自己紹介はもうちょっとだけ続きます。
「まだ話してないのは7人か…。ふぅ…。」
「だ、大丈夫?ため息なんかして。」
おっと、いかんいかん。思わずため息が出ちまった。
「あぁ…。自己紹介だけでここまで疲れるとは思わなくて、つい。」
「あはは…。確かに皆個性的だもんね。」
だからといってゆっくりしている訳にもいかないな。
時間もずっとある訳じゃないし。
するとーー。
「そこの2人、ちょっといいかしら?」
モッズコートの下に上下共にボーダーの衣装を着た、金髪の女子生徒が話しかけてきた。
「あ。自己紹介か?俺は超高校級のアドバイザー、暁日悠。横にいるのは超高校級の情報屋、小鳥遊瑞希だ。よろしく。」
「暁日くんと…小鳥遊くんね。ワタシはシルヴィア・N(ノックス)・アレクサンドラ。シルヴィアでもアレックスでも好きに呼んでくれて構わないわ。『超高校級の怪盗』よ。」
……は?今なんつった?怪盗…?
「正確には『元』なんだよね。」
「流石情報屋というだけあるわね。正しくは『超高校級の脱獄囚』と呼ばれているわ。』
…うん。訳分からん。ボーダーの服は囚人服ってことか…?
「彼女は元々、義賊として悪徳政治家達から金品・宝石を盗みだしてその悪事を世間に暴露していたんだ。『怪盗・ステラ』って名前は聞いたことあるんじゃないかな?」
「確か2年前に捕まった怪盗だよな?」
「確かにそうよ。でも今は脱獄をしては捕まり、脱獄をしては捕まりの繰り返し。そんなこんなで罪が重なって懲役800年ってところね。」
「は、800年!?なんでわざわざ脱獄するんだよ!?」
「そうねー。もう盗みをするつもりもないし、毎回捕まる度に独房の設備がアップグレードされるからそこからどうやって逃げるか、逃げてから何日で捕まるかを試してるから、理由としては『スリルを楽しむゲームを続けるため』ね。懲役は最大14万年位の犯罪者もいるし、目標は懲役1億年ね。」
「……。」
「ちなみに、今回の希望ヶ峰学園からのスカウトは特例で許可してもらってるの。この超高性能GPS付きブレスレットを付けるって条件でね。全く、こんなモノなんかなくてももう犯罪するつもりはないのに。ちょっとくらいは信用してほしいものだわ!」
夜桜と剣崎の比にならないほど異次元すぎる話の内容に目眩を覚えつつ、アレックスから離れ次の相手を探した。
「おーい。その2人、自己紹介してもいいか?」
次に俺達は2人の男子に声を掛けた。
「あぁ、もちろん構わないよ。君は?」
「俺は超高校級のアドバイザー、暁日悠だ。コイツは超高校級の情報屋、小鳥遊瑞希。」
「よろしく。」
「俺は『超高校級の演劇部』、
チェックのズボンと袖をまくったワイシャツの上から水色のパーカーを巻いた爽やかな雰囲気の男子生徒はそう名乗った。
あの巻き方は確かプロデューサー巻きって言うんだよな?今時珍しいファッションだな。
「彼は高校生にして世界的に有名な劇団『青空』の座長を務めているんだ。それだけじゃなく、去年は脚本・主演・監督・演出の全てを1人で担当した映画を製作しているんだ。その演技だけに留まらないマルチな才能が評価されて『超高校級の演劇部』と呼ばれているんだ。」
「ハハッ。そこまで褒められると照れるなぁ。まだまだ俺なんか未熟者だよ。でも、衣装の制作から巨大な舞台装置まで依頼されればなんでも作るよ。」
すげぇ…。嫌味を全然感じないぞ…。こういうのを世間では『イケメン』っていうのか…。
「あ、そうだ。これ皆に配ってるんだ。どうぞ。」
「これは…名刺か?」
「お近づきの印に。良かったらまたうちの劇場に来てよ。友達として最高の席で最高の公演をプレゼントするから。」
対応までイケメンすぎる…。
「ほら、君の番だよ。白暮君。」
「はぁ…。めんどいけど、自己紹介しない訳にもいかねーよな。」
そう言って白暮と呼ばれたオレンジ色の髪をして深緑のカーディガンと暗い茶色のブレザーを身につけた男子生徒が前に出てきた。コイツは確かここで最初に目を覚ましたやつだったな。
「…名前は
「希望ヶ峰学園は毎年一般の高校生からランダムで1人選んで『超高校級の幸運』としてスカウトするんだ。それが今年は彼なんだ。」
「全く…。幸運なんて笑わせてくれるよ。」
「?なんか気にくわないのか?」
「オレは普段の生活が全然ツイてないからな。自販機に金を入れれば金を吸われ、ゲームを買えばその日でバグるし、旅行に行けばテロリストに人質にされ…まだ『超高校級の不運』でスカウトされた方が納得いくよ。」
「で、でもそこまで散々な目に遭っても無事なのはある意味幸運と言えるんじゃないのか?」
「オレだけに被害が及ぶならまだマシだけど、そうじゃないんだよ。オレの不運は他人にまで影響するタイプなんだ。…今回はもしかしたら、今までにない『最悪の事態』が起こるかもしれないな。それがなんなのかは流石に分からないけどな。」
普段から不運に見舞われる人間が予想できない『最悪の事態』…。
この状況からまだ最悪の事態が起こるのか…?
得体の知れない不安を感じながら葛城と白暮と離れ、俺達は…。
「………」
「………」
……ライオンの刺繍の入った赤いスカジャンと黒いスウェットを着た剃り込みの入った茶髪の短髪の大男と対峙していた……。
……ホントに高校生だよな?2m近くはあるぞ?てか、なんで左目の下に傷があるんだ?
「…あっ。俺は超高校級のアドバイザー、暁日悠って言うんだ。で、こっちは超高校級の情報屋、小鳥遊瑞希だ。お前は?」
「………
………怖ぇ!
「……なぁ、小鳥遊。ホントに登山家か?超高校級のヤクザじゃないよな?」
小声で小鳥遊に確認してみると。
「うん。間違ってないよ。彼は世界でも特に登山が難しい山トップ10の山全てを誰の助けを借りず、その身1つでクリアしてきたんだ。」
「……すごいな。たった1人でか…。無口な雰囲気も相まってまるで、クールな一匹狼みたいなんだな。」
「……おい。」
「うぉわぁ!!」
急に獅子谷が話しかけてきた。
「クールな一匹狼…。それは間違っているぞ。」
「え?違うのか?」
「俺は……。ただ単に人見知りなだけだ。会話も苦手でいつも長続きしないんだ。それがいつのまにか一匹狼みたいな扱いになっているに過ぎない。」
「小鳥遊……。」
「うん?」
「人は見かけによらないな。」
「そうだね。」
獅子谷岳…。どうやら悪いやつではなさそうだ。
プロローグ4、終了です。
い、いつのまにかお気に入り登録されてる…。
ありがとうございます!