ダンガンロンパ Redemption   作:ナーガ工場長

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お久しぶりです。
予定より長い。


(非)日常編3

ーー食堂。

 

「……遅い。」

皇は少し苛立ちを覚えた様子で呟いた。

 

「集合時間は過ぎている。今いないのは東雲、葛城、小鳥遊、飛田か。」

そう、単独行動をしているはずの東雲はともかく、集合時間は経っているのに何故か小鳥遊、葛城、飛田の3人が未だに来ていない。

「小鳥遊は暁日と行動してたと思うが……暁日、お前は何か知らないか?」

「えっと、集合時間が迫ってたからタワーから戻ろうとしてたらその途中で急に葛城が『悪いけど、ちょっと小鳥遊さん連れてくね。』って言って連れ去って行ったんだ。…そこからはちょっと分からない。」

「そうか…。何もなければいいが。」

二度もコロシアイが起こっている事もあり、かなり気が立っているようだ。

 

「あの…僕が見てきましょうか?」

「いや、一人で行くのは危険だ。俺も一緒に…。」

剣崎と皇がそう話していると、

「皆!遅くなってごめん!」

「ごめーん!遅くなっちゃった!」

葛城と飛田が入って来た。

 

「遅い。何をしていた?」

「実はちょっとある事を思いついてね。…まぁ、見てもらったら分かるよ。」

「さ、瑞希ちゃん!入っといで!」

そう言って飛田が扉に向かって声を掛けると、そこでは小鳥遊が陰からこちらを見ていた。

「……うぅっ。…やっぱり恥ずかしいよぉ。」

「ダメ!ここで思い切って変わらないと!ほら!」

「ああっ…!」

飛田に半ば強引に食堂へ押し込まれた小鳥遊。その姿はーー

 

 

 

「うぅ〜…。スカート履くの久しぶりだから凄い脚がスースーするぅ…。」

 

 

 

ーー元の制服の特徴を残しつつ、ズボンだった下半身がスカートに、ローファーをブーツに履き替えて女の子らしい衣装に着替えた物だった。

「出来るだけ元の面影を残すように上はそのままにして、下を思い切ってスカートにしたんだ。それから着替えさせるのを飛田さんに手伝ってもらったんだよ。」

「そゆこと!んで、折角だしメイクしてあげたんだ!瑞希ちゃん元々可愛いし、本来の良さを出す為にナチュラルメイクで軽ーくね。」

なるほど、顔の雰囲気も少し変わったと思ってたけど、化粧をしてもらってたのか。

 

「ふぅん。女の子らしい格好も似合ってるじゃない。」

「し、シルヴィアさん…!」

「そうね。とっても可愛いわよ、小鳥遊さん。」

「宵月さんも…!」

宵月とアレックスがからかってるけど、実際凄く似合ってる。

一瞬誰か分からなかったくらいだ。

 

「ほーら瑞希ちゃん、1番見せたいヤツの近くに行って見せなくていいの?」

「う、うん。」

と言って俺も前に来て、

「ど、どうかな…?」

クルッと回り全身を見せてきた。

 

「うん、似合ってるよ。凄く。」

そう言うと凄く嬉しそうな顔をして

「ほ、ほんと!?えへへ。」

「あぁ、可愛いよ。」

満面の笑みを浮かべる小鳥遊はとても可愛かった。

 

 

ーー

 

「ーーこれで、東雲を除く全員は揃ったか。では、校舎の探索班から報告を。」

「新たに開放された4階には東雲君、皇君、氷室さんの研究資料室があったわ。まず、東雲君の部屋なんだけど薬と医学書が置いてあったわね。」

「薬?」

「薬の種類は風邪薬や胃腸薬、変わったものだと抗がん剤が置いてあったけど、毒薬になりそうな物は無かったから安心して。…ただ、それとは別にモノクマ達が用意した栄養ドリンクがあったわ。こっちはちょっと強力な物があったし、持ち出される事を考えると誰かに見張りをさせた方がいいかもしれないわね。」

 

