぇ。」

「そんなものあるわけないでしょ…。」

「それにあったとしても十中八九罠としか考えられませんよ…。」

 

「他に何かあるか?」

「う〜ん……」

「どうした?葛城。」

「これさ寄宿舎のセキュリティ、案外万全じゃないかも。」

葛城がとんでもないことを言い出した。

 

「ほら……例えばモノドロイドを誰かから借りて部屋に入っちゃえば…。」

「あ、そっか!その部屋の持ち主になり済まして殺す事が…。」

 

すると、

「ならんならんならん!そんな事は断じていかんぞ!なぁ息子よ!」

「全くですよ!ねぇ父さん!」

突然モノクマとモノパパが現れた。

 

「……なんだよ。」

「いいか?オレたちは健全にコロシアイをさせるために寄宿舎を用意したんだ。」

「それなのに他人の部屋に入るなんて…そんな事したらタグがR-18になって制限がかかっちゃうじゃないか!」

な、なんの話をしてるんだこいつらは…。

 

「でも、誰かの部屋に入ることが出来るのは事実だよね?」

「そんな言ったって、思春期のオマエラが異性の部屋に入ったらシコシコ…じゃなくって、コソコソナニをするかなんて手に取るように分かるんだよ!」

「というわけで、モノドロイドの貸与は禁止であることを校則に追加しておく!いいな!」

「それから、校則じゃないけど不純異性交遊も原則禁止とします!もしやりたいなら、R-18カテゴリでやるように!以上!」

 

その言葉を残してモノクマ達が去った後モノドロイドに通知が入り

11.生徒間でのモノドロイドの貸与は禁止します。

という校則が追加された。

 

「………校則でモノドロイドの貸し出しが禁じられたから、俺からは特にないよ。」

「そ、そうか。他にはあるか?」

「では、私から。」

氷室が手を挙げた。

 

 

「さっきのモノドロイドのくだりで思い出したんだが、手の空いている時にコイツの全機能に目を通しておいた。一応説明しておく。………知りたいやつも多いだろうしな。」

 

全員がモノドロイドを起動したのを確認してから、

「さて、始めるが操作法は概ねスマホと同じだ。各機能はスマホでいうアプリのようにアイコンで区別されている。使えるアプリは『校則』『学級裁判』『マップ』『モノトーク』だ。校則とマップは特に説明する必要がないだろうから、今回は省略する。」

 

『学級裁判』……名前から明らかに不穏な気配が漂っている。

『モノトーク』…これは所謂トークアプリのようなアイコンになってるな。

 

「まず『学級裁判』だが、これは実際に事件が起こってから使うみたいだ。どうやら、事件の内容を纏めたデータが送られるらしいな。説明をしたいが使わない以上、説明しようがない。次に『モノトーク』。これは、その名の通りチャット型トークアプリのようだ。個人トークもグループトークも可能らしい。但しいくつか制約があるがな。」

 

 

「制約?」

「まず、トークできる人物は今いる16人のみであること。次にトーク履歴とトーク相手を削除することは出来ない。常に画面には16人いる状態ということだ。」

「なんで削除できないんだ?」

「モノクマ曰く、削除すると後々バックアップをとるのが面倒だからだそうだ。」

なんだそりゃ。

 

 

「私からは以上だ。」

「成る程。ご苦労だった。他にあるか?」

だが、他に意見は出ず議論は頭打ちになってしまった。

 

 

かなり長い間沈黙が続いた頃、沈黙を破ったのは

 

 

「………あのゴメン。」

飛田だった。

「空気読まないようでホント悪いんだけど……。お腹減った。」

「ホントに空気読まないな!?」

「でも確かに腹減ったな。今、何時だよ?」

 

 

時計を確認すると、もう18時だった。2時間くらい話してたのか…。

「これ以上考えても意見が出そうにないな…。まずは夕飯にしよう。剣崎、食事の準備を。」

「かしこまりました。では、宵月様手伝っていただけますか?」

「分かったわ。」

「待って、俺も手伝うよ。流石に16人分となると大変でしょ」

「ありがとうございます葛城様。では、残りの皆様でテーブルの準備をお願いします。」

 

 

テーブルの準備を終えて出て来たものは…。

アヒージョ、寿司、ケバブ、ミネストローネなどなどの料理だった。

「これは……ビュッフェか?」

「はい。この状況ではありますが…僕達が出会えたのも何かの縁。ささやかながらパーティーをしようと3人で提案させていただきました。」

「パーティーか…久々だな。」

「オレは学会での発表パーティー以来だな。」

「アタシは初めてだな〜。」

 

 

「でもさ、この状況でパーティーねぇ…。」

「白暮君。この状況だからこそ、俺達は互いを知るべきじゃないかな。じゃ、乾杯頼むよリーダー。」

「お、俺か…。」

不意打ち気味にグラスを渡され、珍しく戸惑う皇。

 

 

