今回はアンケートが多かった暁日視点となります。
班を分け、俺達は校舎内を探索する事になった。
「あ、暁日君。探索一緒に行こう。」
「小鳥遊。勿論いいぜ。」
これまで通り、小鳥遊と行動する事にした。
「あ、ちょっと待ってくれ。聞きたい事があるんだ。」
「うん?何かな?」
「実はーー」
俺は夜に目撃した事を話した。
「黒いコートの男?」
「あぁ、何か知らないか?」
「うーん…。そいつの顔は見たの?」
「いや、暗かったし帽子を深く被ってたから見えなかった。」
「……ごめん、ちょっと分からないかな。」
「いや、いいんだ。黒いコートなんてありふれてるしな。……でも一つ考えられるとしたら…。」
「僕達以外の『超高校級』の才能を持った誰か…。」
「…だよな。」
でも、17人目なんてあり得るか?壁に出入り口はないし。
「実は17人目とかでも無くて、誰かのコスプレだったりして。」
「いや、それはないだろ!てか、なんで夜中にコスプレしてるんだよ!それはそれで怪しいだろ!」
「だよねー!アハハ!」
「ハハハハ!」
もう訳が分からなくなり、半ばヤケクソで笑ってた。
「………行こうか。」
「……そうだな。」
ーー校舎二階、三階への階段前
「……ホントにシャッターが無くなってる。」
「新たに増えたエリア…さて、何があるやら。」
ーー校舎三階
「雰囲気的には…特に変わりないな。」
「まぁ、学校だからね。あまり変わり映えはしないかも。」
三階にも二階同様に普通の教室が3つあった。
今回は2-A 2-B 2-Cと表札に書かれていた。
「教室は二階と一緒だな。」
「まぁ、わざわざ変える必要もないからね。」
2-Bの黒板にだけ、『なんで教室なんかに来たんすかね?』と書かれていたが、深く考えない事にした。大方、モノクマのイタズラ書きだろう。
ーー
次に見つけたものはまるで“KEEP OUT”の帯が描かれた金庫のような形をした大きな扉だった。
金庫と”KEEP OUT”…この二つから考えられるのは、『脱獄囚』の研究資料室だろうか?
「よし、入るか。」
「あ!今入っちゃダメ!」
「え?」
扉を開ける瞬間、アレックスが制止する声が聴こえた。それと同時に警報が鳴り響き、パトランプで部屋中が真っ赤になった。
『侵入者発見!侵入者発見!これより、撃退モードに移行します!』
という警告音が鳴ったと思ったら、顔を何かが掠めた。
「………え?」
壁を見ると、丸く焼け焦げていた。
飛んできた方向を見ると、マシンガンとレーザーの銃口が俺を狙っていた。
「ちょ……嘘だろ?」
悪い予感が当たり、マシンガンからは銃弾がレーザーからは光線が次々放たれた。
「うわわわわわわぁぁぁぁ!!」
「あ、暁日君!」
やばい、これマジで死ぬ!助けて!
「だ、誰か止めてくれぇ!」
「待って、すぐ止めるわ!」
アレックスが装置を止めてくれたおかげで俺は事なきを得た。
「ハァ…ハァ…。マジで死ぬかと思った…。」
「まさか入ってくるとは思わなかったから、流石にワタシも焦ったわ…。」
「で、でもなんであんな物騒なものがあるの?」
「あれはこの部屋にある警備システムよ。」
「警備システム?」
「ワタシの研究資料室は色んなパターンの防犯装置への対応シミュレーションが出来るようになってるの。あの時は赤外線センサーを張り巡らせて試してたから…。」
「…あぁ、なるほど。ドアか俺がたまたまセンサーに当たって反応してしまったって訳か。」
「そういう訳ね。……危ないから、次からシミュレーションしてる時はドアに注意書きをしておくわ。」
「頼む。……冗談抜きで。」
あんな恐ろしいものがあるとは…。出来るだけこの部屋には近づかないでおこう。
「そうねぇ…お詫びと言っちゃなんだけど、ちょっとこの部屋見て行かない?」
「え?別にいいけど…何かあるのか?」
「実は奥がちょっとした美術館になっててね、ワタシが今まで手に入れたお宝が置いてあるのよ。」
「へぇ、面白そうだな。ちょっと見せてくれ。」