「見張りか…。誰がいいかな?」

「だったら、そのまま東雲に頼んだ方がいいんじゃないか?自分の部屋となると四六時中居ついていてもおかしくないし。」

「いや、アイツだと自分で殺人するために使用する可能性が高い。誰よりも毒や薬に詳しい人間だからな。」

「じゃあ、誰がいいかな……?」

「……とりあえず報告だけ終わらせて後で考えましょう。じゃあ、宵月さん続けてもらえるかしら?」

 

「残りの部屋は……まず皇君の部屋に関しては特に変わった物は無かったわ。………勿論、凶器になりそうな物も。」

刀の事は周りには不自然さを感じさせないようには隠したけど、どうやら悟られなかったようね。

「それから、氷室さんの研究資料室だけどここはなかなか面白い物があったわよ。まず、部屋にあるゲーム。古い物から新しい物まであったけど、それ以上にもっと興味深い物、彼女が言っていた例のゲーム『ダンガンロンパ』があったわ。」

 

「ほ、本当ですか⁉︎」

「………この学園にコロシアイゲームが置いてあるとは…………!」

「そ、それでゲームはプレイしたのか?」

「残念だけど、中のソフトを全て抜き取られていてゲームを実際にプレイする事は出来なかったわ。ただ、40作くらいズラっと並んでいたから氷室さんの言う通り53作目まであるというのは嘘ではないようね。」

「じゃあ、空っぽのパッケージだけを置いていたということ?…なんのため?」

「考えられる理由としては、過去に実際にコロシアイが行われた事実をアピールしたいがため…とかだろうな。つまり、私達が置かれている状況がフィクションなどではなく紛れのない事実だと黒幕が我々に伝えているという事だ。そして、従わない限り私達もこのゲームのキャラ同様いつかは死ぬ…と言いたいのだろう。ある種の脅迫のようなものだ。」

 

「悪趣味極まってるわね。校舎はそれで終わり?」

「もう一つ氷室の部屋にあったんだけど、ロックがかけられたパソコンが置いてあったわ。」

「これ見よがしに置かれたパソコン…。なかなか興味深くはないかね?」

「けど、ロックがかかってるんじゃどうしようもないんじゃ?」

「ククッそう悲観的になるな。我が頭脳にかかればどうと言うこともない。ハッキングしてロックをブチ破ってやるさ。」

「……という訳で、この後氷室さんにはパソコンの方をお願いしているわ。」

「ロックのかけられたパソコン…果たしてこれはパンドラの箱か。してその中身は希望か、絶望か…。楽しみだな。」

…随分と楽しそうね。

「校舎の方は以上よ。」

 

ーー

 

「ーーでは、次はタワーの報告を。」

「じゃあ、俺が。まず一階に新たなフロアが2つ増えていた。一つは剣崎の研究資料室、もう一つは葛城の研究資料室だ。剣崎の方は礼拝堂とパイプオルガンのある教会…というか大聖堂のような部屋になっていた。葛城の部屋は舞台ホールと台本や衣装が沢山置かれたこっちもかなり広い部屋だった。まぁ、小鳥遊を見たら分かる通り、裁縫道具なんかも置いてあったよ。」

葛城の書きかけの台本についてはあえて触れないでおいた。本人も知ってるだろうし、なんとなくこっそり聴いた方がいいと思ったからだ。

 

「探索中少し気になったんだけど、どうやって扉を隠しておいたのかな?ボク達は扉を見てるから知ってるけどどっちも結構大きいんだよ。」

「案外、彼らにとっては造作も無いのかもしれないわね。あの巨大な壁を作ったり、何よりあんなオシオキ装置を用意できるのだから、ワタシ達が知る以上の技術を持ってるのかも。」

確かにここでの出来事は常識の域を越えてるからな。オーバーテクノロジーの一つや二つ、あってもおかしくはない。

 

「さて、次はタワーの最上階だ。最上階は………えっと…。」

「おい、暁日。大丈夫か?顔色が悪いぞ。」

思わず、先程の光景を思い出してしまって言い淀んでしまう。

「あ、ごめん。暁日君、最上階での事がトラウマになってるのかな……代わりにボクが話すよ。」

「小鳥遊…悪い、頼む。」

 

