ダンガンロンパ Redemption   作:ナーガ工場長

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4度目の裁判・前編です。
今回からより原作っぽくなるよう、いろいろパワーアップしています。


非日常編2 学級裁判・前編

【コトダマリスト】

1.モノクマファイル5

被害者は超高校級の登山家、獅子谷岳。

モノクマタワー一階『超高校級の演劇部の研究資料室』にて発見された。

死因は感電死。

死亡推定時刻は午前10時ごろ。

他、首の後ろに火傷の跡有り。

 

2.事件発生前後の状況

事件発生の二日前に才牢学園全土で気温が真夏並みに上がる異常気象が発生。モノクマたちは『発電装置の修理』を動機として提示し三日間の間に食料のすり替え、シャワーの停止、気温の上昇等の出来事が発生した。

 

3.獅子谷の行動

生徒全員が命の危機に瀕したため、モノクマとの交渉を行う代表として抜擢。二時間経って戻らないようなら探すように言い残して食堂を後にしたが、時間になっても戻らなかったので全員で探した結果、『超高校級の演劇部の研究資料室』にて死体として発見された。

二時間の間に何をしていたかは不明。

 

4.小鳥遊の行動

何故か事件現場の入り口で倒れていたが、その理由は不明。

動機発表後から倒れるまでは自身の研究資料室にいた。

 

5.出入口の電源スイッチ

舞台照明と繋がっており、電源を入れると客席だけでなく舞台照明にも電力が送られる。

 

6.天井裏の配線

舞台照明のコードが切られて客席側の照明と繋がれていた。接続方法は簡易的なもの。

 

7.キャットウォーク

舞台の真上に存在する通路。天井裏にも繋がっている。

 

8.事件前日からの皇の行動

事件発生の前日から翌日までは夜桜と共に行動。

昨晩からは敷地内を歩き回っており、その間に誰かに会っていない。

 

9.宵月の検死結果

非常に強力な電気を流されたことで全身が焼け焦げており、即死と思われる。

首の後ろに点状の火傷の跡が、3センチくらいの間隔を空けて2つ横並びの状態で存在。

また、全身を濡らした痕跡がある。

 

10.獅子谷のモノドロイド

高電圧により故障している。

通知のアイコンが表示されており、生前に誰かとやり取りしていた可能性がある。

 

11.舞台照明のコード

被覆が剥かれており、内部の銅線がむき出しになっているとても危険な状態。

 

12.緞帳

事件発生時、降ろされていた。防音性に優れており、舞台側と客席側の音が互いに聞くとこが出来ない。

 

13.白い粉末

客席の床に落ちていた粉末状の物体。しょっぱい味がする。

 

14.クローゼット

天井裏に行く扉の真下に設置されていたが、本来の場所とは異なる場所である。

 

15.空のペットボトル

控室のゴミ箱に入っていた2リットルサイズの物。中身は入っていない。

 

16.分解された機械

控室のゴミ箱に入っていた物。犯人が分解したと思われ、部品の中に電極のような物がある。

 

17.控室床の扉

扉を開けると地下へ降りるハシゴが掛かっており、降りた先は“ある場所”に繋がっている。

 

 


 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

モノクマ「では始めに学級裁判の簡単な説明をさせていただきます!学級裁判では『誰がクロか?』を議論し、その結果はオマエラの投票に決定します!」

モノパパ「正しいクロを指摘できればクロだけがオシオキ、だが間違った人物をクロとしてしまった場合は…。」

モノクマ「クロ以外の全員がオシオキされ、生き残ったクロにだけ晴れてこの学園から卒業する権利が与えられます!」

モノパパ「諸君も熱い中、よく頑張ったな。ラストスパート、楽しんでいこうぜ!」

 

 

壱条「ったく、何が“楽しんでこうぜ”…だっての。お前らは涼しい場所で呑気にモニター見てただけだろ?」

先生が煙草を口に運びながら悪態を突く。…すると

モノクマ「あーダメダメ!ここは禁煙だから、喫煙は禁止!吸うなら終わってからにして!」

壱条「…チッ、まぁいい。裁判を進めるか」

モノクマに注意された事で舌打ちをしながら煙草をポケットにしまい、この場を仕切ろうとした。

 

 

