「ヒーロードラゴン、みたいな?」
「えーりゅーてーですしなー」
「あくしゅしておくべき」
冥界在住の妖精さんに囲まれている俺。それ以外にも悪魔や堕天使の子連れもいる。うむ。
何をしているかというと、英龍帝としての握手会である。
アニメの人物がノンフィクションなので、そういうイベントを行えるのだ。
大きなお友だちや小さなお友だちが沢山来た。
「いやー本物と会えて光栄だよ」
「これは……以外といけるかも……」
「我々は私によって温もりを覚えた」
なんかおかしいのもちらほら混じってたけど、まぁ大丈夫だろ。
―○▽○―
「イッセー様?」
「ん? おおレイヴェルじゃないか」
握手会が終わった後にレイヴェルと遭遇した。
「お仕事お疲れさまです」
「ありがとうな」
「あっ……」
おっと、つい頭を撫でてしまった。
「おっと、ごめん」
「い、いえ、おきになさらず……
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、なにも!」
「そうか」
「あ、そういえばお昼はまだですか?」
昼飯?
「まだだけど……」
「よ、よろしければこれどうぞ!」
と、レイヴェルが差し出してきたバスケットの中には……サンドイッチか。
「ふむ……」
昼飯は……ま、このくらいなら全部食べても大丈夫だろ。俺はバスケットからひとつ取り出すとその場で食べた。
「ん、うまい」
「!!
「サンドイッチありがとな。じゃ、また」
「はい♪」
レイヴェルは踵を返すとスキップしそうな勢いで帰っていった。
……うーむ、女心は難しいなぁ。
『弄ぶだけなら一級だかな』
《よっ、ナデポ!》
無視無視。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
部屋には、私と父様だけが残されていた。
イッセー君……。
『貴女の憎む父親は、家族なんですから』
彼の本意は知らないし、なんであんな言葉を発したのかも分からない。
「……朱乃」
父様が、重い口を開く。
「聞いてくれなくてもいい。答えなくてもいい」
父様は続ける。
「お前は今、幸せか?」
「――っ」
私は、父様の言葉に答えられなかった。
「私が要らない位に、もう、余分な節介を焼かなくともいいくらいに、幸せか? お前が幸せなら、それでいい。私がお前の幸せの邪魔になるなら、喜んでお前の前から消えよう。死ねというなら、死のう。それで、お前が幸せに暮らしていけるのなら……」
「……っ!」
父様は、本気だ。私でも、解る。
父様が、死ぬ?
……やだ。そんなの……やだよぉ……
「とおさま、おねがい……そんなこと、いわないで……わたし……」
父様を、憎んだ。
わかってる、殺したのはあいつらで、父様は悪くないのは。そのくらいは……
でも……そうでもしなければ、心はもってくれなかった。とにかく、誰かのせいにしたかった。
他でもない、自分のせいなんだから……わたしなんかが……
「わたしなんかが、うまれなければよかったのに……」
「朱乃ッッ!!」
パシン、と頬に痛みが走る。父様がわたしを叩いた。
とう、さま?
「朱乃、そんなこと言うんじゃないッ……!」
とうさまは泣いていた。静かに、頬を涙が伝っていた。
「私をどれだけ憎んでもいい、恨んでもいい! だから、自分が生まれなければよかったなんて、言うんじゃないッ……!」
なんで。だって、かあさまはわたしのせいで……っ! わたしなんか、あのときしんじゃえばよかったのにっ!
「朱乃。母さんが、朱璃がお前を守ったのはなんでだと思う?」
とうさまのやさしいこえ……。
「わかんない……」
「……私が朱璃だとしても、同じことをしてたよ。たとえ子供に怨まれても……お前が生きているだけで、親は幸せなんだ」
「……でも、かあさまはしんじゃったよ……」
「ああ。朱璃は死んでしまった……でも、思い出に生きてる」
……そうだ、たのしかった、思い出が……。
「悲しむな、とは言わない。戻ってこいとも、言わない。……ただ、私もお前が大事なんだってことだけは、覚えておいてくれ」
……とうさま。わたし……。
「わたしだって……とうさまがいなくちゃ、やだぁ……」
ぼろぼろとなみだがあふれた。
なみだが、心をあらいながしていく。……少しだけ、冷静さも取り戻した。二人きりとはいえ、ちょっと恥ずかしいけど……今は、泣いて甘えよう。
「うわぁぁぁぁあん! とうさまぁぁぁ!」
「あ、朱乃!? く、こんなときどうしたら……!?」
わたふたと狼狽える父様が、ちょっと滑稽に見えた。
……ありがと、イッセー君。