「他に開放されたエリアは最上階。高さは約100メートルくらいの場所の床が透明なガラス張りになっていたんだ。だから、高い場所が苦手な人は行かない方がいいかも。それで最上階には飛田さんの研究資料室、それからモノパパ曰く『天空の花園』と呼ばれる植物園があったんだ。……こんなところでいいかな。」

 

「あぁ、ありがとう。それで植物園を探索してた時にこんな物を見つけたんだ。」

そう言って俺は例のボールを取り出した。

「なにこれ?ボール?」

「色といいモノクマ達が用意した物だと思うんだけど。」

「あら、奇遇ね。私も同じような物を持ってるわよ。」

と言って宵月も同じような物を取り出した。

 

「?全く同じ物のようですね?」

「いや、よく見て。番号が違う。」

「あ、ホントだ。悠が持ってきたボールには『1』って書いてあって舞ちゃんが持ってきた方には『7』って書いてあるね。」

「間の数字は何故無いのでしょうか?」

 

「うぷぷぷぷ…それを見つけちゃいましたか!」

「ガッハッハ!見つけたようだなぁ!」

「モノクマ。やっぱりお前達が用意したものだったんだな。」

「なんで今になって出てきたのかしら?」

「それは勿論、これが集まることに意味があるからだよ!」

「集まる?これは一体なんなのだ?」

 

「これこそが今回の動機!その名も『モノクマボール』です!」

「『モノクマボール』?」

「諸君達はもう気付いてるとは思うが、番号が振られているだろう?」

「あぁ、これには『1』。もう一つのボールには『7』って書いてあるよな。」

「このボールは学園内のどこかに全部で7つあるのだ。その内2つはここにあるから残り5つだな。」

「そしてボールが7つ集まる事で真の力を発動できるのです!」

「真の力?」

 

「それはなんと、『願いを一つだけ叶える事が出来る』のです!!」

「……願い……だと?」

「そう!勿論叶える願いに限界はなくどんな願いも叶える事ができます!」

「不老不死になる、死んだアイツを生き返らせる、ギャルのパンティ……あらゆるものが意のままだ!」

……は?そんなフィクション染みた事が本当にありえるのかよ?

 

「ただし!願いを叶える事が出来るのは先着一名だけ!そして、ボールを使えるのは裁判が終わってクロが卒業してからです!」

「叶えたい願いがあるなら是非とも計画!殺人!Trial!、計画!殺人!Trial!してくれ!」

「クッ…。馬鹿馬鹿しい。話はそれで終わりか?なら、私は用があるのでここまでだな。キサマらの茶番に付き合うほど忙しくないのでな。」

「うぷぷぷ。氷室サン、そんな事言って自分が一番願いを叶えたいじゃないのかな?社長ならお金がいっぱい欲しいんじゃないの?」

 

「…クハハハハハ!全く笑わせてくれるな!私は金がこの世で最も嫌いなんだ!これ以上茶番に付き合う必要もなさそうだな。私は自分の研究資料室に行く。それから当分の間、食事もあの部屋で摂らせてもらう。剣崎、また食事の時は連絡をする。その時には頼むぞ。」

「は、はい。分かりました…。」

「あぁ、待て剣崎。」

「皇様、なんでしょう?」

「東雲の部屋の薬の管理だが、お前に任せておきたい。同じ階で都合が良いからな。常に確認せずとも食事を持っていくついでで構わないから頼まれてくれるか?」

「かしこまりました。僕に任せておいてください。」

 

「よし、これで必要な事は済んだし解散でいいかな?」

「そうだな。そのボールだが、とりあえずこの食堂に置いておこう。見つけたらここに集めておくように。それから、飛田と葛城。お前達は少し残っていてもらおう。」

「え?なんで?」

「決まっているだろう?説教だ。飛田は今回2回目だからな。厳守するためにもしっかり話し合っておきたいというだけだ。」

「あちゃあ…。やっぱり遅刻するのはマズかったかな。」

「仕方ないよ。遅刻した俺達が悪いんだからさ。」

 

 

【暁日視点】

 

報告会を終えて解散した俺は特にする事もなく暇になった。

「何をしようかな…。」

例のボールでも探しに行くか?でも、あんなフィクション染みた話を真に受けてわざわざ探すのもなんか馬鹿らしいな…。それにクロになった人間にしか使えないとなると嫌な誤解を生みそうだ。