…だが、それに異論を唱える人物が1人…葛城だ。

葛城「一つ言っとくけど、俺はアンタの命令に従う気は毛頭ないからね」

壱条「やれやれ…すっかり嫌われちまったな。まぁいい、どうせキミたちの方が慣れてるだろうからな。あとはキミたちのやり方に任せるよ」

もっと反論するもんかと思ったら意外とすんなり引き下がったな。

…そう言えばこの人の教育方針は『放任主義』だって以前言ってたっけ。

 

 

小鳥遊「前置きはそれくらいにして早く議論を進めようよ」

宵月「私も賛成よ。特殊な条件下で発生した事件、謎がたくさんあるわ。油を売ってないでさっさと本題に入りましょう」

壱条「そうなるとまず謎なのは…」

シルヴィア「死体の発見状況じゃないかしら。調べただけでもかなりの細工がされているようだし」

壱条「・・・・オ、オレのセリフ…」

セリフをそっくり取られてうなだれている先生をよそに議論が始まった。

 

 

 

 

ーー議論開始!ーー

 

 

 

 

皇「被害者…すなわち獅子谷は葛城の研究資料室にて、舞台上の照明器具に吊るされていた…ここまでは大丈夫だな?」

シルヴィア「さらにその死体は全身丸焦げ状態になっていたわね」

 

壱条「うーん…改めて聞くと、やっぱ異様な光景だよな」

飛田「丸焦げって言うと焼死っぽいけど…違うんだよね?」

 

小鳥遊「モノクマファイルにも感電死って明記されてたからね。死因は間違いないよ」

葛城「確かにあの装置の電力はすごく強力だ。人の命を奪うくらいにはね」

 

壱条「まぁ、あれの威力はオレも身をもって思い知ったからな。凶器とみて間違いないだろうな」

 

葛城「でもさ、舞台上の照明スイッチは舞台袖側にあるんだよ?わざわざ人を殺すためだけにそこまで移動するのってちょっと面倒じゃない?

 

壱条「葛城くん…全然オレの話聞く気ねぇな」

 

 

 

そうだ。確かに普通ならそこまで行く必要はない。…だが、今回は普通が“普通じゃなかった”んだ。

 

 

面倒じゃない?〈出入口の電源スイッチ]

 

 

 

  

「それは違うぞ!」

      

 

 

 

 

ーーBREAK!!ーー

 

 

 

暁日「確かに普通だったらそんな事する必要なかったかもな。…けど、犯人はそれを見越してちゃんと細工をしてたんだよ」

葛城「細工…例えば?」

暁日「まず、出入り口の電源スイッチだ。これは観客席の照明を明るくするものだ。だけど、犯人は中の配線に細工をしてこれを押しても舞台照明にも電気が送られるようにしたんだ。もちろん、それを裏付ける証拠だってある」

 

 

その証拠は…

 

【コトダマ提示】→〈天井裏の配線]

 

これだ!

 

 

暁日「コイツは俺が舞台の天井裏に登って配線修理をしたときに見つけた事件発生時の配線の状態だ。そしてここが舞台照明の配線、ここが観客席の照明の配線だ。見ての通り、舞台照明の配線が途中から切られて観客席側から舞台照明へ電力が供給されるように繋ぎ変えられているだろ?これが犯人が細工をした何よりの証拠だ」

 

 

 

      

小鳥遊「“情報”でボクに挑む気?」

          

 

 

 

小鳥遊「盛り上がってるところ悪いけどさ、なんか引っ掛かる事があるんだよね」

暁日「小鳥遊、一体何が引っ掛かるんだ?」

小鳥遊「それはこれから教えてあげるよ。・・・“情報”でボクに勝とうだなんて思わないでよね!」

 

 

 

 

ーー反論ショーダウン開始ーー

 

 

小鳥遊「“配線に細工がされていた”…暁日君が自分の目で調べた以上、それは間違いない事実だとボクも判断するよ」

 

小鳥遊「でもさ、本当にそれだけで獅子谷君を殺す事って出来ると思う?」

 

暁日「“本当に”って…何が言いたいんだ?」

 

小鳥遊「獅子谷君の体格を思い出してみてよ。彼はボクたちと比べても強靭な身体をしているでしょ?あの体格なら普通に電気を流しても余裕で耐えてしまうんじゃないかな?

