Dragon Ball Lyrical ~蘇りしサイヤ人~   作:セム
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 それでは其之二十五をどうぞ!


其之二十五 もっと知りたい! 悟空の秘密!

 あれから十日ほどが経過した。

 悟空達はと言うと――。

 

 

「ピギイィィィィッ!!」

 

「あいつか……」

 

「おっきいね……」

 

「うーん、もう少しスピードが遅ければ縛れるんだけど……」

 

 

 黄金の巨鳥と相対していた。

 言わずもがな、この巨鳥もまたジュエルシードの暴走により生まれた怪物だ。

 アースラにいた三人は突如として呼び出されてこの巨鳥と戦うよう指示されたのである。

 この状況、まず最初に一歩踏み出すのは当然――悟空だった。

 

 

「よしっ、まずオラが行く!」

 

「気を付けてね、悟空くん」

 

「あぁ、分かってっさ!」

 

 

 悟空はそう言うと額にそっと指を当てる。

 次の瞬間、ビュンという音と共に悟空の姿は消えた。

 そして気が付いた時には悟空の姿は巨鳥の後ろにあった。

 巨鳥は気配で背後の悟空に気づく。

 

 

「ピギッ――!?」

 

「隙だらけだぞ、おめえ……だりゃあっ!!」

 

「ギィッ!?」

 

 

 巨鳥の、その大きな体を軽々と蹴とばす悟空。

 小さな体に見合わないパワーから放たれた痛烈な一撃は巨鳥に想像以上のダメージを与える。

 そこへ――。

 

 

「今だ!!」

 

 

 ユーノがバインド系の魔法で巨鳥を縛り付けた。

 この数日の間にユーノも体の調子が完全に戻りこうして戦力として活躍できるようになっている。

 巨鳥はもがく、だが抜け出せない。

 バインドや防御魔法、回復魔法はユーノの得意分野だ。

 この分野ならばなのはにも負けてはいないだろう。

 故に巨鳥の運命は既に決まっている。

 ゆっくり近づいてきた一人の少女――なのはが最後を決めようと杖を振りかぶっていた。

 

 

「リリカルマジカル……ジュエルシード、封印!!」

 

 

 そうして振り下ろされた杖――レイジングハートが光を放つ。

 巨鳥の体は光に貫かれ、中からは青い宝石、ジュエルシードが飛び出して来た。

 そのジュエルシードはゆっくりとレイジングハートに吸い込まれ消えていく。

 

 

「お疲れ、なのは」

 

「にゃはは、私は特に何もしてないけどね」

 

「んー……物足りなかったぞぉ」

 

「ご、悟空くん……」

 

 

 

 アースラ艦内。

 そこではオペレーターが悟空達に通信を入れていた。

 

 

「ジュエルシード確保を確認、三人ともお疲れ様」

 

『あ、はーい。お疲れ様です』

 

「今ゲートを作るからちょっと待っててね」

 

 

 そんな会話を聞きながらリンディは思う。

 

 

「それにしても三人とも優秀よねぇ、このままうちに欲しいぐらいだわ」

 

「本当ですよねぇ、クロノくんと比べても見劣りしないぐらいじゃないですか?」

 

「むっ」

 

 

 エイミィの発言にクロノは顔をしかめる。

 そしてこう口にした。

 

 

「確かに三人は優秀だ、だが僕だって負けてるつもりはない。こういうのは総合力がものを言うんだ」

 

「ま、そうだよねぇ。何たってうちのエースなんだから。でも悟空くんに勝てる自信はある?」

 

「ぐっ……」

 

 

 クロノはそう言われると何も言い返せなかった。

 悔しいが悟空、そして敵であるベジータは規格外と言えた。

 優秀な執務官であるクロノでも勝てるビジョンが見えてこない、それほどの強さだ。

 それでもクロノにだって意地がある。

 易々と負けを認めるのは何となく癪だったので、それ以上は何も言わずにそっぽを向くのだった。

 さらに強引に話題を変える。

 

 

「それよりも、だ! エイミィ、情報は纏めてあるのか? 見せてくれ」

 

「はいはい、もちろんだよ。これだね」

 

 

 そう言って映し出されるのはフェイト、アルフ、そしてベジータの姿。

 特にフェイトに関しては気になる部分があった。

 

 

「かつて追放された大魔導師と同じファミリーネーム……」

 