 

すると、

「暁日君、ちょっといいかしら?」

宵月が声を掛けてきた。

「宵月、どうしたんだ?」

「ちょっと頼まれて欲しい事があってね。東雲君の資料室にある医学書を何冊か借りてきて欲しいの。」

おつかい、か。

 

「いいけど、なんで俺に頼むんだ?自分で取りに行ったらいいと思うんだけど…なんか用事でもあるのか?」

「理由があるわけじゃないけどちょっと…ね。彼の資料室に行くのって抵抗があるというか…。」

…………あ〜なるほど。探索中にまたセクハラでもされたのか。

 

「あーうん、深くは聞かないけどなんとなく察したよ。そういう事なら任せてくれ。」

「話が早くて助かるわ。じゃあ、これ。このメモの本全部借りてきてくれる?」

「えーと解剖学、脳医学、薬学、神経学と法医学と…………えっ?多くね?」

「ほんと助かったわー。これだけの数、女の私1人じゃ運ぶのもだっただろうし。あ、渡すのはいつでもいいわ。じゃ、あと頼むわねー。」

「お、おい!………はぁ、最悪。」

……これおつかいって言うよりパシリだろ。

まぁ、校舎の探索と考えて行くか。

 

 

ーー東雲の研究資料室

 

「ここか……おーい、東雲いるか?」

「……ん?暁日クンか。…どうぞ。」

返事があったな。

「入るぞー。」

「いらっしゃい。何か用かな?」

「宵月に頼まれてこの部屋にある医学書を何冊か借りに来たんだ。」

「探索中に話していた物だね。持っていって構わないよ。」

「よし、じゃあちょっと探させてもらうぞ。……えーと解剖学と脳医学とそれから……。」

「ハハハッ。随分読みたい本が多いようだね。」

 

「ーーふぅ、これで全部か。」

「お疲れさま。休憩がてらにコーヒーでも飲んでいくかい?」

「悪いな。一杯もらうよ。」

そういってコーヒーカップを受け取るも…。

「おや、飲まないのかい?」

「…なぁ、なんか入れてないよな?」

 

こう言った直後、今までにないくらい真剣な眼差しでこちらを見てきた。

「……まさか、このオレが人を殺すとでも?」

「そ、そういうつもりじゃ…。」

「生憎だがオレにハッタリは通じない。心理学もオレの分野だからな。……正直に答えた方が身のためだぞ。」

「……正直言うと単独行動をしている以上、今の状況は人を殺すのに最適だとは思った。」

「成程。……説得力はないかもしれないが、人の生死に携わるこの神聖な仕事にオレは誇りを持っている。この技術を殺す事に使うなど人道に反するような行為は決してする気はない。冗談でもそのような事を口にするのは絶対にしないでくれたまえ。」

「わ、悪い…。」

あそこまで怒った東雲は初めて見たな。

 

 

…………気まずい。なんかいい話題ないかな。

「…そうだ。東雲ってなんで監察医なんかやろうと思ったんだ?」

「『なんか』か…。確かにあまり聞き覚えのない職業かもしれないが、そういう言い草はないんじゃないか?」

「う、ごめん。」

「ハハハッ。冗談だよ。…少々長くかもしれないが聞くかい?」

俺は無言で頷いた。

 

「オレは医者の両親の元に産まれた人間だ。だから必然的に医療に携わる仕事に就くものだと考えていた。『ナイチンゲール』は知っているかい?」

「あぁ。『白衣の天使』と呼ばれていて医療技術の発展に尽力した人だよな。」

「その通り。彼女の伝記を絵本代わりに読んでいたこともあってオレも医療技術の発展、ひいては現在は治療出来ない病の治療方法を確立させる事を目標に生きてきたんだ。……だが、現実はそう甘くないものだったよ。」

「甘くない?」

 

「何度か父のオペに立ち会った事があるんだが、一度今現在治療法が確立されてない病の患者さんが父を訪ねて来たんだ。父はそこそこ名のある医者だったからね、絶対成功するものだと思ったんだが………結局手を尽くしたものの、ダメだった。あの時の家族の人たちの悲しみにくれた声……未だに忘れられないよ。」

