二天龍が笑った   作:天ノ羽々斬

111 / 130
襲撃。

「……さて、そろそろ次の店へ行くかのう? ロスヴァイセや」

「はいはい……」

ため息をつきながらロスヴァイセさんがそう答える。

「えー、もう帰っちゃうの?」

と、これは店員さん。

「ほほ、お主らともっと遊んではいたいんじゃが、儂も多忙でな」

――ちなみにここ、キャバクラの前である。

「「はぁ……」」

俺とバラキエルさんのため息が重なり、思わず顔をみあわせてしまった。

「……神にしろ悪魔にしろ天使にしろ、実力者は変なのが多いね」

俺はヴァーリのこぼした言葉に妙な説得力を感じていた。ミドガルズオルムなんてその筆頭だしな。

『俺も変か?』

《黙ってなさい幼女蜥蜴》

『煩ぇな脳筋太陽』

『《……あ゛ぁん!?》』

……うちの強者もその法則に当てはまるらしいです。またしりとりはじめたよ……

俺は天を仰いだ。

 

―☆▲☆―

 

アレから一週間ほど。またピンク街へと赴き、散々遊び尽くした主神様。

スレイプニルの引く空飛ぶ馬車に俺たちグレモリー眷属、アザゼル先生、ロスヴァイセさん、主神様が乗っている。

木場とバラキエルさん、ヴァーリと夕麻ちゃんとイリナは馬車の外で警戒中だ。

「ゲイシャガール最高じゃったのう」

「オーディン様。これから日本神話と会談なのですから……もうすこし気を引きしめてくださいよ!」

「固いのぅ。そんなんでは蒼に嫌われてしまうぞ?」

「だからいちいち蒼さんを引き合いに出さないでくださいっ!」

「んー、聞こえんのー」

「はぁ……」

……ロスヴァイセさん、御苦労様です。

突如、スレイプニルが嘶く! 馬車も急に止まっちまった!

……ついに来たか、ロキ!

「ふむぅ、思ったよりか早かったのう……」

部長たちが馬車から出る。よし、俺も……往くぞドライグ、ガウェイン!

『応っ!』

《ああ!》

『Welsh Dragon Balance Braker!!!!!!』

よし、バランスブレイクだ。うん、展開時間も安定してきたな。一週間くらいなら展開できそうだ。

俺も馬車から飛び出る。飛行は……相変わらず、ドライグ任せだけど。俺でも浮くくらいは出来るんだけどな……飛ぶことに集中してると他の事が疎かになりがちなんだよな……。だから飛行は、今はドライグに任せる事にする。

「はっじめまして、諸君! 我は北欧が悪神ロキ!」

……さて、フェンリルの対策をしないとな。

「ロキ殿。この旅はどういったご用件でここに?」

「なに、オーディンが他の神話体系と接触をはかっていること、それが受け入れ難い。故に邪魔しに来た」

「クソッタレめ」

アザゼル先生は光の剣を二本構える。木場も聖魔剣を、イリナも光の剣を構えていて、夕麻ちゃんは光の槍、ヴァーリはすでに鎧に包まれていた。

「堕天使二匹、天使一匹、悪魔がたくさん、それに……白龍皇と赤龍帝が……これは珍妙な。今回の赤白が争わないのか!」

「ええ。私、イッセー君にベタ惚れだもの」

……どうやら吹っ切れているな。俺も、以前よりは気がらくだ。だが、こうも目の前で好意をぶつけられるとこう……恥ずかしいな。

「ほう! そうか、今回の赤白はアベックか! 面白い!」

アベックって死語だろ……。

「全く、お主はいつまでたっても頭が固いのう、ロキ」

馬車からオーディンのじいさんとロスヴァイセさんが出てくる。

「これはこれは我らの主神殿、こんな僻地で出逢えるとは運命とは数奇なもの――などという前振りは要らぬだろう?」

「そうじゃな」

「では聞くが。態々北欧の神話体系を抜け出してこのような地まで来て、なにをするつもりだ?」

ロキの言葉に髭をさすりながらオーディンのじいさんは答える。

「なに、日本の神話に興味があっての。向こうもこちらの文化に興味があるらしくてな、異文化交流というやつじゃ」

「おお、なんということだ」

オーディンのじいさんの言葉に大袈裟に反応するロキ。

「我々が求めるのは()()()()()のみなのだ! 終焉を迎えるために異文化交流など不要……ッ!」

「だからお主はアホなのじゃ。――終焉には未だ早い。だから、儂らは若いもんの道を作ってやるべきだと今さら気がついての。全く、歳はとりたくないのう」

「なんと、なんと愚かなことか。ならば――ここで黄昏を行おうではないか」

そういうと、ロキは魔術を展開しはじめる!

……一先ず、は。

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!!!!!』

「焼き尽くせ、ガラティーン!」

「撃ち貫け、アロンダイトッ!」

俺はガラティーンを抜くと、橙のオーラの斬撃を放つ!

