海底。そこには一匹の龍と一人の男がいた。男は平然と水中で呼吸をしながら、その龍と対峙していた。
『ぐごごごごごごごん……ずぴゅー』
……尤も、その龍は爆睡中なのだが。
「おい、起きろ」
『……んぁ?』
男が軽く声をかけると、いとも簡単に目を覚ます龍。
「久しいな、ミドガルズオルム」
『おお、久しぶりぃ。えーっと……』
「今は
『じゃあ、蒼。わざわざ僕のところに来てどしたのぉ?』
龍――
五大龍王と普通に相対している時点で、普通ではないことが伺えた。
「いやなに、お前なら知ってると思ったんだが」
『僕は何でも知ってる訳じゃないよぉ。知ってることを知ってるだけぇ……ふぁ……それよりもぉ……好きな人とくっついておめでとさん……』
「……お前さぁ、海底で居眠りしてる割には活動的だな」
『たしかぁ、分霊だっけぇ? 日本の神の技術を真似てみたんだぁ。ウズメたんはかわいかったよぉ』
「成る程な」
蒼とミドガルズオルムは世間話を続ける。とてもとても龍と人が会話する内容ではないが。
『ふぁ……で、本題はぁ?』
「いや、アマテラスにどう謝ったらいいかと」
『あぁ成程……君も難儀だねぇ……』
「まぁな……あの頃は若かった」
遠い目をする蒼。その視線の先にはあの太陽神が思い起こされていた。
『アマテラスのドロワーズを盗むとかさぁ、ファーブニルじゃないんだからぁ』
「……まて、何故そこにファーブニルが出てくる」
『ファーブニルがねぇ、最近『パンティー=お宝』って思ってるらしいねぇ……』
「……ハァ……ったく、ドラゴンってのはお前も含めて変なのばっかだな」
『まぁねぇ』
「自分が変なのは自覚あったのか」
『だって……こんな惰眠を貪ってるドラゴン、僕くらいでしょ……』
「まぁな……」
和気藹々と会話は続く。
『まぁ、最悪太陽焼き土下座かなぁ』
「……やっぱりか?」
『もしくは腕の一本とか』
「腕の一本や焼き土下座程度で事が済むならどんなに楽か」
ハハ、と乾いた声で笑う蒼。ちなみにミドガルズオルムの言う「太陽焼き土下座」とはアマテラスが自身の能力で摂氏6000度の火球を作り出し、そのなかで土下座させると言う常人ならばまず蒸発する、神・高位魔獣向けの鬼畜お仕置きのひとつである。
『まぁ頑張ってねー』
「他人事だと思いやがって……くそう!」
『若い頃好き放題してたツケが回ってきただけでしょお?』
「ぐっ、確かにそうだが」
『それにさぁ、普通に謝ったら案外赦してくれるかもよぉ?』
「……そうか? 俺はそうは思わないが……」
『罪な男だねぇ……その無自覚な女たらしははたして誰に似たんだか……』
「……聴こえてるぞ」
『あはは、失敬失敬』
近くの岩礁に腰を下ろしていた蒼は腰をあげると、ぐっ、と伸びをした。
「……まぁ、やれるだけやってみるわ」
『気を付けてねぇ。正直に恋人の話もするといいよぉ。僕はそろそろ寝るからぁ……ぐごごごごごごごん……』
「……ああ、ありがとな」
『どーいたしましてぇ……ぐごごごごごごごん……ぐごぉぉ……』
蒼は踵を返すと、海上を目指す。いや……目指すは、高天ヶ原。
蒼は海上に上がると、全く濡れていない浴衣をはためかせながら、日本へと跳んでいった。
……そこに、波乱が待っているとも知らずに。
空を見れば、青く広い空……蒼穹が広がっていた。
『あ……そういえば……蒼にいい忘れてたよぉ……ま、いっか……今、アマテラスが情緒不安定な位は……日蝕が近いからなぁ……むにゃ……』
この事で蒼が自業自得とはいえアマテラスを泣かせてしまい、アマテラスの親がすっ飛んできて苦労するのだが、それはまた別の話である……。
蒼、いったい何者なんだー(棒)
そういえば最近、パシ○ィック・○ムを見ました。いやー、ああいうのいいねぇ。ロマン。
ロケットパンチでちょっと吹いたのはいい思い出。