「やっぱりその人の関係者なのかな?」

 

「どうかな……偽名の可能性もあるから現状は何とも言えないな……」

 

 

 そんな会話の裏でフェイト達の事を気にしているものがいた。

 なのはである。

 

 

「どうしたの? なのは」

 

「ベジータ達が出てこなかったの気にしてるんか?」

 

「うん……」

 

 

 この十日間で見つけたジュエルシードは先ほどのも合わせて五個。

 うち三つを悟空達が回収し、残り二つはベジータ達がかっさらっていった。

 アースラは三人の追跡を行おうとしたが失敗。

 クロノ曰く強力なジャマ―結界が張られているそうだ。

 悟空ならばフェイトの気を察知して探知は可能だが、それはやめておいた方がいいだろうな。というのが悟空の判断だったのであえて何も言わなかった。

 そもそもの話、探知して拠点と思われる場所に局員を送ったとしても返り討ちにあうのがオチだ。

 悟空が三人を確保するための部隊に加わればなんとかなるかもしれないが、その場合ベジータは本気で戦おうとするだろう。

 するとどうなるか。

 戦いに巻き込まれて死人が出る恐れがあるのだ。

 現在のベジータという男は好き好んで相手を殺す事はしないが止む終えないと感じれば躊躇なく殺しにくるタイプだ。

 つまり下手をすれば死体の山を築く事になる、それは避けたいというのが悟空の考えだったのである。

 

 

「大ぇ丈夫さ、そのうち会える。今日も近くまでは来ていたみてえだしな」

 

「え、そうなの?」

 

「あぁ気を感じた、ただ今回は諦めたみたいだけんど」

 

 

 それを聞いたなのはは「そっか」と言って少しだけ表情を明るくした。

 とりあえず元気でいる事は間違いなさそうで、少し安心したのである。

 ――残りのジュエルシードは六個。

 長いような短いような、そんなジュエルシードをめぐる戦いも終わりが近い。

 一行は次のジュエルシードの反応があるまで各々、別のやり方で時間を潰す事にした。

 

 

「はっ、だっ、でりゃあっ!」

 

 

 悟空は当然修行だ。

 汗水流し、ひたすらに己を鍛える。

 その様はアースラ搭乗員の間でも話題になるほど凄まじく一緒に修行しようとして途中で挫折したものも少なくないと言う。

 そんな悟空に話しかけるものが一人。

 

 

「悟空くーん!」

 

「ん? なのはじゃねえか、どうした?」

 

 

 悟空は動きを止めて声がした方向を見ながらそう言った。

 なのはは悟空に駆け寄り少し息を切らしつつ告げる。

 

 

「何かお菓子あるみたいだから一緒に食べない?」

 

「菓子か、確かにちっとばかし腹も減ったしなぁ。いいぞ、オラも一緒に食う」

 

 

 少し腹を満たした方が修行にも集中出来るだろう。

 そう考えて悟空はその提案を了承した。

 それを聞くとなのははパァッと明るい笑みを見せる。

 

 

「それじゃ行こうか!」

 

「あぁ!」

 

 

 こうして二人は食堂へと移動する。

 そこではユーノも待っており、三人は揃ってクッキーを手にし食べ始めた。

 と、ここでユーノがなのはに尋ねる。

 

 

「ねぇなのは……」

 

「なに? ユーノくん」

 

「なのははさ、寂しかったりしない? 大丈夫?」

 

 

 この十日間家族と離れてしまっている事を言っているのだろう、という事は誰にでも察せた。

 普通に考えてなのはぐらいの歳の子が親から離れて十日間も過ごすというのは精神的に負荷がかかってもおかしくはない。

 だがなのはは「大丈夫」と言って、こう続けた。

 

 

「私は一人じゃない、悟空くんやユーノくんもいるし……それに一人って言うのも結構慣れてるから」

 

 

 その昔、士郎がボディーガードの仕事中に大怪我を負い入院した事があった。

 結果幼かったなのはを除く家族全員が忙しくなり、なのはは一人でいる時間が多くなってしまった。

 しょうがないという気持ちと構ってほしい、寂しいという気持ち。

 心の中がグチャグチャになり、なのははいつも一人で泣いていた。

 そして結果的にこの経験が現在の子供なのに、所々が子供らしくないなのはの性格を形成したと言えるだろう。

 

 

「そういえば私、ユーノくんの家族の話ってあまり聞いた事ないかも」

 

