これより、三章開始となります。
(非)日常編1
「……んっ。」
朝のアナウンスが鳴るより前に目が覚めてしまった。
「…今、何時かしら?」
モノドロイドで時間をすると6時。
……あと、1時間でアナウンスか。二度寝するのも面倒ね…。
「あと1時間、どうやって時間を潰そうかしら…。」
ベッドから起き上がった瞬間、スカートのポケットからカサっという音がした。
「……?」
ポケットをまさぐると何やら紙切れが。
広げてみると、紙切れの正体は昨日柊さんに描いてもらった私の似顔絵だった。
「………この絵があの子との、唯一の思い出になっちゃったわね。」
あの時の彼女の泣き叫ぶ声、未だに頭から離れない。
私の糾弾によって犯人だと暴かれてしまったけど、生き残るためとは言え、あれでよかったのかしら?或いはもっと彼女と話していれば、事件を未然に防ぐ事が出来たのでは?
……分からない。
「……額縁にでも入れておこうかしら。」
個室を出て、額縁を探すことした。
額縁がありそうな所……柊さんの研究資料室かしら。
ーー柊の研究資料室。
ここに来るのは探索の時以来ね。
さて、額縁は…。
どこにあるのか分からないので片っ端から調べ、画材が置いてある部屋で見つけた。
「これに入れてと……よし。」
額縁に入れた絵を彼女が寝ていたベッドに立てかけた。
………短い間だったけど、楽しかったわ。ゆっくり休んで。
……それから、あの時あなたを追い詰めるような事をしてしまって、ごめんなさい。
「……?」
ふと、右の頰を伝うものが。
「……涙…?」
どうやら、無意識に涙を流していたようだ。
「………そっか。友達を失うとこんな気持ちになるのね…。」
今なら暁日君の気持ちも理解出来るわ…。
【食堂】
朝食を摂るために全員が集まったものの、雰囲気は最悪だった。
学級裁判を終えた事でさらに食堂は広くなり、その上昨日離反を宣言した東雲君が当然のように食事を摂っていたのだから。
「………やれやれ、空気が悪いな。これじゃ折角の美味い飯が不味くなる。」
「……誰のせいだと思ってるんだよ!!」
「…ん?オレのせい、とでも言いたいのかい?飛田ちゃん。」
「当たり前だろ!どの面下げてご飯食べに来てるんだよ!」
「やれやれ、離反宣言をしただけですっかり悪役か。大体オレからすれば君達も異常だよ。……そんな無能リーダーに頼ってるようじゃ、今に死ぬぞ。」
「……っ!アンタっ………ホントいい加減に………!!」
飛田さんが、東雲君に掴みかかった。
「大和がどれだけ皆のために動いてくれてると思ってるんだよ!それも知らないでそんな事言うなよ!」
「だとしても結果が伴ってなければ意味がない。…そうじゃないのか?」
「…っの野郎…!」
すると、
「やめて下さい!!!」
涙を流した夜桜さんが叫んだ。
「凛ちゃん……?」
「お願いですから……争いなんてやめて下さい…!これ以上争って何になるのですか……!?もう、もう………お友達を失うことになるなんて、わたくしは嫌です!!」
「………」
「夜桜ちゃんに、涙ながらに訴えられちゃあね…。分かった。この場はオレが悪いと言う事でおさらばしよう。……じゃあな。」
「おっと解散?認められないわぁ!」
「……チッ。用件は手短にしてもらおうか。」
「2度目の学級裁判を乗り越えたご褒美として学園内、そしてモノクマタワー内部の新しいエリア開放をさせて頂きました!それだけ伝えに来ました!以上!皆解散!」
「なるほど、じゃあオレは先に探索に行かせてもらうよ。じゃあ。」
「あーもう、マジムカつく!聖悟、塩撒いて塩!」
「そ、そこまでなさらなくても…。」
「それはさておき新しいエリア、ね…。」
「今回も2班に分けて行動する?」
「そうだな。どちらを探索したいという希望はあるか?」
「じゃあ、私はタワーを…」
「あ、俺はタワーを…」
「「・・・・・」」
まさかの暁日君と意見が被ってしまった。