「じゃ、付いてきなさい。」
アレックスに付いていくとホントに美術館みたいになっていた。
「すげぇ…。これ全部本物か?」
「本物はアジトにあるから…これらは多分レプリカね。持ち出す事も出来るわけないだろうし。」
「一つずつ見ていきましょうか。まず、これは千年前のエジプトの王様が作らせたと言われてる7つのアイテム。当時はこれらを使って罪人を裁いていたらしいわ。」
「リング、ロッド、ピラミッド型の立体パズル…。よく出来るな。」
「これ…もしかして純金?一体いくらなんだろ…。」
「それから、これはどんな願いも叶えるという曰く付きの聖杯よ。かつてこれを巡って“聖杯戦争”が起こったとか…。」
「これが願いを叶えるとか…ちょっと胡散臭いな。」
「まぁ、そういう伝説があるよってだけかもね。」
「これは、ワタシのお気に入りよ。」
と言って見せたものは何の変哲もない四つのクリスタルだった。
「特に変わってるようには見えないけどな…?」
「このクリスタル…神話の時代からあったと言われる代物なの。それぞれ風、火、水、土の属性を持ってて、一つでも壊れると世界が滅びる…なんて言われてるわ。」
「う、嘘くさ…。」
「不思議な事にこのクリスタル、色んな国に全く違う伝説があるのよ。例えば、ある国は4人の勇者がその手に携えていたもの、またある国は神様に近い存在によって与えられた使命を成し遂げた人間の成れの果て…って感じでね。一つ言えることはただの石じゃないって事かしら。」
「へ、へぇ…。」
他にも色々なお宝を見せてもらった。
秘密が錠と鎖になって実際に見える勾玉、まやかしを打ち破り真実を映し出す鏡…。
妙にオカルト臭いのが多いな。
……あとで宵月に教えてやるか。
こういうの好きそうだし。
ーー
一方、モノクマタワーの宵月は…
「……くしゅっ!……?……風邪、かしら?」
ーー
アレックスの研究資料室を出て次は“図書室”の表札がある部屋に来た。
「………ゲホッ!凄い埃っぽいな。」
「酷い埃だね。かなり長い間放置されてたのかな。」
それに暗い。中の様子が分からないので電気を点けると、
「…なるほど、こりゃ埃が溜まるわけだ。」
「うわぁ…!すごぉい!」
部屋は天井に届く程の量の蔵書で埋め尽くされていた。
そこに、
「なんで図書室なんかに行ったんすかね?」
モノクマが現れた。
「なんだよ、行ったら悪いのかよ?」
「全然そんな事ですよ!それよりこの本の数、驚いたかな?」
「あぁ。とんでもない数だな。」
「ここは別名『
「へぇ…。でも、そんな数の本があったら探すの大変じゃないか?」
「ご心配なく!タブレットを用意してるので、そこから検索すれば一発だよ!まさしく、検索する無限のアーカイブ!記憶という海へとダイブ!」
「ねぇっ!ちょっと、見てきてもいい!?」
こんなに目が輝いてる小鳥遊初めて見たぞ…。
「迷子になるなよ。」
「わーい!」
いつにもなくはしゃいだ様子の小鳥遊。
これだけの本の数、情報屋にとってはたまらない場所かもな。
小鳥遊が探索してる間、俺は休憩がてら本を一冊取り、近くのテーブルで読む事にした。
タイトルは
『探偵少年とピアノ少女〜放課後の図書室で秘密の連弾〜』。
どうやら、恋愛小説っぽいな。あまり読むジャンルじゃないし、ちょっと楽しみだ。
…気弱な少年探偵と活発なピアニストの少女の2人の物語か。少女に影響されて次第に前向きになっていく少年。そして、いつしか少女に恋心を抱いた少年はある日、少女を誰もいない図書室に呼び出し、少女をおもむろに押し倒して………ん?
「…ってこれ、官能小説じゃないか!」
なんでこんなもんまであるんだよ!
八咫や夜桜が読んだら卒倒するぞこれ…。
小鳥遊に見られたら、なんて言われるか………とりあえず、戻しておこう。
そう思い、本棚を見ると
『幸運少年と探偵少女〜閉ざされた学園で秘密の調査〜』
『絶望少年とゲーマー少女〜南国の島で秘密のマルチプレイ〜』
「………シリーズ化してるんかい!!」
どんだけ人気なんだよ!?
