俺と堕天使は落ちて行く。
『くっ、このままではぶつかるぞ!』
分かってる! 勿論禁じ手は……無理か。
『ああ。はっきりいって、神器があまり安定していない。基本機能と杭は出せるが……』
くそ。俺に受け身のスキルなんてないぞ!?
……やってみる価値は、あるな。
ドライグ! ちょっと聞いてくれ。翼だけを部分展開できないか!?
『……やってみる価値はあるな。……強く思え!』
行くぜ、イメージするのは白龍皇の光翼!
「答えろ、神器ァァァァ!!」
『
新しい、神器の第三形態とも言える。
杭はまた別の進化だしな。
俺の背中に赤い魔力が纏い、そこから噴出口と翼が現れる。
『制御は任せろ! 相棒は飛べ!』
おう! 翔べぇぇぇ!!
『
音声と共に噴出口から魔力の炎が吹き出す!
その推進力により俺は一旦上に飛ぶ。
気絶している故か、そのまま堕ちてゆく堕天使。
ゴシャリ、と嫌な音がする。
……運が良かったのか悪かったのか、腰を打つだけで済んでいたようだ。
ドライグ、降ろしてくれ。
『わかった』
ドライグが翼の操作を行い、俺はゆっくりと地面に降りる。
『Reset!』
倍加が解除され、籠手や翼が消える。
「ふぅ……」
思わずため息をつく。すると、闇の中からアーシアをお姫様だっとした木場が現れる。
「お疲れ。凄いじゃないか。たった一人で堕天使を倒すなんて」
「……まァな。アーシアをありがとう」
俺は木場からアーシアを受けとる。……まだ暖かく、ほんの少しだけだが胸が上下している。
ドライグ、彼女のなかに神器はあるか?
『……残念だが、反応は見られない』
……っ、そうか。
「騎士としては当然の事さ。さぁ、早く上にいこう」
部長の魔力もあるし……あれ?
「小猫ちゃんは?」
「彼女なら……ほら」
木場が指差す方向を見ると、ミッテルトを引きずっている小猫ちゃんが。
ロリっ子な小猫ちゃんに引き摺られる白目を向いたヤンキー系美女。
……シュールだ。
しかも小猫ちゃんが無表情なだけに。
「……早くいきましょう」
小猫ちゃんの言葉と共に俺たちは地上へと続く階段を登り始めた。
……飛んだ方が早いのでは? とふと思ってしまったのは内緒。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「……すぅ、すぅ」
「……寝てるわね」
「はい」
私、リアスは廃教会の裏口へたどり着いた。たどり着いたのだけど……
門番らしき女性が眠っている。
四対八枚の羽をゆったりと動かし、滞空している。
その内の3対は、まるで毛布で包まれるようになっている。
「……なにはともあれ、好都合ね」
「罠、には見えませんわね……あらあら、涎が垂れていますわ」
「……」
本当に気持ち良さそうに眠る女性。心なしかにやけている気がする。
すると、その背後から男が出てくる。
「チッ、このクソアマが、役立ってないじゃないか……」
悪態をつきながら現れた堕天使とおぼしき男。
その男が現れるや否や、カッ、と突然目の前の堕天使が目を開ける。
「……」
「なんだその目はレイナーレ。貴様が我々に逆らえるとでも」
「何をいっている? もう……お前は死んでるじゃないか」
男が不機嫌そうに言うと、女……レイナーレと呼ばれた堕天使がそう返す。
思わず男を見ると、……既に男の頭がなくなっていた。
そして、その男はものも言わずに灰になった。
……仲間割れ?
「……上級悪魔リアス・グレモリー……そして姫島朱乃か……」
「……名前を知っているのね?」
私がそう問うと、堕天使は答える。
「是。紅髪の
朱乃に視線を向ける。朱乃は笑みを絶やさない。
「あらあら、なんですか?」
「貴女には酷かもしれんが一応言っておくぞ。――――貴女の父上は元気だ、とな」
朱乃はその言葉に目を細める。
「……貴女に」
「私にもわかるよ」
まるで朱乃の台詞を読んだかのようにいう堕天使。
「……私が、己の力をどんなに憎んだことか……」
ばさり、と舞う堕天使の羽が……一瞬だけ、片方が白く輝いたような気がした。
あれは!?
「……チッ、ミッテルトめ。……イッセーくん、がんばれ」
彼女は何かをぼそぼそと呟き、光の槍を―かなり弱々しい光だが―教会目掛けて放つ。
そのまま、教会の入り口に入っていった。
女性は羽を羽ばたかせはじめる。
「……良いことを教えよう、この一連の事件は下っ端達が勝手に起こした騒ぎだ。消し飛ばしてくれても構わん。……リアス・グレモリー。私は……天野夕麻。一誠くんに……“また、いつか会いましょう”……そう、伝えてくれ」
「……っ」
最後まで感情を見せなかった彼女が……最後の最後に見せた顔。
切なさと恋しさが捩れたような……悲痛な顔だった。
「ではさらばだ、バアルの子孫、雷光の子」
「まっ!」
私の制止の声を聞かず、気がつけばその堕天使の姿はなかった。
「……いくわよ、朱乃。どうやら戦闘も終わってしまったみたいね」
「………っ。あらあら、それは残念ですわ。嬲れなくて」
「……流石にそれは私でも引くわよ」
「あらあら」
……さぁ、教会へ入りましょうか。
夕麻「なんとぉぉぉぉーっ!」
皇獣「化け物かっ!?」
一瞬だけ頭の中によぎった。これはよくない