「暁日君…。タワーの探索は私に任せてもらえるかしら?」
「いや、お前こそ前もタワーを探索しただろ?今回は俺にやらせてくれよ。」
「高所恐怖症の人に任せる訳にはいかないわね。ビビって見逃しちゃうんじゃないかしらねぇ?」
「だ、誰がビビるんだよ!足元が透けてなかったら大丈夫だっての!なんだその勝ち誇った顔!このチビ!」
「ち、チビですって…!?また引っ叩くわよ!」
「ハイハイハイ、そこまで!ここは一つジャンケンで決めよう!それなら文句はないでしょ?」
仲裁に入った葛城君が提案をしてくれた。
「ジャンケンね…。いいわ、後からケチをつけるのはなしよ、暁日君。」
「誰が!お前こそ、3回勝負とか言い出すなよ!」
「じゃあ、俺が合図するからね。………いくよ、ジャンケンーー」
【暁日サイド】
「……フッフッフッフッ…。」
「暁日君、凄いご機嫌だね。」
「だって見たかよ、あの宵月の悔しそうな顔!爽快だぜ!」
ジャンケンに勝った俺はタワーを探索する権利を手に入れた。
だが、それ以上に宵月の打ち負かしたという事実の方が嬉しかった。
「アイツいつも、余裕そうな顔してたからなぁ…。朝から陰鬱だったけど、もう気分が晴れるってもんだよ!」
「フフッ、もうさっきからそればっかり。じゃ、機嫌が良いうちに探索に行こうか。」
「ーーなぁ、歩きながらで良いからちょっと聞かせてくれるか?」
「うん?何?」
前の事件が終わってから、ずっと聞こうと思っていた事……思い切って聞いてみる事にした。
「どうしても気になってな…。なんで、男装してた事を隠してたんだ?それも口封じに殺そうとするほど必死になってまで。」
「……っ。」
分かってる。そう簡単に答えを教えてくれるような事ではないと。
「相当深い事情があるってのはなんとなく察してる。だから、話したくなかったら無理には聞かない。」
「……『情報を扱う者はまず、己の情報を伏せるべし』………ボクの
5年前……
「……あぁ。とある家族3人が全員めった刺しにされて殺された挙句、家に火を放たれたってやつか…。物的証拠は揃ってるのに未だに犯人は見つかっていない未解決事件になってるんだったな。被害者には当時幼稚園児の女の子もいたっていうから、惨い事件だったよな…。」
「……その事件に生き残りがいたって言ったらどう思う?」
「………まさか…!」
「そっ。その生き残りこそがボクってわけ。」
「な、なんだって…!でも、そんな情報どこにも…!」
「それはボクの師匠が情報を操作したんだよ。………あの日、ボクは偶然友達と遊びに行ってたお陰で難を逃れた。でも、帰ったボクを出迎えたのは、全てを燃やし尽くす炎だった。呆然とするボクを偶然居合わせた師匠が介抱してくれて、犯人の手から逃れさせる為に嘘の情報を流したんだ。」
そんな事情が……。
「そうだったのか…。それで、その師匠は…?」
「……死んだよ。殺された。」
「なっ…!」
「犯人を情報を追ってる時にね、ある日ドラム缶にコンクリが詰められた状態で海に沈められてるのが発見された。……この帽子は師匠の形見でもあるんだ。ボクはこの命に替えてでも、家族を2度も奪った犯人に同じ苦しみを味わせる為にも捕まえてみせる。」
こいつは、俺が思ってる以上に壮絶な人生を送っていた。それなのに俺はなんて軽はずみに聞いてしまったんだ…。
「…ごめんな。そんな事情も知らずに聞いてしまって。」
「いいよ。気にしないで。ボクも誰かに聞いてもらって少し楽になった。……一つだけ聞いていい?」
「なんだ?」
「『スマイリー』って名前、聞いたことはある?」
「いや…。それがどうしたんだ?」
「うぅん、知らなかったらいいんだ。あ、ホラ。タワーにもう着くよ。」
『スマイリー』……一体何者なんだ?
ーーモノクマタワー。
タワー内にやってきた俺達。
すると、真っ先にある物が目に入った。
「?あれ…?扉、増えてないか?