 

 

                    

余裕で耐えてしまうんじゃないかな?【舞台照明のコード】

 

 

 

    

「その言葉、ぶった斬る!」

        

 

 

 

暁日「もちろん、犯人はそれすら想定済みだ。だから他にも細工をしていたんだ」

小鳥遊「ほ、他にも?」

暁日「舞台照明のコードそのものだよ。これの被覆がところどころ剥かれているのがわかるか?こんな状態のものを人体に触れさせて通電したら誰であろうと感電する!…納得したか?」

小鳥遊「確かにそうかもね…でも」

暁日「でも…なんだ?」

 

 

 

      

小鳥遊「それじゃあまだ弱いよ!!」

          

 

 

 

発展!

 

 

 

何だと!?まだ食い下がる気か…。なら、より決定的な証拠を見せて小鳥遊だけじゃない、全員を納得させるしかないか!

 

 

小鳥遊「被覆が剥かれていたのはよく分かったよ。けど、それでも獅子谷君ならまだ耐えられるとボクは思うな。君の話だと彼は動機にもなっていたあの暑さでもサバイバル術を駆使してそれなりに耐えていたんだよね?だったら感電に対しての対策の一つや二つ、知っててもおかしくないと思うんだ」

 

暁日「じゃあ逆に聞かせてくれ小鳥遊。獅子谷をより確実に殺すために、お前なら何が必要だと思うんだ?」

 

小鳥遊「被覆を剥いて銅線をむき出しにして、それを身体に巻き付けて…となるとあとは“水分”かな。身体の通電性をよくすれば彼を殺せると思うよ。…まぁ水があればの話だけどさ」

 

暁日「水が…あればってどういう事だ?」

 

小鳥遊「事件発生時の状況を思い出してみてよ。あの暑さの中、みんな数少ない水を奪い合う状態だったでしょ?そんな状況で彼を濡らすための水がどこあるって言うの?

 

 

 

 

                     

彼を濡らすための水がどこあるって言うの?【空のペットボトル】

 

 

 

 

    

「その言葉、ぶった斬る!」

        

 

 

 

ーーBREAK!!ーー

 

 

 

暁日「なるほど、お前の言いたいことはよく分かったよ。だからこそハッキリ言わせてもらうが、水もあったんだ」

小鳥遊「ほら、やっぱり水なんて・・・・あるの?」

暁日「あぁ。舞台袖にある控室のゴミ箱の中に空のペットボトルが入っていた。状況からしてこれに水が入っていたんだろう」

宵月「恐らく動機が提示された時に配られた水でしょうね。その内一本を計画実行のためにあそこに保管していたって事だと思うわ。…ちなみにその水がちゃんと使われた証拠もあるわよ」

 

 

 

その証拠は…

 

【コトダマ提示】→〈宵月の検死結果]

 

これよ!

 

 

宵月「私が獅子谷君の死体の検死をした時、ほんの少しだけど彼の身体は水気を帯びていて、それに特に異臭も感じなかった。これが彼の殺害方法に舞台の照明装置、そして水が使われたという証拠よ。・・・それとも、私の検死結果にまだケチをつける気?」

飛田「うお…こ、こわ…」

暁日「宵月…そこまで凄まなくてもいいだろ」

小鳥遊「そ、そうだね…。ゴメン、ボクが間違っていたみたいだよ」

壱条「まぁまぁ、そこまでにしとこう。とりあえず、死体の発見状況と殺害方法はこれで解決ってことでいいな?」

 

 

夜桜「そうみたいですわね。ですが、次に気になるものと言いますと…何がございますか?」

皇「恐らく全員が一つ不可解に思っている事があるはずだ。そうだろう宵月?」

 

 

全員が不可解に思う事…やっぱり“アレ”かしら。

 

【コトダマ提示】→〈獅子谷の行動]

 

これね!

 

 

宵月「事件発生前の獅子谷君の行動。これのことよね」

葛城「事件発生前。その時に一体何があったんだい?」

宵月「そういえばあなたはあの時いなかったわね。分かったわ。暁日君、説明お願い出来るかしら?」

暁日「お、俺かよ」

宵月「あの時、私は食堂にいなかったからね。改めて説明をしてほしいわ」

 

そうだ、宵月も確かにあの場所にいなかったんだったな。

宵月からの頼みを快諾し、俺は事件発生前の状況と獅子谷の行動を改めて全員に説明した。

 

 

 

 

葛城「ーーなるほど、説得か。中々ぶっ飛んだことを考えていたんだね」

夜桜「そこまでぶっ飛んだ発想でしょうか…?」

モノパパ「まぁ、葛城クンの言いたいことも分かる。だってオレたちがそんな話に応じるわけないからな!ガハハハ!」

飛田「うるさいな、話の腰を折るんならアンタは黙っててよ!」

モノパパ「おぉ、怖い怖い」

 

