「にょ」
「にょ」
「にょ?」
「にょ!」
にょ、だけで会話をする偉丈夫達。
その巨体に似合わぬピチピチで明らかにサイズ違いなモノを着ている。
そう――――――ミルたん達との「魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ」観賞会の始まりであった。名前長い、ミルキースパイラル1とか2があるのかよ、と突っ込みたい。いや、良いアニメだけどさ。
それよりも俺は何より癒しを欲した。
そもそもこうなったのは理由がある。
悪魔の契約にて「いつものメンバーだけでは寂しいから」という理由で俺も付き合う代わりに代価をいただいた。なんでも、ムーンライト草だとか。……ふと思ったんだが、ヴァーリとミルたんならどっちが……いや、流石にヴァーリには勝てねぇだろ……うん。
最近はもう特訓漬けだ。さっさと禁手化するためにも神器に慣れなきゃいけない。神器に早く慣れるためには、死にかけるまでブースト→復活が一番手っ取り早いが……何分、我等がグレモリー眷属にはまだ
『スパイラルボンバー☆』
あ、ミルキーが必殺技のパイルドライバーを容赦なく極めやがった。敵キャラは『ゴキャ☆』って感じで首が……あぁ……痛そう。
余談ではあるが、ミルキースパイラル7オルタナティブのコンセプトは『接近戦もいける魔法少女』らしい。あくまでもメインは魔法なのだそうだ。接近戦メインだったらどうしようかと。
―○●○―
「あー……太陽が黄色い……」
結局夜明けまでぶっ通しでやってた。……あれ、なんかデジャビュ。
つーかあの
俺が契約達成したあと、二週目だってさ。タフすぎるだろ。
「あうっ!」
近くで
そう、皆大好き、僕らの癒し『アーシア・アルジェント』である。
あぁ、なんか感動するなぁ。乙女座の私にはセンチメンタリズムを感じずにはいられない。
おぉ、アーシアのパンモロいただきました。あぁ、あれこそがお宝だろう。
―おパンティー、お宝―
……幻聴? なんだろう、凄く嫌な予感がする。
金色の蛇みたいなドラゴンが一瞬だけ見えたぜ……。あぁ、こういうことは忘れよう。ドライグの精神安定の為にも。
「あうぅ……何故私は転んでばかりなのでしょう……あううっ!?」
何も無いところで転けた。いや、うん。前も思ったけど運動神経無いよねアーシア。
ヴェールが風で飛ばされていたのでそれを拾い、彼女に渡してやる。キザな言葉のひとつでも添えて、な。
「落としましたよ、麗しいシスターさん」
「あっ、ありがとうございますぅ!」
照れ笑いをしながら彼女はお礼を言う。あぁ、アーシアは優しいなぁ。……その優しさに漬け込まれて、あの悪魔に……くそ。やめだやめ。この暗い感情はバルパーにでも押し付けてやればいい。
「ぇと、その……」
「シスター。旅行か何かですか?」
「いえ! この町の教会に赴任してきたんですよ! でも、ばしょが解らなくて……」
ううっ、と涙目になるアーシア。……本音を言えば、連れていきたくない。
出来ることならこのまま彼女をさらってこちらの眷属に今すぐしたい。部長が許可するかどうかは二の次として。
でも、出来ることなら……彼女には
「そうだ、よかったら教会まで、案内するよ」
「ほ、本当ですか!? ありがとうございましゅっ!? あ、あう……」
台詞噛んでるアーシアも可愛いなぁ。
そんなこんなことをやっていると。
「うぇーーん!!」
泣き声がするので俺とアーシアは慌ててそちらを見る。……ちいさい男の子が転けていた。
アーシアはそれを見ると慌てて駆け出した。
「男の子が泣いちゃいけませんよ」
そういいながら―恐らく通じてはいないだろうが―アーシアは神器を発動させる。両方の中指に十字架をあしらった指輪。
直してもらったであろう男の子は「おねーちゃんありがとー!」といいながら、公園へ走り去っていった。
「すいません、つい」
てへへ、と舌を出しながら照れたように言うアーシア。
「えと、今のは?」
「……神様から授かった、素敵な、力、なんですよ」
そう、言ったアーシアは、少し感情に影を差した。しかしすぐに明るく振る舞う彼女。……アーシア。やっぱり優しいよ。
そうこうしている内に、教会にたどり着くことができた。
……やっぱり、この嫌悪感は慣れないなぁ。
教会に近づくたびに本能が逃げろと叫ぶ。
