「ごめん、まった?」
「いや、今来たところだ」
……この会話。いつかの夕麻ちゃんとの会話と同じだ。俺の全てが始まった、あの日と。
「じゃ、いこっか!」
ヴァーリが俺の手を握る。俺も握り返すと、街へくりだした。
……もちろん、背後でオーラとか闘気とかを放っている女子達を無視する形で。
……木場、リアス達を抑えてろよ。頼むから。
―・3・―
「あぁ、惜しい!」
無慈悲にもアームはぬいぐるみを途中で落としてしまう。
あてもなくふらついていたらゲームセンターに何故かいた。
「次は何する?」
「んー……あ、あれやろ、アレ!」
と、ヴァーリが指すのは――ガンシューティング系のゲームだ。 しかもゾンビ系の。
「おう!」
最近色々と溜まってるからな……悪く思うなよゾンビ共!
―数分後―
「……一発だって外さない」
ゾンビーズ相手に無双しているヴァーリの完成だ。黙々とハイスコアを更新するもんだからギャラリーまで出来てきた……。というか、ヴァーリって射撃のセンスあるんだな。意外だ。
俺が撃つ時はヴァーリがリロード、ヴァーリが撃つ時は俺がリロード、時々同時撃ち。
「……あ」
ボスキャラを倒したら、「GAME CLEAR」の文字。長時間プレイを防止するためだな。
ぱちぱち、といくつか拍手が飛んできたので、恥ずかしくなった俺たちはそそくさとゲームセンターを後にした。
……ヴァーリが腕を組みながら。あぁ、視線が痛い。
その後はブティックによって服を選んだり、ファミレスで食事をしたりした。
そして……。
「……ねぇ、イッセーくん。あそこいこ?」
ヴァーリが指差す先は、いつぞやの公園だった。
まわりまわって、こんなところまで来ていたのかと驚く。
二人でベンチに座る。
「ああ。懐かしいな……ここ」
「うん、私達がはじめて出会った場所」
ああ、本当に懐かしい。
「私が“私”なったあの日。イッセー君はこの公園で、私をみた」
「ああ。あの頃には、既にドライグの意識もあったからな……魔方陣をみてもあまりおどろかなかつたっけ」
「うん、それで私はまだ“いなかった”」
「今はここにいるだろ?」
「……そうだね」
ヴァーリは俯けていた顔をあげる。そして、俺の耳許へ顔を寄せる。
「それでね。イッセーくんにいわなきゃいけないことがあるの」
囁くように、そう言う。声色はひどく震えていて、少し裏返っていた。
「すごく唐突な話だし、変な話だけど、聞いてね」
「ああ」
あのヴァーリが、こんな儚い声をだすのは――あの時以来だ。
ヴァーリは艶やかな唇を躊躇いがちに開くと、意を決したように少し息を吸い、告げた。
「私ね……前世の、記憶があるの」
……前、世。前世の記憶、だと?
「変な話だよね。そのときイッセーくんとはライバル。でも、ソノ時の私は男で、もう一匹の赤い龍をみてた」
……それって……
俺は、ヴァーリにしか聞こえないような声量で、呟く。
「……ああ、知ってるよ。ヴァーリ……」
「え……」
「俺も、同じだからな……」
「え……それって……」
「……『乳龍帝』と『ケツ龍皇』」
「っ!」
俺達の小さな小さな会話。
それを聞いたものは、誰一人としていなかった。
「……さぁ、また街へ行くぞヴァーリ!」
俺は突然そう声を上げると立ち上がる。
「ふぇ!? で、でも私は――」
「何をすべきか、じゃねぇ。重要なのはお前がどうしたいか、だ」
「……ふふ、また励まされちゃった」
「俺のライバルはどうも心が弱いからな。励ましてやらなくちゃどうしようもねぇだろ」
「……もう……ありがと♪」
と、ヴァーリといちゃいちゃしていると。
「ほほっ、今代の赤と白はデートをするような間柄なのか」
……。
と、ふざけるのはここまでにして。
「お久しぶりです
「……赤龍帝、わしを馬鹿にしとる?」
「いえいえそんな滅相もありません、
オーディン様、北欧の主神たるエロジジィである。
「オーディン様! 勝手に
おっ、ロスヴァイセさんが走ってこちらに来た。苦労人ですねぇ。
……でも、なんか雰囲気違うような……。
「なんじゃロスヴァイセ。固いのう……そんなんではロ……ごほん、
「あああああ蒼さんを引き合いに出さないでください!」
蒼? 誰だろう。ロスヴァイセさんの真っ赤になって狼狽える姿からみると、ロスヴァイセさんの恋人か懇意にしてる人かな?
いやぁ、恋人にしろ好きな人にしろ、そういう話があるだけで幸せ者だ。雰囲気が違うのも納得納得。
「で、オーディン様はどうしてここに?」
「日本の神と、帝釈天にようがあってきたのじゃよ……」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「……ゴホッゴホッ! ……はぁ、はぁ……」
「酷くなってきたな」
「ああ……黒歌や美猴、ルフェイ……、もちろんお前にも迷惑かけたな、アーサー」
「私が好きでやっていることですので」
「……もし私にもしものことがあったらここへ行け……ぐっ……」
「……孤児院? しかしこれは、複数人用の転移魔法陣……」
「昔、ある天使からもらったのさ……『助けたい人に使え』ってな……ごふっ……!」
「斬!」
「はは……どうやら時間がないらしい……もって、一月ってところか……はは……病は治らねぇ。分かってるよ……手は尽くしたんだ。それこそ、奇跡が起こるか、悪魔にでもならねぇ限りはな……」
「……なら、悪魔にでもなんでもなってしまえばいいではないか! 私は、私達は、お前が大事なのだ! お前が私達の事を大事に想うように!」
「知ってるよ……だから、私は……まだ、死ねない。病なんぞで死んでたまるか……!」