正直、非日常編の方が個人的には進めやすい。
「どう、2人とも琴音ちゃん見つかっ……た……?」
「や……八咫さん…?」
駆けつけた飛田と小鳥遊。
その状況に言葉を失っていた。
ピーンポーンパーンポーン…。
『死体が発見されました!オマエラ!死体発見場所のモノクマタワー1階、水槽前に集合して下さい!』
ーーそれから程なくして、全員が揃った。
「な、なんという事だ……!」
「や、八咫様…!」
「………。」
「でも、あの状況どうするの?あのままだと捜査しようがないし、サメがいるから食べられちゃうわよ?」
「そんな……そんなの可哀想だよ!」
「………やむを得ん。俺が水槽を破壊する………!」
「待ったぁぁぁぁぁ!!」
モノパパが止めに入った。
「待て待て!そんな事をする必要ない!というか頼むから壊さないでくれ!」
「でも、壊さないと捜査できないじゃない?」
「それに早くしないと琴音ちゃんが食べられちゃうよ!」
「だから、待てと言ってるだろうに!この状況だと捜査しようがないのは重々承知している!諸君はそこで待ってろ!」
そう言うや否やモノパパはどこかへ引っ込んでしまった。
するとーー
「あ、魚たちが…。」
「どこかへ移動してるな……む?水位が…。」
魚たちが移動をすると同時に水位が下がっていき、水が全て無くなった。
「これでよし。水槽内も調べたいだろうと思って水を抜いておいたぞ。………それから、前回同様に『モノクマファイル2』を送るから目を通しておくように。では、さらばだ。」
「………さて、見張りと検死は前回と同じく獅子谷、夜桜、東雲。後の調査は各自に任せる。」
例によって皇が淡々と場を仕切って行く。
今回は誰も反論する様子がない。
口には出さないが、学級裁判がどういうものか身を持って知ったからだろう。
……俺も始めよう。それが八咫の為でもあるんだから。
「小鳥遊、今回もサポートを頼むよ。」
「うん、任せて。それじゃあまずモノクマファイルの確認をしよう。」
ーーーー
モノクマファイル2
被害者は超高校級の会計委員、八咫琴音。
死体はモノクマタワー一階、エントランスの水槽にて発見された。
死亡推定時刻は午前0:30頃。
頭部と胸部に外傷有り。
ーーーー
【コトダマ獲得:モノクマファイル2】
「死亡推定時刻は午前0:30ってことは…俺達が争ってた時間帯だな。」
「そうだね。となるとこの時間帯はボク達にはアリバイがあるって事だ。」
少なくとも小鳥遊は犯人という可能性は潰れたな。…少し安心した。
「他に気になる所は…ん?これ、少し変じゃないか?」
「………あっ、ホントだ。死因が書いてないね。」
死体発見現場が水槽内だったからてっきり溺死だと思ってたけど、そうじゃないのか?
「外傷が二ヶ所もあるし、気になる事だらけだな。」
「となると…やっぱり死体だね。」
「けどさ………これ、どっから行くんだ?」
水槽はかなり高さがある上に入り口が見当たらない。水が入る以上、どこかに入り口があるはずなんだが…。
すると、
「入り口が分からない…と言った所かしら?」
宵月が声を掛けて来た。
「宵月、その通りだけど…お前、知ってるのか?」
「ええ。こっちよ。」
ーーバックヤード。
連れてこられたのはバックヤードだった。
「へぇ、裏はこうなってたのか。」
「なるほど。あれだけの魚をどうやって管理してるのか気になってたけど、コンピューターを使ってたんだね。」
「そんなもの見てる場合じゃないでしょ。ほら、こっち。ここから水槽の中へ入れるわ。」
水槽の中には脚立が立て掛けてあった。
だが、特に支えがある訳でもないしここから底まで意外と高さがある。
「……………これ使って降りるのか?」
「そうよ。それ以外に手段はないでしょ?まさか、降りるのが怖いのかしら?」
「そ、そんな訳ないだりょ!」
……思いっきり噛んでしまった。
「………噛んだわね。」
「噛んだね。」
言うな!恥ずかしい!