「そうだったのか…。」

「けど、あの時思い知ったよ。……ただ腹を切り裂くだけじゃ到底全ての病を治すなど不可能に近い。細胞レベルで病に近づく必要があるってね。………だからこそオレは監察医になる道を選んだ。今は不可能な治療法もいつかは可能にする。それこそがオレに出来る最大限の医療貢献というわけさ。実際、新種の伝染病を発見した時はこの時の為に生きてきたんだという気持ちでいっぱいだったよ。」

「なるほどな。…俺はお前を勘違いしてよ。誰よりも命を大切にする。そういう人間だったんだな。」

 

「ハハ、面と向かって言われるのは少々恥ずかしいな。……オレは命をクソ程の扱いをするあの黒幕が何よりも許せない。級友たちの死を見るくらいならオレの死を持ってコロシアイを終わらせる。その覚悟で単独行動を選んだのだよ。」

「それがお前の目的だったんだな。けど、お前を死なせることはしない。出る時は一緒だ。」

「無論、それが最適解だ。オレの帰りを待つ女の子達が世界中にいるんだ。みんなに会うまでは死ぬに死なないさ。」

「世界中ってまた大げさな…。」

「おや、言ってなかったかい?オレは世界中に恋人がいるんだぜ?勿論、彼女達の合意の上さ。」

「ま、マジかよ!?」

「大マジさ……よく言うだろ?『人は見かけに寄らない』ってさ。」

最後の最後でとんでもないカミングアウトが来たな…。

 

「よし、じゃあ宵月に医学書届けてくるよ。っとその前に宵月に連絡入れとくか。…よし、よいしょっと……う゛っ!」

「おいおい、無理に抱え込んで持っていこうとするな。腰をやるぞ。紙袋があるからこれを使いたまえ。」

「わ、悪い…ありがとう。」

一瞬、マジで腰がヤバかった…。

 

 

 

【宵月視点】

 

さて、暁日君をパシ……おつかいに行かせた事だし、何をしようかしら。

急用でもないし、本を探す時間や東雲君の部屋で寛いでいる事を考慮すると結構ヒマになりそうね。

それなりに時間を潰せそうなところ…ゲームセンターかしら。うるさいから長居はしたくないけど、まぁ1時間くらいならいいかな。

 

 

ーーゲームセンター

 

「どのゲームをしようかな…。あっそういえば。」

暁日君がガチャガチャみたいな装置があるって言ってたわね。名前は確か“モノモノマシーン”だったかしら。

「えーっと……あぁ、これね。」

形はよく見るのとは少し違うけど確かにガチャガチャだ。排出率とか景品がなんなのかはよく分からないけどとりあえず回してみようかしら。

なんでか分からないけどこういうガチャガチャとか福引きとかの運が絡むタイプのものって凄い惹かれるのよね。小さい頃は意地でもコンプリートしようと頑張ってた思い出があるわ。昔から何かを集めるのが好きだったような気がする。

 

 

………そんなわけで持っていたメダルを使って回して当たったものは、ポケットティッシュ、携帯ゲーム機、万年筆、レコード盤だった。

必死に回していたのをモノクマに見られていたらしく、一度にメダルを大量に入れると良いものが当たりやすいと助言してれたので試したものの、何とも微妙な結果になった。

 

「……100枚くらい使って回した結果がこれって…。ゲームはそもそもやらないし、万年筆を使う機会もないし、レコード盤に至っては蓄音機がないから意味ないじゃない。まともなのがポケットティッシュだけって…。」

かなりの枚数を使ってもダブりがないってことは…まだまだあるってこと……!?一周回って燃えてきたわ…!