1人で漫才染みたことをやってると、
「暁日くーん!ちょっと手伝って!」
小鳥遊に呼ばれた。
「小鳥遊。どうした?」
「この上の本を取りたいんだけど…この脚立、ちょっと不安定だから押さえててくれる?」
「いいけど…大丈夫か?俺が代わりに取るけど。」
「大丈夫だよ。それに暁日君、高所恐怖症でしょ?」
「う、まぁそうだけど。」
……やっぱり知ってたか。この脚立結構高さがあるし不安定だから、間違いなくビビる自信がある。学級裁判の時も席が変形した時は正直、死ぬかと思った。今考えたら、意見が分かれる度にあれやるのか?…嫌すぎる。
「大丈夫大丈夫。上の本を取るだけだからすぐ終わるよ。……でも、ちょっと怖いからしっかり支えてね?」
「分かった、任せろ。」
「………ととっ。…………うん、取れたよ。」
「了解。片手塞がってるから、降りるのも気をつけろよ。」
「大丈夫だってば、心配しすぎ。
…………うわぁっ!」
小鳥遊は足を踏み外して脚立から落ちた。
「小鳥遊!危ない!」
思わず俺は落ちてきた小鳥遊をキャッチした。
「…ふぅっ。大丈夫か?」
「う、うん…ありがとう。」
小鳥遊の体重が軽かった事もあって、どちらもケガをせず上手くキャッチ出来た。
………しかし、改めて見ると可愛い顔してるな、コイツ。
身体も華奢だし何も知らなかったら、女の子にしか見えないぞ。
…って、俺は男相手に何考えてんだ!断じてそっちの気はない!
「…ねぇ、そろそろ降ろして欲しいんだけど。」
「……あっ、悪い悪い!すぐ降ろすよ!」
今の俺達の体勢は所謂“お姫様抱っこ”の状態だ。
流石にずっとこれだとどっちも恥ずかしいよな。
この後は小鳥遊が本を読むのに付き合っていた。
…その間、何故か妙に気まずい雰囲気になっていた。
ーー
「三階はこの部屋で最後か…。」
残すは縦にすりガラスを取り付けたスリッドドアのある部屋となった。
このドアはオフィスの入り口に使われるタイプだ。
「……ってことはもしかして、俺の研究資料室か!?」
ついに俺の部屋が来たと期待してドアを開けると、
「……あら?御二方もこちらの探索ですか?」
部屋の中はオフィスのようになっていた。
そこに居たのはなにやら資料を読んでる八咫と、お茶を飲んで寛いでいる夜桜だった。
「そうだ。…ここは何の部屋だ?」
「ここは私、『会計委員』の研究資料室みたいですね。経理に関する資料が沢山置いてありました。」
「お、俺のじゃなかった…。」
結構期待してたから、ショックがでかい…。
「と、とりあえずゆっくりしていってください。お茶とコーヒーがありますが飲みます?」
「お、お茶で…。」
「あ、僕もお茶。」
「ーーどうぞ、熱いので気をつけてください。あと、お菓子もありますのでこっちもよかったら。」
「あぁ、ありがとう…。」
八咫が出してくれたお菓子には『銘菓 モノクマ饅頭』と書かれていた。
包み紙を剥いて中身を取り出すと、モノクマ同様左右が白黒に色が分かれた饅頭が入っていた。
…怪しいが食べないのも折角出してくれた八咫にも悪いし、食べてみるか。
「あれ?結構美味いな。」
どうやら、中身は白餡と粒餡の2種類が入った饅頭みたいだ。
「あ、ですよね?甘さも程良くてお茶に合うんですよ!わたくし、気に入ってしまって!」
「夜桜さん、すっかりこのお饅頭とお茶が気に入ったみたいでここに入り浸ってたんですよ。」
「しあわせぇ…。わたくし、ずっとここにいても良いですわぁ…。」
夜桜、蕩け切ってるが…目的、忘れてないか?
「……さて、気を取り直した事だし資料を見せてもらおうかな。」
「ええ、どうぞ。」
…なるほど、会社毎に利益の傾向と備品をまとめてファイルしてる訳か。
工場なんかだったら、機械の維持費、原料や資材の値段なんかも載ってる。
これなら、予算の使い道がよく分かるな。
それから……これは世界の通貨の相場か。ドル、ユーロ、円、それから人民元、ウォン…流通の多いメジャーな通貨から、逆に流通の範囲が狭いマイナーな通貨まであるのか。
これだけ通貨の種類も多いと株の動きも追いやすいし、国毎の比較も出来る。
「……うん…………うん。なるほど……。ありがとう、なかなか興味深かったよ。」
「もう良いのですか?」
「今は探索中だからな。後でゆっくり読ませてもらうよ。」
「探索……。ほへぇ…そういえば、今何時なのでしょうかぁ…?」
夜桜……緩みきってるな。
「えーと、今11時50分だからあと10分で集合時間だね。」
「丁度いい時間帯だな…。そろそろ食堂に行こう。」
そろそろ集合時間前になったので、俺達は三階を後にして食堂へと向かった。
探索編、暁日サイド終了です。
今回は何故か、パロディや原作ネタがやけに多くなりました。
次回はついに『彼女』の視点で描かれます。