全ての始まり
「たらればの話なんだけどさ」
久しぶりにビィと二人きりになったグランは、ストローのささったアイスティーを飲み干して切り出した。
「僕がザンクティンザルじゃなくて、別の島に生まれてたら、こうやって星の島イスタルシア目指してたのかな?」
「なんだあ?どうしたんだよ、グラン」
机の上でリンゴをかじる自称ドラゴンは、グランの質問の意図が読めずにいた。
「ザンクティンザルでジータがルリアを助けたところから、この旅が始まったわけだけどさ。老若男女はおろか、王族やら騎士やらが乗るじゃない?人間ならまだしも、人外もいるけど」
「最初の頃は想像もつかなかったな。色んな奴に出会って、色んなとこに行って」
「そう、そこなんだよ。色んな人に出会っていく内に、【もし、別の島で生まれ育ったら】僕はどうなっていたんだろうって。人って周囲の環境で性格やらなにやら変わっちゃうって言うし」
「それは、オイラや幼馴染のジータもいないってことか?」
「そうそう。ホントに僕一人だけって。例えば【銃工房】や【アイルスト王国】で育ったりとか」
「【フェードラッヘ】に生まれてたら、白竜騎士団目指してそうだよな!」
「だよね!僕もそう思う!でも、そしたらそしたらで、ジータやビィに出会えてないんだろうけどさ」
「へへっ。言ってくれるじゃねえか、グラン」
「騎空士って、安定してるわけじゃないからさ。リーシャみたい【秩序の騎空団】って組織なら別なんだけどさ。安定した仕事はどんなのかなって、考えるんだ」
「なるほどな。グランは器用だからなにやっても上手くいきそうだよな」
「ありがと。さ、そろそろ行かなきゃだ」
「おう!さっさと片付けちまおうぜ」
1人と一匹はグランサイファーの食堂から出ていく。
しかし、彼らは気付いていない。食堂にいた多数の団員が耳を傾けていたことを。
「グランが白竜騎士団に入ってたらかあ」
沈黙を破ったのは、白竜騎士団所属のヴェインだった。
「グラン15歳だから、ヒヨコ班の先輩に当たるんだろうなぁ。うわっ、俺立場なくなりそう!」
グランが白竜騎士団に入団したところを想像して、自分の立場が奪われるところにいたり、現実でもないのに冷や汗をかく。
何時もなら、ランスロットやパーシヴァル辺りが反応しそうなところを、相手をせず自分の世界に入っていた。
それは、彼らだけでなく他の団員、主に女性団員が深く想像力を働かせていた。
【もしも、グランが幼馴染であったのならば】
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