あの後、匙がグリゴリの研究施設にドナドナされていったくらいしか特筆することはないな。
予定の会談日の前日ということろだ。強化グレイプニルも届き、レプリカミョルニルもある。準備万端といったところか。
特にやることもないので自室でのんびりとしている。
……俺たちの平和が苦痛に感じるものもいる、か。けど、俺たちは俺たちの平和をもぎ取るんだ。
よし、コンディションチェックでも……ん?
「おにーさん」
「ん、レイか」
レイが部屋に入ってくる。
「実はね、そろそろ発情期みたいなのー」
「ぶっふぉ!?」
むせた。
ってかなぜ俺に報告を?
「だから、襲わないように気を付けてねー?」
クスクスと笑う少女。
「いや、襲うつもりはないが」
「あ、ちなみに私は本気で子種欲しくなるからよろしく」
「ぶっふぉ!?」
二回目。
っていうか襲うな! 倫理的にも年齢的にもあれだろ!
「肉体が未成熟すぎるだろ……まだ成体じゃねぇってのに」
「あ……そうだった……まぁ、子供はできないけど盛った猫みたいになるからよろしく」
盛った猫……小猫ちゃん……? あ、あのときは相当やばかったってのに!
ああ、くそぉ!
「イッセー? そろそろ寝ましょう?」
リアス降臨。そして俺の前でふくをぬぎはじめぇぇ!
「リアスお姉さま、私もそろそろ寝ま……ず、ずるいです! 私もイッセーさんと仲良くしたいです!」
アーシアそれは字面的にあれだからやめなさいっていうかまた脱ぎはじめておっぱいが俺の目の前にさらされてるぅぅ!!
助けて相棒達! このまま暴走したら不味いから!
『いいぞーやれやれー』
《そうだそうだ》
や く に た た な い っ !
ふにゅん。左右に柔らかい感触っていうかおっぱいが、おっぱい様がくっついておられるぅぅう!
「さぁ、寝ましょ?」
「私も寝るー」
「イッセーさん、私ともですよね?」
……耐えてくれ、俺の鋼の理性よっ! ていうか本当に戦闘前日か!?
―○。○―
「……寝れねぇ」
素数やひつじを数えても落ち着かないしちっとも眠れねぇ。
戦闘に向けての緊張もあるが、やはり裸体が惜しげもなくさらされさらに俺に密着しているとなると……ぶふぉ。
「……ねぇ、イッセー」
唐突に部長が声を俺にかける。レイが「おにーさんの子種……」と寝言を呟いていて、アーシアは俺にぴったりくっついている。秋口だから暑くはないけど……。
「なんですか? 部長」
「……寝れなくてね。柄にもなく緊張してるの」
俺は二重の意味で緊張してます。
「まがいなりにも神と戦うんですから、緊張したっていいでしょう。俺も寝れてませんし」
「ありがとう。……イッセー。お願いがあるの。私の名前を呼んで?」
よく見れば、リアスの肩は震えていた。やっぱり、恐いんだよな。俺だって、怖い。でも――リアスを勇気づけるくらいなら……!
俺はリアスの手を握る。
「リアス」
言葉は自然と紡がれた。何の蟠りもなく、するりと口からこぼれた。
「大丈夫。俺が、守るから」
もう――もう、二度と悲しませたりなんか、しない。
記憶の片隅に残る、崩れ落ちたリアス達。ぼんやりとしてるけど、たぶん俺が死んだ直後の事だと思う。
だから――だから、絶対に泣かせやしない。リアスに涙は、似合わない。長髪を翻し、胸を張り、腰に左手をあて、自信ありげな笑みを浮かべ、右手をつきだし、攻撃の合図を。
「ありがとう、イッセー……私の、大事なイッセー……」
リアスはにこりと微笑むと、そう、俺に告げた。
――決戦、前夜。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「……」
『随分と意気高揚してるようだな、主』
「そりゃあ、神と戦うんだからな。……リントヴルム、俺はこの戦いを最後に剣を振るのを止めようと思う」
『!』
「……随分と、永い旅をしていたような気分だ。永い、永い、永久にも思える旅だ。たかが十数年ほどしか生きていない小娘が言うのもあれだが、本当に永く苦しい旅をしていたような気がする」
『旅路の果てに、答えが見つかったのか?』
「いやぁ、わからないよ。でもね――彼らを見てたら、闘うことがバカらしくなったのさ。先が長くないってわかったとたんにそれだ。笑えるだろう?」
『……』
「そうさ、俺は……私は、まだ、死にたくない……死にたくないよ……こほ、こほっ」
『……斬』
「私だって、生きたいよぉ……リントヴルムぅ……」
『……誰かがいっていた。その頃は全く理解できなかったが』
「……?」
『人は、産まれ落ち、生きる。存在そのものが罪だとしても、罪を犯していたとしても。生きることのみは、生きるだけなら、罪じゃない。成る程、罪を重ねたとしても命そのものは罪ではない……生を欲することは罪じゃない。悪いことじゃないんだよ、
「……ありがとう、リントヴルム。お陰で元気が出たよ」