「あ、ホントだ。前からあったエレベーターとバックヤードへ行くドアとは別で両開きの扉が左右にあるね。」
向かって右の扉は、かなり大きい木製の扉。もう一方の扉は、なんていうか……19世紀頃の西洋をイメージしたような扉だった。
「どっちから入る?」
「うーん、どっちからでもいいんだけどな…。よし、左の扉にしよう。」
そう言って扉を開けると、
「うっわ、すげぇ…。」
「教会…なのかな。」
扉を開けた先は、巨大なパイプオルガンやステンドグラスがあるチャペル、そして至る所に十字架が飾られた教会の礼拝堂のようになっていた。
そして、何やら賛美歌のような音楽が聴こえてきた。
どうやら、誰かがパイプオルガンを演奏してるようだった。
「誰が弾いてるんだ?………っと、剣崎か。おーい…」
「あっ、待って。せっかくだし聴いていこうよ。」
「あ、あぁ良いけど。」
音楽、ましてや賛美歌となるとさっぱり分からない。それでも、何となく良い音楽だと思った。
「ウィコッチ・マギヤス『交響曲第五楽章・鎮魂歌』」
「ん?」
「この音楽の曲名だよ。それでこの曲を作った人がウィコッチ・マギヤス。19世紀頃のノヴォセリックにいた音楽家だよ。マイナーだけど、根強いファンがいるんだ。この曲は人の誕生から死ぬまでをテーマにした曲なんだよ。」
「詳しいな、流石情報屋。」
「えへへ。どうも。」
久しぶりに小鳥遊の笑顔を見た気がする……こうして見たら結構可愛いな。
しばらく、剣崎の演奏を聴いていた。
「………ふぅ。」
「お疲れ、剣崎。良い演奏だったぞ。」
「暁日様、小鳥遊様。いらしてたんですね。」
「中に入ったら、演奏が聴こえてきたからね。少し聴いてたんだ。」
「ありがとうございます。拙い演奏だったと思いますが、いかがでしたか?」
「拙いなんて、そんな謙遜するなよ。凄い良かったぞ。俺なんか猫ふんじゃったすら怪しいのに…。」
「フフッ。そう言って頂けて、嬉しいです。」
「ところでこの教会はなんだ?」
「恐らくですが…ここは僕の研究資料室ですね。」
「その割には執事っぽい道具は見当たらないけど…?」
「才能、というよりは僕の趣味・嗜好に合わせたのでしょう。ここの建築方式もですが、何よりこの荘厳な雰囲気が僕によく馴染みます。」
なるほど、その人物に合わせたパターンってのもあるのか。
「そうだ。お2人は何か信仰してる宗教とかはありますか?」
「いや、別にないけど。急にどうした?」
まさか、変な宗教への勧誘じゃないよな?
「でしたら、お祈りをして行かれませんか?……コロシアイで犠牲になられた方々が少しでも安らかに眠って頂く為にも。」
…そうだよな。言われてみればちゃんとみんなを弔うことが出来てなかったな。
「よし、祈っていくか。小鳥遊はいいか?」
「勿論。ボクも気持ちは一緒だよ。」
「かしこまりました。では、お祈りの前に少し作法をお教えしますね。」
「ーー以上です。では、鐘を鳴らしますので三回鳴らした後に祈って下さい。」
剣崎にお祈りの作法を教えてもらって、その通りに祈った。
……夕斗、それに八咫…。もっとお前たちと話していれば、死ぬなんて事は無かったのかな…気づいてやれなくてごめんな…。
それに、柊と本代…。
こんな状況でさえなければきっと分かり合えたはず…。
お前達の死は絶対に無駄になんかしない…。
だから、安らかに眠ってくれ。
お祈りを済ませた俺達は教会を後にして、もう一つの扉を開けて中に入った。
「ここには誰も来てないみたいだな。」
「舞台と席……劇場かな。」
「となるとここは…。」
「葛城の研究資料室!」
「葛城君の研究資料室!」
「「……プッ!」」
「「アハハハハハハ!」」
「だよな!これしかあり得ないよな!」
「うんうん!ボクもこれ以外思いつかなかったよ!あ〜お腹痛い!」
考える事は一緒か。……思わず笑ってしまった。
「一応探索しておくか。」
「あ、ちょっと待って…。よっと。」
どうやら、モノドロイドで写真を撮っているようだった。
「何してるんだ?」
「あぁ、折角だし葛城君にも教えておこうと思ってね。」
ステージ以外に何があるのか調べてみると、控え室のような部屋があった。
「ここも凄いな。衣装に小道具、それから台本もあるな。」
「『オペラ座の怪人』『ロミオとジュリエット』その他諸々…。どれも有名な作品だ。それからこれは…衣装を作るための布と裁縫道具かな。」
なんか今回の研究資料室、やけにデカい上に充実してるな…。
「……あれ?この台本、書きかけだな。作者は………葛城狂也。そういえばアイツ、脚本も書いてるんだったな。タイトルは『終わりなきプロローグ』…。」
どうやら、ミステリー系の内容のようだ。
『死神』を自称する殺人鬼視点で進んでいくという物語…。
そして、衣装は黒いコート……。
どこかで聞いた要素があるが、偶然か?