「ほら、いいからさっさと降りるぞ!捜査するぞ捜査!」
「何を誤魔化してるのかしら〜?」
「うっさい!放っとけ!」
ーー水槽内。
水槽内に降りた俺達。
「降りる時に気づいたけど、奥の壁は鏡になってたんだな。」
「水と魚が間にあったから、分からなかったよね。奥行きを誤魔化すためなのかな。」
「だとしたら、なかなかセコい発想だな。」
【コトダマ獲得:水槽内の鏡】
奥の壁は鏡になっている。
「さて、早速を死体をしらべるか…。」
八咫の死体にはモノクマファイル通り胸部と頭部に傷があった。
「胸に何か刺さったままになってるな…これは包丁か。」
【コトダマ獲得:包丁】
八咫の胸に刺さっていたもの。
包丁以外にもどこか違和感がある。なんだこの違和感…?
「………そうか。メガネがないんだ。水槽に落ちてるのか?」
そう思い、水槽内をくまなく探したが見つからなかった。どこに行ったんだ?
次に検死をしている東雲に聞いてみることにした。
「東雲、何か分かったか?」
「暁日クンか。そうだね…一つ分かった事は死因は溺死ではないね。」
「そうなのか?」
「溺れる時は通常、口や肺の中に水が入り込む。だが、その痕跡が無かったから水に入れられた時点で死んでいたのだろう。」
「……となると、2つの外傷が死因って事か?」
「そういう事になるね。胸部に刺さった包丁、それから頭部の傷だがちょっと変わった形をしてるね。」
「変わった形?」
「あぁ。なんていうか……直角の部分があって一部が平たいんだよ。まるで何かの角で殴ったような形だ。」
【コトダマ獲得:東雲の検死結果】
八咫の死因は胸部に刺さった包丁と頭部の傷のどちらか。
頭部の傷は独特の形状。
この辺りから得られる情報はこれくらいだろうか。
「あとはここのバックヤードとそれから校舎も見たいけど…全部見る時間はないよな。」
「なら、二手に分かるのはどうかしら?私はここを中心に捜査、あなた達は校舎を中心に捜査。これなら、裁判中に情報共有もできるわ。」
「それでもいいけど…。お前は俺を疑わないのか?」
「そうね…。私にはあなたは人を殺せるような人間には見えないからかもね。」
「………そりゃどーも。」
「一応褒めてるのよ。私なりにあなたを信用してるんだから。それでどうするの?」
「そこまで言われたらな…。分かった俺もお前を信用する。ここの捜査を頼む。」
「了解したわ。いい結果を期待してなさい。」
ーー
【暁日サイド】
タワーの捜査を宵月に任せて俺達は校舎側の捜査をする事にした。
「色々気になる事が多いからな。どこから行くか。」
「無くなったメガネ、それに包丁の事もあるからね。」
「それに俺達の昨日の行動も一回、おさらいしておいた方が良いかもしれないな。」
「…………あの、その事なんだけどいいかな?」
「ん?どうした?」
「その、ボクが女の子って事………言わないで欲しいんだけど、いいかな?」
小鳥遊がもじもじしながら涙目で訴えて来た。…………いや、可愛すぎるだろ。
「分かってるって。絶対に言わないからさ。」
「う、うん。ありがとう。」
……けど、昨日の一件小鳥遊の秘密も併せて重要かもしれない。覚えておこう。……最悪の場合、裁判で言う必要が出てくるかもな。
【コトダマ獲得:小鳥遊の秘密】
女子である事を隠している。知っているのは、東雲と暁日のみ。
ーー厨房
まずは包丁の出所を探るために厨房へやって来た。
「小鳥遊が持ってきたのもここのだよな。いつ持ち出したんだ?」
「夜時間になる10分くらい前かな。剣崎君にバレないようにこっそり持ち出したんだ。…その時にもう一本なくなってたかは見てなかったな。」
「返す時はどうしたんだ?」
「朝、剣崎君にちゃんと話して返したよ。その時剣崎君が数が合わないって言ってたんだ。」
その時点で八咫の身体に刺さってたんだもんな。
「剣崎、ちょっといいか?」
「暁日様、なんでしょうか?」
「夜時間前に持ち出された包丁について教えてくれ。」
「かしこまりました。夜時間前に持ち出された包丁は二本で一本は今朝、小鳥遊様が返しに来たものです。」
小鳥遊の証言通りか。
「じゃあ、もう一本は誰が持ち出したか分かるか?」
「これは推測ですが…小鳥遊様の前に来られた人物だと思います。」
「誰か覚えているか?」
「…八咫様です。」
…え?あの包丁の持ち主は八咫だったのか。
だとすると、何か目的があって持ち出した包丁を奪われて殺されたって事か?