シルヴィア「…話を続けましょう。それで説得をしに行ったハズの獅子谷クンが何故か変わり果てた姿に…ってことだったわよね。何か思い当たる節はないの?」

壱条「思い当たる理由があったらとっくに言ってるよ…」

宵月「このままじゃ埒が明かなそうね…。とりあえず、考える可能性を片っ端から挙げていくしか方法はないようね」

 

 

 

 

ーー議論開始!ーー

 

 

 

宵月「事件発生までの間に獅子谷君がしていた可能性がある行動、何かないかしら?」

 

葛城「まさかとは思うけど、怖気づいて逃げちゃった…とか?」

皇「自分から名乗りを挙げているのに、流石にそれは考えにくいと思うがな」

 

シルヴィア「決戦を目前に控えていたからウォーミングアップをしていたって可能性はどう?」

暁日「逃げたよりは可能性はありそうだけど、わざわざそのタイミングで…っては思うな」

 

飛田「あと、あり得るとしたら…誰かに呼び出されていたとかはど?」

夜桜「あのタイミングで、ですか?そんな都合のよい話があるのでしょうか?」

 

 

 

誰かに呼び出されていた〈獅子谷のモノドロイド]

 

 

 

 

    

「それに賛成よ!」

    

 

 

 

ーーBREAK!!ーー

 

 

 

 

宵月「そうだ…きっと獅子谷君は誰かに呼び出されていたのよ!」

飛田「ちょ…マジで!?」

宵月「マジよ。彼の死体を検死した時、ポケットからモノドロイドを見つけたの。一緒に感電したせいで壊れてしまっていたけど一瞬だけある画面が表示されていたわ」

壱条「“ある画面”…ってなんだ?」

宵月「モノトークよ。ごく短時間だったけどモノドロイドが起動して、そこにはモノトークのホーム画面、そして誰かからの通知を示すアイコンが見えたわ」

 

 

暁日「なるほど、獅子谷が誰かからの呼び出しを受けていたのは間違いなさそうだな。けど、なんでそんなことを?」

宵月「当然、彼を殺害するためよ。犯人は誰かが単独行動をするのを待ち、その時が来たのを見計らって、モノトークを使って事件現場に呼び寄せた。そして獅子谷君を気絶させたの」

壱条「気絶だって?証拠でもあるのか?」

宵月「ええ。犯人が獅子谷君を気絶させた証拠それは…」

 

 

【コトダマ提示】→〈分解された機械]

 

これよ!

 

 

宵月「一つ目はこれ。ペットボトルと同じゴミ箱に捨てられていたバラバラにされた機械よ」

夜桜「バラバラ…と言う事は分解されていたのでしょうか?それは元々何の機械だったのでしょう?」

宵月「それはあとで説明するわ。注目してほしいのはこの間隔を開けて二本並んだピンのようなものよ」

皇「…ピン?」

宵月「実はこのピンと似たような痕跡が死体には残されているの。それは…」

 

 

【コトダマ提示】→〈モノクマファイル5]

 

これよ!

 

 

宵月「モノクマファイルにも書かれている“首の後ろの火傷の跡”これを確認してもらえるかしら?」

壱条「火傷の跡…あっ!」

宵月「気づいたようね。そう、これも間隔を空けて“二つ”並んでいるの」

葛城「間隔を空けて並んだ火傷とピン…これはもしや」

宵月「そう、機械の正体はスタンガン。そして首の後ろの痕跡がスタンガンを使った証拠、というわけよ!」

 

 

シルヴィア「ふぅん、なるほどね。大がかりな細工をして抵抗できないようにする準備までしてターゲットを呼び出す…。随分と用意周到な犯人ね。でも、肝心の犯人像が見えてこないわね」

宵月「いや、そんなこともないと思うわよ」

暁日「宵月…やっぱりか」

あの反応、やっぱり暁日君はもう気づいてるようね。

 

事件現場、細工されていた箇所、そして“あの時”いなかった人物。

これらの情報がおのずと一人の人物を指し示している!

