二天龍が笑った   作:天ノ羽々斬

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追いかけて、捕まえて

「……あー、眠い……」

正午、公園。

「……まぁ、やりますか」

俺は折角の休みということで公園に来ていた。気晴らしも兼ねて。

俺は来ていたジャージの上を脱ぎ、半袖シャツに程よくついた筋肉。……もっと絞らなきゃ。

先ずは……懸垂をやろう。500回くらい。

 

―○●○―

 

「497,498,499,500っと」

懸垂を終わらせた俺は、ジャージを着てからランニングをしようとした、その時。

「イッ、セー、さ、ん?」

「……アーシア!?」

フラフラとしているアーシアを見つけた。

 

―○●○―

「はぐはぐ……」

一心不乱にハンバーガーを食べているアーシア。

可愛い。庇護欲がそそられるとはこの事だろう。ほっぺにケチャップがついている。

話を聞いた限りでは、堕天使から逃げた(お休みをもらった)のはいいが、財布を忘れるし、日本語は喋れないし、よって夜から何も食べてないそうだ。

「ん!? ーーー!」

「ほら」

慌てて食べ過ぎて喉につまらせていたので水の入ったペットボトルを手渡す。

昼飯用に、と買っておいたハンバーガーがこんなところで役に立つとは……。

涙目になったアーシアが感謝の言葉を口にする。

「はぅぅ、すみません、ありがとうございますぅ」

「気にすんなって。な?」

「えっ、でも……」

うーん、それじゃあ。

「じゃあ、名前を呼んでくれ」

「えと、イッセーさん?」

「おう、アーシア。互いに名前を呼び会えたら友達、ってな。友達なら困ってるのを助けて当然だろ?」

「……ッ、イッセーさん……」

涙ぐむアーシア。アーシアが、私なんかが友達にとか言う前に手を掴む。

「ひゅい!?」

「さぁ行こうぜアーシア、今日はとことん遊ぼう!」

「ふぇぇ!?」

 

それから、楽しい時間が流れた。

 

ゲームセンターに行って、カーレースゲームをやった。格ゲーや弾幕ゲーをやった。弾幕ゲーはアーシアが意外な才能を発揮して難易度ノーマルを2ミス4ボムでクリア。アーシアが極めボムを決めまくってた……。ちなみに極めボムというのは、自機に弾が命中してからの数フレーム間の間にボムという弾幕を押し退ける必殺技みたいなものを発動させると、残機を減らさず、ボムのみが使用される、というものだ。

つまり、敵から見れば、

 

やったか!? ←やってない

 

ということである。

その後、クレーンゲームにてラッチューくんをゲット。まぁ可愛いけどさ、こいつのアニメ放映時に十万アンペアなる必殺技で、目に異常をきたすという事件があった。そのシーンで十万アンペアを食らっていたミニクリ「ヘリゴン」のせいにされ(通称ヘリゴンブライト)、この憎たらしき電気鼠は何故か非難されなかったという。

おのれラッチューくんめ、アーシアに抱き締められて羨ましいぞ! しかも一生大事にするとか……。

 

そして、また公園に戻ってくる。

悲しい、しかし明るく振る舞うアーシア。

「……イッセーさん、今日は楽しかったです! ……私、あそこに帰りたくありません……! 人を平然と殺すような所には!」

涙目になりながら叫ぶアーシア。

「おや、随分な物言いだなシスター」

バサリ、という羽音と共に降りてくる一人の男の堕天使。

「……ッ、カラワーナ、様」

……まてまて、カラワーナは確か下級堕天使、迎えに来るのは夕麻ちゃん(元カノ)、それにドーナシーク以外は女性だったはず―――って。その肝心のドーナシークは女だったじゃないか。