…………それとも、自殺?
【コトダマ獲得:厨房の包丁】
夜時間前に持ち出された包丁は二本。
一本は小鳥遊。もう一本は八咫。
ーー温泉、男湯脱衣所
「あの時俺は0時にお前を呼び出した。」
「そして、争いになって……暁日君が怪我をしたんだったよね。」
「時間を見てる暇なんかなかったから特に考えてなかったけど、どれくらいの間ここにいたっけ?」
「えーと…。確か、ここを出る時には1時だったかな。」
すると、1時間程一緒にいたって事か。少なくともその間のアリバイが俺たちにあったことになる。
【コトダマ獲得:暁日と小鳥遊のアリバイ】
0時から1時までの間、男湯の脱衣所にいた。
ーー八咫の研究資料室
八咫のメガネがどこにあるかを探しに校舎内をしらみ潰しに調べていき、残った箇所は、八咫の研究資料室のみになった。
「調べてないのは校舎内ではここだけか。」
「とりあえず、調べてみよう。」
部屋を隅々まで調べてみるとある物が見つかった。
「これはガラスのカケラと…メガネのつるか。」
間違いない。これは八咫のメガネだ。
【コトダマ獲得:メガネ】
八咫の物。八咫の研究資料室に落ちていた。
レンズが割れている。
「あれ?これなんだ?」
メガネの横に何か書かれていた。
(1×2)+(9×5)+(6×1)=96
どうやら血文字のようだ。
「血文字と計算式…。しかも計算が合わない……何かの暗号か?」
【コトダマ獲得:謎の計算式】
八咫の研究資料室の床に書かれた血文字。
(1×2)+(9×5)+(6×1)=96
と書かれている。
血文字とメガネ……やっぱりここは……。
ピーンポーンパーンポーン……。
『え〜ではでは、今こそ時は極まれり!という訳でオマエラ!時間となります。前回同様、噴水前に集合をするようにお願いします!』
「……どうやら時間みたいだね。」
「あぁ、行こう。」
「今回は冷静みたいだね。」
「……信じられる仲間がいるからかもな。お前だけじゃない、宵月も協力してくれてる。だから安心して背中を任せられるのかもしれない。」
「そういってもらえるとボクも嬉しいよ。…じゃあ行こう。」
俺達は出来るだけの事はしたつもりだ。俺もお前を信じるぞ……宵月。
ーー
【宵月サイド】
暁日君達と別れた私も本格的に捜査することにした。
すると、
「あ、いたいた。宵月さん、俺にも捜査を手伝わせてよ。」
「また?あなたも物好きね…。」
「言ったでしょ?君と行動することは俺にとっても有利になるんだ。それに男手も必要になるんじゃないかな?」
再び葛城君と行動する事になった。
「まずは、この水槽について詳しく調べることにしましょうか。」
「そういえばあの魚達、どこへ移動したんだろう?」
「そういう事は彼に聞くのが一番ね。……出てきなさい、モノパパ。」
「お呼びか?」
「宵月さん。だいぶ手慣れてるね…。」
「この水槽にいた魚達、一体何処へ移動したのかしら?」
「それはこの水槽の隣にある予備水槽だ。」
「予備水槽?」
「ここは定期的に掃除してるが、更に大規模な掃除をする時に水門を開けて魚と水を全てそこへ移動させるんだ。頻繁に使うものじゃないから普段は水門に操作パネルにロックを掛けているんだよ。」
「あの時移動させた時もそのロックを解除したのかしら?」
「そうだな。先に言っておくが、事件発生時はロックがかかってたぞ。尤もパスワードは我々しか知らないから解除は出来るはずないがな。」
【コトダマ獲得:予備水槽】
水槽の大規模な掃除をする際に使用する。
間を隔てる水門の操作パネルにはロックが掛かっている。