まぁ、ここは堕天使の根城だから、光の槍が降る何てことはないだろうが。
「あ、ここです! 良かったぁ」
あー、嫌な汗流れっぱなし。
……本当、あいつらには渡したくない。
でも、他に選択肢がとれないから。
俺にはまだ、富も名声も力もないから。
だから。今だけは渡してやる。
近い内に、取り返しに行くからな。
「……くっ。じゃあ、俺はこれで」
「私をここまで連れてきてもらったお礼を教会で――――」
「いや、いい。……おれ、急いでるんだ」
「……でも」
困る彼女。まぁ、当然だなぁ。……本当、こんな良い子をほっぽりだすなんて教会もアホだなぁ……まぁ、『システム』の不備のせいなんだけどね……
「俺は兵藤一誠。回りからはイッセーって呼ばれてるから、イッセーでいいよ。キミは?」
「私は、アーシア・アルジェントと言います! アーシアと呼んでください!」
アーシアは笑顔でそう答えた。うんうん、自己紹介は大切だね。
「じゃあ、シスター・アーシア。必ずまた会えますよ」
「はい、イッセーさん、必ずまたお会いしましょう!」
俺も手をふって遺憾ながらも別れを告げる。
本当に、良い子だなぁ。やっぱり、アーシアは優しい子だよ、本当。
あー、アーシアのおにぎり食べたいなぁ。ううっ。
―○●○―
「二度と教会に近づいちゃダメよ」
その日の夜。契約成功のお褒めの言葉と共に、部長に強く念を押されていた。というか、かなりお怒りの御様子。
怒っているリアスも素敵だよ……なーんて、言えれば苦労しないけどなぁ。ホント。肝心なところで俺はチキンだよホント……
「今回は運が良かったのかも知れないけど……光の槍が降り注いでも不思議じゃないのよ!」
俺のためにリアスは叱ってくれている。リアスは優しいなぁ、本当。情愛のグレモリーとは良く言ったものだ。俺なんかのために……。
「いい、天使や堕天使の光や、聖なるものには触れるだけでも消えちゃうのよ! しぬんじゃなくて、文字通り“消滅”するの」
と、リアスが言う。消える、かぁ……。あの、意識が遠退き、痛みだけが体を襲い、前後不覚でもう何もかもがわからなくなる。
あの感覚……二度と味わいたくないな。でも、皆を守るためならくらっちまうかもな……ハハッ。馬鹿だな俺は。
「……ごめんなさい、熱くなりすぎたわ」
リアス先輩がそう言う。リアスの良いところだ。眷属や家族、友達とか、そういう、人のために熱くなれるところ。
「お説教は終わりましたか?」
「朱乃? 何かあったのかしら?」
朱乃さんが何やら紙を持っている……手紙?
「討伐の依頼が大公から届きました」
―○●○―
――大公アガレス。
バアル家に続く大公の一族で、七十二柱序列第二位。
――しかし、はぐれ悪魔か。
俺は今の状況が不思議だった。
だって、なぁ。あの廃屋からビンビン感じてる。あ、いや、殺気な。別にエロい意味ではなく。でも案外余裕なんだよね、この程度の殺気。サイラオーグさんやヴァーリの方が濃かった。……いや、比べるのは酷か。
これもラスボス先生による地獄のしごきの成果かね。
「……血のにおい」
さすがは小猫ちゃん。猫又、しかも最上位とされる
リアスの滅びの魔力はバアルの家系から引き継いだものだと聞く。
朱乃さんの雷光……いや、
――――ズンッ!
リアスの悪魔の駒についての説明をBGMにしていると、巨体を揺らし、はぐれ悪魔が現れた。
あの時と同じ、上半身は裸の女性だ。……やだエロい。おっぱいをゆさゆさ揺らしてる。
だが、この程度で俺は止まらんぞ。
「旨そうな匂いがするぞ? でも不味そうな臭いもするぞ? 甘いのかな? 苦いのかな?」
ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ、とおぞましい笑い声をあげるはぐれ悪魔、バイサー。
「はぐれ悪魔バイサー。貴方を消滅しに来たわ」
巨大な獣の体を揺らしながら、それは現れた。
女性の上半身とバケモノの下半身を持った、形容のしがたい異形の存在。
「主の元を
「こざかしいぃぃぃぃ! 小娘ごときがぁぁぁ! その紅の髪のように、おまえの身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁ!」
雑魚ほどああいう台詞を吐く、と。
「雑魚ほど洒落のきいた台詞を吐くものね。祐斗!」
「はい!」
バッ!