「クックッ……貴様のような小さき存在が何ができる」

堕天使カラワーナは笑う。

「姉御……ミッテルトさまもお待ちだ、はやくこちらへ来なさい。今なら見逃しても――――」

「……です」

「ん? なにかいったか?」

「いや、です」

「クックッ……そうはいかんのだよ……姉御から私に命が下った理由はな、あの糞女郎(レイナーレ)よりも感情に左右されず、ドーナシークは殺され、手加減が出来ない姉御よりは確実だ、という意味だ」

流石雑魚、要らん情報すら与えてくれる。

「あのレイナーレよりも私の方が弱いというのも気に入らん……そこの悪魔、今すぐ彼女をこちらに渡せ」

金髪を揺らしながらニヤニヤとしている男。

……ふと思ったんだが、アザゼル先生が言うには堕天使が美男美女揃いらしいんだけど、ヴァーリに瞬殺されたピエロは美男とは言い難い。……ありゃピエロだ。いろんな意味で、さ。

「嫌だといったら?」

「死ぬだけだ」

「お前が消えろよ、三下」

「ふん、余裕をこけるのも今の内……だな」

俺はアーシアを庇うように立つ。

「イッセーさん!?」

アーシアが驚きの声を上げる。

……行くぜ、相棒!!

『おう!』

「む、龍の手……? いや、少し違うから亜種か」

「そういうこった!」

『Boost!』

いい点突いてるなぁ、カラワーナ。

こいつは、亜種なんて目じゃない、神滅具なんだからな!

『Boost!』

二回目の倍加。よし、大丈夫だな。

「むぅ、四倍だと!?」

「吹っ飛べよ!」

戦く堕天使だが……もう、遅い。

『Explosion!』

「ぬん!」

「ブホォ!?」

アワれ堕天使は星になる……なんて事はない。俺はあんパン男みたいな腕力はねぇ。

俺のフックモドキを食らったカワラーナ(雄)は吹き飛ぶ。

『Reset!』

神器の音声と共に、体から力が抜け落ちる。

……何だかんだ言って、俺ってば夕麻ちゃん(元カノ)以外の女の子って、殴った記憶があんまりないんだよね……

これ以来、女の子相手だと大体が洋服破壊(ドレス・ブレイク)からのドラゴンショットが基本の攻撃パターンだったし。いや、トリアイナの時はまた違うよ?

龍星の騎士で加速からの、龍剛の戦車でインパクトか龍牙の僧侶でサテライト……間違えた、ドラゴンブラスターだし。

サイラオーグさんの眷属のアドバンさんの時と夕麻ちゃん(元カノ)の時以外は殴ってない……筈。

「カハッ……」

「……堕天使サマは流石だな。普通なら死んでるんだが」

一般の人間なら間違いなく死んでいる。

血を吐きながらも、俺に近づき光の槍を振るってくる。

『Stake!』

「くそ、なぜ、俺が負けねばならん!」

「っと、そんな乱暴な振りでアーシアに当たったらどうするって―の!」

「っ!? 杭だと!?」

俺は槍を杭で受け止める。それを見て驚くカラワーナ。

「馬鹿な、龍の手が亜種といえ、そこまで役にはたたないありふれた神器の筈だ!」

力を込めてくるが……問題ないな。小猫ちゃんのパンチよりかは軽いしな。

「軽い!」

『Boost!』

再び倍加。よし、なんとか撃退すれば……!

 

「おや、後ろがお留守だよ悪魔」

 

後ろを向けば、ミッテルトと思われる堕天使が、アーシアの腕を掴んでいた。見た目こそにているが、雰囲気は違う。893みたいだ。

それを見たカラワーナは俺とのつばぜり合いもどきから脱出してその堕天使の隣に立つ。

「くく……運良く楽に上級堕天使の弱味を握る事が出来たし、神器は手にはいるし……くくく、あっははははは! 私はこれでのしあがる! あんな神器オタク共(アザゼル達)の下で働くのはもう御免なんだよ!」