「ちょっと気になったんだけど、八咫さんの死体っていつ水槽に入れられたのかな?」
「私が覚えてる限りだと、朝ここへきた時には水槽にその姿はなかったわね。」
「それで、ゲーム大会が終わって八咫さんを探してる時、いつのまにか水槽に入っていたと……。」
「タワー内を探してた人達は誰か分かるかしら?」
「えーと…確か、俺と飛田さんと暁日君、それから夜桜さんと小鳥遊君だったかな。最初はゲームセンターを探してたけど見つからなくって、二手に別れたんだ。飛田さんと小鳥遊君が6階、俺と夜桜さんと後から合流した暁日君が1階を探してたって感じだったかな。」
「それでその時に死体を見つけた訳ね。」
「そういう事になるね。……宵月さんは外を探してたの?」
「そうね。恐らく、その5人以外はみんな外に出てたと思うわ。……その時点でも死体は確かなかったわね。」
つまり、私達が外を探してる間と葛城君達が1階へ降りる間に死体が出現したという事ね。
【コトダマ獲得:宵月、葛城の証言】
宵月がエントランスを通って外へ出た時点では水槽内に死体はなく、葛城が1階へ降りた時には水槽内に死体が出現していた。
ーーバックヤード
私達は脚立の登り、バックヤードへ戻って来た。
「この機械達に手掛かりがある可能性も否定できないわね…。ほら、あなたは向こうの機械を調べなさい。」
「人使いが荒いなぁ…。分かりましたよ、お嬢様。」
「誰がお嬢様よ。口を動かす余裕があるなら手を動かして。」
「はーい。」
人の命が掛かってるのに呑気なものね…。
「……あれ?宵月さん、これ見て。」
「どうしたの?」
「ほらこれ…。前見た時と画面が違わない?」
葛城君が見つけた機械、それは奥の鏡を動かす機械だった。
「モノパパは確か自動モードに設定してあるって言ってた……という事は。」
「今、手動モードに切り替わってるって事かな?」
誰かが鏡を動かした…なんの為に?
【コトダマ獲得:鏡を動かす機械】
普段は自動モードに設定してあるが、手動モードに切り替わっている。
ピーンポーンパーンポーン……。
『え〜ではでは、今こそ時は極まれり!という訳でオマエラ!時間となります。前回同様、噴水前に集合をするようにお願いします!』
「もう時間か。ちょっと手掛かりが少ない気もするけど、仕方ない。行こうか。」
「そうね…。」
確かに手掛かりは少ない。……だからこそ暁日君、あなたの見つけた手掛かりがカギになるわ。
ーー
時間になり、集合場所へ集まった俺達。
前回同様、噴水が突き上がりエレベーターが出現した。
「行くぞ。」
「……もう引き返せませんわね。」
全員が乗ると同時に再びエレベーターが動き出した。
エレベーターは静かに、そして確実に下へと降りて行きーー
そして、止まった。
扉が開き、あの光景と再び相見える。
だが、今回は部屋のデザインが変わっていた。
まるで、暗い森のような雰囲気だ。
「ウェルカム諸君!今回は前回からデザインを変えてみたぜ!どうだ、ナチュラルな雰囲気だろう?」
「それではオマエラ!自分の席に着いてくださーい!」
再びそう促され席に着く。
新たに大きくΦの記号が書かれた本代の遺影。
そして、チェックマークが書かれた八咫の遺影が本来いるべき場所に置かれていた。
ーー超高校級の会計委員、八咫琴音。
外に出たら、ビジネスパートナーとして協力しあう事を約束した大切な仲間だった。
だが、その約束は叶わなくなってしまった。
きっと誰よりも外に出たかったのだろう。
その希望を残酷にも奪った犯人は……
この中にいる!
そして、再び始まる。
……命がけの、学級裁判‼︎