橙と青の一撃がロキを襲う! って、青?

「……生半可では利かないか」

ヴァーリがそう呟く。ヴァーリの手元には、剣と呼ぶにはあまりにも異質なものが握られていた。長身の銃だ。あれがアロンダイト?

「面白い! ケルトの剣を使うか、流石は二天龍だ! だが――威力が足りないな」

そうか――ドライグとアルビオンも、アロンダイトもガラティーンも、ケルト神話の剣だったっけ。

当のロキはローブこそボロボロだが、本人は全くの無傷。流石は神だ。

「部長、プロモーションします!」

よし、『女王(クィーン)』に昇格した。

「ロキィィィ!!」

「ふははは! 堕天使二匹程度で我を止められるなどと思うな!」

アザゼル先生とバラキエルさんの光と雷光! でも足止めにしかなってない! 北欧の術式で防がれる。

「だったら、同じ術式でっ!」

「術の構成はヴァルキリーにして見事! だが所詮はヴァルキリー。効かんぞ」

ロスヴァイセさんの魔術バーストだ! でも防御術式で防がれてる!

……なら、こいつでっ!

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!!!!!』

俺は手のひらに魔力を出現させる。それを――撃つ!

「っらぁ!」

『Explosion!!』

魔力バーストで動いていないロキへ俺の魔砲が飛ぶ! しかし、ロキは右手をその魔砲へ向けると、受け止め――反らす!

くそ、だめか。

「うーん、手が痺れた。やはり想いの籠った一撃というのは強いな――ならば、呼ぼう! 出でよ、我が愛しき息子よッ!」

――不味い!

マントの影から、銀色の体毛の美しい狼が現れる。

――ウォォォォォォォーンッ!!!

美しい遠吠え。くっ……。

神喰狼(フェンリル)だ! アレには極力手を出すなよ、喰い殺されるぞ!」

アザゼル先生の号により

「紅い髪――魔王の血筋、グレモリーだったか。ふむ、北欧の者以外の味を覚えさせるのも悪くない」

……。ふざけんな。ふざけんじゃねぇぞ!!

『Jet!』

「ふざけんじゃねぇぞぉぉぉ!!! ロキィィィィィィィ!!!!」

フェンリルが行動する前に、奴にブーストを吹かして接近し。

『Max Booster!!!!!!!!!!!!』

ⅩⅩ(トゥエンティ)

『MaximumExplosion!!!!!!!!!』

『Banker Stand By』

アスカロンとガラティーンの聖なるオーラを杭に宿して。

「ぶち抜けぇぇぇ!!」

『Banker Full Throttle!!!!!!!!』

奴の腹に杭を突き刺す!

『BaBaBaBaBaBang!!!!!!』

――ぐっ。

「……駄目か」

俺の攻撃は奴に結構な傷を負わせる程度に終わった。流石は神喰狼だ……。

「ほう、フェンリルの速度に一瞬とはいえ反応するか。これは厄介だな。先ずは貴様から――」

俺を鬱陶しそうに振り払ったフェンリルが俺に狙いを定めた瞬間。

『Harf Dimension!!』

「――させないよ」

ヴァーリによって空間に囚われるフェンリルとロキ。その隙を見てフェンリルの側から脱出し、ヴァーリの隣へ。

「いくよ」

「ああ」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』

『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!!』

よし……!

俺は杭をしまうと、素早くガラティーンを掲げる。

ヴァーリも同時にアロンダイトを構える!

「塵も残すなよ、ガラティーンッ!!」

「全て撃ち抜けッ、アロンダイト!!」

俺たちの思いに応呼して刀身に焔が宿り、銃身に光が宿る!

「「くたばれぇぇぇ!!」」

忌々しそうに歪んだ空間を振りほどいたフェンリルへ、炎と光の一撃を食らわす!

「まぁ、そう簡単にくたばっちゃくれねぇか……」

フェンリルは傷を負ったが、平然としていた。

「……二天龍が組むとこうも危険か」

ロキは歪んだ空間を振り払うと、手のひらに魔術式を一瞬で構築する!

「今、消しておこ――む?」

突如、ロキの体に異変が起きる。

――動いてない?

「にゃはは、一発必中ってな!」

声がする方を見れば、そこには――斬!

「いいねいいね、赤と白の共演! 黒の俺も混ぜるんだにゃー」

笑いながらも長刀をロキに向ける。俺達は突然の乱入者に驚いて身動きが出来ていない。

「悪薙剣使いか……仕方ない。一旦引くとしよう。しかし、また邪魔をしに来るぞ!」

ロキはそういうと、無理矢理力む。すると、空中の影に刺さっていた五十本ほどの苦無(クナイ)が落ちる。

そして、マントを広げると、フェンリルと共に影に沈んでいった。

「……面倒なことになったな」

アザゼル先生はそうこぼすと、深くため息をついた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。