近くにいた木場か部長の命を受けて飛び出す。やっぱはえーな。
「イッセー、さっきの続きをレクチャーするわ。祐斗の役割は
あんな鈍い攻撃は俺でも避けれそうだな。
バイサーの槍の振りは全く当たらない。
「そして、祐斗の最大の武器は剣」
木場が一瞬だけ止まり、手元に剣を出現させる。見たことあるぞ、
それを鞘から抜き放つ。
そして超速度でバイサーの両腕を断ち切った。
そしてバケモノの悲鳴がこだまする。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」
傷口から血が吹き出す。なんつーか笑える。
「これが祐斗の力。眼ではとらえきれない速力と、達人級の剣さばき。二つが合わさることで、あの子は最速のナイトとなれるの」
達人級の前に人間で言う、とか、最速の前に下級悪魔の中で、とかつきそうだな。だってアザゼル先生やヴァーリの方が速いし。今の木場を目で追うくらいならなんとか出来る。少なくとも今は。油断したら見失うほどの速さだ。
「次は小猫。彼女の駒は
「小虫めぇ!」
ズン、と小猫ちゃんを踏み潰さんと足で踏む。
「小猫はその程度では潰れないわ。ルークの特性は強靭な防御力と、馬鹿げた攻撃力」
「ふっとべ」
小猫ちゃんが巨体をぐぐっと持ち上げ、ぶん投げる。……豪快だなぁ。
「最後は……朱乃!」
「あらあら」
朱乃さんは雷雲を生み出し、そこから雷を落とす。
ドガがガガッ!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」
部長がすかさず説明を入れる。
「彼女の駒は
いやいや、Sってレベルじゃあ無いでしょう、ねぇ。
「あらあら、部長の分がまだ残っておりますわ、ほら」
カッ!
ドガガガガガガガッ!
「ぐわぁぁぁぁぁあああああ!!!」
「あらぁ? もうお仕舞い?」
黒こげのバイサー。なんか哀れだ。リアスがバイサーの前に出る。
「言い残すことはあるかしら?」
「死ね」
「……そう。消し飛べ」
ガッ、と滅びの魔砲により消し飛ぶバイサー。哀れ、そこには腕だけが残って……!?
「リアス、危ないッ!」
「っ!?」
俺はリアスを庇うように守る。腕だけが這いつくばって攻撃をして来やがった!
「くそ、部長を傷つけさせるかよ!
カッ、と俺の腕に神器が現れる。腕を左腕で弾くと腕は転がり、残っていたもう一本とスライムみたいに合体して犬のようなものになった。キモッ!
「こいつで貫けないものはないぞ……!」
神器か変化して
犬を近づいてぶん殴り、思わず怯んだところに杭の先端を犬に突っ込む。
「ギャッ!?」
「貫け!」
ガチッ、ドンッ!
撃鉄が起き、銃倉が回転し、内部に内蔵された魔力が爆発し、その爆発力を利用して杭を撃ち込む。そして、俺の腕から薬莢が排出された。……この技を作ったとき、どうも薬莢に無理させるみたいでさ、一回しか使えないんだ。薬莢も魔力で作るから良いんだけども。
カランカラン、と小気味のいい音がする。
犬は目を見開いたあと、力尽きたように息絶えた。俺は刺さっていた犬から杭を抜き、ビュッ、と血はらいをする。それから、リアスの方を見る。
「……部長、怪我とか無いですか!?」
「え、ええ。大丈夫よ」
「良かったです……」
本当に良かった。あれが当たっていたら部長は死んでいたのかもしれない。
……そんなこと、させるもんか。
リアスもアーシアも朱乃さんも小猫ちゃんもレイヴェルもゼノヴィアもイリナもギャー助もロスヴァイセさんも皆も。
殺させなんかしない。絶対にだ。
そう、絶対に。同じ過ちを繰り返してたまるか。
本作最高、怒濤の五千文字。
しかし展開も早まった。
東方作品、これで残るは、旧作を除けば、ダブルスポイラーのみ……!