 

 

 

 

【人物指定】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→葛城狂也

「それは…あなたよ!!」

 

 

 

 

 

 

宵月「そう、葛城君…あなたよ」

葛城「…一応、理由を聞いてもいいかい?」

宵月「まず、今回の事件の現場はあなたの才能資料室であること。部屋の仕掛けについてあなたが誰よりも詳しいと考えてるわ」

葛城「なるほど…それで?」

宵月「もちろんそれだけじゃないわ。獅子谷君の行方が分からなくなる前、その時あなたは食堂にいなかった。どこにいたのかは未だに分からないけど、少なくとも事件前のあなたの行動がはっきりせずアリバイが無い事、これがあなたが犯人だとする根拠よ」

 

宵月は葛城を疑う根拠を次々に並べていく。

…だが、葛城は至って冷静に無言でそれを聞いているだけだ。

 

 

 

 

 

ーー議論開始!ーー

 

 

 

宵月「事件前のアリバイが無く、事件現場の仕掛けについて誰よりも詳しい人物…これこそがあなたが犯人だと考えている理由よ」

 

葛城「・・・・・」

 

飛田「…狂也、何黙ってんの?言いたいことがあるならさっさと言ったら?」

 

葛城「俺の才能資料室が現場だから犯人…?だからなんだっていうの?才能資料室が現場だったら部屋の持ち主は全員クロだって言いたいのかい?」

 

シルヴィア「でも現にアナタの部屋が現場に選ばれている。アナタならどの配線に細工すればいいのかすぐ分かるんじゃないの?」

 

宵月「そう、配線…。そこも重要なポイントよ」

 

葛城「なんだって?」

 

宵月「あなたは以前、“小道具から大きな舞台装置まで何でも作れる”って言っていた。だからこそ、配線修理くらい容易いと思ったのよ」

 

葛城「確かに、俺にとって配線修理くらい容易いものだよ。…でも、その配線はどこにあるか覚えているかい?」

 

暁日「それは…確か天井裏だったな」

 

葛城「そう天井裏。暁日君は一度入ったから分かるんじゃないかな。あそこの“狭さ”を、さ」

 

葛城「俺は獅子谷君ほどじゃないけど身長は高い方だ。あの狭い空間内を舞台袖から移動してその場所まで行って、修理してまた同じ道を戻る…これほどの重労働をするとなるとかなり骨が折れることだって理解できたかな?」

 

 

 

 

舞台袖から移動して〈キャットウォーク]

 

 

 

 

   

「それは違うわ!」

      

 

 

 

 

ーーBREAK‼ーー

 

 

 

 

宵月「そうね、確かに舞台袖から天井裏へ移動するのはあなたなら大変だと思うわ。…でも、そんな所、最初から通る必要なんかないのよ」

葛城「…!」

夜桜「最初から、という事は他の道があるという事でしょうか?」

宵月「そうよ。その場所は葛城君ならもう分かるでしょう?キャットウォークよ」

飛田「え~と…何それ?」

 

 

小鳥遊「舞台の頭上に設置されてる細い通路の事で、演劇をするときはそこにあるスポットライトを証明担当のスタッフが操作したりするんだよ」

飛田「へぇ~高いところか…結構楽しそうな場所だね。名前もなんかかわいいし」

暁日「楽しいだって…あんなほっそい手すりしかない通路とか楽しいわけないだろ!」

壱条「はいはい話が脱線してるからそこまで!宵月さん、続けて」

 

 

宵月「そ、そうね…コホン。それで、問題のキャットウォークから天井裏まで通じる通路があるの。そこを通れば葛城君のように背が高い人間でも天井裏に行けるわけ」

シルヴィア「なるほどね。それに舞台袖に回る必要がない分、獅子谷クンを吊るす作業をするときなんかもショートカットになるわね」

宵月「そういうこと。どう?納得したかしら?」

皇「葛城…やはり、お前が…⁉」

 

 

 

        

葛城「その推理、リテイクしてもらうよ!」

             

 

 

 

 

葛城「まだだ…!まだ納得したわけじゃないよ!」

宵月「もう証拠は十分揃った…これ以上続ける必要はないと思うけど?」

葛城「だって…だって俺は犯人じゃないからね…!」

葛城君…どうしてそこまで“犯人じゃない”と言い切れるの?