「あぁうん、僕は元々一人って言うか……両親はいないんだ。だから育ててくれた部族の皆が家族みたいなものかな」

 

「そっか……そういう意味じゃユーノくんと悟空くんは同じなんだ」

 

「モガ?」

 

「ははは……そうだね、少し近いかも」

 

 

 悟空はクッキーを頬張りながらも首を傾げユーノは笑う。

 そしてなのははこう続けた。

 

 

「じゃあ次は悟空くんのお話、聞きたいな」

 

「んぐんぐ……なんだ、オラも何か喋るんか?」

 

「うん、ほら最近夜中のお話は出来てなかったし、たまには悟空くんの話の続きも聞きたいなって」

 

 

 アースラに来てからは悟空、なのは、ユーノにはそれぞれ個室が割り当てられていた。

 当然寝るのはその部屋でとなるわけであり、すっかり日課となっていた寝る前のお話会はこの十日間は実施されていない。

 それになのははもっと悟空が知りたかった。

 思えばいつも話しているのは自分で悟空の過去は出会ったあの日の夜に少ししか聞いた事がない。

 故にもっと悟空を知りたい、知る事によりもっと近づきたいという思いがなのはにはあった。

 

 

「んーそだなぁ、どこまで話したっけかなぁ」

 

「ブルマって人に誘われて旅に出て色んなところに行った、ぐらいまでですね」

 

「あぁそうだったそうだった! そんでよ、オラその旅が一段落したところで亀仙人のじっちゃんのところに弟子入りしたんだ」

 

「仙人!?」

 

「おう、そうだぞ! オラに色々教えてくれて鍛えてくれたんだ。ちょっとエッチだけどな。かめはめ波はじっちゃんの教える亀仙流の奥義なんだぞ?」

 

((ス、スケールが大きすぎる……))

 

 

 なのはとユーノは自分から聞いておいてなんだがそう思わざるを得なかった。

 まさか仙人が出てくるとは思わなかった。

 だが悟空が強いのもそれなら納得がいく、そんな凄そうな人を師匠に持つのなら――。

 

 

「まぁオラの師匠は亀仙人のじっちゃんだけじゃないんだけどよ」

 

「「えっ」」

 

「後カリン様だろ? 神様に……界王様、後は天使のウイスさん、まぁこんなところだな」

 

「待って、ちょっと待って」

 

「ん? どした? なのは」

 

「いや、理解が追い付かないというか……仙人もだけど神様とか天使って……実在するものなの?」

 

「おう、実在すっぞ! 実際鍛えてもらったオラが言うんだから間違いねえ」

 

 

 改めて言おう、スケールが大きすぎる。

 一体何をどうしたらそんな超常の存在に師匠になってもらえるというのか。

 そしてどんな特訓を施してもらうというのか、何もかもが想像も付かなかった。

 とりあえず言えるのは――。

 

 

(悟空くんはだから強いのかな……)

 

(やっぱり悟空さんは何というかエピソードも格が違うなぁ……)

 

 

 と、そんなところだった。

 さらに悟空は追い打ちをかける。

 

 

「あ、でもここはオラが生きた宇宙とは別の宇宙だろうから仙人も神様も天使もいねえかもな。悪りい、悪りい」

 

「「え……?」」

 

 

 二人は一瞬悟空が何を言ったのか理解出来なかった。

 それはどういう事か、問おうと思って口を開きかけた、その瞬間。

 艦内にアラートが鳴り響く。

 

 

『エマージェンシー! 捜索域の海上にて大型の魔力反応を感知しました!』

 

「……何かやべえ感じがすんな。なのは、ユーノ、行くぞ!」

 

「う、うん……!」

 

「分かりました!」

 

 

 気になる事は山ほどある。

 聞きたい事もたくさんある。

 だけど今、優先すべき事は分かっているからこそ悟空の背中を追いなのはとユーノは駆けだすのだった。




 オッス! オラ、悟空! 

 オラ達が見たもの、それはジュエルシードに立ち向かうフェイトの姿だった。

 でもありゃまずいな……かなり消耗してっぞ。

 リンディやクロノは止めっけど放っておくわけにもいかねえな、これは。

 次回! Dragon Ball Lyrical ~蘇りしサイヤ人~

「海上の激突! 協力してジュエルシードを回収せよ!!」

 ぜってぇ見てくれよな!


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