「…今回はこれくらいにしてあげるわ。いつかはコンプリートしてあげるから覚悟して待ってなさい、モノモノマシーン。」

謎の宣戦布告をしてモノモノマシーンから離れ、再度ゲームセンターを歩き回る事にした。

 

 

すると、

「………うーーーーーーん……。」

クレーンゲームの機械の前で難しい顔をしている剣崎君がいた。

「剣崎君、何してるの?」

「あっ、宵月様。このクレーンゲームの景品少し見てもらってもいいですか?」

「景品?……あ、あれは。」

剣崎君が指さした先のショーウィンドウの中にはぬいぐるみに混じって例のモノクマボールが紛れ込んでいた。

 

「モノクマボールがたまたま目に入って取ろうと思ったんですが、何故かこの機械が動かなくて困っていたんです…。宵月様、何か分かりませんか?」

「何かって言われても私も詳しくないわよ…。」

頼られた以上、断り辛いし念のため機械を見てみる事にした。

 

「……あら?」

「どうかしましたか?」

「剣崎君。これ、お金入ってないわよ。」

「お金?」

「モノクマメダルよ。入れなかったらそりゃ動かないでしょ。」

「こ、この機械有料なのですか!?ゲームってもっとこう、みんなで平等に仲良く遊ぶ物ではないのですか!?」

 

「ま、まぁこういう場所だとお金は必要ないかもしれないけど普通のゲームセンターなら有料なのが当たり前よ。」

「そ、そうなのですか…。実は僕、機械オンチなもので。あまりこういう物を触ったことがないんです。携帯電話や冷蔵庫などの家電でしたら使い慣れてますが、パソコンなどの機械ともなるとからっきしで…。」

機械オンチ…なんだか意外ね。彼が世間知らずなのも原因にありそうだけど言わないでおこう。

 

「その様子だとボールを取るのはちょっと大変そうね。私もあまり得意じゃないけど、代わりに取ってあげるわ。」

「でしたらメダルは僕のものを使ってください。代わりにやってくれるせめてものお礼と言ってはなんですが…。」

「じゃあお言葉に甘えさせてもらうわね。」

剣崎君からメダルを借りて早速ゲームを始めた。

 

コツは前葛城君にぬいぐるみを取ってもらったときに聞いたからそのやり方を応用すれば…。でも、そのまえに邪魔なぬいぐるみどける必要があるか。

「……。」

「あの、宵月様?ぬいぐるみが目当てじゃないですよ?」

うるさいわね。集中してるから静かにしてて。

 

邪魔なぬいぐるみは取り除いたし、これなら…。

「……よし!取れたわ。」

「わぁ!凄い、本当に取れた!ありがとうございます!」

「大した事してないわよ。じゃあ、はい。あとで食堂に持って行っておいてくれる?」

「かしこまりました。ところで少しお茶でもしていきせんか?」

「そうね…。少し喉が渇いたし、耳が痛くなってきたから移動しましょう。でも、ここから食堂にだと遠くない?」

「ご心配なく、もっと近いところにありますのでーー。」

 

 

ーー剣崎の研究資料室。

 

「ここって…礼拝堂よね?ここに何が?」

「実はこのオルガンの横に扉があってこの中が…。」

そう言われて入った部屋は西洋の王室のようになっていた。

「あら…こんな部屋があったのね。」

「お茶とお菓子も用意してあるので是非ゆっくりしていって下さい。」

そう言われたので、椅子に座って部屋を眺めているとーー。

 

「あっ、蓄音機もあるのね。」

「そうなんですが、肝心のレコード盤がないのでインテリア状態なんですよね…。」

「レコードなら私持ってるわよ。さっきモノモノマシーンで当てたの。」

「“Air on the G String”…『G線上のアリア』ですか。クラシックはいいですよね…心が洗われます。折角なので再生してきますね。」

剣崎君が蓄音機にレコードを入れてしばらくすると音楽が流れていた。

 

「いい曲ね…『G線上のアリア』。色んなクラシックを聴いた事があるけど、私は一番これが好きね。メジャーな曲というだけあるわ。」

「紅茶がいつもより美味しく感じれます…。まさに浄化されるような感覚と言った所でしょうか。」

 

「……そういえば、剣崎君ってノヴォセリックの王室執事をやってるのよね?」

「はい。それがどうかしましたか?」

「あなた日本人よね?それなのにーー。」

「どうしてノヴォセリックで執事をしている……といった所でしょうか?」

「そ、そういうことね。」

もしかして、結構気にしてる事なのかしら。

 

