「ん……」
「じっとしてろって」
「仕方ないだろう、くすぐったいのだから」
「んなこといってもなァ……ほれ」
「っくふぅっ!? ちょ、強すぎ」
「あー……すまねェ。このくらいか?」
「ん、ぁー……そのくらい……うん、気持ちいい……」
「そォか」
二日後。体育大会前日だ。えーと……アリシアさんだったか? フリードに肩揉まれながらいちゃいちゃしてます。
……。
そうそう、旧魔王の末裔達はシベリア行き……じゃなかった、冥界にも人間界のシベリアみたいなところで監獄があって、そこに懲役二千年だとか。二千年って……まぁ、悪魔だしな。
視線を変えれば、なにやらスッキリとした顔つきの龍咲さん。うーん、なにかいいことでもあったのかな? それとも、冥界の特訓で良いものでも得られたのか。
「……にゃぁ……」
「……ふぁ……」
俺の膝には小猫ちゃんとヴァーリが。可愛すぎて鼻血でそう。眠そうに目を擦ったり、喉をならして甘えてみたりと、俺を萌え殺す気か!? くっ、これが孔明の罠だとでもいうのか!
リアスと朱乃さんは居ない。なんでも、リアスのお兄様であるサーゼクス様から、なんか話があるんだとか。
「あ、そうだイッセー君」
俺の膝上で蕩けていたヴァーリが、俺に向けて一言。
「今度の土日でデートしよ?」
えっ――
「「「えええええぇぇぇぇっ!?」」」
何故俺より早くゼノヴィアとアーシアと小猫ちゃんが反応したのか。木場と龍咲は苦笑してるし……全く、訳がわからないよ。え、引きこもり? うちの引きこもり君は隅っこで寝てます。三ヶ日蜜柑の段ボールで。
……まぁ、なんで反応したかなんて、予想はついてるけどね。
俺は天を仰いだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あーあー、やっぱり全滅か」
「御剣斬」
「曹操、俺が魅力的なのは分かるけどデートのお誘いはお断りするんだにゃーん」
「ふざけるのも大概にしろ、御剣」
「言った筈だ。私達は貴様等のような“英雄ごっこ”のテロリストの仲間になどなりなくないと」
「……残念だよ、御剣」
「ふん、そんなお前にクイズだ。化物を殺すのは?」
「決まっているだろう、英雄だ」
「じゃあ、人間を殺すのは?」
「同じ人間か、化物だろう」
「……じゃあ、そんな化物を殺す英雄を殺すのは何だ?」
「……それは」
「ぶっぶー、時間切れだぜぃ。答えは……『人間』だよ」
「……」
「人間は化物を殺す英雄を恐れて英雄を騙し、殺すんだ。化物よりつよい英雄なんて、化物同然だからな。英雄ってのは、自分を殺そうとする人間を守ってんのさ。滑稽だろう?」
「……」
「そんなんだからお前らのやってることは所詮英雄ごっこなんだよ。本物の英雄ってのはな、そんな自分を殺してくるかもしれない人間を恐れることもなく守り愛してし、死ぬかもしれない戦いに赴く。つまり、英雄ってのは、とんでもない大馬鹿野郎の事だよ。腕っぷしの強さや、頭の賢さ、つよい神器なんて関係ないんだよ。はっきり言うぜ、お前は――いや、お前らは英雄なんかには向いてない。街角でバナナの叩き売りでもしてた方がよっぽどマシってこった」
「……いや、バナナの叩き売りなんかできないさ。屋台を壊してしまうからな」
「ハン、そういうと思ったよ。力を隠して生きることがそんなに苦痛か?」
「……」
「チッ、所詮はガキの集まりか……いいか曹操。斬おねーさんからの忠告だ」
「俺の方が一応年上なんだけど」
「黙って聞いてろ。赤龍帝にはあまり手を出さん方がいいぞ」
「何故だ?」
「アレにはな、下手に近づくと……惹かれちまうからだよ」
「……?」
「あとは自分で考えるんだにゃー」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パァーン!
「頑張れー!」
「負けるなー!」
体育大会当日。徒競走でイリナとかゼノヴィアとかフリードとかの人外が頑張ってます。なに、フリードは人間だって? 馬鹿なことを言うんじゃない、フリードは木場と張り合えるくらい速いぞ。
「フリード、頑張れよ!」
「!!」
アリシアさんの応援で更に速さを増すフリード。ぶっちぎりでトップやん。
そして我がクラスでもフリードとアリシアさんはカップル……というよりは夫婦認定されている。曰く「もうお前の嫁でいいよ」、「ここに教会を建てよう」、「いちゃいちゃしすぎで糖分過多、起訴」だとか。
っと、次は二人三脚だったな。
「いくぞ、アーシア!」
「はい、イッセーさん!」
アーシアは俺の手を繋ぐと、にこりと笑った。
次回予告
北欧の主神が駒王町に来日。それを追って悪神の魔の手が迫る。そして拗れる堕天使の父娘関係。
半神に危機が迫るとき、奇跡が起きる!
『二天龍が笑った』次回、『蒼き海』。戦雲がイッセーを呼ぶ……