 

 

 

 

ーー反論ショーダウン開始ーー

 

 

 

葛城「君の考える方法なら確かに犯行は可能だと思うよ。けど、あくまでそれは可能性の話。状況証拠でしかないんだ!」

 

葛城「それに実際に犯行を行ったとして、一つ見逃せない問題もあるんだよ」

 

宵月「見逃せない問題…何かしら?」

 

葛城「音だよ。スタンガンでも大きな音が鳴るというのに、太いコードを巻き付けて感電させるとそれよりもさらに大きい音が鳴るはずだ。実際、壱条魅弦が感電した時もかなり大きな音が鳴り響いていたのを覚えているだろう?」

 

葛城「そんな大きな音が部屋中に鳴り響いた時に誰かが通りかかったら、犯行現場を目撃されてしまうんじゃないかな?そうなったら計画は失敗だよね。まさか、音を立てずに殺した…なんて言う訳じゃないよね?」

 

 

 

 

                         

犯行現場を目撃されてしまうんじゃないかな?【緞帳】

 

 

 

 

    

「その言葉、斬ってあげる!」

         

 

 

 

 

ーーBREAK‼ーー

 

 

 

 

宵月「音、ね。確かにそれは避けて通れない問題ね」

葛城「そうだろ?じゃあやっぱり…」

宵月「でもそれもあの部屋じゃ些細な問題なのよ。それはあなたがよく分かっているはずよ」

葛城「ま、まさか…!」

宵月「今さら考えるまでない、緞帳よ!あれを使えば感電した時の音なんて簡単に遮る事ができるわ!」

葛城「じ、実際に遮る事ができたか…。それを実証しないことには…」

暁日「いいや既に実証済みだ。捜査をしたときに、音がほとんど聞こえないことを確認したからな」

 

 

宵月「加えてあの緞帳には他の人の目を欺くことが狙いだったと考えるわ。舞台なら別に緞帳が降りててもそんなに違和感を感じることがないからね。どうかしら?これで犯行が可能だったことは照明されたと思うけど?…一応言っとくけど、実際に犯行が行われたという物的証拠もあるわよ」

飛田「え…まだあるの!?」

宵月「犯行が行われた最後の証拠…それは“モノトーク”よ!」

 

 

シルヴィア「モノトーク…そういえば獅子谷クンの呼び出しに使われていたわね」

宵月「ええ。モノトークのトーク履歴は削除することが出来ない上に、モノドロイド自体の破壊も校則で禁じられている。死亡推定時刻に最も近い時間に獅子谷君充てのメッセージが残っていれば残っていれば決定的よ」

壱条「なるほど…おい!全員今すぐモノトークの履歴を見せろ!」

 

 

先生の一声に促され、全員が一斉にモノトークを起動させる。画面にはいずれも他愛のない会話をした記録のみが表示されている。時間はどれも前日のものばかりの中・・・・

 

ーーそこにはあった。

 

 

葛城君のトーク履歴に残されていた

『話したいことがある 9時40分に俺の才能資料室に来てほしい』

の文字。そしてその差出人はーー

 

 

ーー『獅子谷 岳』

 

 

それを見られると同時に葛城君は頭を抱えた。

皇「獅子谷への呼び出しメッセージ・・・・・。葛城…お前何故こんなことを…!」

皇君は声を震わせて訴えかけている。親友に裏切られたようなものだ、言葉が出ないのも当然だろう。

 

 

 

ーーだが、うなだれた様子の葛城君が絞り出した言葉は衝撃的なものだった。

 

 

 

 

葛城「…分からないんだ」

 

 

 

 

夜桜「…今、なんとおっしゃいました?」

葛城「…分からないんだよ。誰が()()()()()()()()()()()……!」

シルヴィア「この期に及んでシラを切るつもりかしら?」

 

 

 

葛城「確かに俺はあの殺人装置を作った。モノトークで獅子谷君を呼び出した…!スタンガンで彼を気絶させた!彼を照明に拘束した!!だけど、肝心の電源スイッチをオンにしていないんだ……‼」

暁日「葛城…お前何を言って…」

葛城「俺は暑さの限界に達したのか、スイッチを起動する前に気絶した。それも観客席のど真ん中でだ。なのに、目が覚めた時には部屋が明るくなっていた。…暁日君も覚えているだろ」

そういえば……あの時、葛城君を見つけたとき、そんなことを口走っていたわね。

 

 

 

 

 

 

ーーそして頭を抱えた葛城君は今までにないくらい取り乱した様子で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

葛城「誰が?いつ??・・・・・俺も知らない所で誰かが獅子谷君を殺してしまったんだ!!

 

 

 

その一言で全員に動揺が走った。

全員が葛城君こそクロだと考えていた。けど、それは彼の発した一言で全て白紙に戻ってしまった。

 

 

…彼の言葉は本当に真実なの?

 

 

 

 

学級裁判、中断!

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