グラブル短編集   作:ベリアル

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そろそろ投稿したい


星屑の街

「待てやガキどもオオオオ!」

 

手に出刃包丁を握りしめたドラフの男が、2人の少年少女を追いかけまわしている。

 

少年は水色の髪をしている。少女の方は、桃色の髪をしていている。どちらも髪を伸ばしきっており、ぼさぼさで小汚い。清潔ささえあれば、どちらも美がつくだろうが、無理な話だ。

 

ここは"星屑の街"。法に見捨てられ、暴力が法の無法地帯だ。

 

そんな場所にまともな人間はいない。いるのは、犯罪者。道徳心は邪魔でしかないし、生きるためには、老若男女手段を選ばない。

 

少年少女が腕に抱えているのは、袋いっぱいに詰まった乾パンだ。

 

自分達の食い扶持でもあり、二人の下にいる弟妹たちの食事だ。

 

二人はストリートチルドレンだ。血縁者がいなければ、親もいない。気づいたらそこにいた。

 

そんな生まれも育ちも劣悪な環境で、守る・支える・思いやる。人間らしく尊い心を持ったエルーンだ。

 

少年と少女。いや、カトルとエッセルはストリートチルドレンのリーダーとして、兄と姉として必要以上に盗みを繰り返していた。

 

だが、所詮は子供。幼く、後ろ楯もなければ戦う能力も肉体もない。

 

息を乱しながらも、走る速度を弛めないのは捕まったら死ぬことが分かっているからだ。

 

カトルの足がなにかに引っ掛かり、地面に這いつくばって乾パンが地面に散らばる。

 

「カトルッ!」

 

「姉さん逃げて!」

 

「逃がすかよ」

 

続いて、エッセルの顔面に拳が飛んでくる。

 

吹き飛ばされたエッセルは手から溢れるほどの鼻血を出していた。かろうじて、意識を繋ぎ止めていたが、目の前の光景に希望はなかった。

 

カトルの傍には、ヒューマンの男。ナイフ見せびらかすように握り、カトルの背中に足を置いている。どうやら、彼がカトルの足を引っ掻けたようだ。

 

彼だけではない。ドラフやエルーンなど多種多様の種族が集まってきた。全員大人で、見覚えのある顔ばかりだ。

 

彼らはカトルとエッセルが盗みを働いた先にいる者たちで、恨みを晴らすべく結託していた。

 

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

 

エッセルは現実を受けいられず、絶望に満ちた顔ですくんでしまった。が、恨みを持つ大人たちは容赦しない。

 

カトルとエッセルを追いかけていたドラフがエッセルの腹に爪先を叩き込む。息が止まり、胃液を吐き出してうずくまる。

 

下がった頭を見越してか、ドラフの男はエッセルの髪を無造作に掴んで、カトルの方へ引きずっていく。ブチブチと音が聞こえるが、エッセルは蹴りの影響で声を出すのも辛かった。

 

カトルの横に放り投げられて、カトルはカトルで気を失わない程度に痛め付けられていた。両手の指は全て、歪められていた。膝の裏からも血が流れており、立つことはとてもできない。

 

カトルとエッセルも涙を流しながら、許しを乞う。

 

「ごめんなさい。もうしません。許してください」

「なんでもします。たずけてください」

 

「安心しろよ。罪の償いはしっかりしてもらうかよ。そしたら、なしにしてやる」

 

カトルとエッセルを取り囲む集団の1人が言った。その言葉にカトルとエッセルは耳に届いても、希望は抱かなかった。

 

「テメエらはもちろん、他のガキどもも売り飛ばす」

 

他のガキ。それはつまり、弟妹たちのことだ。血は繋がってなくとも、家族の危機が迫ってきている。

 

「待ってください!お願いします!家族には手を出さないでください!私がなんでもします!お願いしまアッ!アアアアアアアアアッ!!!?」

 

「姉さん!?姉さん!?お願いしますやめてください!」

 

涙と鼻水とよだれで顔がぐしゃぐしゃになりながらも足にすがると、頭を踏みつけられ、体重をかけられる。大の大人が子供の頭に体重をかけて、平気でいられるはずがもない。

 

カトルはただ叫ぶしかない。

 

それを見ていた大人たちは、皆笑っている。罪悪感もなく、恨みがなかったとしても同じ表情をしていただろう。

 

「あめえこと抜かしてんじゃねえよ。ここがどこだかわかってんだろ?あ?ここは"星屑の街"。てめえらは"星屑の街"の住人。録な未来なんざねえんだよ」

 

エッセルの断末魔を余所に、男は続けた。

 

「なにも殺すとは言ってねえよ。そこまで鬼じゃねえからな。なあ?」

 

「もちろんさ。うちの顧客には、臓器に困ってる方がいてな。お前達から頂きてえのさ」

「そういう趣味の貴族様がいてな。ちょっと我慢すりゃいい飯食えるぜ。すぐにぶっ壊すことで有名だけどよぉ」

「人体実験で人手足りねえってよ。良かったなー、仕事にありつけるぜ」

「いずれにせよ、こんな掃き溜めから出ていけるんだ。願ったり叶ったりだろ」

「行き着くのは他所の掃き溜めだけどな」

 

エッセルとカトルの生き死になどどうでもいいのだ。ただ、金になるかどうか。それだけだった。

 

「うあああああああああッ!うあああああああああああ!」

 

カトルは吠えた。怒りか、悲しみか。自分に向けてか、彼らに対してなのか。感情を爆発させることしかなかった。

 

エッセルとカトルにはこの状況を打破できなければ、幼い弟妹たちが集まっても不可能だ。

 

これが"星屑の街"の日常だ。どこにでもある光景で、通りかかる住民は見て見ぬふりだ。当たり前なので、心を痛めない。

 

ここが、"星屑の街"だ。これが、"星屑の街"だ。

 

「お取り込み中、失礼」

 

では、星屑の街の外からやって来た人間は?

 

「ちょっと、用事があって通りかかってさ」

 

人によって千差万別だろうが、現実はいつだってありきたりだ。

 

「そこの僕と同じくらいの君たちに聞きたい」

 

大勢の荒くれ者が、殺傷武器を持ち、みすぼらしい子供に取り囲む。己の身を考えれば、首を突っ込む者はいない。

 

「たった一つの簡単な質問だ。声に出せないなら、頷くだけでもいい」

 

では、誰もが見て見ぬふりをする中で、1人になっても己の正義に嘘をつけない人間はどうするのか?

 

「助けてほしい?」

 

周りがおかしいと否定しても、信念を貫こうとする少年はどうするのか?

 

決まっている。

 

「……ッた」

 

すけて、とカトルが叫ぼうとした瞬間、その言葉は遮られた。

 

他でもない。質問をしてきた少年にだ。

 

少年の持つ槍が集団の1人の膝を貫き、その場にいた全員が呆気にとられた。

 

「わかった」

 

少年の名前はグラン。

 

数多の技能を血の滲む努力で得た天才。

 

「僕の全てをかけて」

 

"星屑の街"の来訪者にして、

 

「君たちを守り抜く」

 

"星屑の街"の希望。

 

 

 






ってなのを誰かやってほしい
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