「では…全員グラスを持ったか?」

「「は〜い!」」

「まずは、今日一日色々ご苦労だった。監禁だのコロシアイをしろだの、考えるべき事はまだまだある。だが今日は無礼講、こうして超高校級の人間が一堂に会したこと、友と出会えた事を喜ぼう。

…では、乾杯!」

「「乾杯!」」

 

 

「美味っ!なんだこれ!」

「美味い…美味すぎる!」

「ん〜美味し〜♪」

「ええ、とっても!」

「オレ……明日死ぬのかな。」

「いや、なんでだよ!」

剣崎達の作った料理はとても美味く、みんな大絶賛だった。

 

 

ふと、皇を見ると凄い険しい顔をしていた。

「剣崎……。」

「はい、なんでしょう。」

「この料理………凄く美味いな。」

「ありがとうございます。」

「どうだ、朱雀隊の専属料理人にならないか?」

「ありがたいお誘いですが…僕も色々やりたい事があるので。」

「そうか。」

なんだ、気に食わないかと思ったらその逆か。

てか、今しれっとスカウトしてたな。

 

 

 

 

「ーーふぅ。」

「白暮隣、良いか?」

「あ、暁日か。良いよ。」

「じゃ、失礼。」

 

「…………あのさ。」

「ん?」

「確かに友達になってくれとは言ったけどさ、無理に一緒にいなくたっていいんだぜ?」

「俺は別に嫌じゃないけどな。葛城も言ってた通り、俺はお前とも仲良くしたいんだよ。」

 

「……オレの不運のせいで巻き込んじまって悪いな。」

「だから、気にすんなっての。俺は皆と会えた事自体は悪くないと思ってるよ。」

「そうは言ってもよ…。」

「……だったらさ。そういうネガティブ思考になる前に別の事考えればいいんだよ。」

「別の事?」

 

「そっ。例えばそうだな…。ここから出たあと何がしたいとか。」

「したい事…か。お前ならなんだよ?」

「俺は…そうだな。まずは依頼されてた仕事をしたいな。家帰ってお客さんから渡された資料見て……………あー、クソ。なんか出るの嫌になってきた。」

 

「ハハハッ、なんだよそれ。結局出るの嫌になってるじゃねーか。」

「う、うるさいな。資料多いから目を通すの大変なんだよ。これでも何社か掛け持ちしてるし。」

 

「…………桜。」

「ん?」

「桜を見に行きたいなオレ。オヤジと母さんが好きだったんだよ。…まぁ、オレのせいで事故に巻き込まれてもういねーけどよ。とりあえず、無事に生き残れた事を報告したい。」

「いい目標持ってるじゃないか。」

「…バカにしねーのか?」

「するわけないだろ。人の夢や目標を笑う奴の方がバカだ。」

 

「まぁ、桜見るだけなら案外すぐに出来るかもな」

「あ?なんでだ?」

「だってホラ…『桜』だろ?」

そう言って俺は夜桜を指差した。

 

「あ〜なるほど……ってなるかよ!なんでアイツ見なきゃならないんだよ!?」

「いいだろ!?アイツに泣き付いたら色々見せてくれるかもしれないぞ!?」

「バカかお前!モノクマに言われてたろ!?もうちょっと真面目なヤツかと思ってたけど見損なったぞ!」

「うるせえ!この人数で閉じめられてんのに悶々としない方が異常だろ!」

面と向かって「バカ」って言われるの結構堪えるな…。

 

「「……フフフフ。」」

「「ハハハハハハ!」」

 

「……ありがとよ。お陰で気持ちが楽になった。伊達にアドバイザーやってねぇな。」

「『伊達に』ってなんだよ!お前さっきから失礼だな!」

「お前の扱いなんかそれくらいで十分だよ!」

「さっきのは冗談に決まってるだろ!俺を東雲みたいな扱いするな!」

「どう見ても冗談には思えねぇよ!」

 

「……ハァ。もうよそう。不毛だ。」

「だな。疲れた…。」

 

「…あ、デザートもあるみたいだ。取ってこよ。白暮はいるか?」

「あ…じゃあ、チーズケーキ頼む。」

「ん。」

 

「………"悠"。」

「ん?」

「…絶対出ような。」

名前を呼んでくれた…って事は信用してくれたって事でいいんだよな。

「…あぁ、絶対出るぞ。"夕斗"」

 

「"夕斗"と"悠"…。フフッなんか名前似てるな。」

「いいからはよ取ってこい。」

白暮にそう促されて足早にデザートを取りに行った。

 

 

パーティーはその後食堂が閉まる夜時間ギリギリまで続けられた。

…こんな平和時間がずっと続いて欲しい…。

俺はそう考えていた。

 

 

 

 

 

ーーだが、その願いはいとも容易く打ち砕かれてしまうことになる。




およそ一年振りの投稿となり申し訳ありません。
過去の内容見ながら書いたのですが、もしかしたらキャラ変わってるかもしれません。
久々に続き書いたら調子良かったのでいっぱい書けました(小並感)
さて、不穏な終わりですが次回どうなるやら…(すっとぼけ)
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