一階の探索を終え、エレベーターに乗ることにした俺達。
「新しく増えてる階は…最上階みたいだね。」
「えっ……?マジで?」
「マジ。」
「間の階全部すっ飛ばして?」
「うん。」
「……ここから何メートルくらいだ?」
「多分、100メートルくらいだと思う。」
「・・・・・」
「暁日君、この世の終わりみたいな顔してるけど大丈夫?」
「だ、大丈夫、だと、思う。うん、多分。とりあえず、押して、くれ。」
「カタコトになってるけど…。お、押すね。」
ーー最上階へ向かって、上昇していくエレベーター。
この上がっている間の浮遊感が一番苦手だ。
「ーー暁日君、なんでボクの手を握ってるの?」
「…こうしてないと落ち着かないんだ。」
「…やっぱり降りる?」
「ま、まだ大丈夫。足元が透けて無かったら最上階も行ける。」
「む、無理しないでね…。」
女の子に心配かけて我ながら情けないな俺…。
そして、チーンという音が鳴り開く扉。
エレベーターから一歩踏み出し、目に入った光景は青空、そしてガラス張りの床から遥か先に見える地面だった。
「ーーあっ……。」
「ちょっ、ちょっと!暁日君!?」
小鳥遊が呼びかけているが、ダメだ。
意識が遠ざかってくーー。
ーーあれ?ここ、どこだ?
身体がフワフワしてて、柔らかい物に包まれてるような…。
…あ、俺死んだのか?じゃあ、ここは天国…?
ーー……い。
ん?誰か呼んでるな…。誰だ?
ーーおーい。
…あ、夕斗か。おーい、こっちだこっち。
……お前何してんだよ!
…は?
まだやるべき事があんだろ!死ぬのははえーよ!
……え?いや、ちょっとまっ…。
いいから行けや!まだこっち来るんじゃねぇよ!
ーーう、うわぁぁぁぁぁ!!
「ーーう、ん…?」
「あ、起きた!」
「あ、暁日君!大丈夫?」
目が覚めた俺の顔を小鳥遊が覗き込んできた。
……なんか、見覚えある光景だな。…デジャブってやつか?
小鳥遊と一緒にいたのは飛田だった。
頭のこの感触…。どうやら、飛田が膝枕をしていたみたいだ。
「よかったぁ。急に倒れちゃったからびっくりしたよ。」
「たまたまアタシが瑞希ちゃんの声を聴いてたお陰でここに連れてこれたけど…。まずは瑞希ちゃんに心配かけた事を謝りなさい!」
「……えっと…その、すみませんでした。」
「気にしないで。君が無事な事が分かっただけでも、十分だよ。」
「……で、なんで飛田がいるんだ?それとここは?」
「なんでってそりゃ探索してるわけだからねー。あと、ここはアタシの研究資料室!」
「ここは飛田の研究資料室だったのか。」
……その割には周りは白い壁で何もない殺風景な部屋に思えるが。
「にしては、特に何も無いっぽいけど。」
「ふっふっふっ…。ところがどっこい、結構凄いんだよココ。…ちょっと待っててねー。」
そう言ってどこかに引っ込んでしまった。
すると、
「ん、壁と床に風景が出てきたな……なるほど、プロジェクションマッピングか。」
「ビルの最上階の映像みたいだね…って、暁日君、大丈夫なの?」
「映像ならなんとかな。」
「これだけじゃないよ!よっ!」
さらに操作するとビルの映像が出ている箇所の床が盛り上がった。
「映像と部屋が連動するようになってるのか。これは凄いな。」
「このままでもトレーニング出来るけど、このVRゴーグルを付ければさらにリアルなトレーニングができるんだよ!どう、付けてみる?」
「いや、それはいい…。」
VRはさすがに無理だな…。
「そっかぁ…。じゃ、折角だしアタシのテクニック見てかない?」
「あぁ、それならいいぞ。」
「よっしゃ!じゃあこのゴーグル付けてと…。よーし、じゃあ行くぜ!まずは、このビルのてっぺんでの逆立ち!からの〜バク転ジャンプ!次は、アタシの十八番!3連ハンドスプリングからの、バク宙してーの、必殺チートゲイナー!!」
次々とビルの映像を飛び移りながら、疲労されるテクニックはどれもキレがあり力強く、そして人を魅了させる美しさがあった。