上級堕天使? それよりこいつは……下種、下種だ。

「あー、ウチんとこのドーナシークやったのもアンタかい。アイツの臭いがついてるよ。……まぁいいけど。アザゼルやシェムハザの寵愛を受けるとかほざいてたが……はん、あんな変態共に操を捧げるかっての」

神器オタクなアザゼル先生に愛妻家シェムハザさん、もはや言われ放題である。しかも操を……とか言ってたから処女かよこのレディースもどき。

スパー、ど何処からともなく取り出した煙草を吸う彼女。

「カッ、わざわざ弱そうな悪魔んとこ選んでここまでやって来たんだ。邪魔立てはさせねぇぞ……」

おいおい、リアスは紅髪の消滅姫って呼ばれるくらい、新人のなかでは強いんだぞ?

バカだろこの堕天使。

「ああ、そうだ。冥土の土産に……って、私達は冥界が本来のすみかだったねぇ。なら、地獄への手土産に教えてやるよ。これは私達の勝手な行動さ。あともうひとつ。上級堕天使レイナーレの弱味ってのは、お前だよお前。ここの縄張り付近に身分隠して住んでたらしくてさ、一目惚れだったんだとよ。あいつ殺すぞーって脅したら思う通りよ。絶対尊主の魔法を念入りに掛けてやってなァ。んで、お前は死んで晴れて異形の仲間入りっつー寸法よ。……まぁ最も、その魔法も一度きりで切れちまったんだが」

夕麻ちゃんが上級堕天使だってぇ!? ……もう、訳がわからない。

上級堕天使の力なら【今】の俺でも楽に存在ごと消し飛ばせるだろう……殺すだけなら。

彼女が使ったのは槍。それも、下級や中級を沸々とさせるような光の槍を。

……まさか、ここにリアスが居るのを知っているから、少しでも死ににくいようにと、配慮したのか?

……わからない。

「まぁいいさ、テメェは今此処で死ね! ……と言いたいが」

そのミッテルトはアーシアから手を離し、アーシアの首筋に光で出来たナイフのようなものを突き付けながら、俺の首筋をかするように槍を投げる。当然、アーシアを盾にされている以上俺も動けない。

「これで勘弁してやらァ。お前さんは生憎大事な人質なんだからなぁ……っとと、人じゃねぇか。おら、いくぞカラワーナ」

「はい」

アーシアの腕を再びつかみ、そのまま空へと飛び立っていった。

……くそ、くそう。

「俺は――無力だ」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

 

「……ッ、だから、出てくるな!」

【何故? 私の体をはやく返しなさいよ】

「黙れ、黙ってよ、イッセーくんを、また、殺すんでしょ!? もう耐えられない! 私は貴女じゃない、この体も、最早貴女の物ではない!」

【私があの聖母の微笑を得るに相応しいのよ、私は、至高の堕天使になるの!】

「お前さえいなければ、私が生まれながらにして堕ちることも、無かったッ!」

【この……私が大人しくしているからと……!】

「失せろ! ここから居なくなれ! お前みたいなやつがいるからみんな死んでいくんだよ、消えろ!」

【この……!】

「お前は、生きていちゃいけない存在なんだ! 死者なんだから!」

【くっ、私はここにいるじゃないか! 何故、何故貴様こそ消えない!? なぜ私に貴様が言葉を投げかける度に私の存在が希薄になる!?】

「そうやって、迂闊に前に出るからだよ、何度もいったよ、私は私だ、おまえじゃないっ!」

【ぐ……やめろ……】

「うゎぁぁぁぁぁぁぁッ、消えてなくなれーーーッ!!」

【……ぁ……ザザッ……ゎ……は】

【……しこ……の……だ……し…………………………………】

【】

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……過ぎた力は、すさんだ心に危険なんだよ……レイナーレ。もう二度と現れないでね。私。お前が大嫌いな兵藤一誠は、私があいしてるんだ」

 

――――さようなら、レイナーレ。たった今お前は死んだ。




今回はブロントさんとガンダムZ&Vネタ。
全部わかるかな?
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