「よく聞かれるのですが、そんなに珍しい事なのでしょうか。その国の仕事をその国の人間しかしてはいけないというルールはないはずですが…。それにノヴォセリックは日本とは協定を結んでいるのですから国交は積極的に行っているのに…。」

ちょっと愚痴が入ってきてるわね…。止めてあげよう。

「ご、ごめん。そんなに気にしてるとは思わなかったわ。無理して話さなくてもいいわよ。」

「いえ、気にしないでください。この生活が続く以上、いつかは話さなくてはいけない事です。でしたら、今のうちに話しておいた方が…。」

 

 

「…僕は元々小さな孤児院で育った人間だったんです。本当の両親の顔は知らず物心がついた頃から先生の顔を見て育って来ました。孤児院では僕が一番年上で兄として自分より小さい子供達の面倒を見る…家族という物を知らないなりに幸せに生きていました。ある時、孤児院に来た方が僕の人生を変えるきっかけになりました。」

「その人ってもしかして…。」

「そう、今の親に当たる女王陛下です。陛下は日本をとても気に入っており、自腹で孤児院への寄付を行う程でした。たまたま僕の孤児院を訪れた際、“僕を養子として迎え入れたい”と申し出た事でノヴォセリック人として生きていく事になりました。」

そういう理由があったのね…。女王に目をつけてもらえるなんてなかなか光栄なことよね。

 

「でも、急に引き取りたいって言われてもなかなか受け入れるのは難しいんじゃないかしら?」

「仰る通りです。子供達にも泣き付かれましたし、何より先生達と離れるのが辛かったです。ですが、先生も“世のため人のために生きる人になりなさい”と激励をしてくれたのをきっかけに孤児院の人達にも誇れるような生き方をしたいと思い、今日も執事として働かせてもらっています。なので、超高校級としてスカウトされた時はとても嬉しかったです。……それに今は僕だから出来ることだってあるんじゃないかなって思っていますしね。」

「出来る事?」

 

「大袈裟に思われるかもですが…実は僕、世界平和を夢に生きているんです。」

「世界平和?」

予想以上に大きく出たわね…。

「僕みたいな人間でも超高校級としてスカウトされるのですから、きっと世界平和は不可能ではありません。異国の人間が異国で執事をする…。きっと僕は世界を繋ぐ架け橋として生まれてきたんです。僕は産んでくれた親、育ててくれた親、そして生きる道を作ってくれた親達に誇れる人間として生きたい、そう思っているんです。」

最初聞いた時は大袈裟過ぎて笑いそうになったけど、彼はこの小さい身体で真剣に考えていたのね…。見直したわ。そしてこれが彼を超高校級たらしめる原動力…。

 

「お話を聞かせてくれてありがとう。世界平和…きっといつか出来るはずよ。私もそう信じているわ。…それにしてもわざわざ孤児院にまで足を運ぶなんて、その女王も物好きね。それに相当日本好きなようね。」

「えぇ、陛下の日本好きは相当ですよ。どこで覚えたのか知りませんが、『モチのロン』とか『ゲロゲロ!』とか変な言葉使いで話すんですよ。本人は“バブル時代”のものだと仰っていますが…。」

バブルって何年前よ…。もっと厳格な人だと思ってたけど、意外とユニークな人みたいね。

 

「と言うか、思いっきり内情バラしちゃってるけど大丈夫なの?」

「………ハッ!今の事はオフレコにしておいてください!下手すると僕クビになっちゃうので…!」

「さぁ、どうしようかしらねぇ?」

「よ、宵月さまぁ…!」

 

 

 

ーー宵月の個室。

 

…ん、暁日くんからの通知か。

 

 

 

ーーーー

 

暁日悠:例の頼まれてたやつ、東雲から借りてきたからまた朝に持ってくわ。

 

宵月舞:了解。じゃあ、朝ごはんの後に頼むわ。

 

ーーーー

 

 

 

さて、そろそろ寝ようかしら。

 

 

 

 




ようやく、小鳥遊衣装替えバージョンを登場させる事ができました。

ちなみにこんな感じの姿になっています。

【挿絵表示】


彼女のこの衣装のFAを作る際はネタバレ防止として、自分のTwitterへ直接DMへ送るようにお願いします。
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