「おぉ…!凄いな…。流石ニンジャと呼ばれる事はあるな。」
「えへへー。でしょ!ニンニン!」
「フフッ。でも、ホントよくそんなに身体が動くよね。」
「昔っからやってるからねー。身体に染みついてるのかも。」
「昔からか…。いつからやってるんだ?」
「今話してもいいけど、今は探索中っしょ?また今度ね。あとは…そだ!植物園はもう行った?」
「植物園?」
「うん。最上階にね、植物園もあったんだ。床も透明じゃなかったし、悠も大丈夫だと思うよ。行ってみたら?」
「面白そうだな…行ってみるか。」
「おっけ!……あ、ちょい待ち。」
「?」
飛田が何やらモノドロイドを操作したと思うと、
「はい、寄って寄って!ほら、もっとギュッと!」
「え?ちょ、ちょっと!」
「な、何だよ!」
「はい、イェーイ!」
突如、飛田は自撮りを始めた。
「……プッ!アハハハ!悠、変な顔!」
「勝手に撮ってそれはないだろ!てか、何で急に自撮りしようと思ったんだよ!?」
「そりゃ、もちろん皆と仲良くなりたいからだよ!全員と撮るまでやるからね。…………色羽ちゃん達とは写真撮れなかったから、思い出になる物がないんだ。その分、皆を記憶を残しておきたいんだよ。」
「飛田……。」
そうか、それであの時東雲にも食って掛かってたのか。
「…そういう事ならもっとしっかり残しておかないとな。今の消して、もう一回撮り直すか。」
「え、消すのはやだ。」
「なんでだよ!」
「だって、写真はその瞬間しか撮れないからね。瞬間瞬間をしっかり残しておくつもりなんだ。もう一回撮るのは全然おっけーだよ!あとで2人にも写真送っとくね!」
全く、しんみりしたかと思ったらすぐ元気になって…。
でもアイツのポジティブな所、俺も見習うべきかもな。
ーー植物園。
飛田の言っていた植物園に着いた。
「ここか、例の植物園は。」
「ようこそお2人さん!ここは才牢学園が誇る植物園!通称・『天空の花園』だ!」
「天空の花園…その名前に偽りなし、だね。」
「この植物では特殊な技術により世界中の植物、そして四季の花が同時に見れるのだよ!デートスポットにも最適な場所だ!」
「で、デート!?」
きゅ、急に何を言い出すかとおもったら…。
「む、違うのか?てっきりそのつもりだと思っていたが…。」
「ち、違うっての!俺達は探索に来ただけだ!」
「そんなこと言って、ナニを考えていたんだろうなぁ…?刺激が欲しけりゃバカニナレ!ってか!?」
「う、うっさいな!どっか行けよ!」
ふと、小鳥遊を見ると顔を真っ赤にしていた。
「な、なぁ…とりあえず探索しないか?」
「う、うん。でも、今一緒にいるの恥ずかしいから分かれて探索して後で合流しない?」
正直そう言ってくれて助かった。俺も恥ずかしくて死にそうだ。
気を取り直して、探索をする事にした。
特殊な技術を使っているというのはどうやら嘘ではないらしい。
歩き回ってると桜と向日葵が同時に咲いているという普通じゃありえない光景が目に入った。造花ではないかと思って触れてみたら手触りと香りが本物のそれだったのでどうやら本物のようだ。
「ただ、花を咲かせればいいってもんでもないだろ…。風情も何もないじゃないか。……ん?」
ふと、葉の間にある物を見つけた。
「……?ボール、か?」
手にした物はソフトボール程の大きさの玉だった。モノクマ達のカラーと同じく左右で白黒に分かれ「1」という番号が書かれていた。
「暁日くーん、何かあった?」
「小鳥遊、こんなのが落ちてたんだ。」
「ボール…っぽいね。何だろう?」
「どう見てもアイツらが用意したものだろうけど、その割にはアイツらが出てこないんだよな。」
「うーん…。とりあえず持って行ってみんなにも見せてみよう。」
「そうだな。そろそろ集合時間だろうし、食堂へ戻るか。」
丁度いい時間になっていたので、食堂へ戻る事にした。
1か月という療養期間を経たお陰で構想を十二分に練り直すことが出来ました。
本家も三章が特に好きなので、気合を入れてきます。